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滲み出るエレガンス…ヴィンテージ感溢れるケースにクラシカルな文字盤、BADGER Watches - Islanderキャンペーン中

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Sponsored by BADGER Watches

こちらのレトロな洗練感のある腕時計、実はヴィンテージ腕時計ではなく、新作。現在クラウドファンディングサイトでキャンペーン中のマイクロブランドのファーストコレクションからのものだ。

今回はシンガポールのマイクロブランドBADGER Watchesが、現在Kickstarterでキャンペーン中、既に目標金額達成済みの「Islander」をご紹介しよう。



BADGER Watches - Islander




BADGER Watches創設者でありデザイナー、そして機械工学学士でもあるLeroy Zhong氏は、8年程前に様々な腕時計ブランドのためにデザインを始め、以降50以上の腕時計をデザインしてきている。他社のためにデザインをする傍ら、彼は自らのブランドの立ち上げも行うようになる。それが日本ではBEAMSなどで取り扱いのある若者向けファッションブランドHypergrandだ。ブランドの成長と共にHypergrandは他の人々に任せ、彼は自分が心から作りたい時計のデザインに専念することを決意する。

そうして彼が求めるよりハイレベルな腕時計のデザインを追求するために誕生したのがBADGER Watchesだ。BADGER Watchesはまた、腕時計を大量生産するのでは無く、限定生産することも特徴としており、一度出されたコレクションを再度生産することはしないとしている。

実はBADGER Watchesは昨年末Kickstarterにて今回の物とは異なる「Rugges SP」という腕時計のキャンペーンを行っていた。そのときはキャンペーンの途中経過が芳しくなかったために、後にきちんとマーケティングして再ローンチすることを目標に半数近く資金が集まっていた状態でキャンペーンを中止するという英断を下している。

それから約1年の時を経てKickstarterに戻ってきたのは、先の物とは異なるデザインではあるものの、洗練されてよりラグジュリアスな雰囲気を漂わせる「Islander」だった。


ケース



Islanderを一目見て、どことなく古風なエレガンスが漂うのを感じ取る人もおられるはずだ。それはケースの形状、ケースの大きさ、そして文字盤の装飾から来ているだろう。まずはその中でもケース部分から注目していこう。

10.9mmと自動巻き機械式ムーブメントを入れているには薄めのトノー型のケース部分は、316Lステンレススチール製の3パーツ構成となっている。一概にトノー(tonneau、フランス語で「樽」の意味)型と言っても、セイコー・プレサージュのSARX051やフランクミュラーの腕時計などのような側面が弓状にカーブする物や、ウブロにみられるようなゴツい感じの物、オメガ・スピードマスターマークIIみたいな丸っこい物、そしてそれらとは異なる、1940年代頃の腕時計に見られるような薄くて繊細さを持ったものなど様々にある。Islanderのケースは、(文字盤を見れば40年代の腕時計と通じる要素があるようにも思えるが、)側部のカーブの角張りを帯びた部分やベゼル・ケースの傾斜もあり、ケースとしてみるとどことなく70,80年代の(良い意味で一部のセイコーのアナデジなどにも通ずる)独特の存在感を持っている。

ベゼル部分は別パーツとなっており、こちらもケース部と同じくトノー型だが、より艶のある仕上げになっているようだ。


竜頭はコインエッジ、頭頂は「BDGR」とブランド名の省略形が刻印されている。その横にはリューズガードがなだらかに竜頭を守る。このリューズガードはただ竜頭を保護するだけでは無く、ケース形状から竜頭だけが突き出すよりもケース全体の形を和らげ統一感を与える役割も果たしている。


裏蓋は8本のネジで留められたエキシビジョンバック。中のムーブメントと、オリジナルの刻印の施されたローターを見ることが出来る。使用ムーブメントはスイス製、Sellita SW200-1。26石、2万8800bphのワークホースムーブメントだ。


(なお99本限定版はローターに色もつけられているようだ)

