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オマージュウォッチのモラルジレンマ

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*写真は本文に関係あるかもしれないし無いかもしれないが、その判断は読者の皆様に任せる

あの素敵なデザインが、あの欲しかった時計が、こんな価格で買えてしまう・・・でもそんなオマージュウォッチを買うことはモラル的に許されることなのだろうか・・・?

今後このブログでは怪しげな「オマージュウォッチ」のレビューも扱っていこうと思う。

その一方でオマージュウォッチを快く思わない時計ファンが多くいるのも事実だ。ソーシャルメディアで見かける限りでは「オマージュをレビューするならもうフォロー止める、レビューするならお前んとこのブログはもう読まない」というような、アンチ・オマージュウォッチな人も存在するようである。

私自身オマージュウォッチと聞くとそこまで良いイメージは持っていない。だが一概に「オマージュ=悪しき存在」と考えるのはおかしな話だとも私は考える。

そんななかで今回の記事では特にとりとめも無く、オマージュウォッチを考えてみようと思う。

(視覚的にわかりやすく、現時点での価格も表示され、製品詳細を記事中に書かずともリンク先で詳細を確認できる利便性などからこの記事ではAmazonアフィリエイトリンクを多用する)



もくじ


オマージュとは
類似性はオマージュか?
「本物の」?オマージュウォッチ
オマージュがネタ元の購入にプラスになれば「善いオマージュウォッチ」か?
ブランド力が脱「オマージュ」に繋がる?
本家より質の良いオマージュウォッチ
質の悪いものはオマージュか?
知らなかったらオマージュではないのか?
手に入らないものをオマージュ?
まとめ


オマージュとは


果たしてオマージュウォッチとはなんであろうか?一概にオマージュウォッチと呼ばれる時計の中にも、ほぼ元ネタの時計を丸々コピーしたものから、デザイン要素を部分的に用いているもの、またオマージュしたつもりは無くても必然的に似てしまっているものなど、様々あるのも事実だ。そして、その品質も、冗談みたいなものから、かなりしっかりした実用的なものまで様々ある。

ぱっと考えて「オマージュウォッチ」と呼ばれるものに共通するのは、「見た目が有名な時計に似ている」、「値段が元ネタよりもだいぶ安い」、「品質はネタ元よりも悪い」、「ブランドとしてはメジャーでは無いところが作っている」という様なことだろうか。

加えて、「どれこれの腕時計はどこそこのオマージュウォッチだ」と言われる際には「良く言えばオマージュ、悪く言えばパクリ」という雰囲気が存在する。

元々「オマージュ」(hommage)は誰かに尊敬を示すといった意味合いだ(語源を辿ると「誓約」といった意味のようだが via Wikitionary)。これが「オマージュウォッチ」と言った場合には、明らかな「パクリ」と言い切らず、「オマージュ」と言う表面的に聞こえの良い化粧を付けた見下し文句だともとれる。逆に、パクリと言いたくないオマージュウォッチ好きな人が考案したネガティブさを抑えた呼び名であるという見方もあるだろう。

アンチが居る他方、オマージュウォッチが好きという人々が存在することも事実である。例えばYouTubeのJust One More Watchはオマージュのレビューが多いことでも知られる。


類似性はオマージュか?


腕時計の機能やムーブメント形状からくる制約により、オマージュする/真似るつもりが無くとも必然的に似てしまっている腕時計が存在するのも事実だ。

腕時計のケースの形状は丸、三角、四角からより角の多い多角形まで様々にあるものの、そのほとんどは手首(または指)に装着するものという制約が存在する。文字盤のインデックスの要素形状もバー状、角形、アラビア数字、ローマ数字、そしてそれぞれにフォントバリエーション・・・など多様に存在すると言えば存在するが、12時間(もしくは24時間)、60分、という「決まり事」から大きくはみ出た時計は少ない。それを指し示す針またはディスク、液晶画面など、バリエーションは豊富にあるが、これも奇をてらったものでない限り腕時計特有のある程度の共通性からはみ出すことは無い。



ロレックスのサブマリーナを例に挙げてみよう。時計好きで無くともなんとなく見覚え、聞き覚えがあるという意味で知名度は非常に高い時計だ。そして、他の世界的に有名なブランドであっても、なんとなくこれに似ているデザインの腕時計を出しているところは少なくない。



が、たいていの場合これらはオマージュと見なされない場合が多い(一部には後述するブランド性の高さからそうみなされない場合もあるだろう。もちろんその中にはオマージュと揶揄されることがあるものもあるけど)。このようなものは、どれが意図的にサブマリーナをオマージュして作られたものか、そうで無いものかは区別が付きづらいだろう。

この点は、特定のスタイルの流行とも関連するだろう。時計のケース径の流行の変化に関してはForrestのレビューで記したが、これも一つのスタイルの流行だ。時計以外でも、素人目には乗用車でも数社が同時期に似たようなスタイルのものを発売しているように見えるし、スマートフォンでも同じことが言えるだろう。それは果たしてオマージュだろうか?それともその時々で人々が好む流行のスタイルを各社が追い求めた結果だろうか?(それとも企業スパイの暗躍がもたらす業界内の無言のスタイル均一化とかかもしれないが)

そして、サブマリーナが今も「流行っている」(もしくは需要が高い)状況がある中で、その流行に追いつくためにそのスタイル要素を取り入れるとしたら、それはオマージュなのだろうか?



類似性の面では、セイコー・アルピニスト(左)にメタルブレスレットを付けたものは「和製エクスプローラー」(ロレックス・エクスプローラーI、右)と呼ばれることがある。アウトドアウォッチという他に目だった類似性は無いように思われるが、「メタルブレスレットを付けたものは」という但し書き付きで「和製エクスプローラー」と呼ばれるということも重要な点だろう。このような愛称が付くほどの類似性をファンが見いだしている点はどう解釈されるべきだろうか?これが品質面の類似性を指摘するものであれば、見た目は似ていなくとも品質が近いものはオマージュとされるべきだろうか?純正メタルブレスが別売りされているのは、それに付け替えることでオマージュウォッチとなるからなのだろうか?

また、特定のスタイルが「デファクトスタンダード」となり一般化された状態であれば、そのスタイルを持つものはオマージュと言えるだろうか?「和製エクスプローラー」の例では、メタルブレスレットすらある程度似ていれば、アウトドアウォッチはどれも「(製造国)製エクスプローラー」と呼べるということだろうか?それとも、これがオマージュとされないのは、このスタイルはデファクトスタンダードとなっているからであり、同時にエクスプローラーがそのスタンダードの代表ということだろうか?

きっとダイバーズウォッチがまだ普及していなかった当時、後発のダイバーズウォッチは既存のものパクりだと思われていたことだろうが、今では歴としたとしたスタイルとして成立しているのではないだろうか。



クロノグラフ時計となれば文字盤内の必然的要素が更に増えるため、類似性も同時に増してしまう。オメガのスピードマスターやロレックスのデイトナなど、腕時計にそこまで興味が無い人にとってはどれも全く同じものに見えるかもしれない。そのような、ある程度の類似性を持つ時計ばかりを並べ、区別が付きづらい状況で、どの時計がどの時計のオマージュと正確に言えるだろうか?また、果たして意図的なオマージュだろうか?似ていれば全てオマージュウォッチと呼んでも良いのだろうか?それとも、どんなに小さな違いでも、その個性を尊重してオリジナルデザインの腕時計だと認めるべきだろうか?

同時に、模倣無くして人間は成立しないと言うことも事実だろう。模倣無くしては言語話者も増えなければ、文化の伝播も進化もない。ではこれを理由に模倣を許すべきだろうか?

新たに生まれる生物も既存生物の模倣であると言える。しかしそれが完全な模倣では無く、変化を伴う模倣であるからこそ連続性、継続性、多様性、そして進化が伴い、現在の私たちの世界を形作っている。そのような変化点が僅かでも見られたら模倣は許されるべきだろうか?


「本物の」?オマージュウォッチ


より典型的に「オマージュウォッチ」と呼ばれるものは果たして先に挙げた類似性のある有名ブランドの時計とどれだけ異なるだろうか?はたまた、似通っているのだろうか?



例えばこちらに挙げるInvictaやHYAKUICHI 101、PARNISなどの製品がよりその語に当てはまる気がする。このようなものは元ネタの時計のデザインをほぼそっくりそのまま真似ていながらも、自社のロゴを付けて、偽物やコピー商品では無いことをアピールしているもの、と多くの人が認識しており、それがすなわちオマージュウォッチとされるようだ。

つまりこれらは「偽物のロレックス・サブマリーナ」や「ロレックス・サブマリーナのレプリカ」ではなく、「自社ブランドのサブマリーナのオマージュウォッチ」であるというわけ。ただ、この定義であれば、逆説的には偽物のロレックス・サブマリーナに自社のロゴを付ければもうパチモンとか詐欺とは呼ばれず、「オマージュ」に格上げされる、とも言えるかもしれない。また、意図的にロゴを付けないノーブランドのものはオマージュとは言えないということにもなるかもしれない。

でも実際には、ぱっと見そっくりそのまま真似ているように見えてもケース径が違ったり、フォントが異なったり、針形状が違ったり、材質が違ったりするわけだ。この点多くのオマージュウォッチは高級な時計をオマージュする傾向があるから、「時計の心臓部」とも言われるムーブメントはより安価なものが使われる場合が多い。すると(ホントはもっと元ネタに似せたいと思っていても)必然的にその他の細部も異なってくるという面もあるわけだ。



例えばロレックス・スカイドゥエラーは、インデックス部分で月を表示したり、リングコマンドベゼルなどの複雑な機能が組み込まれており、単純にこれを模倣することは難しい。


Image courtesy of Aliexpress

こちらはAliexpressで販売されている、スカイドゥエラーになんとなく似たようでコレじゃない感漂うPaulareisの腕時計。インデックス8時部分の赤いのは多分ただのプリントだし、24時間GMTディスクっぽいのも「デコレーション」と明記してある。もちろんリングコマンドベゼルなどという複雑機構はない。

見た目的にはもちろん似ているが、機能的には似ていないこれは、オマージュだろうか?後述する「パロディー」とはどう違うだろうか?見た目と機能がともに似ていればそれはオマージュだろうか?

そして一体どれだけ本家とかけ離れていれば、ネガティブな含みのある「オマージュ」と呼ばれず、「オリジナルデザイン」の腕時計とされるのだろうか?


オマージュがネタ元の購入にプラスになれば「善いオマージュウォッチ」か?


オマージュウォッチが存在することで生み出される新たな市場や、「本物・ネタ元」への興味関心欲望といった点も、オマージュウォッチと引き離すことができない部分だろう。

この点に関しては、海外で日本のアニメや漫画が違法な手段を使って消費されることで、間接的に日本文化への興味関心が生まれたり、より直接的に違法消費されたアニメや漫画、その関連グッズへの合法的消費に繋がるという面とも照らし合わせることができる面もあるかもしれない。

若い時分、到底手に入れることのできない高嶺の花の腕時計。結局その代わりにオマージュウォッチを購入し、一時心の隙間を埋めるが、年月が流れる中でオマージュ購入したことでより欲求が増し、将来的に欲しかった腕時計の本物を手に入れる。もしオマージュウォッチを購入しなかったら本物を手に入れる欲望も湧かず、生涯購入しないとの仮定がある上で、このような状況を考えたときに、オマージュウォッチは正当化できるだろうか?

関連する例として;セイコーに関しては時計の愛称に「ベイビー」(Baby)が付いたものは「ベイビー」が付かない愛称の腕時計の、廉価版、初心者版、といったイメージが付いている。例えば・・・



セイコーのSBDC061は「Baby MM」(Baby Marine Master、左)と呼ばれており、SBDX017はベイビーの付かない「MM300」(Marine Master 300)となっている。ぱっと見の類似性はあるが、価格は4倍以上の開きを持っている。もちろん安い分、性能もベイビーの方が低い。このほかにも・・・



「Baby Monster」と「Monster」・・・



「Baby Snowflake」とグランドセイコー「Snowflake」など。

セイコーが意図的に特にこのような類似性と価格・品質的な段階性を持ったモデル展開をしているかどうかは判らないが、より安価な類似モデルがゲートウェイドラッグならぬゲートウェイ・ウォッチのように機能する可能性は見えてくるだろう。事実ネット上でも『「Baby Monster」買ったらやっぱ次はお金貯めて「Monster」だよね』などのやりとりを見受けることができることからは、ゲートウェイ・ウォッチとして機能している面は少なくともあるようである。

このような「ベイビー」と「ベイビーが付かないモデル」の関係は、「オマージュウォッチ」と「ネタ元となった腕時計」の関係と異なると言えるだろうか?(無論、自社製品に似たものを作るのと、他社製品に似たものを作るという点は異なるが)

また、腕時計の価格帯があまりに高価であり、その安価なオマージュに大きな値段の開きがある場合は、オマージュが購入されることでネタ元の腕時計に果たして実害が及ぶと言えるだろうか?価格差が10倍だったら?価格差が1000倍だったら?価格差が大きい場合はオマージュ購入者がネタ元を購入するのはそもそも難しいと考えることもできるが、その場合実害があるとすればイメージが悪くなることくらいではないだろうか?だが、オマージュに食われる程度のブランドイメージを持った時計はそもそもオマージュされるだろうか?では価格に開きがあればオマージュは許容されるべきなのだろうか?

もしこのような、より安価な類似モデルを購入することが、後により高価な腕時計の購入に繋がるのであれば、それが「善いオマージュウォッチ」であるとすることができるだろうか?そうであれば、オマージュウォッチの購入は正当化でき、他社が努力して生み出したデザインを真似てオマージュウォッチを制作することも正当化できるだろうか?


ブランド力が脱「オマージュ」に繋がる?


それとも果たしてこれは、時計会社のブランディング能力の差によるものだろうか・・・つまり、ブランドもしくは製品が有名であれば製品が周知されるためにオリジナルデザインだと見なされ、より無名のブランドがそれに似ていたらオマージュウォッチと見なされるのだろうか?



例えばこちらはDavosa WatchesのTernos Professional TT。ロレックスのGMT-Master II 116710 BLNR、通称「バットマン」のオマージュウォッチであると認知されている。Davosaは一応スイスのブランドであり、腕時計はスイス・メイド。Davosa公式サイトのストアファインダーによれば、日本にも同ブランドの製品を取り扱う店舗が10存在するようだ。そう聞くと、値段もまあまあすることも相まって、これまで挙げてきたような「オマージュウォッチ」とは異なる印象を受ける方もおられるだろうし、「それでも聞いたことないブランドだから」とInvictaその他の怪しげなオマージュウォッチと同一視する方もおられるかもしれない。

iPod、iPhone、iMacなどで知られるアップルは、ブラウンのデザインに「オマージュ」を捧げ、数々のヒット商品を世に送り出している。


Image courtesy of Google

そのあからさまに類似するプロダクトの数々はThe Manufacturing Revolutionでご覧戴いてもいいだろう。「Imitation is the sincerest form of flattery」(模倣は最も誠実なお世辞)という諺もあるが、アップル製品の明らかなオマージュ性が見て取れることだろう。しかしアップルが他社のお世辞には寛容で無かったことも忘れてはならない。

実は先のリンクのThe Manufacturing Revolutionの記事の方はアップル対サムスンのデザイン著作権関連の記事をベースにしており、LA Timesの元記事で「アップル」とあるところを「ブラウン」、「サムスン」とあるところを「アップル」と置き換えて、「四角い電子機器」と言う知的財産がサムスンに侵害されたというアップルの主張がいかに独善的で馬鹿げているかを風刺するものとなっている。

デザインの模倣には、知的財産の侵害という面があることは忘れてはならない。そして特に元々そのデザインを作った会社がデザインに大きな努力や、高額な対価を費やしている場合には大きな損害を受けたように感じることだろう。

だが、有名どころならいくらオマージュしても悪く見られず、若手マイクロブランドや、そもそもの規模が小さい腕時計会社はどれだけ頑張ってもデザインに既存の有名腕時計との類似点が見られれば「オマージュウォッチ」というレッテルを張られるのだろうか?


本家より質の良いオマージュウォッチ


オマージュウォッチは本家と比べて安価であり、質も低いのが当然のように思われるだろう(し多くの場合これは当てはまるのだ)が、必ずしもそうではない。

では果たして、本家より質の良いオマージュウォッチは、オマージュと呼べるだろうか?



例えばセイコーのSKXも比較的安価ではあるがオマージュ対象となってきた腕時計である。SKXには7S26というムーブメントが入っており、秒針停止機能(ハッキングとも言う)が無く、竜頭を使ってゼンマイを巻き上げる手巻き機能(hand-wind)もない。風防はハードレックスという特殊強化処理を施したセイコーの無機ガラス。「ミネラルクリスタル」だけの表記のものよりは傷つきづらいかもしれないが、それでも風防には普通に傷が付く。ベゼルインサートはアルミニウム製で、逆三角形の部分のみに丸い蓄光部がある。

SKXは腕時計MOD(モディフィケーションの略、簡単に言うと改造)コミュニティーの間でも格別の人気を誇るシリーズだが、Long Island WatchesはSKXが製造終了となってから「Islander Automatic Dive Watch」というSKXによく似た腕時計をリリースしている。

IslanderはムーブメントにセイコーのNH36(4R36の他社向けバージョン)を使用しているため、長らくファンの間に望まれていた秒針停止機能、手巻き機能が付く(SKXのムーブメントをNH36に入れ替えるというのは人気のMODだ)。風防は反射防止コーティングを施した傷の付きづらいサファイアクリスタル製。ベゼルインサートはアルミと比べ傷つきづらく退色しづらいセラミック製であり、表記部分には全てスーパールミノバ蓄光が付いている。しかも値段を考えても全てMODするより安い、299ドルで販売されている。まさに、本家よりも質の良いオマージュウォッチというわけだ。



YouTubeで時計関連動画を紹介するRandom Robが述べている通り、SKXファンが望む「SKXのあるべき姿」を形にしたものといっても過言では無いだろう。



SKXを製造終了としたセイコーはしかし、「新しいセイコー・ファイブ」ことSBSAシリーズ(上)にてSKXを表面的に蘇らせた。

200m防水でISO 6425規格に準じ、竜頭ねじ込み式で2万円程度の価格であったSKXが、SBSAではムーブメントこそ4R36に進化しているものの、SBSA100m防水で竜頭はねじ込み式で無く、価格が3万円となっていることに一部のSKXファンは快く思っていないようで、英WristworthyなどはSBSAをSKXの「ダウングレード」(格下げ)版であると報じている。(なお風防はSKX、SBSAどちらもハードレックス。竜頭がねじ込み式で無い場合の問題点としては、例え竜頭が規定位置にある状態で100m防水であったとしても、ふとした拍子に竜頭が何かに引っかかるなどして竜頭が引かれた状態になれば、あなたが何mの水位に居ても浸水する可能性があるというものがある。ねじ込み式の竜頭は、ねじ込んであるためこれが起こりづらい。)

SKXの顔を付けながらも性能が劣るSBSAにファンから嘆きの声が上がっている状況では、Islanderのオマージュは正当化することができそうにも思える。(発表こそSBSAの方が先となったが、SBSAはIslanderの質の劣るオマージュと捉えることはできないだろうか?加えて、表面的な類似性からSBSAはSKXのオマージュと言えるだろうか?)

ではこのような状況がある中で、Islanderは一体どういう立ち位置になるのだろうか?オマージュウォッチと呼べるだろうか?精神的後継機と呼んだ方が相応しいだろうか?それとも、デザインの酷似性から見下されてオマージュウォッチと呼ばれる以外ほかないのだろうか?


質の悪いものはオマージュか?




フランクミュラーとフランク三浦の関係はオマージュと言うよりかは、ユーモアや批判的な意味合いを包括したパロディーと考えることでオマージュウォッチのジレンマから脱すことができると私は考える。



ではこのような類似性を持ちながら、あからさまに(なにかが「あからさまである」とするのは主観的なものではあるが)ネタ元よりも質が低い場合や、オリジナルとぱっと見は似せていながらも実際の機能を有していない場合はどうだろうか?例えばオメガのシーマスター(左)のオマージュウォッチであるPaulareisのこちら(右)は、クロノグラフ機能を有さず、スモールダイヤル部がカレンダー(日付、曜日)と24時間ダイヤルになっているようだ。

ぱっと見クロノグラフなのに実はカレンダー。これをユーモアと言わずになんと言うべきだろうか?前の方に書いたスカイドゥエラー似のものも似たようなユーモアがあると言えるだろう。(加えて私は特にこれが何のオマージュであるか、それとも完全のオリジナルデザインであるか知らないが、先日レビューした1000円程度のFNGEENの腕時計の場合も同様の要素があるだろう。)

このPaulareisはフランク三浦のようなユーモアを持っていると言えないだろうか?それともそのようなパロディー性には元々その意図が存在しないといけないだろうか?だが製造に際してその意図があったかどうか果たして判別できるだろうか?


知らなかったらオマージュではないのか?


先ほどFNGEENの腕時計がオマージュかどうか知らないと書いたが、オマージュであっても購入者がオマージュだと知らなければどうだろうか?

加えて、多くの人がオマージュだと判らなければどうだろうか?実際オマージュウォッチのレビューの中にはそれをオマージュだと知らずに購入する人によるレビューと思しきものも見受けられたりする。



例えばファッションウォッチ界で有名なダニエル・ウェリントンに酷似する腕時計のレビューなどでは、純粋に時計のシンプルさを喜ぶものなども見受けられる。もっとも、ダニエル・ウェリントンのようなシンプル性を持った時計となると、どれがどれに似ているのか更に判らなくなるが・・・(ただ上のリンクの中でもSKMEIはオマージュウォッチ界では知られる存在なのである程度意識して何かに似せたと考えてあながち外れてもいないだろう)。

腕時計ファンでもなかなか知らないような珍しい腕時計のオマージュであれば、腕時計ファンの間でもオマージュ扱いされないかもしれない。そのようなオマージュウォッチが、規模は小さくともある程度のブランド力を持ち、認知度を上げれば、それは果たしてオマージュ扱いされるだろうか?


手に入らないものをオマージュ?


先の廃盤となったSKXに対するIslanderや、「腕時計ファンでも知らない珍しい腕時計」などとも通じるかもしれないが、手に入らないもののオマージュはどうだろう。



セイコーの「MM300」の異名を持つプロスペックス・マリーンマスター・シリーズ、SBDX001と後継機SBDX017はどちらも廃盤であり、前者はAmazonではもう手に入らないし、後者は記事執筆現在残り1点しかないようだ。



その代わりに、そのオマージュウォッチであるHEIMDALLRのこいつは普通に販売されている。このような、元ネタが手に入りづらい状況(価格差は別として)にある場合はオマージュウォッチは「善きオマージュ」となり得るだろうか?

これは最近時折見かける第一・二次世界大戦頃のトレンチウォッチやパイロットウォッチにインスパイアされた腕時計とどう違うだろうか?そのような昔の腕時計は手に入れるのがそもそも難しいし、入手できても動くものは更に少ないだろう。そのオマージュはオマージュとされるだろうか?

この「入手しづらさ」の話題には、ロレックスの悪名高いウェイティングリストもつけ加えることができるだろう。優良顧客ならリストに割り込める点もどうかと思うが、製造数を制限しながらも、高値で横流しされる同社の製品は、この悪循環でさらに価値があると思い込んで渇望する人が後を絶たない状況が作り出されている。

本当に腕時計を所有したい人が所有しづらく、所有できたら購入金額より倍の高値で販売するというような欲求と戦わざるを得なかったり、もしくは待つことができずに高値で横流し品(やスーパーコピー品)を購入してしまうと言う不健康な状況がある。このような状況ではオマージュが作られるのも当然と考えても良いだろうし、ある意味ロレックスもそれを判った上で、それでも同社のブランドに価値がある自信があり、かつオマージュが自社のブランド性をより高めると言う面(「模倣は最も誠実なお世辞」が上手く機能する例とも言えるかもしれない)からも利益を得ているがために、この販売手法を変えないのであろう。

では、古い時計を時計を「オマージュ」した時計、より最近入手が難しくなった時計のオマージュ、そして正規品を合法な手段で買いたくても購入が不可能に近い状況で、不健康なブランディングに踊らされる代わりに購入するオマージュ時計は、倫理的に違いがあるだろうか?また、あるブランドが同社の昔の復刻版を作ったら、それはオマージュと言えるだろうか?そのブランドの所有者が変わった後に、昔の同社の復刻モデルを作る場合はどうだろうか?


まとめ



*写真は本文に関係あるかもしれないし無いかもしれないが、その判断は読者の皆様に任せる

冒頭で述べたように、今後このブログでは怪しげな「オマージュウォッチ」のレビューも扱っていこうと思う。

そして私自身これまでオマージュウォッチという言葉に対してあまり良い印象を持っていない中で、このように適当に考えを巡らせてみた。そうすることで私個人に見えてきたのは:

・オマージュウォッチという言葉の定義のあやふやさ
・デザインの類似性という概念のあやふやさ
・「ゲートウェイ・ウォッチ」としてのオマージュの価値
・ブランド力の強さにより模倣ブランドが暴力を振るう事ができるという現実
・本家よりもオマージュ版の方がファンが求める要素を多く含むケース
・オマージュの持ちうるパロディー性
・元ネタの認知度がオマージュを生む可能性(元ネタが知られないとオマージュだと認知されない)
・入手が難しい腕時計を手に入れる唯一の/もしくは合理的な手段としてのオマージュウォッチ

と言うようなことだろうか。

一応「まとめ」項目とはしているが、特段結論は存在しない。これは私の考えを読者に押しつけるものではなく、私自身がオマージュウォッチのレビューをするに当たって考えたというだけのことではある。

「あの素敵なデザインが、あの欲しかった時計が、こんな価格で買えてしまう・・・でもそんなオマージュウォッチを買うことはモラル的に許されることなのだろうか・・・?」この答えは読者の皆様一人一人に出して戴きたいが、この記事がオマージュウォッチに関して深く考えるきっかけになってなって戴ければ本望だ。


Source: Wikitionary, Davosa公, The Manufacturing Revolution, LA Times, Long Island Watches, YouTube, Wristworthy

(abcxyz)

eBayで買ってみた:80年代のアナデジ、ピラニア印のPiratron P-5867レビュー

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前回の「eBayで買ってみた」では落札したヴィンテージのセイコー・ファイブ、SKXY09をレビューしたが、今回はPiratronというフランス(?)に存在したブランドのアナデジウォッチ、P-5867をご紹介しよう。



中学校時代の腕時計


Piratron購入動機としては、おぼろげに中学校の頃にカシオAQ230A-1(下リンク)のようなアナデジを持っていた記憶があり、これに似た腕時計を購入するチャンスをかねがねうかがっていたことがある。



それもあり、フィンランドのヘルシンキからほど遠くない某町のヴィンテージショップでLorusブランド(セイコーのブランド)のアナデジV031-5020 NT(下写真)がジャンク品として60セントで販売されていたのを目にした時に即購入した。



購入して電池を入れたら(電池は3ユーロくらいしたが)、無事動き出したのだが、中学の頃に所有していたアナデジは、先のカシオAQ230A-1のように「上にアナログ、下にデジタル」だったのが、LorusのV031-5020 NTはと言えばその逆に「上にデジタル、下にアナログ」となっている。中学校時代の腕時計がよっぽど馴染んでいたのか、いつも着用時に上下を間違えたり、ふと手首に目をやると思った位置にデジタル表示が無くて混乱したりと、まあそうたいしたことではないのだが、不満が募った。心の奥では思い出の時計に近いものを望んでいたのだろう。

しかしわざわざカシオAQ230A-1を買うつもりもなかった。そちらもどこかしら「これじゃない感」があったし、どうせなら面白い中古のものを買おうと思っていたのだ。


eBayでアナデジ時計を探す日々


そんなこんなで前回eBayで落札したヴィンテージのセイコー・ファイブ、SKXY09に味を占め、eBayで面白いモノが無いか見てみた。



Image courtesy of eBay

すると出るわ出るわ、イカしたレトロなアナデジたち!その多くが1万円を超す値段となっているものも少なくないが・・・



(なお、eBayでアナデジを検索すると、このようなシチズンのアナデジ・テンプ(アナデジ+温度計)もよく現れるのだが、それらに関しては復刻モデル(上リンク)が出ているようなので、値段も値段だしわざわざeBayで購入するよりもAmazon.co.jpとかで買った方がリスクが少ないかもしれない。)


Image courtesy of eBay

そんななかでふと目に付いたこちらのPiratronは開始価格19.99ユーロ、送料4ユーロ。主な記述がドイツ語であるためか、誰も入札しない!


Image courtesy of Google Translate

筆者はドイツ語はできないが、Google翻訳で翻訳すると、「良好で完全に機能する状態 背中に加齢に伴う摩耗のわずかな兆候」。完動品!これはチャンスと入札したところ、意外にも他に入札相手がおらず、開始価格で落札できてしまった。

なお出品者はbrandlos2001


PIRATRON



落札したものをレビューする前に、Piratronというあまり耳にしないブランドについて、少し調べてみたので紹介しよう。名前からすると、「pirate」(海賊)+「-tron」(Wikitionaryによれば古代ギリシャ語から来ており、道具を意味する接尾語。電子機器名などによく使われる)という風にも思えるし、後述のWatchuseekフォーラムでもそう思っていた人のコメントがあるが、ロゴには怖そうな顔をした小さな魚の絵が記していることから、「piranha」(ピラニア)+「-tron」ということなのだろう。(なおWikipedia日本版の記述を鵜呑みにすると、ピラニアの名称はトゥピ語で「魚」を意味する「Pira」と「歯」を意味する「Ranha」を合わせたものとのことなので「Piratron」は「電子機器名っぽい響きの魚」という意味にならなくもない。)

Watchuseekフォーラムのスレッド「Piratron Translator watch」でReno氏が語るところによれば、フランスの(現存する)安価な腕時計ブランド「Pierre Lannier」の前身であるだろうとのこと。この根拠となるのはブログMontres Bonnes AffairesのPierre Lannierに関する投稿(フランス語)のようだ。これが正しいのであれば、Pierre Lannierが自社の歴史で語る「1977年」というのがPiratronの誕生時期であろうか。

どうやらPiratronとしては80年代に人気があったようで、LCD画面のものが主要製品だったよう。モデルによってはケースが日本製のものもあったようだし、Liquid Crystalのブログ投稿によれば、「Piratron 9 Melody FX」という曜日によって異なるメロディー+誕生日曲+クリスマス曲の流れるモデルもあったとのこと。この投稿に残されたZalmandia氏のコメントによればこのモデルが使用するモジュールは元々はTIMEXがカシオのCasio 82H108(これもやはりメロディー+誕生日曲+クリスマス曲が収録されている)に対抗するため外注したものだとのこと。

ほかにも電卓カメラのフラッシュなども作っていたよう。

記事執筆時点でeBayで見つかるPiratronの腕時計は、単純なモデルの完動品は1000円から、(落札品のように)より複雑そうなモデルの完動品は1万円程度。なので落札品はなかなか良い価格で手に入ったと思う。


ケース



さて、落札品はこんな感じ。

8角形の風防は、細かな傷はあるものの、今も比較的綺麗な状態。縁には黒くガスケットが見える。


裏はこんな感じ。

「背中に加齢に伴う摩耗のわずかな兆候」の記述通り、背面を見ると裏蓋の下が少しメッキが内側から剥がれているような部分が見られる。


右側にペンなどでプッシュするボタンと、押しボタン「DATA ST/STP」一つ。


左側には押しボタン二つ、上が「MODE」、下が「ALARM LP/RST」。


裏蓋には「P-5867 BATT TYPE UCAR V399 (3ATM WATER RESISTANT)」の表記。


中はこんな感じ。


「TAL 01/89」のステッカーからすると、1989年1月製造だろうか。


基盤には「TELE-ART」、「CHINA ONE JEWEL UNADJUSTED」と記されている。JOC.comで部分閲覧できる1987年4月14日のMartime NewsによればTele-Art Inc.はイギリス領バージン諸島のデジタル時計その他の製造社のよう。eBayで「Tele-Art」で検索すると、紙の手帳と電子手帳の先祖を合わせてパッケージ化したような「Tele-Art Executive Planner」などしかでてこないが、「"Tele-Art" watch」でGoogle検索すれば、Armitron、MICRONTA、Bowmarなどのブランドによるデジタル時計の基盤を作成している他、Tele-Art自社ブランドのデジタル時計も出していることがわかる。また、Which Watch Today...の投稿ではTele-ArtブランドのLEDウォッチが紹介されているが、こちらは基盤は香港のTele Art Ltd製となっている。Tele-Art Inc.とTele Art Ltd.が同じ会社かどうかは不明。


なお到着当初はアラームボタンを押しても反応が無かったが、裏蓋を開けてから閉めたら押せるようになった。謎。写真はアラームボタンを押す部分に問題が無いかと思って撮影したもの。

裏蓋の中にもガスケット。裏蓋を外すとデジタル表示部の現在時刻がリセットされる。


文字盤


文字盤は全体的にクリーム色。


アナログ部は金色のドルフィン型(Dauphine)で、時分針の二針。インデックスは12時、3時、6時、9時部分はバー状に盛り上がり(12時部はバーが2本並ぶ)、針と同様の金色ので上面が塗装してある。それ以外は各時に長い線、各分に短い線が引かれている。


12時インデックス下部には「(ピラニアの絵)Piratron」とロゴプリント。6時インデックス上部には「WATER RESIST」、「QUARTZ」のプリント。


アナログ部から一段上がった位置にはデジタル用の表記と、デジタル表示部の左右にそれぞれのボタンの役割を示すプリントが横向きに。そこから手前に傾斜があり、傾斜面に左上のボタンの役割がプリントされている。

デジタル表示部の上には「S M T W T F S」のプリント。これは、それぞれの文字プリントが曜日の頭文字を示し、その下のデジタル表示部に該当する曜日の下にバーが表示されることで何曜日かを示すもの。


デジタル表示部は標準ではシンプルに時間:分:秒と、曜日を示すバーが表示される。「MODE」ボタンを押すとストップウォッチモードに。「MODE」長押しで時刻が点滅し、アラームの時刻設定に(このとき曜日バーは全て表示されると共に一箇所だけ点滅するが、曜日毎にアラーム設定可能かは不明)。アラーム設定時にもう一度「MODE」を押すと現在時刻設定となる。どうやってアナログ部の針を動かすかはわからないが、今のところ現時刻と合っているので無理して壊したりしないよう今のところは探さないでおこう。

アラーム設定モードで設定をいじると自動的に画面一番右に「音波マーク」が現れ、アラーム設定がONになっていることを示すように。アラームのオンオフは「ALARM LP/RST」を押しながら、「DATE ST/STP」を押すことで、オフ>時報オン(左上にラッパのマーク表示)>時報とアラームオン>アラームのみオンとトグル。なお「ALARM」を押すだけだとアラームの設定された時刻が表示される。「ALARM」を押しながら「MODE」を押すと24時間/12時間表示切り替え。12時間表示の際には画面右もしくは左下に「A」もしくは「P」と表示される(モードによって表示位置が異なる)。

「DATE」を押した状態では日付が表示される。押しながら「ALARM」を押すと「月」と「日」の並びが変わる。例えば12月4日の場合、「DATE」ボタンを押して「12 4」が表示されるときに「ALARM」ボタンを押すと、「4 12」と変わる。これは国によって月日のどちらが先に記されるかが異なるためだろう。例えば私の住むフィンランドでも2019年12月4日は「4.12.2019」と記される。

リセットボタンを押すとどうなるかは知らない。


ストラップ



メタルブレスレットはこんな感じ。


金属を曲げて作られた安っぽいものではあるのだが。


幅広のメタルの隣接する部分からは、奥まった部分のメタル部分が見える。ただの平凡な安いメタルブレスレットに奥行きが感じられて好きだ。

届いた当初は汚れがかなり詰まっていて綺麗にするのが大変だった。しかも元の所有者は料理人なのか、お湯で汚れを取ろうとすると調理場の油のような臭いがした。

ぱっと見奥まった部分は黄みがかっているように見えるが、これが元々そうなのか、それとも汚れが溜まってそう見えるのかは完全に綺麗にできないので謎。


まとめ



自分の判る言語で詳細が書いてあるものだけでなく、出品タイトルを除いてドイツ語でしか記述が無かったために安価に落札することができた。英語での記述もあればもしかしたらもっと高値で取引されたのでは無いかとも思う。これは日本からeBayに出品しようという人にとっても参考になる話かもしれない。

ただ注意としては、Google翻訳は完全に信用できるものでは無いと言うことがある。たまに肯定的な文章を否定に訳したり(原文「AはBである」>訳文「AはBではない」)、その逆がおきたり、途中の文章が略されたりといったことも起こる。(Google翻訳/機械翻訳に関して興味のある方は、数年前にFUZEで執筆した『「他言語を学ばなくてもいい日」は来ない。言語と機械翻訳を改めて考えてみる | アルゴリズム編』もどうぞ。)

なので特にeBayという環境では、翻訳を介しての購入には、安く落札できる可能性と共に、記述言語の知識が無ければ翻訳内容の正誤性の判断が難しい、というリスクが伴うと言えるだろう。

何はともあれ理想のアナデジが手に入って良かった。


Source: Wikitionary, Wikipedia日本版, Watchuseek, Montres Bonnes Affaires, Liquid Crystal, JOC.com, Google, Which Watch Today

(abcxyz)

独特のケース形状が美しい、豪MAS Watchesのダイバーズウォッチ「The Irukandji」

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今年6月にご紹介したオーストラリア発のマイクロブランドMAS Watchesのユニークなダイバーズウォッチ、「The Irukandji」、覚えておられるだろうか?

ようやく入手することができたのでレビューしていこうと思う。なおこのモデルは記事執筆時12月28日現在Green Fundingでキャンペーンが行われており、残り70時間ほどとなっている。



開封



黒いスリーブを外すと・・・


可愛い!MAS Watchesの創設者Matthew Francis氏の若き息子Tateくんの書いた「イルカンジクラゲ」(コレクションの名前にもなっている、オーストラリア北東部近海に生息する猛毒のクラゲ)の絵!


中から出てくる黒い色で統一されたウォッチロールも良い感じ。


生地は薄手だが、腕時計を傷から守るという意味では十分だ。中には補償カード(に替えのスプリングバー付き)、ラバーストラップ、そしてツートンカラーのナイロンストラップが入っている。


今回レビューするのは黒ベゼルにピンクの文字盤が輝く「Stinger Pink」カラー。


ケース



独特のケース形状はこの腕時計の最大の特徴であり魅力であろう。


上下に傾斜したヘアライン仕上げのケース。径は42mm。ケース裏からベゼルまでの厚みは13.13mmケースの傾斜はベゼル部と裏蓋の傾斜へと綺麗に続く。


ベゼル天面も傾斜しており、この傾斜はドーム状に突き出した2mm厚のサファイアクリスタル製風防へと続く。


ベゼルインサートはセラミック製で5分おきのインデックスは蓄光する。


ケース仕上げは完璧では無く、多少エッジ部分にこのような不均一性も見られる。手作り感や個性があるとも言うことができるだろうか。


竜頭はコインエッジでMAS Watchesのロゴ刻印がある。刻印部分が青く見えるのは保護材が綺麗に剥がれなかったため。


竜頭はねじ込んだときにケース部分の凹みに少し収まるようになっているのだが、個人的にはこの6角形の窪みが好き。

これは4時位置に竜頭があるものだが、このほかにも10時位置に竜頭が来るバージョンもある。好きな竜頭位置を選べるというのは嬉しい。


ケース裏へと続く感じも好きだ。


艶出し仕上げのケース裏には、油圧式プレスで綺麗に描かれたイルカンジクラゲ。(このクラゲの説明に関してはプレビュー記事にもう少し詳しく記してある)


文字盤



サンダイヤルとなっている文字盤には嬉しい驚きがあった。


よく見てみると、時分秒針の蓄光材は文字盤色と合わせた薄いピンク色となっているのだ!プレビュー記事執筆時点でのピンクモデルの写真でもよくよく見ればそのように見えなくも無いが、実物を手にして初めてわかった点。細かい部分だが、気付くと嬉しい点だ。(なお青と黒のモデルの時分針蓄光部分は普通に白色のようだ。)


時分針はシリンジ状で秒針は中心からカウンターウェイトにかけてピンク色に塗られている。


文字盤インデックスの蓄光部分は大きな三角と丸となっている。蓄光の色は針、文字盤、ベゼル全て水色となる。


日付窓部分はシルバーの窓が突き出す。ダイヤルリングもピンクで、分おきの刻みが。5分ずつ太めになっている。


ストラップ



最初から付いているストラップは、お洒落なパーティーや夏のビーチに似合いそうなツートンカラーのナイロンストラップ。


生地は二重になっているためしっかりしている。


スプリングバーはクイックリリース式。


バックル部分にはMAS Watchesのロゴが刻印されている。


ストラップループは幅があるつくりでしっかり感がある。16~17cm径の私の手首ではこれくらいが丁度良い。


もう一つはブラックのラバーストラップ。


ベゼルインサートが黒であることも相まって時計全体が引き締まって見える。


ラバーストラップはストラップホールがラグ近くにまで続いているためかなり手首径が小さい人でも問題無く着用できるだろう。

ラバーストラップの方はクイックリリース式ではないが、ケースのラグ部は外まで貫通しているので、スプリングバーを外すのは容易だ。


まとめ



ケース径こそ42mmだが、上下に傾斜のあるケースのお陰もあり、圧迫感はないし、付け心地も良い。


何よりも、似たようなダイバーズウォッチが溢れる中にあってユニークな形状、ユニークな色合いのダイバーズウォッチであるというだけでも大きな価値があるだろう。

私の友達の中にも、普段はダイバーズウォッチに興味は無いが、この腕時計は魅力的だ、という人が居たほか、フィンランドの時計ファンの間でも人気だった。


横から見るとクラゲみたい!というのも素敵な点だ。


ここまでレビューを見てきて、ピンクモデルの魅力も伝わってきたと思うが、他の色が良いという方は他にも様々な色のものがあるのでMAS Watchesのウェブサイトをご覧になると良いだろう。


「自信ある男の色」とも言われるピンクだが、現代一般的となっているジェンダーと色のステレオタイプのせいで男性読者の中にはこの色を身につける自信の無い方もおられるのではないかと推測する。そういう方には「男の子は青」と「女の子は赤」というジェンダーと色の組み合わせも時代によって意味合いを変えるものであるということも知って欲しい(例えばThe Cobwebsなどを読むと面白いだろう。性別と服装の点でも)。桜吹雪の東山の金さんも別にピンクの桜吹雪がフェミニティーの象徴となっているわけではないし。

(なお、2013年には元ラグビー選手セバスチャン・シャバルとキックボクサーのジェロム・レ・バンナがプロモートする、その名もPink Watchというスイスのマイクロブランドが存在し、「ピンクは女子だけの色では無い」とアピールしていたようだ。The Green Pebbles Magazineで写真が見れる。)


最後の最後で話が脇にそれてしまったが、何色のThe Irukandjiを選ぶとしても、その個性的な姿は皆の注目を集めることだろう。


Source: MAS Watches, The Cobwebs, The Green Pebbles Magazine

(abcxyz)

ブルース・ウィリス出演映画で人気沸騰!米S&B Watchesの300m防水タクティカル・スポーツ・ウォッチSANS-13

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Sponsored by S&B Watches

今回は最近ハリウッド映画でも注目を集めるアメリカS&B Watchesのタクティカル・スポーツ・ウォッチ、SANS-13をレビューしよう。

実用性を追求した武骨なアメリカンデザインに組み立てもアメリカでなされた、日々の過酷な業務・任務にも耐えうる腕時計だ。



S&B Watches - SANS-13


イリノア州中部で誕生したS&B Watches。同社は最近Kickstarterでダイバーズウォッチのキャンペーンを成功させており、そちらでご存じの方もおられるかもしれない。


実はSANS-13も元々はKickstarterで2013年に、203人の支援者より4万1000ドル(記事執筆時レートで約450万円)の資金調達を成功させ実現されたものであった。当時のスペックはスイス製のクオーツムーブメントRonda 6003.Dに、バイアル(小さなガラス瓶)に入れたスーパールミノバC3、サファイアクリスタル製風防、日付窓にはサイクロプスレンズ、200m防水。

S&B Watchesのブログによれば、この元祖SANS-13は約5000本製造販売されたそう。今回レビューするのはその改良版となる2019年版、SANS-13 Tactical Sport Watch (2.0)だ。


Image courtesy of S&B Watches

2019年版では、元祖の問題点でもあったバイアル入りのスーパールミノバ*をペイント・インジェクションへと変更。これで蓄光度はそのままに耐久性が増し、更に時計厚を初代の15mmから12mmへと下げることが可能になった。また、顧客からのフィードバックを受けて竜頭を巨大化、そしてサイクロプスレンズを取り除いた。以前はスクリューバーによりストラップが取り付けられていたのが、新版ではより一般的で、購入後にストラップの付け替えも可能なスプリングバー式に。使用ムーブメントはRonda製からETA製のより高品質なものに(TAG Heuerも使用するムーブメントだそう)、防水性能は200mから300mに向上。なかなかの進化を遂げている。

*(スーパールミノバの蓄光度を上げることが目的で、「トリチウム」蓄光が入っているようなバイアルに蓄光材が入れられていたが、瓶が破損する可能性があったのだ。だがバイアル入りのスーパールミノバというのは珍しく、ヴィジュアル面でもこの元祖は独特の魅力があった。)

更に興味深い点として、実は2019年版のSANS-13はムーブメントに自動巻きを選ぶことができるという点がある。基本モデルは前述の通りクオーツムーブメント採用するのだが、ムーブメントに自動巻きのETA 2829を採用するモデルを選ぶことができるのだ。この点は以前はSANS-13のページにも記載があったのだが、購入者から混乱の声が上がったためにページの記載は取り除かれている。だが自動巻き版SANS-13が購入できなくなったわけでは無く、今でもカスタム注文すれば入手可能。

そんなS&B WatchesのSANS-13は、戦術作戦での使用や、法務執行機関がオペレーションで実用できることを念頭にデザインされており、NTOA(全米タクティカル・オフィサー協会)の会員によりテストされ推薦された製品ともなっている。重火器系の雑誌Ballistic Magazineなどにも取り上げられている他、第1特殊部隊デルタ作戦分遣隊ことデルタフォース所属の経歴があり、現在は重火器業界でコンサルタントをしたり、様々な銃を紹介するYouTubeチャンネルVickers Tacticalなどでも知られるLarry Vickers氏もSANS-13を着用していたようだ。

しかしそれにも増してSANS-13の人気に火をつけたのはハリウッド映画だ。ブルース・ウィリスとマイケル・チクリス共演、ブライアン・A・ミラー監督の2019年のハリウッド映画『10 Minutes Gone』で銀幕デビューしたSANS-13は、この人気で一時在庫が全て売り切れ、生産が間に合わない状態になった。



予告編にもでっかく登場しているのでご確認あれ。

さてそんなS&B WatchesのSANS-13、早速レビューしていこう。


開封



今回提供されているのはサンプル品となるので開封レビューはないが、このようにピッタリした細長い箱に入って送られてきた。

なお製品版には2年間の保障付き。


ケース



42mmのケースは316Lステンレススチール製。物理蒸着PVDで黒色にしてあり、水分その他の腐食物質からケースを守る。


ケース厚は12mm。こうして横から見ればベゼル天面が外向きに僅かに傾斜していることも判る。ケース側面は艶の無いヘアライン仕上げ。


風防はサファイアクリスタル製で、反射防止コーティングが施されている。先の映画予告編のような生死を分けるような危険なアクションでは風防がバリンと割れてしまうかもしれないが、より安価なミネラルガラスやプラスチック製の風防と異なり、傷は付きづらいタフな風防だ。


竜頭の両脇には竜頭ガードがせり出す。竜頭ガードは竜頭に近づくにつれて縦方向の幅が狭まっていくので、竜頭の回転や引き出し操作もしやすい。竜頭はコインエッジ。


竜頭頭頂部にはS&Bのロゴが刻印されている。竜頭はねじ込み式で、重要な作戦遂行中に間違って竜頭が引き出されたりする事を防ぐ。更に内部にはダブルOリングも備わっており、これらが高い防水性能を造り上げている。


ベゼルは逆回転防止120クリック式のもので、各時位置に対応した12の突起が外方向に突き出すような形をしており、ギアのような印象を与えている。

ベゼルを回転させると(とても主観的な言い方になってしまうが)堅めでしっかりとしたクリック感がある。単純なコインエッジベゼルとはまた違うこの形状は、特殊部隊や警察官などが作戦中にグローブを外すこと無くベゼルを回すことのできるように設計されたものだ。


ベゼルはほんの僅かにではあるがケースより突き出す。


12時の逆三角形部分にはC3スーパールミノバ蓄光材(蓄光写真は後ほど)。ベゼルインデックスは5分刻みで、60分のカウントダウン/時間測定が可能。


ラグ部分はくびれて突き出し狭まっていく形状。


裏蓋もPVDでブラックになっているのはうれしい驚き。


これまでレビューしてきた多くの安価な価格帯の腕時計では、ケースの大部分に色が使われていても、裏蓋部分は無着色の銀色のステンレススチールであるものが多かった。(2013年版のSANS-13の裏蓋は銀色だったことも記しておこう。この点も2013年版からの進化と言えるだろう。)

ムーブメントはスイスETA製のクオーツ。


文字盤



文字盤は大きなアラビア数字で各時が記されている。これらのインデックスもまたC3スーパールミノバ蓄光だ。アラビア数字の1~12インデックスの内側には小さなフォントで24までのアラビア数字も記される。しかしよく見てみれば不吉な数字である「13」は書かれていない。また「15」の部分も日付窓が来るため書かれていない。


文字盤は白と黒の要素で統一されており、時計全体との統一感がある。唯一12時下にある「S&B」ロゴの「&」部分が灰色となっているのは注意しないと気付かないだろう。


こちらの写真では蓄光剤によりインデックスが盛り上がっているのがお分かりだろう。唯一欠けている3のインデックス部には黒い縁取りの日付窓が。


6時付近には「WR 300 METERS」と防水性能の表記もさりげなく記される。

文字盤要素はふっくらとしたルミノバ部分を除けばプリントとなっていることもあって、安っぽい印象を受ける方もおられるかもしれない。逆に言えば装飾要素や、見た目だけの薄っぺらい要素を加えないというストイックさのある実用主義デザインと言えるだろう。


時分針はシリンジ型で、大きな蓄光部を持つ。秒針も先端近くに四角い蓄光部分を持っている。各分の線インデックスは長めであるほか、分針先端と重なるようになっているため、識時性が高い。各時インデックスの外周には各分ごとに線が記されている他、その上に覆い被さるようにして、時計中心に対して横向きにバー状に各時位置に蓄光部が存在し、更なる暗所認識性を与えている。


蓄光性能はかなり良い。着用したまま睡眠して、夜中に蓄光が光らなくなってから用を足すため起きたのだが、僅かな間の明かりで真っ暗なベッドに戻ってから手首のSANS-13が煌々と蓄光していた。

各時のアラビア数字部分も光るため、暗所で時間を間違えづらいのも特徴。更にベゼルの逆三角形マーカーも光るので、暗闇の中でも(蓄光の続く間であれば)ベゼルを活用した時間測定/カウントダウンが可能。


ストラップ



製品版にはラバーストラップに加えてNATOストラップも付属するが、今回はこちらのTPUラバーストラップのみのレビューとなる。


汚れや油に強く耐久性の高いTPUてでできたラバーストラップ。ラグ幅は22mmと大柄。厚みも大部分で3mmほどあり、ラグに近い最厚部で4.3mmほどのしっかりとした作り。


表も裏も縁部分は分厚めになっている。表側にはテクスチャーがある。クイックリリース式よりも耐久性の高いスプリングバー式。


ふたつのストラップループも幅がある。ストラップには(バックルに近い側の)ストラップループがあまり遠くに行ってしまわないようにネズミ返し(もしかしたらもっとちゃんとした言葉があるのかもしれないが)がついている。


DLCコーティングされた黒色のバックルにはピンが2本ある。ピンが一本のバックルだと、ピンが左右に揺れることもあるが、これであればそのような揺れは生じずきちんと固定される。


ラバーストラップはしっかりとした着用感で、着用中に偶然外れてしまうことはまず無いだろう。逆に言えば多少外しにくくもあるが、この安心感のある装着性は、危険のある仕事や、それこそ軍隊とか警察でも実用されるだけのことはある。


まとめ



海外の腕時計ファンの間では、日々戦場(比喩)を共に生き延びることのできる信頼できる頑丈でしっかりした腕時計を指して「daily beater」と呼ぶ。S&B WatchesのSANS-13はまさにそんな腕時計だ。


分厚いグローブを使用する冬場も、着用したままベゼルを回しやすいのは地味に重要。

タフで、実用的。高い識字性とシンプルな頑丈さからこれをフィールドウォッチというジャンルに入れても良いだろう。更に水深300mの水仕事もこなせる防水性能まで。信頼できる腕時計が欲しいという人にはピッタリだろう。


Image courtesy of S&B Watches

なお、カラーバリエーションとしては今回レビューした白文字盤のものの他にも、ケースとベゼル部がシルバーのモデル、文字盤が黒のモデル、文字盤がオレンジのモデルが存在する。SANS-13コレクションの中で最も高い識時性を求めるのであれば、この白文字盤のものよりも、黒文字盤のものが良いだろう。そうすれば黒文字盤に反対色である白字でインデックス要素が更に読みやすくなるはずだ。


一部腕時計ファンの中にはクオーツムーブメントであることを残念に思う方もおられるだろうが、前述の通りカスタム注文で自動巻き機械式ムーブメントETA 2829にする事も出来る。また、公式ウェブサイトに明示はされていないが、SANS-13以外のAtlantisモデルでも文字盤入れ替えなどのカスタムが可能となっている。気になる方はS&B Watchesまで問い合わせてみると良いだろう。

2020年には女性向け腕時計ラインも登場するし、S&B Watchesのダイバーズウォッチ、Atlantisはディスカバリーチャンネルの『Discovering Water』という番組のスポンサード・ウォッチにもなっている。またS&B Watchesによれば他にもまだここでは明かすことのできない興味深いニュースも今後続々でてくるようだ。今後も楽しみなマイクロブランドである。

Source: S&B Watches, Kickstarter

(abcxyz)

クルミを手の中で転がす代わりに・・・SFガジェットっぽいフィジェットボールをレビュー

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時代劇とかでたまに悪役が手の中に二つのクルミ(胡桃)を持ってコロコロと転がしているのを見たことは無いだろうか?

祖父母の影響で学校から帰ってからよく時代劇を見ていた私には結構このシーンが頭に残っていて、その後胡桃を買ってもらって真似したりもしていた。胡桃が手よりも大きかったら片方を落としてしまったりして難し買ったように記憶している。

さて、今回はそんなクルミ転がし(?)や、所謂「健康玉」(下のようなやつ、これも祖父母が持っててたまに回して遊んでた)の現代版というか、進化版のような「Fidget Ball」(フィジェットボール)をご紹介しよう。





Fidget Ball、Kickstarterキャンペーン




もともとこのFidget Ballは昨年Kickstarterでキャンペーンを行っていたもの。動画を観ればどのような製品かおわかり戴けるだろう。

もう既にKickstarterではキャンペーンが終っているが、今はIndiegogoで予約受付中だ。


実物のボールは



Kickstarterキャンペーンの予定リワードお届け時期ピッタリ、2019年12月に到着した。


箱は潰れていたが、無問題。


結構しっかりしたピル型の専用ケース付き。

ファスナー部分は防水ファスナーのように歯が見えないようになっている。アルミニウム製のボールはケースが無くとも潰れなかっただろうが、このケースも重要な存在。


中から出てきたフィジェットボール。色はガンメタル色っぽい「ブラックパール」を選択。


内部には608ZZベアリングが入っている。このほかにもバネが内部に入っており、ボールを回すとラチェットレンチを回すときのような軽いクリック音と、クリック感が聞こえる。



ボールはそれぞれ独立して回転可能なので、クルミ回し(?)も再現できる。二つ目のInstagram投稿(右向きの矢印をクリック)で動画が見える。


ボールは中を通る部材で繋がっているのでボールを片方落としてしまう心配も無い。ちなみに、24クリックで1回転する。


本体からは大小の突起がでており、見た目的にSFガジェットっぽいのも個人的には好きなところ。だが見た目以上にこれはマッサージャーとしての機能の意味がある。プロモ動画でも見れるように、頭や首、背中をマッサージするのも良いし、手の中で転がしても適度な刺激がある。無論、強く掴めばより刺激的にすることもできる。マッサージャーとしてはアルミニウム製本体のひんやり勘も良い。


上下の頭頂部分は「FB」というフィジェットボールのロゴの入ったゴムでできていて、多分部品を繋ぐためのネジをカバーしているのだが、柔らかいのでこのゴム部分を触るのもちょっと楽しい。


手持ち無沙汰なときに良いし、見た目も良いし、マッサージにも使えるし、なかなか良い出資だった。

Source: Kickstarter

(abcxyz)

怪しい時計、Aliexpressで買ってみた:自動巻き複雑機構のオープンハートで1万以下!?LIGEブランドの腕時計

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楽天でも販売されているLIGEブランドの腕時計。自動巻き機械式なのにたったの1万円以下、トリプルデイト(月日曜日表示)、サン&ムーンダイヤル、オープンハートなのに1万円以下。これは怪しいでしょ。



特にこれまで質の悪い詐欺まがいの腕時計(例えば先日レビューしたFNGEENとか)に当たった後だと不安になるのは当然だが・・・意外や意外、今回のものは品質が悪くないようだ。



LIGE



Image courtesy of Aliexpress

先に楽天ショップへのリンクを置いてしまったが、実は私が購入したのはAliexpressでのこと。

Aliexpressの「LIGE Official Store」(LIGEオフィシャルストア)とデカデカと書いてあるショップからの購入。とは言え、Aliexpressではオフィシャルストアと書いてあっても実際にはそうでないところも多いと聞くので、どれだけこの言葉に信憑性があるのかは判らない。だがこのストアでは一応LIGEブランドの時計以外は販売していないし、アドレスは「ligefactorydirect」(LIGEファクトリー・ダイレクト)となっているので製造工場が横流ししているのでなければ本当に公式ショップなのかもしれない。


Image courtesy of Aliexpress

LIGE公式ショップでは今回購入したモデル以外にも様々なモデルが販売されているが、今回レビューしているものはこちらのもの。

一応Aliexpressショップの他にも、ligewatch.comという公式ウェブサイトらしいものも存在し、そこからも腕時計を購入することが可能。でも知らない公式ウェブサイトから購入するよりは、一応知名度もあるし、バイヤープロテクションも存在するAliexpressから買った方がなんとなく安心かと思いAliexpressショップから購入した。


開封



なんと箱入り!


そして箱の中には時計だけで無く、よく読めない(けどLIGEとは書いて無さそうな)刻印付きのメガネ拭きソフトクロス、製品タグ、そしてデイデイトミニダイヤルの針を送る隠れプッシャーを押すための工具も付いてくる(これはラグ側面の穴からスプリングバーを押し出すタイプのストラップとかにも使えて便利だ)。


24ヶ月の製造不良保証カードも付いてくる。


説明書も付いている。このモデルはModel 7というようだ。


Image courtesy of Aliexpress

箱の形こそ製品ページのものと違うが、箱の表面もテクスチャがあるし頑張ってる。


ケース



今回選んだのはローズゴールドカラーのもの。


ケースはシンプルな形。ベゼルに当たる部分は丸っこいカーブを描いており、ドーム型の風防に合う。


ドームはシングルドームか。

購入ページには風防は「Synthetic sapphire crystal」(人工サファイアクリスタル)との記述があったが、この値段で本当にサファイアクリスタル採用だろうか?

というのも、安価でサファイアクリスタル使用を謳う時計の中には、実際にはサファイアクリスタルではないものや、少なくとも強度が低いものを使用する例があるようなのだ。例えばGoods Pressの記事『海外通販サイトにおける自称「サファイアクリスタル風防」の真実と嘘』では「Diamond Selector II」を用い、自称サファイアクリスタルの風防の中にも実際にはそうで無いものがあることを示している。

Diamond Selector IIというモノ自体は海外の時計YouTuberの中にも使用者が見られ、強度測定には一般的な機材なのかもしれない。とは言ってもこの製品自体にも怪しさはつきまとう。ネットで探してみると1000円台から5000円台のモノが存在するほか、同一製品を様々な業者が様々な商品タイトルで販売していのだ。また、以前YouTubeのどこかで、動画内でこの製品が正しく使用されていない(「説明書にはX分当てないとダメと書いてある」というものだったと記憶する)場合があるようで、この点も注意すべきだろう。



(製品の写真を見る限りはどれも同一製品だが、この価格差は一体・・・)

このほかに、RWGフォーラムでは、ツメで風防をはじいたときにミネラルガラスであれば高い音、サファイアクリスタルであれば鈍い音がするというものと、水滴を風防に垂らしたときにミネラルでは張り付く感じがし、不均一なかたまりとなるが、サファイアでは滑り落ちるか丸い水滴状態になるという話も紹介されている。どれもどれだけ信憑性があるのかは・・・こればかりは試してみないと判らない。(付け加えると、Watchuseekフォーラムではダイバーズウォッチなどに用いられる分厚いハードレックスやミネラルガラスでは、はじいたときに鈍い音になると報告されている)


側面、竜頭のある側から見ると、その左右に隠れプッシャー(hidden pusher)があるのがわかる。これはデイデイト(日と曜日)ミニダイヤルの針を送るためのもの。付属品の道具で押すことで日付、曜日を設定できるのだ。まあ道具が無ければ針とかボールペンの先とかでもできるけど。


裏蓋はねじ込み式のエキシビジョンバック。


エキシビジョンバックから垣間見えるムーブメントはコートドジュネーブ(Côtes de Genève)などのギョーシェ装飾が施され・・・


ロゴ入りの金色のオリジナルローターも次第に広がっていくギョーシェにより美しい。


少々残念なのは、斜めから覗くとThomas Earnshawの時計のように白いムーブメントリングが見えるところ。だがこの価格でならこの程度の欠点は不満にならない。


Image courtesy of Aliexpress

防水性能に関しては30mと50mという矛盾する記述が見られた。


文字盤



インデックスはプリント。


Image courtesy of Aliexpress

こちらはほぼ同様のデザインで、アプライドインデックス(少なくともそのように見える)のモデルのよう。これは2019年の新作モデルとしてAliexpressショップに存在するもの。


文字盤は不思議な二段構造になっており20と40のプリント部が半分隠れる不思議ちゃん仕様。


時分針は山折りのドルフィン針(Dauphine)。秒針はない。


文字盤の大部分は卵の殻の表面のような細やかな突起が一面にある仕上げで、スモールダイヤル部はケースと同色の縁取りの中に平坦な部分とレコード状の同心円状刻みという異なる仕上げが使い分けられている。


仕上げの使い分けは、3時方向の日付ダイヤルと9時の曜日ダイヤルはどちらも中心がレコード状で、プリント部が平坦。24時間ダイヤル/サン&ムーン部分は逆に、中心が平坦な仕上げで、プリント部がレコード状となっている(なぜか24時間表示のところだけフォントがサンセリフとなっている。文字盤内の表記はそれ以外は全てセリフフォント)。


サン&ムーン部分は太陽がニコニコしていて可愛い。月には残念ながら(?)顔はない。


売り文句には「Tourbillon」(トゥールビヨン)と声高に書いてあるが、なぜだか中国ではこれは「トゥールビヨン機構」ではなく、時計の心臓部ことテンプの動きが見える「オープンハート」をさして用いられているようだ(実際のトゥールビヨンに関してはERA Prometheusのレビューをご参照あれ)。この事は英語が公用語として用いられる腕時計フォーラムなどでもある程度周知されていることなので誇大広告とはもはや言いがたい面がある。

そんなオープンハート部は、クルー・ド・パリ(clous de paris)仕上げの施されたブリッジに、KIF Parechoc式のショックプロテクション(毎度お世話になっているWatchuseekフォーラムの、da.henkel氏の投稿によれば、その中でもKIF Elastorというもの)。オープンハート下部の目盛りはよくわからない。


スモールダイヤル部では青く透き通ったペイントがなされている。

オープンハートから見える緑がかった青ネジとはまた少し異なる青で、綺麗だ。


ストラップ



ストラップは茶色いレザー製のクロコダイル竹符型押し。バックルは観音開き式プッシュ式のDバックル。



これだけでもAmazonでは1500円くらいするから、それを考えると儲けもんに思える。

同じ茶色いクロコダイル型押しレザーでも、セイコー・アルピニストに付属のものよりもぱっと見の見栄えは良い。

アルピニスト同様に、時計部近くは分厚めになっている。(対して、類似するストラップとしては、クロコダイル型押しレザーにDバックルストラップが付属するSOVRYGN Watchesをレビューしたことがあるが、そちらは時計部付近も薄い。)


バックル部にはLIGEのブランド名が刻印されている。


裏面は「Leather」と「22」という刻印。22はもちろん22mmのストラップ幅を示すものだろう。Leatherは・・・通常は「Genuine Leather」(本革)という刻印が見られるが、Leather(革)だけということは合皮だろうか・・・?ぱっと見も臭いも合皮には思えないというか、Genuine Leatherと書いてあるものと比較しても違いはわからない。


私は16~17cmほどの手首径だが、ストラップ穴の設定は一番小さいもので丁度良い感じ。


まとめ



「安かろう、悪かろう」という普遍的な言い回しはたいていの場合正しい。しかし今回は良い意味でそれが裏切られたように感じる。これを可能にするのは原材料や人件費の安さ、利幅の小ささであるだろうし、逆に私たちが普段何気なく購入している物の中には同じように原材料や人件費を安く作って馬鹿高い利益をむさぼるものも少なくないだろう。

文字盤が階層構造であることを売りにする時計も多くあるのが、その実装方法としては微妙。その一方で各文字盤内要素のバランスやディテールの生み出す光の反射など、全体としてみれば美しい時計である。

中国製だから、中国ブランドだから、と言った偏見を持っていては、こういうコスパの高い面白い腕時計を見つけることができないだろう。


無論、耐久性がどうかはまた別の話であるが。そしてこればかりは時間が経たないと判らない。

一応日本のAmazonでもLIGEブランドは扱っているようだが、何故か現在は自動巻きモデルがどれも売り切れ状態。手に入れたいという方は、日本の店から購入したい場合は冒頭の楽天ショップ、もしくはより安価に購入したいのであれば勇気を出してAliexpressから購入するしかないようだ。


Source: Goods Press, RWG, Watchuseek 1, KIF Parechoc, Watchuseek 2

(abcxyz)

セイコーの良心が売り切れる前に…シンプルな中に宿るディテール美「ベイビー・グランドセイコー」SARB035レビュー

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今回レビューするのは、「セイコーの良心」、「ベイビー・グランドセイコー」*、「プアマンズ・グランドセイコー」…様々な愛称を持つセイコー、メカニカル・スタンダードSARB035。

一昨年の廃盤のニュースからもう2年が経とうとしているが、未だに在庫分が変わらぬ手頃価格で販売され続けるモデルだ(果たしてその真偽の程は…これも後述しよう)。10倍もの価格の開きがあるグランドセイコーと比較に出されるSARB035の魅力、詳細に見ていこう。

*後述するがSARB035以外にもベイビー・グランドセイコーと呼ばれるモデルは複数ある。



今回は左のクリーム色文字盤のSARB035をレビューする。右のSARB033は文字盤色が黒である以外はほぼ同一なので、文字盤色が黒のモデルが気になる方にもこのレビューは参考になるはずだ。



もくじ



毛羽立つ開封
複雑な仕上げが施されたケース
シンプルながらディテールの美しい文字盤
微調整はできないものの良質なブレスレット
生産終了の真偽は?
まとめ:「今してるその時計、超高級そうね」


毛羽立つ開封



セイコーの紙箱の中から…


こんな合皮っぽいレーヨンで覆われた箱が登場。取説と保証書も出てきた。


蓋を開けるとレーヨンの毛羽立つクッションと、毛羽立ちに覆われた美しい時計が登場。


化粧箱の見栄えは悪くないものの、中の毛羽立つクッションは安っぽい。まあこの価格で素晴らしい時計を作るための犠牲と考えれば良いかもしれないが。早速SARB035を見ていこう。


複雑な仕上げが施されたケース



一見するととてもシンプルなケースだが、ここには細かく見れば見るほど見所が見つかる。


ケース径は38mm、厚さ11mm。サファイアクリスタル製の風防は32mm。


風防周りのベゼルは艶出し仕上げ。その外側に見えるラグ脚部分は上から見ると長さ方向にヘアライン仕上げがなされている。


ケース脇からケース裏にかけては艶出し仕上げで、仕上げの使い分けがなされている。


この天面のヘアライン~脇の艶出し仕上げはセイコー・アルピニストSARB017やセイコーSKXなどにも見られるものだが、それらと違う点としては、ヘアライン仕上げ部分がその脇から一段高くなっている点がある。


ケースを横から見ると、ここもぱっと見はアルピニストやSKXなどと似て見える。両ラグへと伸びる脚には艶があり、なだらかなカーブを描く。


ベゼルを横から見ると、中ほどが突出し、下部は内側に傾斜する。この点はアルピニストと同様だ。


しかしアルピニストともSKXとも違う点としては、ラグ脚へと伸びる部分が上方へとそり上がっている点がある(アルピニストもSKXもこの部材はベゼルに平行となっている)。


これもあってかこの頂点部分とベゼルとの間には僅かながら隙間が存在する。


竜頭はこれまで見てきたケースの複雑性を考えると愚直にも思えるシンプルさ。


コインエッジ仕上げで、膨らみを帯びた頭頂部は艶出し仕上げ。ヘビのような「S」のロゴが彫られている。


ケース裏はねじ込み式でシースルーバック。アルピニストでは見えなかった6R15ムーブメントも拝めることができる。目だった装飾があるわけでもないが、こうして機械の内部を見ることが可能であるのは楽しいものだ。


ケース裏の刻印部には「SEIKO」、「AUTOMATIC」、「WATER RESISTANT 10 BAR」(10気圧防水)、「ST.STEEL」(ステンレススチール)、「6R15-00C1」、「A4」、「(小文字のnの下にアンダーバーがあるような記し)」(耐磁性能表記)、「DIASHOCK」(耐衝撃機構ダイアショック)、「23JEWELS」(23石)。


この耐磁性能表記は、取説によればJIS水準1種で「磁気製品より5cm以上遠ざける必要があります。」という性能。この表記がないモデルでは10cm以上遠ざける必要があるとのこと。


コートドジュネーブ(Côtes de Genève)装飾のあるローターの表記は「6R15D」。6R15ムーブメントの中でも知られる限りで一番新しい型番だ。なお6R15ムーブメントに関してはセイコー・アルピニストSARB017のレビュー記事で詳しく紹介しているのでそちらもお読み戴けると嬉しい。


エキシビジョンバックから内側を斜めに覗いたところ。時計によってはこのように覗き込むことで安っぽいムーブメントホルダー(ムーブメントを固定するための部品)が見えたりすることもあるが、ここではステンレススチール製のケースと同様素材に見え、安っぽさは感じられない。


シンプルながらディテールの美しい文字盤



文字盤要素は、ぱっと一瞥すればとてもシンプルに見受けられるであろう。しかし一見シンプルな中にも細やかなディテールが詰め込まれ、美しさを生み出している。

文字盤は仄かにクリーム色を帯びたサンレイダイヤルとなっている。サンレイはアルピニストSARB017と同様に輝きは控えめで、暗めの室内光ではサンレイダイヤルであることは判りづらいかもしれない。ギラギラしたサンダイヤルとはまた異なる、落ち着いた美しさだ。


各時を示すアプライドインデックスは銀色で、バー状。12時部分は太めのバーに2本の溝が掘られ、それ以外のインデックスには1本の溝が掘られている。


それぞれのバーの文字盤中心側の端は一段下がっており、下がった部分にルミブライト蓄光部がある。


3時位置にはバーインデックスが無い代わりに角が丸みを帯びた日付窓が立体的に配されている。しかしこの位置に時分針が来たときに正確なインデックス位置がわかりにくいとの判断からか、日付窓の右側には黒い線がプリントインデックスとして存在する。


インデックスの外周にはダイヤルリング。一秒を5分割した短い線と、一秒/一分間隔の長い線、そして一時間を4分割する12,3,6,9時に当たる部分の線は少し太めになっている。一見するとダイヤルリングには琺瑯のような光沢があるように見えるが…


よくよく拡大するとここには極細の溝がレコード状に掘られているのだ!是非画像をクリックして拡大して見て戴きたい。この時計を「ベイビー・グランドセイコー」と呼ばせるクオリティーの高さは、こういった一見気付くことの無い部分に潜んでいるのかもしれない。


中心から12時方向には「SEIKO」のアプライドロゴ。


6時方向には「Automatic」、「23 JEWELS」。6時インデックス左右には「JAPAN 6R15」、「-OOT1 R 2」の表記。


時分針はドルフィン針(Dauphine)。一見平らに見えるが、光を反射させると実は微妙に長さ方向に山折りになっているのが判る。


中程には二等辺三角形の蓄光部。長さ方向の両端中央には光をほぼ反射しない黒い線が走る。これがどういう意図を持ったものかはわからないが、もしかしたらシルバーの時分針の先端に黒い中心線が来ることで、より識字性を高める為の工夫なのかもしれない。



なお、この時分針の黒い部分はSARB033(文字盤が黒のやつ)では白くなっているようなので、文字盤色に対し針の識字性を高める為の工夫と考えて良いだろう。


秒針は徐々に先細りしている。この長い秒針の刺すような鋭さは文字盤に繊細な美しさを付加している。


秒針付け根部分からして0.2mmに満たない太さだが、これが先に行くにつれピンセットの先よりも細く、0.1mmほどまで細くなっているのには感動する。


秒針のカウンターウェイトは菱形の中抜き。


蓄光するとこんな感じ。バーインデックスの時計中心に近い部位に蓄光材が付いているので、まるで文字盤が一回り小さくなったかのような面白い雰囲気になる。インデックスの蓄光部は小さいものの、ちゃんと文字盤に光が当たってさえいればしっかり光ってくれる。


ダイヤルリングに蓄光材は付いていないが、暗闇の中では蓄光を反射してダイヤルリングが仄かに照らされるのが面白い。


微調整はできないものの良質なブレスレット



付属のメタルブレスレットは質感が良い。20mm幅。


バックルにはSEIKOの刻印。


バックルの両サイドをプッシュして開ける三つ折れ式。マイクロアドジャストもあるが、位置は二つしか選択できないので微調整には向いていない。レザーストラップに付け替える人が少なくないのも理解できる。


開くとこういう風になっている。


ケースラグ部分と同じく、ブレスレットの長さ方向にヘアライン仕上げがなされている。


側面の角は面取りがなされており、艶出し仕上げとなっている。


各コマに山なりのカーブが強調されていた表と打って変わって、一見平坦な裏側のコマはピシッと揃っていて美しい。実際には腕の形状に沿うように裏側のコマにも僅かなカーブが付けられている。どのコマもヘアライン仕上げ。


ブレスレットが3コマ構成であるのに、エンドリンク部分はただ凹凸を付けることによって3コマっぽく見せていると言う点は価格相応か。とは言ってもそう目立つものでもないが。

私はメタルブレスレット付属の腕時計を多く持ってはいないが、表面の質感は手持ちの数十万円台の腕時計に付属するメタルブレスレットとも肩を並べられると言っても良いかもしれない(逆に言えば数十万円台の腕時計はブレスレットでコストを抑えている可能性もあるが)。一度も初期付属のストラップをちゃんと使うことのなかったアルピニストSARB017とは大きく異なり、わざわざ付属のものを取り替えなくとも楽しめるのは嬉しいところ。


ブレスレット裏の表記は「D385-Z・C」。


エンドリンクとエンドリンクに一番近いコマとの間隔は、他のコマ間との間隔よりも開いている。一見すると文字通り間抜けにみえるが、もしかしたらこれは腕毛が挟まれにくいようにするための工夫なのかもしれない。また、この部分は他のコマ間よりも僅かにではあるがより左右に揺れることができるため、着用時にブレスレットにひねりが加わった際にブレスレットピンの破損を防ぐための「あそび」の意味を持つのかもしれない。実際のところは知らないが。


サイズを変更する場合は、ブレスレット内側の矢印方向へピンを押し出す。だが、割れピン式ではなく、Cリングタイプと呼ばれるもの。ピンを外すときにこの小さい部品「Cリング」が飛んでしまわないように注意が必要だ。



ピンを外すときにはピンの頂点からピンの長さ方向に向かってまっすぐ押し出すことが大切なので、もしこのようなブレスレット調節工具(左)を持っていないなら買っておくと良いだろう。自分で調節する自信が無い方は時計屋さんに行く方がおすすめだが、今後も腕時計コレクションを増やして行きたい、ストラップやブレスレットの付け替えや時計分解なども楽しみたいという方はブレスレット調整工具の他にも、裏蓋を開けたり、ストラップを外したりするための工具もセットになったもの(右)を買うのも悪くないだろう。


戻すときには、中のコマの片側が左写真のようになっているので、そこにCリングを落とし入れてから、両脇のコマをあてがって、ピンを入れ戻す。


筆者は16~17cmほどの手首径で、3コマ取り外し、マイクロアドジャストを短い方の設定にしたら丁度よくなった。


もちろんレザーストラップを付けても似合っちゃう。


SARB035をレザーストラップに付け替えているひとの中でアルピニストSARB017を持っている方であれば、メタルブレスレットをアルピニストに付けてみるのも面白いかもしれない。


SARB035のエンドリンク形状はアルピニストにぴったり合うようには作られていないため、このような微妙な間が開いてしまうが、これが気にならなければこれもありかもね。


エンドリンクとケースとの間は、最小で写真左側くらい、最大で写真右側くらいまで開く。


生産終了の真偽は?



(生産終了銀色三兄弟。本文に登場する生産終了が発表された3モデルとはあまり関係ないし血のつながりも無いが…)

SARB035生産終了の話は海外では2018年2月にSeiyaJapan blogで伝えられたのが大きく知られるところ。ここではアルピニストSARB017、SARB035、SARB033(文字盤が黒い方)の製造終了をセイコーが発表したと書いてある。

事実セイコーのウェブサイトからも「メカニカル」ライン(SARB017、SARB033、SARB035はこれに当たる)が消え、まもなくして各モデルの価格が高騰した。

その一方で、2018年9月19日に「Amazonカスタマー」氏によってなされたSARB035のAmazonレビューによれば、サポートに連絡したところSARB035とSARB033は「製造中止ではなく現在は生産調整中」と伝えられたとのこと。


今回入手したSARB035のシリアルナンバーは「8D0570」。ということは製造は2008年か2018年の12月。Amazonでは2008年からSARB035が販売されているので2008年に作られた可能性もある。

6R15ムーブメントの「D」版がいつ出たのかによってこれが08年か18年か判るのではと思い調べてみた。明確なことは判らなかったのだが、少し調べてみて見つかった一番古い情報はWatchuseekフォーラムの2017年3月のスレッド「6R15 get an upgrade. 6R15D is on the road.」であった。

この事からすると今回レビューしているSARB035は2018年12月製造と考えられる。セイコーが製造終了を発表してから10ヶ月も後に作られている訳だ。

何故製造終了発表後にも作られていたのか、それは私には判らないが、あくまでもセイコーは2018年初めに「製造終了を発表」しただけであり、いつ製造を終了するのかを発表したわけでは無い。また、製造終了後から3つのモデルが値上がりしたことを考えると、セイコーが「製造終了発表>値上がり~需要増」の流れも計算に入れ、当初から発表後しばらく生産を続ける=生産調整するつもりであったと考えてもおかしくは無いだろう。(これは価格をつり上げるためでは無く、製造終了になった後も一定期間安定供給があることで価格のつり上がりを抑えるためである可能もある。)


だが、メカニカルラインが消えたのは事実だ。アルピニストは2020年にプロスペックスにラインを鞍替えして新バージョンが作られている。特にSARB033、SARB035はアルピニストほどの一目見て判る個性を持ったモデルでは無いこともあり、メカニカルラインが消えた今、生産が終了するのは確実だろうし、終了した生産が再開するなんてことはまず無いだろう。ぱっと調べたところでは2018年12月以降に製造されたモデルの話は出てこないので、もしかしたら18年12月を最後に既に製造は終了している可能性もある。

SARB033、SARB035の「精神的後継機」的なものが出る可能性もあるが、他の「ベイビー・グランドセイコー」(後述)にもぱっと見SARB035に近い見た目のものがあるのでわざわざ後を継ぐ「正式な後継モデル」みたいなものが出ることもないだろうと私は見ている。


まとめ:「今してるその時計、超高級そうね」



シンプルさの中にあるディテールへの拘り、ディテールの造り出す美しさ。そして精度の高さで知られる6R15ムーブメント搭載でこれが僅かに希望小売価格4万5000円(+税)、実売価格3万円台で購入できる。これは「セイコーの良心」、「ベイビー・グランドセイコー」、「プアマンズ・グランドセイコー」と呼ばれるのも十分納得できる。


日本国内外を問わず、SARB035(とその黒文字盤バージョンSARB033)は「着用していてグランドセイコーを付けていると思われた」という嬉しい勘違い(?)をされた経験が方々で聞かれるが、そういう経験も一度くらいしてみたいものである。


筆者はグランドセイコーは所有しておらず、知り合いの持っているものを見せてもらったことしか無いので実際に詳しいグランドセイコーとの対比はできないが、それでもこの価格帯で期待する以上のクオリティーがSARB035にあるというのは紛れない事実。

そして、生産終了の発表後もSARB035が製造されていたのも事実であれば、メカニカルラインの終了からは、SARB035の製造が終る日が近い、もしくはもう来ているのも事実だろう。そして、その日が来れば、新たな「セイコーの良心」が登場しない限りは、このクオリティーと6R15ムーブメントの精度を併せ持つセイコーの腕時計を5万円以下の価格で手に入れることはできなくなるのではないだろうか。


価格.comによればSARB035は2018年中旬5万8000円台まで値上がりしていたが、現在は3万台である程度安定している。SARB033、SARB035共に気になるのであればまだ在庫が十分あり価格が安定しているうちに、また価格が高騰する前に購入するのが良いと思われる。(過去の高騰を見ると、SARB035は少なくとも5万8000円出しても購入する人がいるモデルだとも言えるだろうか。)



まだ「その時計グランドセイコー?」なんて言われた経験は無いものの、昨日フィンランドでSARB035を付けていて、かなり目利きのデザインコレクターの女性に「今してるその時計、超高級そうね」と言われた。審美眼を持った人にはSARB035の品質の高さが伝わるということかもしれない。まさかこの方からそんなコメントを貰えるとは思っておらず、とても嬉しく感じると共に、より自分自身にとってもSARB035が美しく、愛おしく、誇らしく、感じられるように思えてきた。



なおこのSARB035以外にも「ベイビー・グランドセイコー」と呼ばれるモデルとしては、プレザージュ・プレステージラインのSARX033、SARA015、SARX055(より具体的には「ベイビー・スノーフレーク」、「スノーフレーク」の愛称を持つグランドセイコーSBGA211から)、また、ブライツのSDGM001などもある。しかしそれらにも増して今回紹介したSARB035は値段がお手頃であるのが大きな強みだ。(加えてSARB035/033には蓄光部があるが、上記した他のベイビー・グランドセイコーたちには蓄光部が無いのも大きな違いと言えるかもしれない。)


Source: SeiyaJapan blog, Amazon, Watchuseek

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ほぼ日weeksMEGAにレザーカバーをお探しなら…世界中で人気、Galen Leather Co.の上質で機能的な手帳カバーに入れちゃおう!

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Sponsored by Galen Leather Co.

今回レビューするのは、高品質なハンドメイドレザー製品で世界中にファンを持つトルコのブランドGalen Leather Co.(ガレン・レザー)の製品だ。

数ある同社の製品の中でも、日本の誇る手帳ブランド、ほぼ日手帳の「ほぼ日weeksMEGA」がピッタリ収まるレザーカバー「LEATHER ZIPPERED HOBONICHI WEEKS MEGA COVER」をじっくりレビューしていこう。

パッケージの開封から、レザーの質感、仕上げまで、満足感ある製品となっている。



もくじ


Galen Leather Co.はどんなブランド?
美しい化粧箱を開封!
「LEATHER ZIPPERED HOBONICHI WEEKS MEGA COVER」
ポケットたくさん左側!
ほぼ日weeksMEGAからロディアNo.08まで入る右側!
使い方は使う人の数だけ…手帳と計算機付きアラーム時計でスマホの替わりにも?
まとめ


Galen Leather Co.はどんなブランド?



トルコはイスタンブールを拠点に素晴らしい文房具用レザー製品を作り出すGalen Leather Co.は、2012年ZeynepとYusufの二人が生み出した。残念なことにZeynepは若くして2019年7月に没するが、彼女の生み出したGalen Leather Co.とその素晴らしい製品の数々は今も多くの文房具ファンを魅了している。

Galen Leather Co.はデザインから製造まで一貫してトルコで行われ、製品は全て手作りだ。

使用するレザーは全てブナ科の樹を用いて植物なめしされた牛革(vegetable oak tanned cow leather)。安価なレザーは「クロムなめし」という塩基性硫酸クロムを用いたなめしを行っているが、これは安く早いが環境によくない。対する植物なめしは、これは植物由来のタンニンを使用した皮なめしで、環境に良いが手間と時間がかかり、結果としてクロムなめしよりも高価になる。つまるところ環境に良い高級レザーなめし手法だ。


Image courtesy of Galen Leather

文房具用レザー製品が主力の同社ではあるが、レザーだけで無く、美しく品のある木製のデスクアクセサリーライティングボックス、更には同社オリジナルのノートなども作っている。

そのファンは世界中に数多く、インスタグラムでも日々ハッシュタグ「#galenleather」でGalen Leather Co.製品を愛用するファンの投稿写真の数々を見ることが出来る。


美しい化粧箱を開封!



Galen Leatherのレザー製品は専用のパッケージ入り。Galen Leather Co.のロゴが前面に施された結構しっかりした箱に入ってやってくる。開けると・・・


シンプルながらも統一感のあるパッケージに入れ込まれた美しい製品が登場する。


製造者と製造日付が記された紙も素敵。製品色は手書きだし、日付と制作者はスタンプとなっている。同社の作るレザーについての説明と、手入れの仕方も記してある。


こちらの紙にはチャームが付いている。これは邪視から守るトルコのお守り「ナザール」(Nazar)。もちろんこれもトルコで手作りされたもので、ガラスでできている。紙の片面にはナザールが解説され、もう片面ではGalen Leather Co.の歴史が説明されている。


「LEATHER ZIPPERED HOBONICHI WEEKS MEGA COVER」



「LEATHER ZIPPERED HOBONICHI WEEKS MEGA COVER」(レザー・ジッパード・ほぼ日weeksMEGA・カバー)。その名の通り、ほぼ日weeksMEGAもバッチリ収納できるカバーだ。

ヴィンテージ加工の施された美しいブラウン色のレザーだ。筆者はレザー好きなこともあるが、それでもこうして見るだけで美しい!


表面は片面はまっさらな一枚革。贅沢だ。閉まった状態のサイズは12 cm x 23 cm。レザー製品の中には革の匂いがきついものも存在するが、これはレザーの匂いは近づかないと判らないくらいでキツくはなく、不快感はない。(対してTimeResistanceブランドのバッグは購入当時の匂いは結構強めだった。)


もう片面にはGalen Leather Co.のロゴとポケットが付いている。


ロゴもカッコいい。


ポケットにはポストカードサイズのものなら余裕で収納できる。


こちらの面には二種類の縫い糸が使用されている。縁はベージュ色の糸、ポケット部はブラウン色の糸となっており、縁カーブ部の美しさを強調しつつも、ポケット部は変に目立たず、統一感のある仕上がりになっている。


商品名に「ジッパード」ともあるようにファスナーで閉じることのできるモデル。


ファスナーはもちろん安心と信頼のYKK。


Image courtesy of Galen Leather

レビュー品のカラーはブラウン。このほかにもブラック、グリーン、パープルのカラーバリエーションがある

これから内側をより詳しく紹介していくが、内部の立体感とかがわかりやすくなると思うので、その前にGalen Leather Co.が公開している動画もどうぞ:




ポケットたくさん左側!



左側にはポケットは上から、深いポケットx1、クレジットカードサイズポケットx6、メッシュポケットx1、そしてそれら全部の後ろにくる大きなポケットが一つ。


一番上の深めのポケットは12cmほどの深さがある他、ポケットの上にも5cmほど空間があるので、定規など長めのものを入れるのに便利。あまり短いものを入れ込むと取りづらいので注意しよう。



先に掲載したGalen Leather Co.の公開する動画によれば、このポケットには薄くて小さなノートでは定番のField Notes/フィールドノートも入るようだ。


その下には6つのクレジットカードサイズポケットが連なる。


素直にクレジットカードを入れてもいいし・・・


カード以外のいろいろなものを入れ込んでもいい。microUSB端子が見えるのは、ConnexというカードサイズのUSBケーブル(残念ながらもう製造されていない製品だ)。これはクレジットカード4枚分の分厚さがある。もちろんその上下のポケットに入れているものなどにもよるが、一つのポケットにクレカ4枚をぶち込むことも可能。写真のくれ竹の替えインクはカード4枚よりも分厚い。


一番下部分はクレジットカードサイズのメッシュポケット。このような手帳ケースでも安物だとこのような部分が透明なビニールになっていることがあるが、そういうのは大概数年もすればその部分が劣化してベタベタになってしまう。ここがメッシュであることでビニールと比べ多少可視性は低くはなるものの、何年も使っていけそうな雰囲気だ。


入っているものが見えることを活かして、IDを入れても、写真を入れてもいい。


小さなステッカーなどを入れても楽しい。


一番後ろには、中央付近側からアクセスできる左側全体の長さのあるポケット。パスポートも入る。お札を入れるにも良いし、レシートなどの長さのあるものを入れるにも丁度よい。一応ここにはiPhone 7 plusも収納可能とのこと。


この大きなポケットの中はこのような薄い生地で裏打ちされている。レザーの裏地そのままだと、床面(とこめん)という毛羽だった表面が直接でてしまい、中に入れたものに革の毛羽立ちがとれたものが引っ付いてしまうことがあるが、裏打ちされているため中に入れるものにそのようなゴミが付着することは無い。




右側は大きなポケットと、その前面に『「』状のポケット。この2段ポケットのお陰で右側にも様々なものを入れることができる他、縦長のノートを挟むことも可能になっている。


入れているのは「ほぼ日手帳 2020 weeksMEGA カラーズ/グリーンアップル」。この手帳のしおり紐は長いため、ファスナーに挟まれないよう注意したい。


こういう風に『「』型ポケットに差し込んでいる。


しおり紐が挟まれないか気になる方はもっと手帳を上に移動すると良いだろう。『「』型ポケットではあまり上に差し入れると安定性に欠くが、その場合はこのように奥の方のポケット側に手帳を挟むとよい。

個人的にスマートフォンのスケジュールアプリはどれも使いづらく、紙のスケジュール帳に戻ろうと思い立ち、ほぼ日weeksMEGAを使い始めた。と言っても紙の手帳を使っていたのはかなり昔のことなので、使いやすいスケジュール帳をしばらくの間探していたのだ。いろいろ使い勝手が良さそうなものを見ていたが、そのなかでも日本国内だけでなく世界中で使われているほぼ日手帳が目に留まった(Instagramで「#hobonichi」で検索しても判るとおり、ほぼ日手帳は世界でも使用者が多い人気の手帳)。そんなほぼ日手帳の中でも、スリムで持ち運びに便利なのがこのweeksシリーズだ。



この「MEGA」は通常版のほぼ日weeksよりも、メモのページが213ページもあるバージョン。なので普通のほぼ日weeksよりも分厚いのだが、このレザーケースでは余裕を持ってファスナーを閉めることができる。

もちろんほぼ日weeksMEGA以外でも、例えばMEGAではないほぼ日weeksも入るだろうし、『「』型ポケットのお陰で短辺に綴じ目があるものを入れることもできる。例えば・・・


こちらはほぼ日weeksMEGAの代わりに、ブロックロディアNo.08(BLOCK RHODIA N0.8)を挟み込んだところ。バッチリ使える。


フィンランドの安いメモ帳(100 x 210 mm)も入れることができた。


なお、カバーを開いた状態で丁度中央部分にはペンホルダーがある。


ペンホルダー部分はゴムバンドとレザーが使われているため、太めのペンも入る。写真はぺんてる、トラディオシリーズのカリグラフィーペン(Pentel Tradio Calligraphy 2.1)。(海外限定なのか日本のAmazonでも購入できるが価格が高騰している。)


使い方は使う人の数だけ…手帳と計算機付きアラーム時計でスマホの替わりにも?



手帳をカバーに入れることで、手帳を保護するだけでなく、他の細々としたものも一緒に運ぶことができるようになると言うのもこの手帳カバーの利点。手帳もほぼ日weeksMEGAだけでなくその他の形状のものを入れることができるし、一緒に持ち運ぶものの組み合わせで楽しみ方・利便性は無限に広がる。

クレジットカードが沢山入るし、奥のポケットにはお札も入るので、手帳+財布としての使い方もありだろう。だがガジェットと腕時計に特化した当ブログとしてはもうちょっと変わった使い方の提案もしたい。


例えばこの写真のように薄いカシオのアラーム+計算機付き腕時計DBC-611-1を(本体にブレスレットを付けたままで)入れるとか!



これで予定を忘れないようアラームもすぐ設定できるし、電卓機能もこれで完結するわけ!まさにスマートフォンのような機能をGalen Leather Co.のレザーケースに詰め込めるのだ(もちろんこの構成でも余裕でケースを閉じることができる)。


左側にはポケットが多数あるので、これをどう活用するのかが悩ましいところ。色々と試してみるのも楽しい悩みだが。クレジットカードサイズなのであまり分厚いものを入れ込めないのが少し難点か。しかしポケットからはみ出すようにものを入れたうえで、右側にぶ厚めなほぼ日weeksMEGAを入れ込んだ状態でも無理なく閉じることができるのは良い。

例えば上の写真のように、片側にほぼ日weeksMEGAを入れた状態で、もう片側に第6世代iPod Nanoをポケットにクリップで付けたまま閉じてもきつすぎない。


ほぼ日weeksMEGAを入れるケースであるため、縦方向に長さはあるものの、ある程度の携帯性を保つことができる。例えばこんな膝上丈の長めのコートのポケットでも、上部分ははみ出すものの収まってくれる。

これだけ色々入れることができると、ちょっとしたお出かけや、カフェに行って仕事の打ち合わせ、なんて言うときにはスマホとこのケースに入ったほぼ日weeksMEGA、そしてケースの中の小物類さえあれば十分だろう。


まとめ



使用するレザーも仕上げも良く、全体的な質感、品質の良さに満足感がある。全体的に丁寧な作りで、糸の始末も表面に出てこないようになっているのも好ましい。素敵な箱を開封する経験さえも、所有する喜びに更なる楽しさを与えてくれる。


(我が家のネコにも気に入られたようだ)

これまで筆者はブログでレビューしていないものも含め様々なレザーバッグや小物入れを使用してきたが、YKKのファスナーが使用されているのはやはり重要な点。経験上、YKK以外のファスナーではスムーズさが足りず、肝心なときに開け閉めでつっかえてしまったりするものが多いのだ。ファスナーが付いた製品であるため開け閉めするのは必然であり、それが毎回確実に行われるというのは欠かせない要素であり、この点でもYKKを採用するGalen Leather Co.製品はおすすめできる。


レザーなので使えば使い込むほどに、色合いの微妙な変化やキズなどで自分だけの手帳カバーになっていくというのも嬉しい点。末永く大切に使っていきたいと思える素敵なレザー手帳ケースだ。価格は71ユーロ(記事執筆時レートで約8600円、もっと自分向けにパーソナライズしたい方は、追加料金を払うことでイニシャルを入れてもらうこともできる。)。お買い求めはGalen Leather Co.のウェブサイトからどうぞ。


Image courtesy of Galen Leather

なお、今回レビューしたものは、ファスナーで閉じることのできるモデルだが、もっと素早く手帳にアクセスしたいという方はファスナーのないバージョン「LEATHER HOBONICHI WEEKS MEGA COVER」もあるのでGalen Leather Co.のウェブサイトでそちらをご覧戴くとよいだろう。

Source: Galen Leather Co.

(abcxyz)

Aliexpressで買ってみた:怪しさ満点ノモス・ラムダのオマージュウォッチby CADISEN

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ノモス・グラスヒュッテの「ラムダ」は100~200万円もする腕時計。ところが、中国のCADISENという会社が作るノモスのラムダにとてよく似ている腕時計は、価格が500分の1!

今回はそんな怪しいオマージュウォッチをAliexpressで購入してみた。本家ノモス・ラムダも紹介しつつ、早速どんなオマージュになっているのか見ていこう。



(一応日本のAmazonでも9000円以下の価格で販売されているようだ。)



もくじ


本家本元のノモス・ラムダ
開封開封!
ノモス・ラムダ批判が展開されるCADISENケース部レビュー
元ネタに存在しない機能が付加された文字盤
手こずるミラネーゼ
まとめ:矛盾をはらんだ存在


本家本元のノモス・ラムダ



Image courtesy of NOMOS Glashütte

ノモス・グラスヒュッテのラムダ(NOMOS Glashütte - Lambda)は39mm径と、42mm径が存在し、39mm径は120万、42mm径は250万円ほどする。ケースは18K風防は文字盤面も裏面もサファイアクリスタル製。42mm径のものは文字盤側はドーム状のサファイアクリスタルとなっている。


Image courtesy of NOMOS Glashutte

文字盤は亜鉛メッキ、白銀仕上げ。ムーブメントはノモスのアトリエで製作されているインハウスムーブメントで、DUW 1001という手巻き式のもの。

この美しいムーブメントがエキシビジョンバックから見ることが出来るのも売りの一つであろう。DUW 1001の裏側には、放射線状のコートドジュネーブ様の仕上げや、テンプ受けにも細やかなエングレービングと「Mit Liebe gefertigt in Glashütte」(ノモス日本サイトの訳は「グラスヒュッテより愛を込めて」)が見られる。


Image courtesy of NOMOS Glashutte

ホーウィン社製シェルコードバンのストラップも、そのバックルも時計部と同じく独特の丸みを帯びた美しさを持つ。

39mm径は120万、42mm径は250万円ほどする腕時計で、HODINKEEの2015年の記事によれば当時ノモスで一番高価な腕時計。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

ノモス NOMOS ラムダ LA3DR3W239BL 新品 時計 メンズ
価格:1211700円(税込、送料無料)(2019/12/12時点)





開封開封!



私はこれをAliexpressの「CADISEN OFFICIAL STORE」で日本円にして5000円ほどで購入したのだが、おまけのレザーストラップが付いてきたようだ。Amazonで購入された場合同様のものが付くかどうかはわからない。

化粧箱の周りは別の厚紙でカバーされている。その厚紙をスライドさせると…


CADISENのロゴがデボスされ、銀色にプリントされた化粧箱。化粧箱カバーにある程度ちゃんとした化粧箱、この価格にしてはしっかりしたパッケージングだ。


内容物は時計と、保証書、説明書ロゴ入りクロス。


保証書には、「この保証書は完全に正しくCADISEN認定ディーラーにより記入され封をなされた場合にのみ有効になる」と書いてあるが、保証書カードにはサインがなされていない。判子みたいな赤い三角の「CERTIFICATE」印は印刷。


ベルトとストラップ付け替えツール、予備のスプリングバー。


ブレスレットが触れあって傷が付かないように、透明なフィルムが貼られていたほか、スチレンフォームも間に挟まれていた。

時計の方はノモス・ラムダの中でもリファレンス番号 933、亜鉛メッキ、白銀仕上げの文字盤に青焼きされた針、18カラットホワイトゴールドの「ラムダ ホワイトゴールド」を基にしたカラーリングのもの。


ノモス・ラムダ批判が展開されるCADISENケース部レビュー



ケース径は42mm、ケース厚は14.5mm(元ネタはケース厚9mm)。


全面ピカピカの鏡面仕上げ。ノモス・ラムダの写真を見る限りはCADISEN版のケースは大まかにはラムダに似ているものの、横から見たときの印象は、厚みがあること、ラグ形状がだいぶ異なることもあり少し違う感じ(ノモスのラグはなだらかな下向きカーブ、CADISENは角張っており下向き傾斜が少ない)。


面白いことにラグは形状こそ異なるものの、本家と同じくベゼル部分までせり上がった作りとなっている。ラグが角張り分厚いのはケース厚が分厚いためかと思うが、どうせベゼルまでせり上がるとこまで真似るならラグ形状ももっと工夫すれば良かったのにと思ってしまう。


ベゼルから風防にかけてのカーブと、ドーム型風防(強化ミネラルガラス)の傾斜の合わせ具合や、ケース側面の傾斜、裏蓋の傾斜は美しい。


裏面はエキシビジョンバックとなっており、内部のムーブメントが見える。手巻き、ハッキング機能あり。パワーリザーブは84時間の本家の半分、42時間。


ローターには彫刻が施されているが・・・この彫刻はシンプル、ミニマリスティックな全体のスタイルと合わない。やはりこの点でオマージュの限界も見えてくるか・・・と安易に考えることもできるだろう。だが対して「本物」のノモス・ラムダはどうか?ノモスファンからはブーイングも飛ぶかもしれないし、CADISENの時計のレビューから離れてしまうが、この点はノモスも統一的な美しさに欠いていると私は感じる。

DUW 1001の裏側に見られるテンプ受けの細やかなエングレービングと「Mit Liebe gefertigt in Glashütte」のフォントは腕時計部との統一感は無いと断言できるし、この点は放射線状のコートドジュネーブに関しても言える。



ノモスが何によって知られているかと言えば、その簡潔で機能的なドイツ工作連盟(Deutscher Werkbund)の精神に基づくデザインだ(ノモス・ジャパンによればドイツ工作連盟のメンバーだそうだ)。この動画でノモスの国際販売部長が語るのは、そのドイツ工作連盟の精神。「技術により製品をより良く、製造をより効率的にする。なぜなら高品質かつ現代的なデザインで手頃な価格の製品を作り、一部ではなく多くの人に提供するというのが挑戦であり目標だから」と語っている。

その精神に基づく統一性が製品に現れているからこそ存在意義があるブランドであるはずだ。この伝統に則った自社ムーブメントであれば、仕上げも必要最低限かつ、無駄に自己主張をしないもの(例えば鏡面仕上げや艶消しなどは無意味に意匠的要素を生み出さないはずだ)にすべきだし、手書き調のエングレービングは他の部分で用いられている飾り気の無いサンセリフ・フォントの統一性を崩し、そぐわない。伝統的な仕上げで自社技術を誇張したい、とかグラスヒュッテの伝統とか言い切るのであれば、それはノモスのデザインの統一性として失敗していると言えるだろう。

結局中に入っているムーブメントに装飾的なもの=ノモスらしからぬものが用いられているのであれば、ノモスの自社ムーブメントでなくてもいいんじゃないか、他社ムーブメントをぶち込めば良いんじゃ無いかと思うし、メッセージをムーブメントに秘めさせたいのであればエキシビジョンバックであるべきではない。そして「手頃な価格の製品を作り、一部ではなく多くの人に」という肝心の目標は大きくないがしろにされている。

ノモス・ラムダの批判になってしまったが、まあ元ネタもそんなものだからムーブメント装飾に関してはCADISENのものも同様に批判する事ができるかもしれない。


クラウンの形も似せてある。側面はコインエッジで、頭頂にはCADISENのロゴが浮き彫りになっている。


元ネタに存在しない機能が付加された文字盤



文字盤の要素に関しては流石にノモス・ラムダには適わない。ノモス・ラムダもブランド名の間延びしたMのあるフォントを除けば他の文字盤フォントには統一感がある。


一方のCADISENのものは時計にそぐわないブランドロゴに、セリフ調のブランドフォント、サンセリフの「AUTOMATIC」表記が用いられている。パワーリザーブと日付ディスクの数字フォントも異なる。


面白い点としては、オマージュ元のラムダに存在しない日付表示機構がついていると言うこと。


この日付表示部に関しては時計全体のデザインともある程度調和が取れていると感じる。表示窓は丸い切り抜きとなっており、使用されているフォントもカーブの丸みが全体に合っていると感じる。


文字盤いっぱいに伸びる分針とパワーリザーブ針はネタ元を上手く再現しているとも言えるかもしれない。


各時に配された短い線インデックスと、分刻みのドットインデックスも良く似せてある。


手こずるミラネーゼ



元から付いているのはミラネーゼタイプのメタルブレスレット。


バックル部は二つ折れ式(?ヒンジ部は2箇所。ヒンジ部が3箇所のバックルは「三つ折れ」と呼ばれるからこの呼び方で正しいかと)。私はミラネーゼにこのタイプのバックルのものは使ったことが無かったので新鮮に感じた。


でもサイズ調整のためにバックル部を動かすときに一部メッシュが詰まって(?)バンド幅が太くなった部分ができてしまい、調整に難航。30分ぐらいかけて捻ったり引っ張ったりしながらようやく望みの位置にバックルを通すことができた。しかし、これがミラネーゼの加工の質の問題か、はたまたメッシュ状に編み込まれており捻ることも可能なミラネーゼの特性に起因するものかは判らない。


16~17cmの手首径の私の場合、バンド幅は最小設定で丁度良い。


おまけのレザーストラップに替えたらこんな感じ。


まとめ:矛盾をはらんだ存在



細かく元ネタに似せていながらも、文字盤の美しさをロゴや異なるフォントの仕様で崩しているあたりはオマージュウォッチたるところだろう。

また、意図してではなく価格/技術的な問題からであろうが、本家の薄さとそれが造り出す時計部全体のバランスの美しさは再現できていない。

とは言え時計としてきちんと動く。安価な自動巻き時計の多くが「ラグジュアリーっぽさ」(例えば先日のLIGEのものとか)を出そうとし、多くの安価なオマージュウォッチが人気のあるダイバーズウォッチやパイロットウォッチを元ネタにする中で、シンプルでミニマリスティックなノモス・ラムダをオマージュしたというのは興味深い。


そして安価な自動巻き腕時計でパワーリザーブが付いているものはそもそも少ないことから(私がこれを購入したそもそもの理由はこれがオマージュウォッチだからではなく、パワーリザーブが付いているからという点にあった)、これはシンプルな文字盤とパワーリザーブを持つ安価な自動巻きとして独特の存在であるとも言えるかもしれない。元々のラムダに存在しない日付表示部やミラネーゼブレスレットでオリジナリティーをアピールしているところは好感が持てる。

なによりも、所詮オマージュウォッチに過ぎないとは言え、ドイツ工作連盟の精神の「手頃な価格の製品で、一部の人だけではなく多くの人に」という部分ではノモス・ラムダを超越する存在であるという、矛盾をはらんだ存在であるのも面白いところだ。



Source: ノモス, HODINKEE

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手頃価格でコンプレッサーも、様々な表情も楽しめるレトロモダンな腕時計Spinnaker「BRADNER」(特別割引クーポン付き!)

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Sponsored by Spinnaker Watches記事中のクーポンコードとブランドサイトへのリンクはアフィリエイトとなっている

今回はSpinnaker Watchesの腕時計レビューをお届けしよう。海をテーマに魅力的なダイバーズウォッチを造る同社の特徴としては、レトロっぽさと現代性の融合にあるだろう。

レビューするのはSpinnakerの腕時計の中でも「コンプレッサー」ケースが一際目を惹くBRADNERコレクションより、青文字版、黒レザーストラップのSP-5062-03モデルだ。



もくじ


開封
ダブル・クラウンが特徴のコンプレッサーケース
クラシカルな要素と複層性が面白い文字盤
防水レザーストラップ
まとめ:手頃価格でコンプレッサーも、様々な表情も楽しめるレトロモダンな腕時計


開封



白い薄手の厚紙は、どことなくセイコーの化粧箱用の箱を思い起こさせるが、こちらの方が美観が一枚上手。手前部分のロゴはデボス加工されているのだ。


中から出てくる化粧箱は中程が一段下がる、凝った仕様。


フィルムで守られたBRADNERと、腕時計を保持するクッション、そしてクッションが移動しないように両脇のピラーに挟まれて出てきた。ピラーはもちろん合皮だが、ぱっと見の質感は良い(これもセイコーより上手だ)。


付属品はクロスとこの紙。紙の裏には「保証についてはウェブサイトを参照せよ」とある。保証は国際2年間保証。


ダブル・クラウンが特徴のコンプレッサーケース



全体にヘアライン仕上げされているステンレススティール製ケースは、幅42mm、厚さ15mm。防水性能は180m。


ケースの一番の特徴は、これがコンプレッサーケース(compressor case)であること。コンプレッサーケースは特に50,60年代に流行ったダイバーズウォッチのケースタイプで、回転式ベゼルがケースに付いているのではなく、文字盤内に入ったインナーベゼル構造で、これをケースに時間調整用の竜頭とは別に付いた専用の竜頭で操作するもの。(「スーパーコンプレッサー」という名称の方が聞き覚えがある方もおられるかもしれないが、そちらはこの構造に加え、ケース裏方にバネもある特殊な構造を指すものだ。Worn & Woundの記事が詳しい。)


インナーベゼルは文字盤項目で解説するが、ふたつの竜頭を見ていこう。2時位置と、3.5時あたりとに突き出したダブル・クラウン。2時の竜頭はインナーダイヤルを操作するためのもの(セイコー・アルピニストSARB017も二つの竜頭にインナーベゼルを持つものの、インナーベゼルの役割が異なるほか、2つの竜頭の役割位置が逆だ)。


竜頭はどちらもコインエッジだが、インナーベゼル操作用のものは頭頂が艶出し仕上げのみ。


時間調整用の竜頭はねじ込み式で頭頂に艶出し仕上げの他、Spinnaker Watchesのヨットのロゴが刻印されている。


インナーベゼル操作用竜頭は、わざわざふたつの指を使ってつまんで操作しなくとも、ひとつの指をコインエッジの側面でスライドさせることにより、スムーズに回転する。回転は両方向だし、ロック機構はないので命の危険が関わるような時間測定やカウントダウンには使わない方がいいだろう。しかし、指一本で簡単にインナーベゼルを動かせるということは、もっと簡易な時間測定/カウントダウンを日常的に行うという人にとっては、二本の指を必要とするベゼルがケースに付いたより一般的なダイバーズウォッチよりも利便性が高いと言えるかもしれない。


竜頭の位置も適切で、竜頭は手首に刺さらない。加えて、左手首に腕時計を付ける人(右利きの人の多くがそうであろう)であれば、このように手の甲を反らせた状態では、人差し指側の手の甲の方が高くなるはずだ。なのでBRADNERの場合は手首に触れるとすれば時間調整用の竜頭となる。セイコー・アルピニストSARB017の方では3時と4時に竜頭があり、この状態で手首に4時の竜頭=インナーベゼル操作用竜頭が触れてしまうためこのような手首の動きで容易にインナーベゼル位置が動いてしまう。インナーベゼル位置をロックできない機構がある中では、このような微妙な竜頭位置の違いが利便性に大きな違いを生み出す。


竜頭の反対の面は何も不純物が無く、美しい対称性がある。


風防はボックス型(トップハット型とも)のサファイアクリスタル製。ドーム型のように見えるが、カーブが掛かっているのは円周部分だけで、頭頂部は平ら。これは全体が丸みを帯びるドーム型風防とも、円周に傾斜が付いているベベルエッジ(bevel edge)風防とも異なる(が、ボックス型風防がカーブしているのをいいことに十把一絡げに「ドーム型」と呼ばれているのも時折目にする)。

Quoraの質問者に答えるロンギネスの元デザインチーフ、Francis Jacquerye氏のコメントによると、ボックス型風防はヘサライト風防(プラスチック製)を模して作られたものだが、製造過程は大変で、製造費用が4倍になってしまうとのこと。例えばこれまでレビューしてきたものではUNDONE/アンダーンの腕時計がボックス型であったが、やはり価格面の問題からかサファイアクリスタル製ではなくK1強化ガラスであった。


これもあり外周部には歪みもあるが、丁度歪みはインナーベゼル位置に来るため、時刻確認の際には歪みは邪魔にならない。逆に面白みがあると感じる。


側面から見た画像では、風防の外側のベゼル部分に3段階の傾斜が付けられているのが判る。


裏蓋はエキシビジョンバックとなっている。中から覗き見えるムーブメントは安価で信頼度の高いセイコーSII NH35。


ローターはSpinnaker Watchesの社名とロゴが入ったものとなっている。これは以前当ブログでレビューしたThomas Earnshawの社名とロゴ入りのローターにもとてもよく似た構成だ。

(なおSpinnaker Watchesは、以前当ブログでレビューしているAVI-8Thomas Earnshawなどと同じくDARTMOUTH Brands LTDの傘下ブランド。Spinnaker Watches担当者の方によればSpinnaker Watches自体はロンドン郊外をベースにしているとのこと。)


斜めから見ると白いプラスチックのムーブメントホルダーが見えるが、普段見えるものではないし、この価格帯では納得。気になる価格はレビューの最後にご紹介!


クラシカルな要素と複層性が面白い文字盤



文字盤部分は複層構造かつ立体加工でユニークだ。文字盤を構成する要素は大きく分けて3つ。一番低い部分から、時分インデックスのある青いサンダイヤル部分、その外周に一段高い位置に配されたガンメタル色の分インデックスリング、そしてその外側により複雑な形状のインナーベゼル、となっている。


まずは青いサンダイヤルの時分インデックスのある部分から見ていこう。


12時下にある「Spinnaker」のロゴはエンボス加工されている。


各時のアプライドインデックスは正方形と長方形が突き出した四角錐台状。天面にはスーパールミノバ蓄光が塗布され、その他の面は銀色に光を反射する。この70年代っぽい四角いインデックスもレトロ感を出す要素の一つだろう。


白い縁取りのある日付窓からは、黒色ディスクに白フォントで日付が見える。暗い文字盤色にディスク色が合っていて良い。


6時の上には「AUTOMATIC」、「600FT/180M」の防水表記。

針はパドル式の時針、少し先細るバー状の分針、そして先端寄りにオレンジの縁取りの丸い蓄光部がついた秒針からなる。どれも長さ方向にヘアライン仕上げ。時分針共に蓄光部分は大きめ。


その外周には、同心円状にヘアライン仕上げが施された分インデックスリング。インデックスは艶のある黒いプリントで、5分刻みにアラビア数字、分刻みに目盛りがある。


マットブラック色のインナーベゼル部分はこれらにも増して複雑な形状。最外周部は風防に接するほど高くなっており、最内周部は分インデックスリングまで傾斜している。そして60分部分に当たる逆三角形のインデックス、10分刻みに配されたバーインデックス、その間を5分刻みに走るバーインデックスは、どれもインナーベゼルから垂直に突出し、天面が文字盤と平行になっている。天面部分にはスーパールミノバ蓄光。


これだけでなく、インナーベゼルには分刻みにもドットインデックスが存在する(その一部は大きな5分おきのインデックスに隠れているが)。それらはインナーベゼルの他のインデックスと比べ半分以下の長さで、天面には何の塗装もなく、杭が地面から突き出たような印象もある。普段ぱっと見て気付くことがない要素ではあるが、内周に近い位置に配されていることもあり、文字盤に光が差し込めば影を作りだし、文字盤内に更なる立体感を加える。

傾斜の付いたインナーベゼルの構造と、突出したインデックスの立体性は文字盤の面白みを出しているが、そのほかにも文字盤/文字盤蓄光部への光の当たり易さの面でも利点があるだろう。現在一般的となっているダイバーズウォッチの多くは、ケースに付いたベゼルのせいで文字盤面への光の入射角が限られる。そのようなものと比べると、ケース径が同じであってもBRADNERの方が蓄光の面では文字盤に光がより当たりやすくなっている。


蓄光するとこんな感じ。パドル型の時針の形状が識別しやすいため暗所識時性も高い。


防水レザーストラップ



付属するのは20mm幅のレザーストラップ。レザーは水に弱いとされ、本格的なダイバーズウォッチにはあまり見られないものだが、こちらは防水加工がなされたレザーとなっている。この加工により、通常のレザーストラップと比較して、レザーが吸収する水量が格段に低くなっているとのこと。


表面はとてもきめが細かく均一に見えるレザーで、裏面は少しシボの見える作り。表面はスムーズ、裏面は比較してより肌に近い手触りとなっており、手首触りは良い。


バックルは艶のあるヘアライン仕上げで、「Spinnaker」の刻印がある。


16~17cmの手首周りの私には、小さい方から2番目のストラップホールが丁度よい。


まとめ:手頃価格でコンプレッサーも、様々な表情も楽しめるレトロモダンな腕時計



コンプレッサーケースのカジュアルダイバーズウォッチで、クラシックさと現代性の合わさった複雑な文字盤構成も面白い腕時計だ。


しかも価格は僅かに285ドル、記事執筆時レートで約3万2000円ほど。コンプレッサーケースを持った腕時計でここまで安価なものは非常に希だろう。加えて、Express Shippingでの国際発送は無料となっている。ロシアにお住まいの方には残念なことにロシアには発送してくれないが、日本へはもちろん発送してくれる。

しかも、当ブログをお読み戴いている皆様へは特別に価格が15%オフとなるクーポンを戴いて居るので、Spinnaker Watchesの腕時計が気になる方はこの機会にお使い戴くと良いだろう。

クーポンコードは:YUA10

Spinnaker Watchesのウェブサイトから製品をカートに入れ、カートから「CHECK OUT」を押すと出てくる画面で「Gift card or discount code」の部分に「YUA10」と入力、その後「APPLY」をクリックすると適応される。


最後に付け加えると、風防に関してはこのような青色の反射が見られる。製品情報ページには反射防止コーティングがあるとは記されていないが、これはどう見ても反射防止コーティングだろう担当の方に伺ったところ、反射防止コーティングとのこと。商品ページに書いてないのがもったいない!


特にボックス型風防であることもあり、インナーベゼル上の部分が青みがかって見えるのだが、先にも書いたようにインナーベゼルはマットブラック。立体性とも相まって見る方向から様々な表情を見せてくれる時計だ。


Image courtesy of Spinnaker Watches

BRADNERコレクションは他にも文字盤やストラップのカラーバリエーションがあるほか、メタルブレスレット版(370ドル/約4万円)ではザラつきのある青い文字盤に、文字盤内の一部要素が銅色というセクシーな色合いのモデル「SP-5062-22」もある。

Source: Spinnaker Watches, Worn & Wound, Quora

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小さなケースにEDCをたっぷり収納。Galen Leather Co.のEDC Wallet。

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今回はトルコGallen Leather Co.より、「EDC Wallet」(EDCウォレット)をレビューしよう。ブランドについては、同社のほぼ日weeksMEGA用レザーケースのレビュー記事に共に記してあるのでそちらをお読み戴ければと思う。

小ぶりながら財布としての使い方だけでなく、マルチツールでもたっぷり入れることのできる、EDCの力強い味方だ。



もくじ


おまけも嬉しい開封の儀式
「EDC WALLET」
ゴツいマルチツールも余裕の収容!
その名の通り財布にも!
ミニノートやカヴェコの万年筆も!
中央のセパレーターのお陰で収納物に傷が付かない
使い方無限大
現在お気に入りの使い方
まとめ


おまけも嬉しい開封の儀式



さて開封。やっぱりこの専用のプリント入りのしっかりした箱は良い。製品サイズによって箱が様々に用意されているのも面白いところ。


蓋を開けると…とりあえず全部出してみよう。


EDC Wallet、ロゴ入りの袋、製品名・製造者・製造日・使用するブナ科の樹を用いて植物なめしされた牛革の取り扱い方が書かれた紙、そして邪視から守るトルコのお守り「ナザール」(Nazar)のチャーム(これもトルコでハンドメイドされたもの)とその説明・ブランドの説明がなされた紙。


布の袋に入っていたのはインスタントのトルコ・コーヒーとティーバッグ。小さなおまけだが、ケースの作られた土地の雰囲気が楽しめると思うと嬉しくなる。このGalen Leather Co.のロゴの入った袋も嬉しい。


「EDC WALLET」



こちらが「EDC WALLET」今回レビューするのはブラウン色のもの。閉じたときのサイズは11.5 cm x 9 cm x 2 cm。開いたときは11.5 cm x 15.5 cm。

「EDCってなんだ?」という方は当ブログのこちらの記事もご参照あれ。


控えめながらも美しいロゴの刻印。


向かって右側には外向きにポケットがあるほか、中央部分から右の端までの長さのポケットもある。この写真で左側に見えるのは、内部の左右を隔てる「ベロ」。


左側には自由に使える空間が広がっている。


ファスナーはもちろん安心と信頼のYKK製。


外側にはレザーとゴムバンドのペンループがついている。このペンループは結構分厚めで、ペンのみならずマルチツールやフラッシュライトも収納できるだろう。



これから色々中に詰め込んでいこうと思うが、その前に参考にGalen Leather Co.の公開している動画も載せておこう。


ゴツいマルチツールも余裕の収納



ごついマルチツール、レザーマンBLASTにも余裕で収納可能。これも既に製造終了モデルで申し訳ないが、閉じたときは長さ102mm、幅33.48mm、奥行き19.8mm程度。一緒に入れているのはmicroUSBで充電できる極小フラッシュライトRheea Techの「PISA Light」。現在はEtsyで販売されている。ちっさいゲーム機みたいなのはPocketStarというちっさいゲーム機。

こんなに沢山左側に入れて、右側に薄いノートを入れても余裕でファスナーを閉めることができる。



そのためBLASTの代わりに、長さ970mm、幅350mm、奥行き190mmとされる(Multitool Encyclopedia)レザーマンSIDEKICKを入れても余裕がまだあるはず。


こちらは先ほどのセットの代わりに、左側に色々いれた場合。Victorinoxシグネチャーのフィンランドのライオン印(Suomen leijona)が限定バージョン。昔フィンランドで購入したもの。単4電池で光らせることのできるFenix E05フラッシュライト。モジュラー式のマルチツールKeyPort。と先ほども出てきたPocketStar。




財布にもできる



「ウォレット」と名が付いているようにお札やクレジットカードを入れるにも良い。この場合は、EDC Walletの右側のポケット状になっている2箇所を活用すると良いだろう。

もちろん、この程度のお札量であれば左側に上に記したようなマルチツール類を入れても余裕がある。


マルチツールの代わりにコインを仕分け収納できるCOIN HOMEを入れたら小銭を落とす心配もなく、迷うことなくささっと支払いが済ませられる。




ミニノートやカヴェコの万年筆も!



中央から右へ伸びるポケットにはA7サイズのノートの端を収めることもできる。なお同部分には外側から左方向へと伸びるポケットもついているが、こちらが手前に、A7ノートが入るポケットはその奥に位置しており、貫通はしていない。

入れているのは小さくて薄くて1ヶ月見渡せて定規ページもついている、(つまりEDCスケジュール帳として完璧すぎる、)レイメイ藤井のカードサイズダイアリー。

小さいことがポイントのケースであるため、あまり長さのあるペン類は中に入れることはできないが、KAWECO/カヴェコのスポーツシリーズは中に収納可能。写真はカヴェコ クラシック・スポーツのグリーン色のもの。




また、カヴェコ・スポーツであればクリップ部がなくともしっかり外側のペンループに装着することもできる(カヴェコ・スポーツには専用クリップが別売りされている)。ペンループに挿入するときは、少なくとも最初のうち暫くはちょっと堅めで入れにくくもあるが、逆に言えばしっかり保持してくれて安心感がある。


こちらはスポーツより細身のカヴェコ・リリプット万年筆に専用クリップ(ブロンズ色)を付けて入れたところ。カヴェコ・スポーツを入れたときよりもスマートな雰囲気になる。




トンボ鉛筆の4色ボールペン、リポーター4・コンパクトだと少しはみ出る。




中央のセパレーターのお陰で収納物に傷が付かない



中央のベロのお陰で金属製のものや、傷つきやすいものを入れても安心。お爺ちゃんの形見の今はもう販売されていない美しいソニーBC-330D電池チェッカー(黒地に金色の表記で薄くてカッコいいのだ)も、スピーカーも自動巻き取り式片耳イヤホンも付く電池式AM/FMラジオ(お爺ちゃんが昔よく使ってたラジオは必ずこのタイプだった)、パナソニックRF-NA17RAもこうして左右収納部に分け入れることで互いを傷つけることなく運べる。



(類似形状の電池チェッカーは旭化成電気のこれくらいしか見当たらないようだ)


使い方無限大



薬を入れるのもあり。無印良品のポリプロピレン救急絆・綿棒ケースには絆創膏と酔い止め、痛み止めなどの薬。あと喉が痛いときには毎回お世話になる(日本帰国時にいつも買いだめする)ヴィックスのウメ味のど飴。




オレンジ色が素敵な10cm足らずのフィスカース(Fiskars、フィンランドの有名ハサミ/刃物ブランド)



(同様のフィスカースのハサミは見当たらなかったが、EDCという意味ではこちらの折りたたみ式ハサミもありだろう。)


ミントやガムを入れてもいいし。


サイズやストラップにもよるが、ダイバーズウォッチをふたつ入れて締めることもできた。赤いのは豪MAS Watchesの「The Irukandji」、右のはセイコーSKX009。




小型Androidスマホ、Unihertz Jelly Proも入れることが可能なサイズ。




スマホ充電用のチャージャーとバッテリーも薄いものなら入れることができる。


iPod Classicはなんとぴったり入る!



大容量音楽もケースで守りながらEDCできる訳だ。


現在お気に入りの使い方


私の現在お気に入りの使い方もご紹介したいと思う。使い方としてはノート手帳入れとして使っているが、沢山描きたいときと、描きたい+スマホの充電もしたいときで二通りに中身を入れ分けて使っている。

1.沢山描きたいとき:



A8サイズの日本製のメモパッド、マルマン ニーモシネ N161を右側に、伊東屋 レッドクリップ(大)で内側のポケットに留める方法。


実はフィンランドではA7サイズの横開き式ノートを見つけることができず、手持ちの収納可能サイズのノートで活用できるようにとの苦肉の策ではあるのだが、上手く機能している。




マルマンのメモパッドには国産執筆用紙が使われている。万年筆でこれくらい濃い部分をつくっても、にじみも裏抜けもしない。点線に沿って綺麗にページを切り外すこともできるし大変お気に入り。サイズ的にも高さ方向にはEDC Walletにピッタリだし。

その一方、マルマンのメモパッドは厚みが8mm程あることもあり、EDC Walletの左側に入れる丁度よいものは現在もまだ探し中。

本来ならアップル純正のUSBチャージャー(厚み14mm)を入れたいところだが、これだと少し厚すぎてファスナーをギリギリ閉めることが難しい。同様に無印のポリプロピレン救急絆・綿棒ケース(13mm)もキツい。一応、最厚部0.6mmのセンチュリーのモバイルバッテリー(Century MPC-1200-BK、多分昔日本のコンビニで買ったもの。出力は5V 0.5A)は一緒に入れることができるが。

2.描きたい+スマホ(その他デバイス)の充電もしたい:



そんな場合はツバメノートのThinking Power Notebookシリーズ「ライモン」をクリップで留める。これだと厚さ3mmと薄いため、反対側にアップル純正のUSBチャージャーとVoltaチャージングケーブルの25cmを入れたり、代わりに無印の救急絆・綿棒ケースとヴィックスのウメ味のど飴を入れることもできる。


ノートとしては、万年筆インクが紙に吸収されるのに僅かにマルマンより時間が掛かるので本気で描きたいときはマルマンの方を選ぶが、この絵では万年筆でにじみ・裏抜けはしないし、先のマルマンメモパッドと同様にページ切り取り線が入っているのも良い点。


まとめ



Galen Leather Co.は文房具系のレザーブランドであることもあって、ペンループと内部サイズはカヴェコ・スポーツ(やリリパット)に丁度いい大きさにはなっているものの、それ以外にもレザーマンなどの大ぶりなマルチツールも収納できてしまうのは凄い。

内部を分けるベロもと、右側のダブルポケット、開閉スムーズなYKKのジッパーは良い点だ。唯一欲を言えば、左側にもポケットなどの構造があるか、ベロの左側にそのような仕組みがあったら、より左側部分に入れるものが中で動かない/開けたときに落ちないようになったかも知れない。

やっぱりこういうEDCケースは何を入れようか考えあぐねるのが楽しいもので、これまで暫くお蔵入りしていたガジェットを取り出しては「これは入る、これは入らない」なんて試してみたり、はたまた次に買うEDCアイテムをこのEDC Walletを基準に考えて見たり。EDCライフが楽しくなるものだ。

EDC Wallet購入はGalen Leather Co.のウェブサイトから可能。


Image courtesy of Galen Leather Co.

カラーバリエーションとしては今回レビューした「Brown」のほかにも「Crazy Hose Brown」、「Crazy Hose Forest Green」、「Black」、「Purple」が存在する。

もっと本格的に「財布」が欲しければ、二つ折り財布「Bifold Wallet」長財布「Long Wallet」もあるし、そのほか「Passport Wallet」(パスポート・ウォレット)「Travel Wallet」(トラベル・ウォレット)「Card Wallet」(カード・ウォレット)など必要性に合わせたウォレット類が用意されているのでGalen Leather Co.のウェブサイトを覗いてみると良いだろう。


Source: Galen Leather Co.

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スイスの良心ここにあり。300m防水、蓄光20層、AR5層、エクステンション付きスイス・メイド・ダイバーズが5万円!Swiss Watch Company

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Collaboration with Swiss Watch Company

正真正銘のスイス・メイドのダイバーズウォッチ。しかも性能も抜かりなく、防水30ATM、ルミノバ蓄光が20層、反射防止コーティング5層、サファイアクリスタル風防、セラミックベゼル、質のいいメタルブレスレットに、通常のバックルに加えてダイバーズ・エクステンション・バックルも付いてきて…これで5万円。信じられないでしょ。でも本当なんですこれ。

という訳で今回はSwiss Watch Companyの「SWC Diver GREEN」をレビューしよう。



もくじ


Swiss Watch Companyとは
豪華なキャリーケースをいざ開封!
AR5層コーティングに特徴的なセラミックベゼルのケース
スーパールミノバ20層、緑の文字盤
仕上げの美しいメタルブレスレットに通常バックルとダイバーズ・エクステンション・バックルも!
まとめ:コスパも優れ、高品質でスイス製…スイスの良心ここにあり
高品質、スイス・メイドをこの価格にできる理由は?+日本の読者へのコメント


Swiss Watch Companyとは



Swiss Watch Companyは1996年にStephen Roemer氏によって設立された、家族経営のブランドだ。

マーケティングの名の下に、社名に会社所在地とは関係ない国や地域の名前が付けられることも少なからずある。だがSwiss Watch Companyは正真正銘のスイスの腕時計ブランド。Swiss Watch Companyという社名はスイスの国家によって承認されているものなのだ。社名に「Swiss」と付けることを国が許可していた期間は過去に数年間しかなかったとのことで、スイスの腕時計会社で社名に「Swiss」と付いているものは同社しか存在しない。

スイスで生まれ育ったStephen Roemer氏は、時計のメッカとも言えるスイスのビール(Biel)で17歳より時計業界に入り活躍し、Swatchグループでオメガ、Longines、ティソ、RADO、ハミルトンなどの有名どころのために働いた経歴もある時計師だ。Swiss Watch Companyでは氏を筆頭に氏の息子達が脇を固める、昔ながらの家族経営の腕時計会社となっている。

同社は他社ブランド向けの腕時計製造OEMも請け負っており、様々なブランドへ米国海兵隊(The U.S. Marine Corps)の為に15年間ダイバーズウォッチを製造している実績もある。同社は2018年にはKickstarterでダイバーズウォッチのキャンペーンを成功させている。


豪華なキャリーケースをいざ開封!



外箱を開けると出てきたのはキャリーケース!


中心にはSwiss Watch Companyの社名とロゴが。


取っ手はフレシキブルで持ちやすくなっており、実用的だ。


開けるとこの通り!内部のスポンジ表面部は起毛加工されており、毛の一部が(セイコーSARB035の化粧箱内部とピローのレーヨン起毛のように)時計や保証書についてしまっているが、こればかりは価格帯の限界か。とは言えここまでのキャリーケースをこの価格帯で実現しているのは信じられない驚きだ。(気になる価格はレビューの最後で!)


保障カードはクレジットカードのようなしっかりしたプラスチック。レビューサンプルのため保障年数は書き込まれていなかったが、同社ウェブサイトによると保障は3年。保障カードには湾曲型スプリングバー!ストラップこそ付いていないが、普通に買うと高価な湾曲スプリングバーが付いているのはありがたい。(また、湾曲スプリングバーが付いてくると言うことは、時計ラグとケースの間の隙間は狭いということでもあろう。)


このケースは複層構造になっていて、上の層を外すと下層からは…ダイバーズ・エクステンション・バックルが!既に時計にはバックルが付いているのでこれはユーザーの好みや用途に合わせて付け替え可能なオプションとして付いてきている。


化粧箱が好みの方もおられるだろうが、化粧箱が置きっぱなしになってしまうのに対し、キャリーケースは実際に時計を持ち運ぶ際にも活用でき、実用性が高い。しかも上下層合わせて3つの時計、複数のストラップを収納できるほか、メッシュ部分にも小物が入れられるのも嬉しい。しかもメッシュ部のスライダーが時計に当たることのないよう隠れるのも細かい気配りだ。


AR5層コーティングに特徴的なセラミックベゼルのケース



こうして出てきたSwiss Watch Company、SWC Diver GREEN。316Lステンレススチール製ケースは径が44m(竜頭ねじ込み時ケース端から頭頂までは48.3)、厚みは13.2mm。同ケースサイズの一般的な腕時計と比較して、ラグからラグまでの長さが48mmと短め(42mm系のケースにはラグからラグが52mmのものが多い)。


風防はドーム型で、なんと5層もの反射防止コーティング(ARコーティング)が風防内側に施されている。ARコーティングは表裏両側に施されている場合に最も効果があるとされるが、表面に施されたコーティングは容易に削れ落ちてしまう。なのでそんなものは元からつけずに、内側のコーティングにより力を入れているわけだ。それでも、AR2層コーティング程度なら聞いたことがあるが、5層もコーティングしているのは凄い。


12角形に見える逆回転防止ベゼルは、この腕時計の見た目の大きな特徴となっている。オメガのシーマスターなどにも見られるこのベゼル形状は、円柱状のベゼルの端を均等に12箇所そぎ落とすようにして作られた形。これにより、ベゼルそのもの/ベゼルの側面にギア状の凹凸を付けることなく指でベゼルを回転しやくすなっている。


実は当初指が滑って「これちょっと回しにくいな」と感じていたのだが、それは側面がギアエッジとなっている他のダイバーズウォッチと同様に回そうとしていたからであって、窪みの形に指の腹を添わせて文字盤に対して45度くらいの角度時計中心に力を加えるようにして回転させるとスムーズに回せた。

この形状は間違って何かに触れて誤回転してしまうのを防ぐことができる。それだけでなく、「ベゼルの外側がギザギザしたいかにもなダイバーズウォッチ」と比較して、よりフォーマルな機会にも似合うスタイルとなっているのも利点と言えよう。


ベゼルインサートは円形であるが、ベゼル全体の形状が12角形であるために、インサートも角張っているような錯覚を覚える。


ベゼルインサートにはスーパールミノバ蓄光が丸くついた逆三角形。


そのほか、20、30、40、50分位置にアラビア数字インデックスがあるほか、他の10分おき位置にはバーインデックス、そして0~15分位置にはドットインデックスもある。


ベゼルインサートのインデックス以外の部分は艶消し仕上げで、インデックス間にはレコード状の溝が刻まれている。他方インデックスの天面部分は艶があり、そのコントラストが識時性を高めている。


竜頭はねじ込み式、側面にはギア状に溝が入っており、天面は艶消し加工の中に艶のあるロゴマークが浮き出る仕様。


ベゼルガードのカーブはセクシー。上のカーブと下の傾斜の形は異なり、横から見ても格好いい。


裏蓋はねじ込み式。


裏蓋には曲線を重ね合わせたパターンがシャープにくっきりと表現されている。その上には立体的に丸みを帯びた艶のあるSwiss Watch Companyの社名とロゴが。通常裏蓋の刻印はレーザーやエッチングにより施されるが、こちらは刻印よりも耐久性があり高級な油圧式プレスが用いられている。シリアルナンバーはレーザー刻印のようだ。


防水性能は30ATM、本格的な300m防水だ。しかも防水性能は腕時計一つ一つテストされているというので安心感がある。

ムーブメントはSellita SW200。26石、28,8000bph、パワーリザーブ38時間のスイス製自動巻き機械式ムーブメントだ。


スーパールミノバ20層、緑の文字盤



ベゼルインサートも緑であったが、このモデルは文字盤も緑。文字盤の緑の色合いとしては、濃い抹茶色という表現が近いか。分刻みの線と5分刻みのアラビア数字が記されるダイヤルリングは僅かに明るい緑。


時分針はソード型と呼ばれる、途中まで先の方が太く、先端は鋭角になるタイプ。長さ方向に沿って山折りとなっているので光を反射しやすい。中部分は途中ブリッジを挟んで(ブリッジも先端方向に向けて尖った形だ)中は蓄光材。

ダイバーズウォッチの中には時分針の先が四角く、尖ってないものも少なくないが、時間を正確に把握するという点ではこのような尖った先端の方が好ましい。


秒針は先端が矢尻状で、蓄光部がある。

文字盤の各時インデックス要素はダイバーズウォッチの典型とも言える逆三角形を12時に、3,6,9時に長方形、後は丸で構成されている。(グランドセイコー初のダイバーズをデザインした久保 進一郎氏のインタビューでは、国立研究開発法人 海洋研究開発機構の人によればダイビング中にヘリウム酔いなどで思考がはっきりしない中、識別できるのは、丸、三角、四角といった基本図形のみだと語られている。)


文字盤には、丸いインディクスの間に角を挟まれるようにして正方形が彫られ、正方形の中には縦方向に平行線が伸びる。



日付窓の横にもきちんと蓄光インデックスがある。

そしてこれらインデックスにはスーパールミノバ蓄光が20層も塗布されているのだ。Kickstarterキャンペーンページでは、10~20万円台の有名ブランドの類似性能のダイバーモデルと蓄光厚が比較されているが、他社製のものが0.15mm厚に対してSWC Diverの蓄光の厚みは倍の0.3mmとのこと。


まばゆい蓄光!


十分な光が当たっていれば、明かりの付いた部屋の中でも光って見える。モデルのカラーによって蓄光色も変えてあるようだが、緑のモデルはスーパールミノバC3、緑の蓄光色となっている。


(写真は最後に光を浴びてから6時間経過時に撮影したもの。これだけ時間が経過しながらもスマホカメラで写せる程度に蓄光しているのはなかなかのもの。)

フィンランドの暗い室内光の下で光を浴びての蓄光というあまり最適ではない環境でも、よく光る。当然ながら蓄光の明るさは次第に暗くなっていくものだが、最後に室内灯を浴びてから9時間後、部屋の薄明かりの中では蓄光しているのは判らなかったが、布団の中の真っ暗な状況に置けば十分識字可能に蓄光していた。


そして、今更繰り返すまでもないが「SWISS MADE」、生粋のスイス製腕時計だ。


仕上げの美しいメタルブレスレットに通常バックルとダイバーズ・エクステンション・バックルも!



22mm幅ブレスレットもこの腕時計で評価の高い点だ。


ステンレススチール製のブレスレットはソリッドな316Lステンレススチール製切り出しの3コマ式で、表面にはヘアライン仕上げと、艶出し仕上げが上品に施されている。

艶出し仕上げなのは中のコマの両サイド。中のコマは両脇よりも突出している。


側面と裏面は表面ほどの柔らかみのある反射は無いものの、ヘアライン仕上げとなっている。


コマ調節は片側からピンを押し出す方式。


Cリングタイプに似て、ピンと、真ん中のコマの中に入っているCリングからなる(Capsa pinsとも言うようだ)。セイコーSARB035もCリングタイプであったが、セイコーのCリングがとても小さく、真ん中のコマの片側に差し入れるものだったのに対し、こちらは真ん中のコマ端から端までの長さがある。Cリング、ピン共に、中央に溝状の窪みがあり、これが合わさって固定される仕組み。


Swiss Watch Companyはブレスレット調整には拘りを持っているようで、通常サイズのコマの他、半コマサイズのコマも二つついてくる。


通常のバックルはバックル両サイドをプッシュして開ける三つ折れ式。


ロゴと社名の刻印されたバックルの外側に来る面はとても小さくなっており、全体のスタイルを損なわない。


バックル開閉機構の根元部分には、安いメタルブレスレットのバックルでは見ることの無い追加の可動部が存在し、脱着感も心地よい。


(調整中だったので仮止めしているのでピンが少し出ている。)

手首径16~17cmの私の場合、この標準装備のバックルでは5.5コマ外して丁度よかった。


内側には「REGISTERED DESIGN 2018」、「STAINLESS STEEL」、「DIVER EXTENSION」と記してある。こちらはエクステンションバックルではないがここに「DIVER EXTENSION」と記してあるのは、当初このモデルに予定されていたダイバーズ・エクステンション用のバックルであったため。結局品質が期待にそぐわなかったためこのダイバーズ・エクステンションは取りやめになり、バックル部分のみが活かされているのだ。Kickstarterアップデートにその経歴が記してある。



もう一つ付いてくるのはそれを受けて新規採用されたダイバーズ・エクステンション・バックル。ダイバーズ・エクステンション・バックルは工具無しですぐにブレスレットの長さを調節できる機構のついたもの。


元の位置の状態も含めると5段階に可動し、最大で12.5mmほど延長される。こちらにはマイクロアドジャストが一つある。


エクステンション・バックルはそれ自体が48.1mmと長さを持っているため、通常バックルよりも多くのコマを外さなくてはいけない。


このバックルのマイクロアドジャストは、短い設定では隣接するバックルコマが固定されて動かないが(左写真左端部分)、長い設定にするとこのコマが回転するようになる(右写真同部)。


バックル自体は両サイドプッシュ式の三つ折れ式。

はじめは「別に潜らないからエクステンション・バックルなんて要らない」と考えていたが、肌が汗ばんできたときや手首が僅かにむくんできたとき(?)などにあると助かる機構だ。レザーストラップではそんな状況でも工具無しで簡単に長さを変えられるのに、通常のメタルブレスレットのバックルではこんなときに工具がないと微調整はできず、結局腕から外したりしないといけない。それを解決してくれるのだ。


私の場合、外せるコマは全部外して、マイクロアドジャストで長い方の設定にすると丁度よくなった。


(上が通常のバックル、下がエクステンション・バックル。内部構造の形状やカーブも異なるのが判るだろう。)

ただ問題としてはエクステンション機構自体が長いため、手首が細い人には向かないということか。日本人男性として平均的なサイズ(出典は忘れたが以前調べたところ16.5cmだったと思う)であるはずの16~17cmの私の手首でコマを全部外してようやく付けることができるのだから。また、このようなサイズギリギリでの装着は、少し見栄えが悪い。それでも汗ばむときなど便利なのでダイバーズ・エクステンション・バックルをつけて使用しているけど。


ストラップ自体は付いてこないが、付属の湾曲スプリングバーを使えばNATOストラップなどに付け替えて楽しむこともできる。写真はVARIO社のコーデュラ製パススルー式NATOを取り付けたもの(セイコー・アルピニストSARB017に色々ストラップを付ける記事でちらっと紹介したもの)。


まとめ:コスパも優れ、高品質でスイス製…スイスの良心ここにあり



一目見ただけでクオリティーの高さが伝わってくる類いの時計だ。

細かく見ていけば、ケースとブレスレットの表面仕上げの美しさ、独特なセラミック製のベゼルインサート、0.3mmのスーパールミノバ、300m防水、5層の反射防止コーティング、通常バックルにダイバーズ・エクステンション・バックルも付いてくる。これだけの品質、機能を備えながら、価格は僅かに495ドル(記事執筆時レートで約5万5000円)。しかも送料は無料だし、何度も言うけどこれはスイス・メイドなのだ*。購入はSwiss Watch Companyのウェブサイトから可能。

ゴツい見た目のダイバーズウォッチを求める人には勧めることはできないだろう。しかしユニークなダイバーズウォッチを求める人や、ダイバーズウォッチにドレッシーさを求める人には大いにお勧めできる。加えて、防水性能や暗闇での識時性などダイバーズウォッチの実用部分を求める人にとっては価格の面でもとても魅力的な選択肢だ。


特に品質と価格を照らし合わせたコストパフォーマンスの面では大手ブランドでもなかなか作ることのできないものに仕上がっていると言えるだろう。質の高い腕時計をつくり、しかしブランド名で高く売るのでなく、手頃な価格で販売するというSwiss Watch Companyの姿勢は、まさに「スイスの良心」と言うことができるだろう。


Image courtesy of Swiss Watch Company

SWC Diverコレクションは今回レビューしているグリーンモデルの他にも、在庫があるものではホワイトモデルとブルーモデルも存在する(記事執筆時点ではブルーモデルは売り切れているが、1週間程度で在庫が戻るとのこと)。このほか、SWC Diverコレクションにはクロノグラフモデルも用意されており、そちらはムーブメントにETA 7753 Valjouxが採用されている。

SWC Diverコレクションのそれ以外のモデルは再販はないとのことだが、今年内にDiverコレクションの後続コレクションとなるVersion 2がリリースされるとのこと。それだけでなく、Swiss Watch Companyは今後Diverコレクションとは大きく異なるスポーツウォッチコレクションも近日アナウンス予定。そしてドレスウォッチも現在開発の初期段階であるそうだ。

これまで1万円から30万まで様々な価格帯のマイクロブランドの腕時計をレビューしてきたが、この価格帯でこのクオリティーの高さを実現しているブランドはかなり希。今後Swiss Watch Companyが送り出すコレクションにも要注目である。

*スイス時計協会は2017年より、「腕時計におけるSwissの名称の使用を規制する法令」を改正、時計の製造コストの60%以上に当たる部分がスイスで造られねば「Swiss Made」と呼ぶことはできないという厳しいものにしている。


高品質、スイス・メイドをこの価格にできる理由は?+日本の読者へのコメント



だが一体どんなスイスの黒魔術でこの価格を実現しているのか?Swiss Watch CompanyのJosh Roemer氏に尋ねてみたところ、これは同社創設者でありJosh氏の父親であるStephen Roemer氏の経歴にあるという答えが返ってきた。

長年Swatchグループで品質管理と製造の監督を行った経歴に加え、20年間大小様々なブランドの製造に携わってきたJosh氏。そして時計業界での30年の経歴以上に、その間築き上げてきた製造業者とのかけがえのない信頼関係もある。これらの利点があってこそ実現できているクオリティーと価格であり、これが他ブランドの持ち得ないSwiss Watch Companyの大きな強みとなっている。

最後にSwiss Watch CompanyのJosh氏から、日本の読者の皆様にコメントを戴いているのでご紹介しよう。

私たちは時計業界の最善を求めている家族経営の会社です。苦労して稼いだお金に見合う価値のある、一生涯楽しむことのできる腕時計を生み出すため全力を尽くしています。腕時計コミュニティーの皆様と繋がりたいのでいつでもお気軽にお声をおかけください。「日本語でも いい」

なお最後の括弧内は原文ママ。Swiss Watch Companyでマーケティングを担当するJosh氏は日本に住んでいた経験もあり、日本語もできるのだ。Josh氏の仰るように同社に興味を持った方はSwiss Watch Companyのウェブサイト同社のInstagramなどからコンタクトを取ってみると良いだろう。


Source: Swiss Watch Company, Kickstarter, Seiko

(abcxyz)

フィンランドの手袋ブランドSAUSOで自分デザインのカスタム手袋を作ってもらった!

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昔から市販の手袋が手に合わなくて困っていた。今回1920年代から続く家族経営のフィンランドの手袋ブランドSAUSOで、カスタム手袋を注文してみたのでその過程と、できあがった手袋をご紹介したいと思う。

フィンランド産のヘラジカ革と、自分の好みの手袋デザインとが一緒になった素敵な手袋に仕上がった。



もくじ


1929年から続くフィンランドの手袋ブランドSAUSO
問題:市販の手袋がフィットしない
結論:手袋をカスタム注文
細部に悩む
そして完成した手袋!
まとめ


1929年から続くフィンランドの手袋ブランドSAUSO



フィンランドの首都ヘルシンキ中心に店舗を構えるSAUSO(サウソ)。1929年にSvante Sauso氏により設立された家族企業で、現代三代目が後を継ぎ経営している。

当初は音楽家ジャン・シベリウスを始めフィンランドの芸術家達が住んだ地域としても知られるJärvenpää(ヤルヴェンパー)で手袋が作られていた。しかし最後の革職人が1989年に引退。その後は、デザイン、開発、マーケティング、販売はヘルシンキで行い、製造のみが欧州でも高品質な手袋のメッカとして知られるハンガリーのペーチュ(Pécs)に移された。(上の写真にもあるように、SAUSO製品には「Design From Finland」マークも付いている。)

今もフィンランドの有名人達が愛用するブランドだ。


問題:市販の手袋がフィットしない


もともとブログで書くつもりはなかったのであまり詳しく記憶していないが、カスタム注文までの一連の流れを書いてみる。


(*写真はこれまで使っていた別ブランドの手袋)

これまで手袋を買うときに、サイズがピッタリのものがなかなか見つからずに苦労していた。大体のサイズは7.5のものが合うのだが、指が長いため指又のところが窮屈だし、見た目的にも不格好だった。

更には手のひらの下の部分も長いのか、手のひらの付け根部分や手の甲の終わりがちゃんと隠れてくれない手袋もあった。

加えて、フィンランドの冬は寒く、南にある首都ヘルシンキでもマイナス20度とかになることもある。そうなると上の写真のような薄手の手袋をしていても寒い(元々秋春用に購入していたものではあったが)。


SAUSOの店舗がFORUMショッピングセンター裏にあることは数年前から気付いていて、前々から行ってみたいとは思っていたのだが、なかなか行く機会がなかったのだ。だがちょうど冬が来るタイミングで今年こそ手に合った手袋を購入しようと思い立ち、SAUSOに赴いた。当初はカスタム注文なんてどうせ高いだろうし、店にある手袋でサイズが合えばそれを買おうか、と考えていた。


結論:手袋をカスタム注文



そんなこんなでまず店舗に赴いた。店舗には多数の手袋が並ぶ。冬物だけでなく、夏でも使えるようなもの、スポーツやお洒落な機会に着用するものなどもある。

SAUSOが扱うレザーは、ヘラジカ、トナカイ、鹿、ペルー産のペッカリー(猪に似た動物で、和名をヘソイノシシとも)、エチオピア産のヘアシープ、など。このうち、ヘラジカ(の一部)、トナカイ、鹿はフィンランドで採れたレザーが使用されている。それぞれに滑らかさや耐久性、そして見た目なども異なり、特徴があるレザーだが、店員さんは親切に英語で説明してくれた。


(SAUSOのヘラジカ革手袋のマクロ写真)

価格は男性用の手袋だと100から300ユーロ程度だ。

一応店員さんにカスタム注文について色々質問したところ、使用する革やライニング(裏地)にもよるが200ユーロ程度で可能だという。カスタムにするときっともっと高く付くと思っていたので嬉しい驚き。購入を検討していた手袋も150ユーロ程度だったので、どうせならとカスタム注文する事にした。

私は手元に作業用手袋がないが手に危険が及びかねないことをする際には躊躇せずに手袋を使う(急に荷下ろしや設営の手伝いをしないといけなかったりとか、急な現場での除雪とか、そんなときに怪我をするよりは高価でも手袋があるのであればそちらを犠牲にすべきだ)。それもあってこれまで結構過酷なコンディションで手袋を扱ってきたこともあるため、なるべく耐久性の高いレザーを使いたいとは考えていた。暫く前にフィンランドのマイクロブランドAARNIの腕時計レビューに書いたように:ヘラジカ革は、耐久性が高く、柔らかい。また、様々な気候状態や湿度に対する耐性も他のレザーよりも高いため、ヨットの舵輪などに用いられる。


そしてフィンランドのヘラジカ革ならよりフィンランドの気候に適していることだろう。SAUSOで扱うヘラジカはフィンランド産のものと北米産のものがあるとのことだったので、フィンランド産のものの在庫を確認してもらうことにして、この日は手形をとってもらって店舗を後にした。

手形は紙に鉛筆で、確か左手の手形をとった用に記憶している。左右の手の形状が異なるのが気になれば、両手の手形を取ることも可能だ。


デザイン自体もカスタム可能



(最終確認用に適当に描いたスケッチ)

その後フィンランド産のヘラジカ革の在庫を確認してもらったり、何色があるか確認してもらったり、詳細は店舗に行ったりメールでのやりとりをしたり、両方で行った。店員さん達には色々ご迷惑をおかけしたと思うが、最後の最後まで丁寧に接客してもらえた。

ライニング素材は、100%ウール、100%カシミア、55%カシミア+44%ウール、の3種類から選べる(価格も微妙に異なる)。これにも結構悩んだが、混合素材を選択。

カスタム注文にする際には、どのようなスタイルがいいのかSAUSOのウェブサイトに掲載されているものから選ぶのだが、個人的にはどれも完全にしっくりとはこなかったので更なるカスタムをさせてもらった。なおデザイン部分もカスタムすると追加料金が発生する。


SAUSOが店舗で扱うヘラジカ革の手袋は、どれも縫い合わせ部分で革の切断面が外に出るものだった。これはヘラジカ革が分厚いためこのようなデザインとなっているのだが、個人的に美しくないと感じたので(だってそんなの作業用手袋みたいじゃないか)、ヘラジカ革で縫い目が内側にくる(インナーシーム)縫い方にできないかと尋ねた。不可能であれば別の革にするつもりだったが、嬉しいことに可能とのこと。

最終的にはこのような注文に:

・フィンランド産のヘラジカ革を内縫いで
・明るめのブラウン色
・カシミア+ウールブレンドのライニング
・手の甲側にはデコレーション無し(手の甲部分に線が入っているものなど、何か意味があるものかと思ったら、特に意味はないそうだ)
・完全に手首が隠れる長さ
こちらのモデルのようなレザーで覆われたボタン付きに

価格は私の場合(レザーやライニングなどで金額が変わるのでこれはあくまでも一例だ):
・素材(レザー、ライニング、レザーで覆われたボタン):169ユーロ
・新規デザイン:90ユーロ

の合計259ユーロだった。支払いは店舗でも銀行振り込みでも可能だった。


そして完成した手袋!


カスタムなので仕上がるまで4週間ほどかかるとのことだった。支払いしたことをSAUSOに通知するのを1ヶ月間自分が忘れていたので、実際に支払いが確認されてからどれだけ掛かったのかははっきりしないし、フィンランドでは大きな休みであるクリスマス時期も挟んでいるので、実際にどれだけ時間が掛かるかは私の例はあまり参考にならないかもしれない。だが12月6日に入金し、通知し忘れたのをこちらが思い出しメールした1月17日には、既に入金は確認済みで、手袋も完成しており、次のバッチで店舗に送られてくるとの返事が同日あった。店舗に届いたという通知があったのは1月28日のこと。


そしてできたのがこちら!


縫い目が外に出ないインナーシーム!


ちゃんと指が長い!


この写真では市販されていた他ブランドのふたつの手袋と比較している。どれも一番左に人差し指が見える状態となっているが、一番手前のSAUSOのカスタム手袋の人差し指が長いのが判ることだろう。

もう一つこの写真で判るのは、他の2手袋が平たくなっているのに対し、SAUSOカスタム手袋の立体感だ。真ん中の手袋もSAUSOのカスタム手袋も、共に羊毛系のライニングが入っているのだが、SAUSOのカスタム手袋はレザー素材が厚いこともあり(新品であるためでもあるかもしれないが)立体的な形状を保てている。


ちゃんと手のひらの終わりまで生地があって、その下できゅっと締まってる!これまで親指の付け根まで手袋生地が足りないものが多かっただけに、これは感動!やっぱりカスタム手袋は良い!


ボタン!ボタンは開けると手元が広くなり着脱しやすくなる。ボタン内側は金属面が出ているので腕時計の上から付けると、金属面が時計に触れあってしまう。ここは考慮できなかった私のミスだろう。後で自分で内側に革を張ろうかと思う。


コートと共に着るとこんな感じ。手首の部分がちゃんと隠れるのは良い。


手首側に長さがあるので、大きすぎない腕時計であればほぼ完全に隠すことも当然できる。


時間が知りたければ手袋の裾をめくり上げればよい。


腕時計を上に付けるとこんな感じ。腕時計を衣類の上に着用するファッションスタイルを嫌う人も少なくないことは知っているが、実用面ではありだろう。これはセイコー・アルピニストSARB017にレザーストラップを付けた状態だが、このような着用法であればNATOストラップの方が適しているだろう。


まとめ


手袋のカスタム注文なんて高いだろうと思っていたこと(しかもフィンランドのレザーだし)もあり、これまで考えて見たこともなかった。追加料金が掛かったものの、細かくカスタムできたのも嬉しいし、最終的にかかった料金も思ったよりも安く済んだのは嬉しい。

お店に行ったりメールをしたりして、SAUSOの店員さん達には沢山質問を浴びせかけたが、いつも親切に回答してくれたことも嬉しかった。

カスタム注文はハードルが高くとも、店舗には多数の魅力的な手袋があるし、ヘルシンキ中心に位置しているので、フィンランドへ旅行の際には覗いてみると良いだろう。

 

写真左は男性に人気のモデル群、写真中央は女性に人気の手袋。写真下のようにベイビーシューズや小さめのポーチなども扱う。


ウェブサイトからもSAUSOの製品を注文でき、国際発送もできる。実店舗を訪れたいという方は、住所は「EERIKINKATU 1 00100 HELSINKI」。こちらのGoogleマップを参考にされると良いだろう。




Source: SAUSO

(abcxyz)

フィンランドの時計ファンも大興奮!ヘルシンキで行われたグランドセイコー60周年イベントに行ってきた!

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去る1月31日、フィンランドの首都ヘルシンキのRautatalo(ラウタタロ)で日本の誇るグランドセイコーの60周年イベントが行われた。ご縁があって私も招待戴くことができたので、ここにその記録を記そうと思う。



もくじ

アルヴァ・アールト設計の会場
セイコースタイル:SBGJ201と44GS
祖父との思い出:SBGA211スノーフレーク
グランドセイコー60周年モデルSBGH281
フィンランドのグランドセイコーファンからの質問
生ドローイング、抽選会、60周年モデル
フィンランドのファン達が大いに楽しめたイベントに


アルヴァ・アールト設計の会場



会場となったのは、有名デパートStockmann(ストックマン)の向かいにあるRautataloはフィンランドの有名な建築家でデザイナー、Alvar Aalto(アルヴァ・アールト)設計で1955年築の建物。その2回にはMarmoripiha(マルモリピハ/大理石の庭)という開けたカフェ空間がある(建物内の中庭的な雰囲気だが、あくまでも名称は「庭」である)。ここには当初Artek(アルテック)が存在したことでも有名であるが、現在はArtekは隣の建物に移っており、Marmoripiha部分は昼のみ営業するランチカフェがある(残念なことに現在Marmoripihaはデンマークのアントチェアに支配されている。アールトとArtekの歴史があるにもかかわらずもったいない限りだ)。


Rautataloに入ってすぐの階段を上るとガラス張りの区切られた空間が目前に現れる。これがMarmoripihaだ。床と壁はアールトの好きな大理石で張られており、数回分の吹き抜け空間と、点状には(これもアールト建築の特徴である)天窓がある。普段Marmoripihaは大理石の色でモノクロームな雰囲気なのだが、今回は照明によりグランドセイコーのブランドカラーのブルーに照らされていた。


イベント開始前から、フィンランドの琴演奏者Minni Ilmonen氏による琴の演奏が行われており、その音色が会場に響く。

来場できるのはVIP招待券を持つ者だけで、Marmoripihaの入り口でこれを提示して、コートを預かってもらう。それとともに数字の書かれたクジと、トウヒでできたスパークリングワイン(アルコールフリー)を渡された。


会場左側には既存のグランドセイコーモデルが並んでいる。着用可能なものの他、グランドセイコーの歴史的なモデルの展示も。


こういう小さなタパス的な食べ物も。日本料理ではなくフィンランド的な食べ物ばかりだったが。


イベントが始まるとMinni Ilmonen氏の演奏と、(SEIKOのフィンランド代理店Perkkoのセールスマネージャーであり)SEIKOのフィンランド担当者であるJari Mantila氏の挨拶が。彼は実はノルディックスキー選手としてオリンピックのノルディック複合団体で2002年金メダル、1998年銀メダルを受賞しているというマルチタレントな方。

続いてドイツ・セイコーの方が挨拶。フィンランドもドイツ・セイコーの管轄下に入っているようだ。在フィンランド日本大使館とJetroの方の紹介もあった。

グランドセイコーの歴史が説明された後は、グランドセイコーデザイナーの久保進一郎氏がグランドセイコーのデザインに関するプレゼンテーションを行った。通訳を担当したのはフィンランド在住で自身もデザイナーである遠藤悦郎氏。


セイコースタイル:SBGJ201と44GS



一番印象に残っているモデルとして「SBGJ201」が挙げられた。これは、雫石高級時計工房の窓から見える岩手山の冬景色を文字盤に表現したモデル。そして、時計の精度で世界を驚かせたセイコーが、日本らしさを表現した「セイコースタイル」というデザイン文法を確立した1967年のグランドセイコー「44GS」を新たに蘇らせたモデルでもある。


この「セイコースタイル」のくだりはグランドセイコーのウェブサイトで詳しく紹介されているのでそちらをご覧戴くと良いだろう(プレゼンテーション中に出た画像もページ中のものの英語版だったし)。


デザインは平面か二次曲線から始め、極力多くの平面で構成、そして平面を極力歪みなく平らに作るという拘り。針やアワーマーカーは極めて平らに造られているため、(多面カットも相まって)僅かな光でもとても良く反射し、可視性が高いこともグランドセイコーの見所である。この部分はステージ上で絵を描きながらの説明であった。


44GSも職人の手によるザラツ研磨により日本的な(障子や屏風の生み出すような)光と闇のグラデーションが表現された。しかし人の手でやるからこそ失敗することもあり、ケース形状も職人泣かせのデザインとも言われた。CNCなどの技術が発達した今でもこのザラツ研磨手法は職人にしかできない、グランドセイコーの拘りでもある。


SBGJ201は自動巻きであり、精度の向上もあったりと、手巻き式であった44GSと比べ分厚くなった。これをなるべく薄くするため、薄く見せるためのケースの工夫もあった。平面的に考えられていたデザインを立体的に考えるなどの工夫だ。


ザラツのかけ方も、従来は横からかけていたのを、初めて斜め上からかけるという「コロンブスの卵」的な発想を効かせて立体的に処理がなされた。

様々な工夫もあり、50年前に確立された「セイコースタイル」は、2014年ジュネーブ時計グランプリGPHGで「Petite Aiguille」(小さい針賞)を見事受賞(SBGJ005)。時計のメッカであるスイスにセイコースタイルが認められた時だった。




祖父との思い出:SBGA211スノーフレーク


スノーフレークの相性で知られるSBGA211には個人的な思いが強いと語った久保氏。彼自身の祖父との思い出がきっかけとなったモデルだからだ。

祖父は苦労した強い人だった。一方幼い頃の久保氏は絵ばかり描いている子供だった。寒い冬でも家の暖かい部屋で絵を描いていたが、彼の祖父は外で遊んで欲しかったようだ。

綺麗な景色を見せるから付いてこいと祖父に言われたのだが、寒いのが嫌いな小学生時代の久保氏は行きたくなかった。しかし怖い祖父だから渋々付いていった。

久保氏の故郷は雪国で、雪なら家の近所でも見れるのだが、祖父は山の上へ上へと登っていった。何を聞いても答えてくれないまま、1時間ほど山道を一生懸命ついていった。

そして立ち止まって見せてくれたのが、荒々しい雪景色であった。降ったばかりの柔らかな雪ではなく、雪が凍って固まったような、ブリザードが吹いたような荒々しい雪景色であった。

この幼少期の記憶は大人になって暫くは忘れられていたのだが、塩尻の工場(信州 時の匠工房?)に通うようになり、現地の山の景色でこの思い出が蘇り、SBGA211に再現されるに至ったのだ。

いろんなことを経験して理解するようになって、そうしてはじめて判る美しさ。それがスノーフレークに映し出されている。

しかしこの雪景色を生み出すのには、白い塗料を使っては台無しになる。白い塗料を使うこと無しにこの景色を生み出すために、銀と光の乱反射によって雪のような文字盤が生み出されている。




グランドセイコー60周年モデルSBGH281



ヘルシンキでのイベント前日に発表されたばかりのグランドセイコー60周年記念も出るSBGH281に関しても話を聴くことができた。

これはシンプルな中に強い思いが込められたモデルで、グランドセイコーのブランドカラーであるロイヤルブルーが使われている。この色は特別モデルにのみ使用される色だ。

60年は日本では「還暦」にあたり、人の一生が完結する60年、そして新しい60年が始まる、という終わりであり、スタートでもある存在。

この新たなスタートの象徴は、情熱の色でもある赤として、時計の中で最も動く針である秒針に用いられている。

そしてグランドセイコーのマーク「GS」は登る日の出をイメージしたゴールドカラーに。サンレイダイヤルとなっているが、通常サンレイの中心は文字盤中心だが、ここでは太陽を象徴するGSマークの位置を中心としたサンレイダイヤルとなっている。


フィンランドのグランドセイコーファンからの質問



プレゼンテーションが終了して質疑応答の時間も設けられた。

Q:時計が形になるまでに掛かる期間はどれくらい?
A:短いもので1年、長いもので3年以上

Q:スプリングドライブモデルではパワーリザーブ針が中心からずらした位置にあり、シンメトリーを壊していると思うが?
A:大陸型デザインと日本型デザインの違い。日本では3:7など、シンメトリーを少し崩したものに美しさを感じるところがある。なのであえて7時位置に廃している。

Q:デザインに技術的な制約はどれだけあるのか、それともデザインを優先し技術を合わせるのか?
A:皆さんの想像以上に技術的な制約が大きい。時計のパーツは非常に小さく、加工に難易度が高いためデザインが難しい。例えば5面ダイヤモンドカットされた針。これは22/100mmの金属をダイヤモンドカットしている。金属なのでカットするには力が掛かり、普通にやると金属が曲がってしまう。一カットでも曲がるものを一部品に5カットも施すのは他では真似できないところでもある。

Q:デザインが完成したとどの時点で判るのか?
A:20年以上デザインしているが、時期によって異なる。最初の5年は試作品ができて「量産できるぞ」となったときが完成と感じていた。その後経験と知識が付いて「これはいいぞ」という瞬間が前倒しされてきた。今では絵が描けた瞬間「これいいぞ」と感じ、それが完成したとき。でも今は若い人のスーパーバイズをしているため自分で書くことが少なくなって残念。

Q:GMT24時間針がモデルによってマットであったり色がきらびやかだったりするのはなぜ?
A:デザイナーが時間の感じ方をどのように考えているか、客がどういった時間を過ごしたいか考えて、異なるものに。正確な時、情熱の時、などその考え方により違う。グランドセイコーのデザインは極端なデザインをすると「らしさ」がなくなってしまうのでその兼ね合いも難しい。

Q:ザラツ仕上げは造形を考えるときどんな影響が?
A:平面で考えるのはとても難しい。ザラツが綺麗に当たる面を考えるのは更に難しい。ザラツの得意な点は、捻って研磨することで光と影が再現できること。この制約を頭で加味しながら造形を作るのは難しいこと。先ほどの針の話もそうだが、それを加味した上でどういう造形にするか神経を注ぐ。

Q:どのような教育を受けて、セイコーではどのような経歴をお持ちか?
A:高校の時からアーティスト・陶芸家になりたいと。しかし日本だとそれでは食べていけない。なので多くの人は学校で教えながらそのような道を歩むが、自分は一つのことに集中したかった。そのため会社でデザイナーになると決意。なかでも時計に入ったのは、チームでデザインする車や家電と異なり、最初から最後までほぼ一人でデザインできるから。そこに強い魅力を感じ時計デザインに。それ目的でセイコーに入ったので入ってすぐにデザインを。今になって自分の最初のデザインを見ると笑っちゃう。時計デザインは沢山やると知識も付いて上達する。


生ドローイング、抽選会、60周年モデル



その後久保氏は会場前方で生ドローイングを開始、同時に会場では60周年モデルも触れるようになっていた。


くじ引き抽選会では、最初に受け取ったくじに書かれていた番号が読み上げられた番号と一致すると久保氏の描きたてほやほやの生ドローイングを貰えることに。招待客の女性に当選、とても嬉しそうであった。


60周年モデルに関しては結構人だかりができていたので写真を取り忘れてしまった(笑)。(やはり日本人として日本関連のイベントに出席できるのは喜ばしく思うと同時に、本来の対象である現地の人にこそ日本のものを楽しんでもらいたいと感じるので人だかりがあると躊躇してしまう。)


かろうじて60周年モデルのエレガンスコレクション レディスメカニカルモデルSTGK015は撮っていた。


フィンランドのファン達が大いに楽しめたイベントに



(写真はプレゼンテーションが終った直後、ステージ側から会場を眺めた様子。右側に人が集まっているのはそこで腕時計が展示・試着可能となっているから)

フィンランドの腕時計ファン、そしてセイコーファン達も多く来ていたこのイベント、私が話をした招待客は皆このイベントを楽しんだと話していた。フィンランドと日本は飛行機の直行便が出ているとは言え、そしてフィンランドでもSuomen Kultakelloがグランドセイコーの正規取り扱い店となってはいるので腕時計は手に入るとは言え、実際にグランドセイコーのデザイナーの話を聴き、質問までできるという機会はまず無い。わざわざフィンランドの時計愛好家達のために日本からグランドセイコーの方々が来てくれたという嬉しさも感じられた。ある招待客は「パワーリザーブが中心からずれた位置にある事に関してはファンの間でも気になる声が上がっていたこと。デザイナーから回答が聴けて良かった」とも話していた。

フィンランドには実はセイコーファンのFacebookグループがあり、招待客の少なくない割合がそのグループ参加者であるのも興味深いところだった。なので会場でも所有するグランドセイコーを着用して知り合いのメンバーと共に皆でwrist shot(時計を着用した手首を撮影すること)を撮ったりする人々も。


招待客の中にはグランドセイコーを所有しない者もいたが、その一方ではグランドセイコーを複数本持っているファンも少なからずいたようだ。あるファンは60周年記念モデルに関しては「実物はやっぱり綺麗だけど、赤い秒針も素敵だけど、でももうグランドセイコーの青文字盤のモデル持ってるし、ハイビートムーブメントのも持ってるから今回はパス。別に買いたいグランドセイコーモデルがあるからお金貯めているところだし」とも語っていた。一方別のファンは、「前から気になってたけど、今回の話を聴いてやっぱりデザイナーの個人的な思いも強いスノーフレークが買いたくなった」とも語っていた。

グランドセイコーのデザイン文法、モデルのコンセプト、客を想定した要素…など時計をデザインするデザイナーの視点も多く聞くことができた今回だが、コアなファンになると「この色、このムーブメントは持っているから買わない」という考え方も出てくるあたり、腕時計を作(り売)るのはやはり多面的な難しさが存在するようだ。


日本もフィンランドも正確性や技術を重んじるところがある。それもあって他国のマーケティング力で売る高級時計ブランドなどと比べて、長く培ってきた知識と技術により正確で、そして美しい時計を生み出す日本のセイコー、そしてその一つ上のレベルのグランドセイコーがフィンランドの腕時計ファン達に愛されている。これはフィンランドの腕時計ファンと会話すれば必然的に聞くこととなる内容であり、ある意味ブランドという表面製よりもその下の実用性を求める国民性の表れであろう。

なおヘルシンキでのイベントの前日はドイツで同イベントが行われ、今後欧州各地で同イベントが行われるそうだ。グランドセイコーの皆さんタイトなスケジュールでお疲れを出されませんように。


Source: グランドセイコー

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緑に金がお洒落なカヴェコ・クラシック・スポーツ万年筆モデル

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今回はお洒落で持ち運びやすい万年筆、ドイツのカヴェコ・スポーツシリーズから、緑に金のロゴが美しいモデルをレビュー。




もくじ

1883年生まれのドイツブランド
シンプルな開封の儀式
収納時コンパクト、展開時は書きやすいキャップシステム
素敵なペンクリップは別売りです
書けないんだけどどうすれば…?使い方説明
まとめ



1883年生まれのドイツブランド




カヴェコの公式ウェブサイトによれば、同社は1883年ドイツ、Heidelbergで木製のディップペン会社「Heidelberger Federhalterfabrik」として創業した。「Kaweco」という名称は同社の製品ブランド名として1889年には存在したようだ。現在の円の中に「KA」、「WE」、「CO」と書かれているロゴが登場するのは1930年のこと。第二次世界大戦中にはほぼ完全に製造が停止されるが、終戦間もない1945年10月30日には操業再開。

カヴェコ・スポーツは1911年に、収納時は長さ僅か10.5cmのコンパクトさ、書くときには13cmになるという利便性を持ったな万年筆として生まれたもの。当時は、淑女、士官、スポーツマンに向けてアピールされていた。

日本でカヴェコを販売するプリコ株式会社によれば、カヴェコは1976年に一度幕を閉じるている。しかしカヴェコ公式によれば1994年にh&m gutberlet gmbhが「KAWECO」の名称を取得、1935年のデザインを元にカヴェコ・スポーツを復活させた。なおプリコによれば現行のカヴェコ・クラシック・スポーツ(今回レビューしているもの)は1972年のミュンヘン・オリンピックの公式ペンとして販売されたものの復刻版とされるが、写真を見る限りは完全復刻ではなく、ぱっと見でも細部は異なる。

*ミュンヘン・オリンピックの公式ペンとして販売された当時の2本収納できてアミュレットも付くペンケースは復刻版が再販されている。




シンプルな開封の儀式



箱はペンにぴったりのサイズの紙箱。


こんなプラスチックの袋に入って出てきた!

なお、カヴェコ・クラシック・スポーツの中でもカリグラフィー用のニブ(ペン先部分)セットのものはかっこいいレトロ風缶ペンケース入り。




収納時コンパクト、展開時は書きやすいキャップシステム



ペンキャップの部分は、円柱が8角形になるようそぎ落とされたような形をしている。このお陰でペンが転がっていくこはない。収納時は実測長さ僅か10.6mmのコンパクトさ。

ペンキャップ側面にはホットスタンピング(hot foil stamping、薄い金属膜を熱転写する手法)で「Kaweco Sport」と記されている。


キャップトップも同じく金色。前述の三分割のロゴが立体的に表現されている。


本体の後ろ側は「made in germany」(メイド・イン・ジャーマニー)とドイツ製をアピール。


キャップはねじ込み式で、1.4回転ほど回すとキャップを外すことができる。


キャップは後ろ側に押し込んで固定(こちら側はねじ込まない)。すると13.2mmと書くのに丁度よい長さに。


ニブは金メッキが施されたスチール製。購入したのは「F」(細字)のニブ。


素敵なペンクリップは別売りです



なお今回は別売りのクリップも購入。ペンのキャップに取り付けて使う。


実売価格880円ほどで、本体価格と比べれば高い気もするが、カヴェコのロゴや「since 1883」、「GERMANY」などの刻印はきちんと入っている。


ペンキャップ自体にクリップ装着部分はないが、クリップがキャップと同じ8角形型をしており、これが締め付ける感じで装着される。


キャップに巻き付くクリップ部分がキャップ長さ方向に対して少し斜めになってしまっているのはクリップが押さえつける構造上仕方ないか。でもペンのスタイルにも合う素敵なクリップだ。

クリップがある分、スポーツの小ささが犠牲になるが、クリップの利便性も捨てがたい。そんなすぐに脱着できるのは嬉しいところ。



今回購入したのはゴールド色のものだが、シルバー、ブロンズ、ブラックも存在するのでペンの色に合わせて好みのものを選ぶと良いだろう。


書けないんだけどどうすれば…?使い方説明


説明書もなにも付いていないので、買ってそうそう書けなくて困られた方もおられるかもしれない。これはインクが漏れたりするのを防ぐために、インクの入ったカートリッジがまだ装着されていないからだ。


カートリッジは本体内部に収納されている。本体のペン先近いくびれている部分と、本体の他の部分を回すとこのように分割できる。


ペン先側の内側はこのようになっている。


カートリッジは、片側が平べったく、もう片側はこの写真のようになっている。こちら側を先ほどのペン先内側にしっかり押し込む。数分待って紙に書いてみればインクが出てくることだろう。



一応カヴェコの公式YouTubeチャンネルで、カートリッジの付け方と、クリップの付け方が紹介されているのでその動画も張っておこう。

カートリッジはブルーブラックが一つ入ってきたが、もっと欲しい方は6カートリッジセットや様々な色のセットなども売りだされている。



自分の好きなインクを使いたい場合や、使い捨てカートリッジはもったいないという方は、KAWECO カヴェコ プレート式コンバーター (スポーツ用)やカヴェコ ミニコンバーター2を使うのもよいだろう。



コンバーターは、このようなボトル入りの万年筆用インクを汲み上げて使うもの。



そもそも最初から付いてたカートリッジを使い切ってからこのような注射器式の道具でカートリッジに入れるのもありだ。この方が汚れが少ないからとコンバーターを使う際にもこれを使う人も居るよう。




まとめ



万年筆独特の滑るように滑らかなインクの出は、ボールペン慣れした人には新鮮だろう。確かにボールペンのようにペン先が全ての角度から書くことはできないが、筆圧をかけなくてもスラスラ書ける。


プラスチックさはあれども品格ある緑と金色の組み合わせもよい。そして携帯性の高さもこのカヴェコ・クラシック・スポーツ万年筆モデルの魅力だろう。



また、色に関しては多種多様なモデルがあるのも楽しいところ。ボディーがプラスチックのモデルであれば価格も高過ぎはしないし、複数本購入してインク色に合わせて使い分けるのも良いだろう。



また、もっと高級感が欲しい方には、真鍮製やアルミニウム製ボディーのカヴェコ・スポーツも用意されている。



こんなに色々バリエーションがあると集め甲斐があるそうだが…コレクター癖があるので沼にはまらないように注意しないと。


Source: Kaweco, プリコ株式会社

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万年筆もペンも、傷つけることなくかっこよく持ち運びたい!Galen Leather Co.の10本用レザーペンケース

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ペンや万年筆の中には、美しかったり高価だったりして、持ち運ぶのを躊躇してしまうものがある。普通の筆箱に入れると他のペンに触れあったりして傷つけ合ったりしてしまうのだ。

そんな心配を無用のものとして大容量10本*、そしてスタイリッシュに持ち運びたいという願いを叶えてくれるGalen Leather Co.(ガレン・レザー)のペンケースを今回はレビューしよう。

Galen Leather Co.は高品質な文房具用ハンドメイドレザー製品をつくるトルコのブランド。ブランドの紹介は同社の「ほぼ日weeksMEGA」用レザーカバーのレビュー記事でお読み戴くと良いだろう。他にも当ブログでは同社のEDCウォレットもレビューしている。

*もっと容量が少ない/多いものが良ければ、Galen Leather Co.は3本用ケースから40本(!!)用ケースまで作っている。



もくじ


楽しい開封!素敵な手書きポストカードも!
「LEATHER ZIPPERED 10 SLOTS PEN CASE」
中を開けると…
ペンを10本入れてみた!
まとめ


楽しい開封!素敵な手書きポストカードも!



開封はおなじみ、格好いいGalen Leather Co.のプリント入りのしっかりとした厚箱から。


製品に丁度いいサイズの箱になっているのはすごい。


中には、製品名・製造者・製造日・使用するブナ科の樹を用いて植物なめしされた牛革の取り扱い方が書かれた紙、そして邪視から守るトルコのお守り「ナザール」(Nazar)のチャーム(これもトルコでハンドメイドされたもの)とその説明・ブランドの説明がなされた紙…といったこれまでGalen Leather Co.のレザー製品を購入したことのある方にはおなじみのものだけでなく…


レトロな見た目のポストカードに、レザー製でGalen Leather Co.の判押しの格好いいキーホルダーも!


ポストカードの裏には手書きで(!)引用が。「世界は自分の言葉がこだまし自分へ跳ね返ってくる山だ」というような意味。「Rumi」とあるが、これは13世紀のペルシャの詩人で神学者、(クルクル回る舞踊で知られる)メヴレヴィー教団の始祖とされるジャラール・ウッディーン・ルーミー(Mevlânâ Celaleddin-i Rumi)のこと。


「LEATHER ZIPPERED 10 SLOTS PEN CASE」



中から出てきたのがこちら。角のカーブに柔らかみのある「LEATHER ZIPPERED 10 SLOTS PEN CASE」(レザー・ジッパード・10スロット・ペン・ケース)、色は緑が美しい「CRAZY HORSE FOREST GREEN」(クレイジー・ホース・フォレスト・グリーン)。


片面には綺麗に押されたGalen Leather Co.のロゴの刻印。


もう反対側はつるり一面レザー。

レザーの部位、質感、染め具合も当然ながら個々の製品によって異なるので、ものによる可能性もあるが、Crazy Horse Brown(クレイジー・ホース・ブラウン)色であった「ほぼ日weeksMEGA用レザーカバー」と比べて手触りはより滑らか。レザーはフル・グレイン・レザーが使用されている。


ファスナーは安心と信頼のYKK。スライダーは大きく、レザー製のツマミはつかみやすい。ファスナーの生地(テープと呼ばれる)は本体の緑色より少し濃いめだがマッチする色合い。


背表紙側はしっかりとした心材が入っている。


中を開けると…



開くとまず見えるのは起毛したフラップ。ケースを閉じたときに向かい合うペンが触れあうことを防ぐための仕組みだ。また、両側にあることで、万が一ペンからインクが漏れ出してもインクの影響を反対側のペンまで及ぼしにくくする効果もあるかもしれない。


それを跳ね上げると左右に5本づつのペンループが現れる。

ゴムバンド製のペンループは、最大145mmのペンを保持できるとのこと。


ペンループの両端部分はゴムバンドのほつれが出てこないようにレザーで挟んで上から縫ってある。多分バンドはほつれないよう接着されているのだろう。レザーで挟むことでこの仕上げが上品に見える。

ペンの当たる背面部分もペンを傷つけない起毛生地。この生地の裏には厚紙状の心材が入っているようで、しっかりとした感覚がある。一方で、外側のレザー部分から触ると柔らかい反発がある。もしかしたら薄いクッション的な素材がレザーの内側に入れられているのかもしれない。


ペンを10本入れてみた!



ペンを10本入れてみた!左からカヴェコ・クラシック・スポーツ万年筆、カヴェコ・リリプット万年筆(どちらも専用クリップ付き)、マイクロソフトSurface 3用のタッチペン、ステッドラーの万年筆インクが使えるヴィンテージ製図ペンMARS-700、パイロットのボールペン「コクーン」、モデル名は判らないけどTed Lapidusのドイツ製ボールペン、プラチナ万年筆プレジール、呉竹 筆ペン 万年筆、そして後述のプラチナ万年筆の多機能ペン2本。




このように色の異なる同じペンシリーズを入れても綺麗だ。左側はぺんてるの筆タッチサインペン。一見細く見えるが、キャップ部の厚みのおかげでペンループに固定できる。右側の左三本はシェーファーのカリグラフィー万年筆セット。これらはキャップの最厚部は14.5mm。先に述べたGalen Leather Co.公称の最大収納ペンサイズ(最大145mm)と同じだが、ちゃんと収納可能。ぺンループがゴムバンドでできていることもあり、もう少し太いものでも収納することは可能だろう。




ペンループに対して細すぎるペンを入れるとこうなる。写真では右の2本、プラチナ万年筆製のダブル3アクション(一番右)とダブル4アクション(右から番目)がブカブカ(どちらも万年筆ではなく、ボールペン2本/3本+シャープペンの多機能ペン)。一応この二つの中ではダブル4アクションの方はペンクリップの位置がペンループに丁度よい位置に来るため、クリップすれば安定するが、ダブル3アクションはクリップ位置が微妙にペンループに合った位置になく、ブカブカ。しかしブカブカではあるのだけれども、上のフラップのお陰で飛び出すことはないのが優れたところ。

同時に、下のファスナーのテープ部分も内側にせり出しているのでよっぽど変な持ち方をしなければ下方向にも飛び出すことはないだろう。

なお、入るペンの長さは15cmくらいまで。なのでぺんてるの筆ペン(17.5cm)などは入らない。ペンループの間隔は左右のどちらも左端のものが太めになっている。


まとめ



愛用のペン達を10本も素敵なレザーケースに入れて持ち運べるのは嬉しいもの。

ただごちゃごちゃとまとめて筆入れに入れるのでなく、1本1本大切な思いのあるペンを入れるのにピッタリ。それぞれのペンの位置も簡単に把握できるので取り出しやすいのも利点だ。


フラップのおかげで万が一インクが漏れてしまったとしてもすべてのペンや周りのものを汚しずらいというのも嬉しい。


Image courtesy of Galen Leather Co.

今回ご紹介したクレイジー・ホース・フォレスト・グリーンの他にも様々な色のファスナー付きペンケースがあるし、収納可能なペン数も様々。もう少し違うタイプのペン入れが良いという方は、ペンロールペンスリーブなどの他、より一般的な筆入れ状のペンポーチなどもある。Galen Leather Co.のウェブサイトでお気に入りのものを探してみると良いだろう。


Source: Galen Leather Co.

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eBayでセイコー・キネティックのご先祖様を買ってみた。セイコーAGS、7M22-6A00レビュー

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今回はセイコー・キネティックのご先祖様にあたるセイコーAGSの7M22-6A00という腕時計をeBayで購入。7M22-6A00のレビューをお送りしよう。

そもそもこれを購入したのは、知り合いにセイコーAGSモデルのキャパシタを変えてくれるよう頼まれたから。人様の時計をばらして壊すのは気が引けるので、まずは練習用にとeBayで同シリーズ別モデルを落札してキャパシタ交換したのだ。

なお今回は腕時計のレビューで終わりとするが、これに続く記事ではキャパシタを交換してみた話を書くのでお楽しみに。


もくじ


セイコー・キネティックのご先祖様、セイコーAGSの歴史
不安と共にeBayで購入
優雅なケースに謎の(匠の?)刻印
シンプルながら不思議な美しさを持つ文字盤
ストラップ
まとめ


セイコー・キネティックのご先祖様、セイコーAGSの歴史


セイコーがクオーツの精度と電池交換不要の自動巻きの良さを組み合わせた「セイコーAGS」を発表したのは1988年1月のこと。

この仕組みや歴史についてはエプソンのウェブサイトで詳しく説明されている。そこで使われている喩えをそのままにもう少し説明すると、仕組みとしては自転車用ライトと「ほぼ同じ」発電システム。普通の自動巻きと同様に腕の動きでローターが回るのだが、これにより発電モーターが回り、発電した電流をキャパシタ/コンデンサに充電、その電気で動くということ。「AGS」は1997年には「Kinetic」(キネティック)に名称を変更している。

参考までに現行のKineticをいくつか:



不安と共にeBayで購入



Image courtesy of eBay

AGS時代のものは流石にAmazonでは現在取り扱いが無いが、上のスクリーンショットのようにeBayにはよく出品がある(写真中央のものはAGSじゃないけど)。これらのAGS出品はどれも現在可動できる状態のもののようだが、稼働するが「新しいバッテリーが必要」とのこと。新しいバッテリーが必要というのは二次電池/キャパシタのことだというのは判るが、バッテリーが必要なの状態なのに稼働することが確認できているというのは一部矛盾する気も。


だがなんて言ったって落札価格19.99ユーロ+送料12.99ユーロ。7M22-6A00。AGSの中でも初期のタイプのようだ。

後のAGSモデルの説明書(3M22のもの。セイコーの説明書は大概セイコーの取説ダウンロードページで見つかるが、7M22のものは見つからなかった)を参考にしながら振ってみるものの、100回振れども針は数秒しか動かず。やはり新たなキャパシタが必要なようだ。

7M22に使えるキャパシタをググったところ、「Seiko 3023-24R」(パナソニックのMT920に特別なコネクタがついたもの)が使えると言うことなので探して購入。




このキャパシタは日本だとAmazondでも楽天でも販売されているようだ。このほかeBayにも販売されているが、私は送料などの兼ね合いからAliexpressから購入した。

分解とキャパシタ交換は後回しにして、まずは7M22-6A00をケースから見ていこう。


優雅なケースに謎の(匠の?)刻印



ケースの全体的な形状は先日レビューしたセイコー・ファイブに少し似る。上から見ると側面のカーブがより強調されているように見えるだろう。

だが横から見ると、上の方はくびれがある優雅な形状。

ねじ込み式の裏蓋は銀色。「WATER RESIST.」、「7M22-6A00」、「A4」、「SEIKO」、「BASE METAL」、「SS BACK」、「JAPAN」、ロゴ、シリアルナンバーは「7N2167」とのこと。1980年代に作られたものらしいので、シリアルナンバーの情報と合わせると1987年11月生誕か。ということはAGSの発表よりも前にこの世に生を受けたということだ。パワーリザーブ確認のためのプッシャーが付いていないので初期のモデルだとは考えていたが、まさか発表より前に作られたモデルだとは(後のモデルには竜頭の他にプッシャーが付いており、押すことで秒針が動き、どれだけのパワーリザーブがあるかを示す機能がある)。


エキシビジョンバックになっており、AGSの心臓部が見える。美しい中身についてはキャパシタ交換記事でお見せしよう。


この部分の風防は僅かに色が付いているのも面白いところ。


ラグ部分は5コマなのだが、ケースはコマの両端と真ん中の部分に「E」型に突き出す。そのため市販のストラップに交換するのが難しい。


5時方向のケース側面部には謎のホールマーク。ホールマークは大抵貴金属などにつけられる刻印。よくよく見ればバッタに見えなくもない。

このような刻印は、例えば純金製とか純銀製の指輪などにつけられているのはよく見かける。だが裏蓋によればケースは「BASE METAL」(卑金属)だし、形からして諏訪ロゴとも違うようだ。

フィンランドのセイコーファングループの中で時計師でもある方に見せたら、ケースを作った人の刻印ではないか、と語ってくれた。

どなたか詳細をご存じであれば教えて戴けると嬉しい。


シンプルながら不思議な美しさを持つ文字盤


12時位置に「SEIKO」、「QUARTZ」、6時位置に「A.G.S.」、「JAPAN 7M22」、「-6A00 T」、そして中空のある「Sマーク」のような諏訪(諏訪精工舎、現セイコーエプソン)のロゴ。


「SEIKO」表記の上には、12時インデックスの代わりに4つの線が横向きに並ぶ。これらは微妙にカーブを帯びている。もっとカーブがきつければWiFiのマークみたいに見えたことだろう。


インデックスはバー状というよりピルに近い形をしており、天面が膨らみを帯びている。各インデックスの外側のほうには黒っぽい部分があり、見ようによっては黒いマニキュアをした指が外向きに並んでいるようにも見える。


日付ディスクは心なしか銀色的な反射をするように思える。日付窓は膨らみを帯びた四角に切り取られている。日付窓の左部分には金色の丸っこい粒状のインデックス。


この窓部分は、光の当たり方によってどこかしらエナメル/琺瑯にも似た印象の、立体的な曲線を描く反射が見られる。


これと同様に、写真では判りづらいが、分刻みの線と10分おきの分数が記されたダイヤルリング部にも同様に縁に琺瑯風の光沢が見られた。


時分秒針は一見するとどれも金色だが、秒針は少し色合いが薄く、イエローゴールドっぽく見える。時分針は付け根のくびれたペンシル型。少しオレンジ味が強い感じで、どれもインデックスの金色とも微妙に色が異なる。これが意図的なものか、それとも経年劣化のなせる技なのかは今となってはわからない。


3連かまぼこブレスレット



金属ブレスレットは面白い形状。5コマ式なのだが、間の2コマは三つのかまぼこが並んだような形をしている。

面白い形ではあるものの、作りは安っぽく、横から見ればこの通り、薄い金属板を曲げて成形したものであることが丸わかりだ。

時計部近くの裏側には「G1355・E」と刻印がある。


三つ折りのバックル部には「SEIKO」のロゴが浮き出る。


外から露見するバックル部はこの部分だけで、小綺麗な印象。


マイクロアドジャストは無く、バンド調整はこのような突起の付いた『 「 』型のピンを抜いて行う。コマが5つと多いことに加え、かまぼこ形状であるためか、ぱっと見美品でも、ブレスの見えない部分にはたくさんの汚れが溜まっていて、きれいにするのが大変だった。


まとめ



金メッキがはげてきているのが多少残念ではあるものの、全体的なセイコー的な美しさ、そして色の入ったケース裏風防から覗き見えるAGSムーブメントの美しさ。

落札価格19.99ユーロ+送料12.99ユーロ+キャパシタ代10ユーロ、で合計40ユーロ(約4800円)も掛かってしまったが・・・


楽天ではジャンク品でようやく4800円だ:




eBayでも楽天でも多くのAGSが1万円を超すなかではなかなかお買い得であったように思う。

次の記事では分解とキャパシタ交換について書くのでお楽しみに。


Source: エプソン, セイコー

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画期的!時間の無駄とストレスを解消してくれるシャツ、HONESTIES ∞をレビュー

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Sponsored by NSW

一体私たちはシャツの着間違えで、一生のどれだけの時間を無駄にするのだろうか?そしてそれに起因する小さなストレスの蓄積、家庭内の諍い、着間違えに気づかず外出して感じる羞恥心・・・。

HONESTIES(オネスティーズ)ブランドのシャツ「HONESTIES ∞」(オネスティーズ アンリミテッド)はこれらの人類が長年戦ってきた日常の中の非効率性を打倒する、画期的な国産シャツだ。


もくじ


泉州から日本へ、NSW株式会社
時間の無駄+ストレスの元:既存のシャツのデザイン的問題
開封!
これがHONESTIES ∞だ!
どっちから着ても着心地良い!
まとめ:時間と感情の無駄よ、さようなら


泉州から世界へ、NSW株式会社


Makuakeで現在資金を順調に集めるこのキャンペーンを実行するのは、大阪府南部に位置する泉州地域を拠点に、地域の強みを生かしたプロジェクトを送り出す、NSW株式会社。

元々は泉州で60年続いたワイヤーロープ製造会社だったが、2012年には泉州野菜のピクルスブランド「いずみピクルス」を立ち上げている。

大阪泉州地域はかつて「東洋のマンチェスター」*とも呼ばれたほど繊維産業が栄えていたのだが、海外での安価な大量生産品のせいで生産量や職人数は今は少なくなっている。そこに地域力を見いだしたNSW株式会社が、泉州の技術、職人達とデザインの力で造り上げたのが今回レビューする「HONESTIES」ブランドだ。

今回レビューするのは「表裏がない」+「前後もない」男性用肌着「HONESTIES ∞」(オネスティーズ アンリミテッド)。その前身となる「HONESTIES」シャツは表裏がない(前後はある)もので、女性用肌着や、キッズ・ベイビー用肌着もあり、すでに半年前から販売されている。

*英マンチェスターは世界初の産業革命で知られる。特定の国/地域で産業革命の中心となった街は世界的にも「どこどこのマンチェスター」と呼ばれる傾向がある。ちなみに「フィンランドのマンチェスター」はタンペレ(Tampere)。


時間の無駄+ストレスの元:既存のシャツのデザイン的問題


まずはだらしなく裏返された他社ブランドのTシャツの写真からご覧戴こう。


(*繰り返すが写真は一般的な、他ブランドのTシャツ。縫い目から裏返っていることが一目でわかってしまう)

シャツや靴下を脱ぐときに裏返してしまう人は家族から怒られた覚えがある人も居るだろう。干すときにも畳むときにもこれを直すのはめんどくさい。なぜめんどくさいのかと言えばもちろん、無駄に時間が掛かるからだ。

NSW株式会社による調査では、裏返ったTシャツを畳むには20秒かかるが、裏返す必要が無ければ10秒しか掛からないとのこと。これは結構きれいにピシッと畳んだ場合のことだろう。私がやった場合は裏返ったシャツを戻して畳むには10秒、裏返ってないシャツを畳むには5秒かかった。

服を自分で干したり畳んだりしない人にとっては「たった5秒程度の差だろ?」と思われるかもしれない。だがこれは裏返ったシャツ一枚の話である。2枚シャツがあれば10秒、5枚で25秒、12枚あれば丸々1分も無駄になる。

一日に何度もシャツを着替える夏もあれば、めんどくさくて着替えない日もあることだろう。それでも仮に毎日シャツを着替えると考えれば、1年で365枚のシャツを畳むことになる。するとこれがすべて裏返っていた場合1825秒、つまり約30.42分も無駄になる。家族4人暮らしでこの状態なら121.68分!映画一本分の無駄だ。しかもこれはめんどくさがり屋の私が綺麗さよりも早さを優先して畳んでの計算であり、NSW株式会社の調査数値を元にすればこの倍の時間がかかる(一人分1年で1時間、4人分で4時間!)。

そんな日常の小さな無駄の積み重なりをゼロにしてくれるシャツ…それが今回ご紹介のHONESTIES ∞なのだ。それでは早速開封していこう。


開封!



カラーは白と黒が提供されている。シンプルでミニマリスティックなパッケージの表面となっている。


これがHONESTIES ∞だ!



そして出てきたHONESTIES ∞!一見すると奇抜性に欠いた平凡なシャツに見えるのだが、それも良いところ。目立たず、しかし確実に日常生活を快適にしてくれる黒子のような存在、そこに大きな意味を持つのが肌着なのだから。


実はタグはリバーシブルになっていて、片面は青、反対の面は白抜きのロゴとなっている。細かいところだが気付けば楽しい。

実際に着用してみるとどうだろうか?


どっちから着ても着心地良い!



綿100%で肌触りがとても良い。更に、裏返しても、前後逆にして着ても着心地が良い。

そしてなによりも前後表裏を確認する事無くするりと着用できるというのは新鮮な感覚だ。これまでその確認のためにわざわざシャツを着る度に視覚・触覚を使っていたということが改めて認識できた。加えて、シャツを脱ぐときにも脱ぎ方を気にしなくても良いというのも快感!


パッケージにも記してあるように生地がしっかりしているため、温かみがあるし、長く使えそうだ。


「裾や縫い目の美しさ、生地の質感もあり、高品質なシャツに見える」と妻。


こちらは左から初期状態(?)、それを裏にした写真、そこからシャツを裏返した写真、そしてそれをまた裏にした写真。ハンガーのフック部分が逆になっているのと、裾に付いたタグの有無でおわかり戴けるだろうか?

4通りに写真を撮っても、タグに注意しない限りは全く前後逆か、表裏逆かなど判別付かない。



表裏前後逆に着ていることが静止画では信じられない人のためにHonesties公式YouTubeチャンネルの動画もご覧戴こう。


各部位に縫い目らしきものは見受けられるが、どの向きで着ても裏返しでシャツを着ているようには見えない。


その秘密は、「フラットシーマー」という4本針の特殊なミシンでの縫い上げ。これは2つの生地を縫い合わせる際に縫い目(シーム)が平ら(フラット)にできるもの。


(*写真は一般的な、他ブランドのシャツを表裏逆に着たところ)

普通のTシャツでは、「表面」になるべく縫い目が見えない様にする一方で、裏面は縫い目が立体的に目立つ。なので表裏逆に着るとこの縫い目が目だってしまうので「あー、シャツ裏返しに着てますよー」と他者から指摘されるわけだ。


(*写真は一般的な、他ブランドのシャツの裏面)

これは、通常のミシンでは二枚の生地を重ね合わせてその上から縫うようになっているため。そのため、縫い合わせ部分は生地から直立したり、もしくは縫い合わせ部分を更に畳んで縫い、生地が三重や四重の厚みになったりして分厚くなる。これもあり、普通のシャツでは縫い目部分が出っ張り肌に当たって擦れたり、違和感を感じたりする事がある。シャツによってはこの始末のせいで不快感を感じたことのある方も少なくないのではないだろうか。

通常のTシャツでは「見栄えがよくないから裏面になっているけど、裏面になっているから肌に触れ着心地に悪影響を与える」・・・という悪循環が生じているわけ。この点、フラットシーマーはこの問題を一度に解決できる。二つの生地を重ね合わせるのではなく、つなぎ合わせる様にして縫うため、縫い合わせ部分が分厚くならないのだ。なので見た目も良いし、着心地が良いわけだ。


ではなぜこのフラットシーマーを使ったシャツが一般的ではないのかと言えば、このミシンで縫うには技術も手間も掛かり、コストもそれだけ高くなると言うことが理由として挙げられる。なのでベビー服やスイムスーツなど、より着心地が重要となり、なおかつ高価な衣類などではフラットシーマーがよく使われている。

着心地の面ではもう一つ、タグがないことも嬉しい。タグは普通のシャツでは内側の横腹あたりに出っ張っていて、これも肌を刺激する要因となる。そのためわざわざ切り取ってしまう人もいるくらいだから、最初から付いていないのは良い考えだ。


*このパッケージ裏面デザインは製品版では変更となる可能性がある。

パッケージに記載された洗濯表示タグと注意書きはこちら。タグによれば:40度までのお湯で、漂白は酸素系漂白剤でのみ、タンブラーでの乾燥は不可、アイロンは中温で。塩素系漂白剤の使用はダメだ。毎日洗うものだからわざわざタグを見るまでも無く、なんとなく覚えてしまおう。


「首ぐり」(ネックライン)は、100を超える試作が繰り返され、特許も申請中。「前後ある普通のTシャツに見えるのには、個人差があります。」とのことだが、私の場合首位置が高めの普通のTシャツに見える。どの方向から着ても、「先輩、もしかして前後ろ逆に着てないですか?」なんて言われない見た目。


(*写真は一般的な、他ブランドのシャツを前後逆に着たところ)

参考までに、他社製の普通のシャツで前後逆に着るとこう見える。こちらは「先輩、もしかして前後ろ逆に着てないですか?」と言われる見た目。先の写真と比較すると、首回りの空間の差はさほど大きく見えないかもしれない。しかしこの微妙な違いの中に、ぱっと見て直感的に識別できる「首が詰まった感じ」の有無がある。体を真横から見たときに人の首は前側に突き出ている。普通のシャツを前後ろ逆に着ると、うなじ側の襟が首前方に纏わり付いて、生地にたるみができる。また体の胸側は背中側よりも立体的に突き出ることを反映した形状となっているため、前後逆に着ると背中側にゆとりが生まれる一方胸側は余裕が少なくなる。

このようなシャツの設計に関する点は普段シャツを着ていて気付かないことかもしれないが、着心地の面でもとても重要な要素だ。

HONESTIES ∞は首回りだけで無く全体的に上手くシャツの前と後のバランスをとった設計になっている。だからどの方から着ても快適で、違和感がない。これは何気ないようで実は凄いことだ。

普通のシャツだと必ず同じ方向から着ることとなるが、HONESTIES ∞では着る方向が4分の1にばらけると言うことも興味深い。「いつも何故かシャツのこの位置に穴が開くんだよな…」という人はもしかしたらいつもよりもシャツが長持ちする可能性もあるのではないだろうか。

なお、抗菌作用のある「銀コロイド」と柔軟効果のある「シルクアミノ酸」により肌に優しい抗菌・防臭手法が採用されており、生乾きや汗の臭いもカットしてくれる。


まとめ:時間と感情の無駄よ、さようなら



肌着/アンダーシャツは、上にどんなお洒落な衣類を着ても、その下で頑張る日常生活の縁の下の力持ち。

そんな重要な要素でありながら、これまで前後表裏が存在したことで、我々人類はどれだけの時間と感情を無駄に費やしてきたことだろうか。

大げさに聞こえるかもしれないが、時間はお金があっても買えない貴重なものだ。そして人類は時間効率を上げることに努力を惜しんでこなかった。その結果が車や新幹線、飛行機などの移動手段だったり、ガスコンロやIHヒーターのような調理器具だったり、計算機やコンピューター、電話やスマートフォンだったりするわけだ。

しかし、あまりにも日常の基礎となっているからこそ、「肌着」にまつわる無駄は今まで耐え忍ばれ、忘れ去られていた。NSW株式会社はそこに着目し、これをアイデアと技術で解決した。

これは、控えめに言っても画期的な素晴らしいことである。


(「ブレザーの下に着てビジネスカジュアルな見た目もあり」と妻)

着用時に、視覚的にも触覚的にも前後表裏を認識することなく着用できるというのは、特に時間的効率を重視する人や、朝が苦手な人にはありがたいし、脱ぐときに裏返しにしないよう注意する必要が無いのも嬉しい。洗濯物を畳むときに前後ろ表裏を考えなくてよく、時間の節約になるのは家事をする人にもありがたい。

最近筆者は虫垂炎の手術をしたのだが、入院中・退院直後は特に上半身を動かすのが難しく、シャツの脱ぎ着が大変だった。このような状況ではそもそもシャツの前後表裏の確認もしずらいが、もし間違えて着た場合に着直すのにかかる痛みや労力も普段以上だ。HONESTIES ∞ではそのような状況も起こり得ない。

従来のTシャツと比べ、様々な障害を持っていても楽に、素早く使えるという意味でも素晴らしい。HONESTIES使用者からの声として、視覚に障害を持った方からの喜びのコメントがMakuakeページに記載されていたが、視覚障害だけでなく、上肢障がい(手や腕の動きの問題)を持った方にとっても便利な肌着となるだろう。どのような人にとっても使いやすいという点では、この肌着のデザインをユニバーサルデザインと呼んでも良い。

また、HONESTIES ∞の利便性を評価する際には、自ら着るものとしてだけでなく、「他人に着せるもの」と言う視点も考慮されるべきだろう。この点に置いては介護業界でもとても大きな助けとなるはずだ。


もちろんそのぶんシャツ一枚あたりのコストは安くはない。予定小売り価格は1枚税込み2750円だ。しかし、もしこのシャツの購入が何にも代えがたい「時間」を生み出してくれるのであれば、その価値は大いにあるだろう。

これまで汚れた服を裏返しにして洗濯機に入れていた人、そんなめんどくさい人が家族に居る人は、HONESTIES ∞をプレゼントに購入することで、これまで無駄になってきた時間とストレスを取り返すことはできないまでも、これから貴重な時間と感情を無駄にしなくてすむようになる。

このHONESTIES ∞、現在『どう着ても、正しく着られる!「裏表がない」+「前後も無い」スマート肌着誕生!』としてMakuakeでキャンペーン中だ。原則としてセールは行わないため、Makuakeでのリワードはお買い得となっている。


Makuakeキャンペーンページ:https://www.makuake.com/project/honesties_02/

HONESTIESブランドウェブサイト:https://honesties.jp/

Source: HONESTIES, Makuake

(abcxyz)

スイスの新星CODE41が送る、性別問わず楽しめる洗練されたメカニカル腕時計「DAY41」

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Sponsored by CODE41 記事中のブランドサイトへのリンクはアフィリエイトとなっている

スイスに生を受けながらも、「スイス・メイド」に執着することなく、完全なる透明性を持って時計を作り続けるCODE41。そんな彼らの最新コレクションDAY41は、37mmと40mmで展開し、性別を問わずその洗練美を堪能できるタイムピースだ。

今回の記事ではCODE41のブランド紹介から、DAY41の制作の裏までお届けしよう。


もくじ


スイスのマイクロブランドCODE41とは
エッジの効いた美しさ「DAY41」コレクション
カラーバリエーションとストラップ
クリエイターエディション
実は女性向け腕時計として開発されていた?
まとめ


スイスのマイクロブランドCODE41とは



CODE41は2016年に高級腕時計デザイナーであるClaudio D'Amore氏によって設立されたスイスのマイクロブランドだ。

Tag HeuerやMontblancなど名だたるスイスブランドのもとで10年働いた経歴を持つ氏が生み出したブランドCODE41は、ハイクオリティーな腕時計を、腕時計コミュニティーと共に造り上げることを目指す。大手ブランドの高級時計は素晴らしいことは間違いないが、多くの場合その価格は仲介業者などを介すことにより高価になってしまう…

ここまで読んで「はいはい、どのマイクロブランドもそう言いますよね」と思われる方も少なくないだろう。数多くのマイクロブランドが「高品質を手頃な価格で」と謳う中、実際には出所の怪しいムーブメントを用い人件費が安い国で造らせ、元値とはかけ離れた値段で販売するところも少なからずある。その一方では有名時計ブランドでも、「スイス・メイド」を語り価格をつり上げながら、ほぼ全ての部品がアジア製であったりもする。

だがCODE41はそれらとは異なる。スイスのブランドでありながら「スイス・メイド」という表記にはこだわらず、それよりも製造の透明性を重視しているのだ。


時計部品や製造工程がどこで行われたかを隠すことなく示す「Total Transparancy on Origin」(仮訳:生産国の完全なる透明性)、略して「TTO」ラベルを自ら作り、製造元の透明性を示している。TTOラベルの透明性は製造元だけに留まらず、製造コスト、更には運営コストや販売業者へのマージンまでも隠すことなく示している。これは2016年の設立以降一貫して行われている。

もちろんその透明性だけでは魅力的な腕時計はできない。ユニークなデザインと技のある製造が合わさって初めて素晴らしい腕時計が完成するのだ。またコミュニティーと共に腕時計を造り上げていくという点やも特筆すべきことだ。


そんなCODE41の造る腕時計は実際に多くの人の共感を得ることができたようで、2016年にはKickstarterで54.3万スイスフラン(現行レートで約6133千万円)を集めてAnomalyコレクションのプロジェクトを成功させている(上写真が同コレクションからのモデル。現在はCODE41公式サイトから購入可能)。

(CODE41は手頃な価格で販売するために中国で製造しているモデルもあるが、「中国の製造社の中にはスイスの有名ブランドに製造しているところもある」としており、その技術を評価している。一般的に中国で製造というと安価で質の悪い製品というイメージが存在する中で、中国での製造に自信と誇りを持って語っているのは筆者個人としては現実が反映されていると思うと共に喜ばしいと思うころである。)

伝統的な流通手段を持たず、ネットを介して直接同社が顧客に販売する(これは他の多くのマイクロブランドも同じだが)他に、恒久的な時計販売店ではなくポップアップストアでの販売や、同社の腕時計を所有する人を介しての販売(この場合はコミッションを受けることができる。実物を見て購入できるという点で効果的な手段でもある)というのもユニークな点だろう。


エッジの効いた美しさ「DAY41」コレクション




そんなCODE41の最新コレクションがこちら、「DAY41」だ。

8ヶ月の時間をかけてコミュニティーからの投票や対話を介して造り上げられてきたこのコレクション。ケース径は37mmと40mmの2種類、厚みはどちらも10.5mmと控えめ。


小ぶりな37mmも、程よいサイズの40mmも用意されていることで、性別にかかわらず自分の手首に合わせたサイズを選択できる。特に37mm径は平均的な手首径が小さい日本人にもよく合うサイズだろう(ちなみに当ブログでの過去レビューの中ではLLARSENの女性向けモデルが37mm径、38mm径となれば男女両モデル共に複数レビューしている)。

当然ながら内蔵するのは利便性の代償にバッテリーを消費するクオーツ式ではなく、自分の動きで機械が動くメカニカルな自動巻き機械式ムーブメントだ。具体的には、スイスSTP社(Swiss Technology Productionの略)の造るスケルトンムーブメント、STP6-15。パワーリザーブ44時間、2万8800振動/h、26石、秒針ハック機能(時刻合わせ時に秒針が止まる機能)付きだ。ムーブメントは5姿勢でテストされ、日差は-0/+15秒。


風防はサファイアクリスタル製。ケースは316Lステンレススチール製で、トノー型にも似るが、ラグ部分がケースと一体化しているようなCODE41独特の形状。サイドから見るとケース中ほど下部部分がくぼんでおり、ラグが長く見えると同時に、ケースを薄く見せる効果を生んでいる。

またラグに関しては、もうひとつ面白い点として、ラグとストラップの間に挟まるようにして部品が入っている。ヘアライン仕上げのケース部~ラグと対称的にこの部品は艶出し仕上げで、面白い印象を造りだしている。

竜頭も特徴的だ。側面にはクルー・ド・パリ様の突起があり、天面は丸みを帯び「41」の刻印が入る。


ダイヤル要素も面白く、スケルトンムーブメントの醍醐味を活かし、テンプやゼンマイなどメカニカルな内部がたのしめる。文字盤は立体的な構造になっており、蓄光部と共に記されたインデックスがあるベースの上に、部分的にコート・ド・ジュネーブ仕上げがなされた部材がかぶさるようにして配されている。この部材には、ムーブメントのルビーの位置と対応するように開口部が設けられており、内部構造を一部隠すと共にその美しさも強調する役割となっている。9時方向から伸びる部材にはCODE41のロゴ刻印が入るほか、モデルによってはコート・ド・ジュネーブのなされていない部分にダイヤモンドが配される。

自分針針もケースと同じくCODE41のトレードマークともいえる、2016年モデルとも共通性があるもの。時分針は中抜きのあるオベリスク型をしており、先端側には蓄光部が。秒針は後方に中抜きのあるカウンターバランスがつく独特の形。


ケース裏はエキシビジョンバックとなっており、こちら側からもムーブメントの動きを楽しめる(ケース色とムーブメント色がマッチしているのも注目すべき点だ)。ローターはCODE41のロゴ刻印が入っている。裏の風防もサファイアクリスタル製となっているのも嬉しい。裏蓋は四か所で六角穴付ボルトで留められているのは面白いところだ。これは構造から判断するに、エキシビジョンバックの口径/光景を損なうことなく、裏蓋の肌に接する部分を最小化する手段でもあるのだろう。防水性(watertightness)は100mとのこと。

世界送料は無料で、通常販売価格は1245ユーロ(現行レートで約15万円)となっている。製品がまだ発送されていない段階であれば無料でキャンセル可能、未使用未開封であれば30日間返品可能、技術的な問題があれば2年間の保障がある。


カラーバリエーションとストラップ



40mmモデルには3色、37mmモデルには5色のカラーバリエーションが存在する。

すべてのストラップはクイックリリース式となっているほか、プッシュボタン式のフォールディングバックルがつくのもうれしいところ。通常のバックルと比べフォールディングバックルの方がストラップを痛めにくいだけでなく、着脱時に落としづらく、また常に同じ設定位置を保持できるため毎回調節しなくてよい。

メタルブレスレットも各色存在する。



上の動画では細かく各バリエーションが紹介されているので参考にすると良いだろう。


クリエイターエディション


今から3日以内にプレオーダーすると、ローンチ特別価格930ユーロ(約11万円)と大幅に安くDAY41を入手可能なほか、DAY41プロジェクトのクリエイターメンバーになることができる。また、その期間内にプレオーダーすることで手に入るDAY41は、X/999のシリアルナンバー入りのクリエイターエディションモデルとなる。


実は女性向け腕時計として開発されていた?




DAY41が今の形に至るまでには、特に女性コミュニティーメンバーからの声が大きく影響している。実は当初これは女性向けの腕時計となるはずだったのだ。しかし完成したのは性別に関わらず楽しむことのできる美しい腕時計だ。

CODE41の公開する動画で聴くことのできる「女性向けの腕時計の多くはクオーツであり、メカニカルムーブメントのものはとても高価なものしかない」との指摘は聴いて納得。確かに言われてみれば世界的に見ても「ユニセックス腕時計」としてわざわざ売られているものではない限り、女性向け腕時計は確かに可愛らしすぎたり、きらきらしすぎたり、「フェミニン」すぎるものが多い。これは必ずしもそれらが販売される国や文化の女性から見て、自分に合った理想的な腕時計とは限らない。

そう言われてもピンとこない男性読者もおられるかもしれないが、例えば「男性向け腕時計」が全てクオーツのダイバーズウォッチだったらどうだろうか?確かに自分は男であり、ダイバーズウォッチはマスキュリンではあるが、必ずしも自分が付けたいわけではなく、必ずしもそれだけを付けたいわけではない。そしてクオーツ以外の選択肢がないとなったら?否応なしに異性向けのモデルを買うしかない。


筆者の住む男女平等の国フィンランドであっても女性の腕時計ファンが付けているのは男性向けのメカニカル腕時計か、そうでなければ女性向けのクオーツ、もしくはクオーツが一般になるより以前のメカニカル腕時計だ。男女格差が低いこともあってフィンランドでは異性向けの腕時計を購入することを(日本と比較して)躊躇しない傾向はあるかもしれないが、そもそも腕時計が性別を問わず美しく感じるものであってはだめなのだろうか?

DAY41の見いだした美は丁度そのポイントに収まっている。


まとめ



CODE41はAnomaly-01、Anomaly-02、X41、そして今回のDAY41と、これまで発表してきたコレクション通じて独特の鋭い美観を構築してきている。DAY41では小ぶりな37mm径のケースを用意することにより、更に同ブランドの着用者を増やすこととなるだろう。

そこには男性向け、女性向けなどというどうでもいい分類は必要なく、ただ「美しいメカニカル腕時計」という選択肢がより幅広い着用者に開かれることを意味する。(この点早く日本国内を始めとする多くの有名ブランドに気付いて欲しい点だ。)


製造工程の透明性もこの腕時計の魅力だ。ムーブメント/デザイン/開発/組み立て/ロジスティックスはスイス。ケースとダイヤル、パッケージング、バックルは中国製、レザーストラップはイタリア製。このほか細かいコスト内訳も記されているが、長くなるのでDAY41予約ページの方でご覧戴きたい。

コミュニティーとのコミュニケーションも密にしており、プレオーダーページにはコミュニティーからのコメントやそれに対するCODE41の返信も見ることが出来る。このオープンさはCODE41の魅力であり、成功の秘訣であろう。(オープンさに関して言えば、同社の以前のモデルであるX41の時には、スイスのアトリエ訪問パッケージを予約したコミュニティーメンバー達がCODE41の時計制作の現場を見ることも可能であった。)



ここ1年は毎月YouTube動画を公開、ここ1ヶ月では毎週DAY41関連動画を公開しているのも予約購入者にとって安心感を生む要素となっている。例えば上はDAY41が組み上げられる様子を映した動画。

無論安価なメカニカル腕時計なら無数に存在する。しかし、CODE41の造るのは完全なる透明性を持った、コミュニティーメイドのスイス・クオリティー腕時計だ。伝統的なスイスの腕時計づくりに一石を投じるCODE41に共感する方には価値ある一本となることだろう。


Image courtesy of CODE41

Source: CODE41

(abcxyz)

A5ノートを縦でも横でも!取り外せるペンホルダーも嬉しいレザーポートフォリオ、Galen Leather Co. Zipped A5 Coverレビュー

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Sponsored by Galen Leather Co.

今回はおなじみトルコのGalen Leather Co.から、美しい緑のレザーに包まれたA5レザーポートフォリオをご紹介しよう。(なお今年はトルコと日本の国交130周年の記念すべき年でもある!)

これまで当ブログではGalen Leather Co.から、ほぼ日weeksMEGA用レザーカバーEDCケースレザーペンケースをご紹介してきたが、今回レビューするレザーポートフォリオはそれらにも増してサイズが大きいことから収納力も利便性も多用途性も増しており、A5サイズのノートやスケッチブック(縦横どちらもOK!)を収納するのにぴったりな素敵なレザー製品となっている。



もくじ


いつも楽しい開封の儀式
深緑のレザーを贅沢に使った「Galen Leather Zipped A5 Cover」
左側:ポケット、カードケース、取り外せるペンホルダー!
中央と右側:縦向き横向き関係なくノート挿入、キーホルダー付き!
ロディア、LEUCHTTURM1917、マルマン・・・色々入れて見た!
実はトモエ・リバーでお洒落なノートも作ってる!The Everyday Notebook
不良品交換の際は・・・
まとめ


いつも楽しい開封の儀式



これまでのGalen Leather Co.製品レビューでもおなじみ、しっかりしたプリント入りの箱。


中に入っている製品の大きさに合わせて箱のサイズが違うことは以前のレビューでも記したが、この製品は大きさがあることもあり、これまでの3製品と比べても大きな箱となっている(もちろん一番下のものがレザーポートフォリオ用の箱だ)。


開けると出てくるのは、ロゴ入りの紙帯に包まれたレザーポートフォリオと、ロゴ入りのしっかりした布地の小袋。


製品名・製造者・製造日・使用するブナ科の樹を用いて植物なめしされた牛革の取り扱い方が書かれた紙、そして邪視から守るトルコのお守り「ナザール」(Nazar)のチャーム(これもトルコでハンドメイドされたもの)とその説明・ブランドの説明がなされた紙・・・といったおなじみのものに加え、小袋の中にはトルコのインスタントコーヒーとティーバッグが。レザーポートフォリオが作られた国の飲み物を飲みながら楽しめるなんて嬉しい。


時折入っているポストカードは何が貰えるのかはランダムのようだが、今回はカッパドキアのポストカード。カッパドキアはトルコ中部にあり、世界遺産ともなっている「ギョレメ国立公園およびカッパドキアの岩石遺跡群」(岩を掘って造られた家や、地下都市なども)でも有名だし、ポストカードでもお判りのように熱気球でも有名だ。


深緑のレザーを贅沢に使った「Galen Leather Zipped A5 Cover」



カラーは深い緑が美しい「CRAZY HORSE FOREST GREEN」(クレイジー・ホース・フォレスト・グリーン)。


外側は一枚のレザーで作られており豪華。


ブランドロゴの刻印もしっかり。ファスナーの生地部分も本体色と同様の緑だ。


ファスナーはもちろん安心と信頼のYKK製。ファスナーのツマミは僅かながら扇状になっている。


実はこの色は先日レビューしたレザーペンケースとおそろいだ。


開けるとこんな感じ。大雑把に分けると左側はレザーが多用された収納で、ノート類を入れ込む右側はフェルト地になっている。



大体の構造が把握しやすいようにGalen Leather Co.が公開している動画も張っておこう。


左側:ポケット、カードケース、取り外せるペンホルダー!



左側には小物・紙ものをたっぷり収容できる。


左側の右端には、2本のペンホルダーと、その下により太いものを保持することのできるホルダーが縦に配置されている。どちらもゴムバンドにレザーが当てられている。ペンホルダー部分はカヴェコ・スポーツなどの短いサイズの万年筆/ペンを入れるのに最適。


というのも、カヴェコ・スポーツ・クラシック(万年筆)と、一般的な長さのペンをここに入れると、カヴェコ・スポーツ側は下のホルダーに触れないが、通常サイズのペンはホルダーの中にペン先が入ってしまうのだ。微妙にホルダーが下に位置していればこの問題が防げただろう。


左側にはポケット部分が。一番上のポケットは深く、その下はクレジットカードサイズのものが4つ連なる。


左下の4連ペンホルダー。


これ実は取り外すことが可能!


裏面はフェルト地だ。


ポートフォリオケースの左側は横開きのページを開いたときに隠れてしまうが、この取り外せるペンホルダーのお陰でペンが転がったりばらけたりしないまとまった状態のまま使いやすい位置に置くことができる。複数のペンを使用して書く/描く際にはペンへのアクセスが重要なのでこれは便利だ。


4連ペンホルダーを取り出した状態では、これが収まっていた部分はポケットとしても使える。また、その後ろ部分にも『「』(を左右反転させた感じの)サイドポケットがある。これはペンホルダーを装着状態でもアクセスできる。


もちろん4連ペンホルダーをポートフォリオケースに入れ込むことなく活用することもできる。その場合ここはスマートフォンを入れ込むにもピッタリかもしれない(写真のスマートフォンはNokia Lumia 930)。


それに加え左側には大きなポケットもある。これはペンケース部分の後ろに位置し、ケースのプロファイルとほぼ同じくらいの大きさがある。ポケットの裏地は手前は布地で、背面はフェルト地。




左側と右側との中程の部分には、上部に金属製のD字型ループが。そこにはその他の部材と同色の緑のレザーが用いられたキーホルダーが標準装備!


もちろんこれは中に入れたまま使うも良し、取り外してポートフォリオケースとおそろいのキーホルダーとして使うこともできる。これは嬉しい。


鍵を付けたまま中に入れても余裕がある。(ってここで付けているのは本物の鍵ではなくSwiss-TechのUtili-keyという鍵型マルチツールだけど。まあ大体鍵サイズなので多くの鍵は入るだろう。)




右側は全体にフェルト地で、ぱっと見横から入れ込む形のポケットに見えるが、横方向にスリットが入っている。この仕組みのお陰でノートを横向きにスライドさせて入れることができる他、長さ方向に開くノートを上から入れ込むことも可能だ。


この構造はシンプルだが効果的に多機能性が生み出されている。(Galen Leather Co.のほぼ日weeksレザーカバーも機能としては同様であるが、これを実現する方法は少し異なっている。)


ロディア、LEUCHTTURM1917、マルマン・・・色々入れて見た!



こちらはロディアのロディアラマ ソフトカバー ドット A5、アニスグリーン(Rhodia Rhodiarama Softcover Notebook A5 Dotted Anise Green)。

(こちらのAmazon商品はロディアラマ ソフトカバー ドット A5まではあっているが、Amazon商品は「ゴールブック」の刻印が表下部分につくもの。記事中のものはつかない。またロディアはウェブノートブックというのも出しているが、そちらはハードカバー)




ロディアのNo16、上部綴じのもの。


上綴じのノートだと、ポートフォリオケースの左側を隠さないので使い勝手がよい。




こちらはロディアのヘリテージシリーズから、背表紙がかがり綴じしてあるノート(Rhodia Heritage Raw Bound Notebook Chevron A5 Anthracite Squared)。拍子のパターンも良いし、かがり綴じも良い。ロディアはフランスのブランドだが、このノートはモロッコ製。




LEUCHTTURM1917のバレットジャーナルも入る。


だがLEUCHTTURM1917のバレットジャーナルはハードカバーであることもあり厚みがあるので、一緒に入れるペンの厚さによってはこのような膨らみがでてしまうことも(入れているペンは一つ前の写真を参照あれ)。それでもちゃんとファスナーを閉じることができる収納力は嬉しい。




当然ながらA5より小さいサイズのものを入れても良いだろう。写真はマルマンのスケッチブック 図案シリーズよりB6 画用紙 S160を上から縦向きに入れたところ。




Galen Leather Co.のA5サイズThe Everyday Notebookもピッタリ収まる。このノートは薄いので、左側には分厚いペンを入れても綺麗に閉めることができる。


実はトモエ・リバーでお洒落なノートも作ってる!The Everyday Notebook



さて、先ほどチラリと最後にお見せしたThe Everyday Notebook。これは実はGalen Leather Co.のつくるノートだ。(*なおThe Everyday Notebookはレビューしているレザーポートフォリオ「Galen Leather Zipped A5 Cover」とは別売りであることに注意。)

The Everyday Notebookシリーズには様々なサイズのものがあるが、どれも使用する紙は日本が世界の万年筆愛好家に誇るトモエ・リバー(Tomoe River)だ。栄紙業株式会社によると、トモエ・リバーは巴川製紙所の生産する「超軽量印刷用紙」の商標名(そして、「巴川」製紙所だから「トモエ・リバー」なのだ)。巴川製紙所のウェブサイトによると「従来よりある上質紙/コート紙に比べ、薄くて軽い紙でよりカタログ類を軽く、より多くの情報を記載したい」との市場の要求にこたえるために作られたもので、軽量ながらも腰が強く、印刷物の裏抜けが少ないなどの特徴を持っている製品。


この紙を使ったノートや手帳が世界中の万年筆愛好家に人気である理由は、薄く軽く、書き心地が良い上に、インクがにじまず、裏抜けしないためだ。なおREDISCOVER ANALOGの指摘するように、薄手のトモエ・リバーでも裏抜け(インクが反対面に染み出ること)はしないが、裏側から表面に書いた文字がうっすら見える「ゴースティング」は発生する。


写真のものはA5で、トモエ・リバー52gsmが64ページ、手で綴じられているもの。表紙もお洒落。「The Everyday Notebook」部分は金色に箔押しされている。


このようなロゴ入りのしっかりしたキャンバス地のファスナー付きの袋に入ってきた。


入っているのはA5のThe Everyday Notebookが3セットだけではなく・・・。


ライティングマットにもなるブロッター(余分なインクを吸収するためのもの)、そしてグリッド式(表裏で10mmと5mmが使い分けれる)と横線式(10mmと7mm)の厚手の紙製のガイドシートもついてくる。


ガイドシートの方は、無地のノートに書くときなどにページの下に置くことでまっすぐ均一サイズの文字が書けるようにするもの。(なおフィンランド語ではこのようなガイドシートを「laiska Lasse / 怠け者のラッセ」と呼ぶそうだ。)

なおGalen Leather Co.のA5サイズThe Everyday Notebookは他にも400枚のトモエ・リバーが伝統的な手法で手綴じされたものと、ロディア風に縦向きに開くトモエ・リバー150ページ(ミシン目つき!)のものも存在する。


不良品交換の際は・・・



実は今回レビューした「Galen Leather Zipped A5 Cover」は交換品だ。当初届いた品は開いて左側の2本ペンが収納できる部分の縫い目がこのような状態だった。だいぶ見栄えにも影響するし、ここに入れるペンのサイズにも影響を与える可能性もある問題だったため、これについてGalen Leather Co.にメールを送ったところ、交換品を送ってくれることとなった。

なお、交換品申請する場合には、はっきりと問題の箇所が写った写真をサポートに送信すればよい。レザーの特性としてついている傷や、製品が濡れたりインクが付いてしまったり、などは交換対象にならないが、ファスナー部分がレザーに繋がっていないとか、ファスナーつまみが壊れているなどは交換対象だ。

手作りなので交換品が届くまでには時間が掛かるが、誠実に対応してくれて嬉しい。


まとめ



Galen Leather Co.製品のレビューはもう既に4製品目となるが、今回もしっかりとした品質で見て、使って楽しめるものになっていた。また、今回不良品交換をする機会があったのも、Galen Leather Co.が交換に快く対応してくれることを経験する良い機会となった(無論不良品がでないのが一番ではあるが)。


現在は最適なセッティングを求めて色々試行錯誤しているところ。カリグラフィーや落書き用にEveryday Notebookを入れて、カシオ ベーシックのワールドタイムA500WA-1もいれたりとか。




それとも仕事で使う用にLEUCHTTURM1917バレット・ジャーナルを入れ込んで、ペンホルダーは抜きで追加のメモ帳やポストイットを入れたり。


おそろいの色のペンケースと共にカフェでお絵かきするも良し。

作りのしっかりしたレザーポートフォリオケースにお気に入りのペンとノートを入れて。どこかに出かけて使いたくなるような良質なケースだ。特にこのレザーポートフォリオでは取り外し可能なペンホルダーとキーホルダーのおかげで使い方のバリエーションが更に増しているとも感じられる。

購入はGalen Leather Co.のウェブサイトから可能となっている。

なお、購入までの過程が日本語でないと不安だという方は、EtsyのGalen Leather Co.ショップから購入されると良いだろう。


Image courtesy of Galen Leather Co.

レビューしたモデルのこのほかにも様々なカラーバリエーションが用意されている(写真左)。また、同じくA5が収納できるものでは、「A5 Notebook Cover」(写真右)としてファスナーで留めないブックカバータイプのものもある(こちらは内部の使用は今回レビュー品と大きく異なる)。


Source: Galen Leather Co.

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