裏蓋部分は縦方向にヘアライン仕上げがなされているが、端部分はケース表面方向への傾斜のついた艶のある面取りがなされている。


ケースは38mmと小ぶりながらも近代的なサイズ感。女性向け腕時計のサイズだと思われる方も中にはおられるかもしれないが、日本人男性の平均手首周りは16.6~17.5cmなどとされ、40mm以上のケースだと腕に対して大きすぎるという人も少なくない。そんな中にあって、38mmというサイズは好ましいと共に、少し70,80年代を思い起こさせるサイジングでもある(forrestのレビューでも記したが、昔の男性用腕時計のケースサイズはかなり小さかったと言うことも頭に置いておくべきだろう)。

風防は反射防止コーティングがなされたサファイアクリスタル製。しかも風防の形までトノー型というこだわり。ヴィンテージ腕時計のスタイルが好きだが、ミネラルガラスやプラスチック製の風防は傷がつきやすくて嫌いだという人には嬉しい選択だ。


文字盤



ケースの立体的なトノー型に対応するように、文字盤内の要素もトノー型の複層構造となっている。各時位置にドットのプリントされた外枠から、傾斜を帯びて一段下がった位置には分ごとの刻み。その内側はサンバースト式のギロシェ・ダイヤルとなっている。そのため見る角度により光の反射が文字盤の表情を変え、Islanderに更なる高級感を与えている。

インデックスは12時部にはダイバーズウォッチ風の逆三角があるほか、3時、9時がアラビア数字、6時は日付窓があり、それ以外の各時はバーインデックスとなっている。各インデックス部は99本限定のOrigin editionは青地で縁取られており、それ以外の文字盤では金色の縁取りがなされている。3時、9時の数字を除けば左右対称な文字盤内要素の中で、6時位置に入れ込まれた日付窓は、違和感なく6時位置のバーインデックスとしても機能している。日付窓下の縁取りと、その左右の「SWISS / MOVT」も良いアクセントだ。

文字盤のカラーバリエーションは4色。99本限定のサテンシルバー色のダイヤルにネイビーブルーの縁取りが美しい「Origin edition」、黒地文字盤に金縁の白インデックスで可視性抜群の「Onyx Black」、深い緑色をした「Sage Green」、空の青さの「Azure Blue」。


針は時分秒針の3針で、時分針はどこかしらエッフェル塔を彷彿とさせるような形状。針根元部分の円形からそのまま傾斜して先細りしていく面白い形状で、中に蓄光部がある。秒針はカウンターバランスがついており、先に行くにしたがり先細りしていくのは時分針と同じだが、かなり鋭く細まって終っている。

時分針とインデックスにはスーパールミノバBGW9で蓄光する。BADGER WatchesはIslanderのプロトタイプに他社の蓄光塗料とスーパールミノバを両方使用してその差を比べてみているが、やはり結果は明らかにスーパールミノバが勝っていたのでそちらで統一することに決定した。


ストラップ




ストラップは文字盤のカラーバリエーションに合わせてそれぞれに異なる色のものが付属しているが、どれもイタリア製。

「Origin edition」にはスエード調のグレー、「Onyx Black」にはスエードのブルー、「Sage Green」にファイングレインレザーのブラック、「Azure Blue」にはファイングレインレザーのブラウンのものとなる。


面白い点としては、ケース径が38mmと小ぶりであるのにストラップが22mmと幅があるという点がある。大抵このケース径だと18~20mmのストラップが使われることが多いのだが、ケース径にストラップ幅を近づけることで全体的な見た目のバランスを取っているのだろう。

ケースの項目では書かなかったが、ラグの部分はケース正面に隠れており、ストラップエンドが時計表面からは見えないつくり。なので時計ケースから直接ストラップが伸びるような印象を与える。

ストラップはどれもクイックリリース式となっているので、手持ちのストラップとも簡単に交換できる。


まとめ



ヴィンテージ腕時計のレトロなスタイルと、現代的なムーブメントと風防の性能を、エレガントに組み合わせた美しい腕時計Islander。

BADGER Watchesが前回の失敗をバネに再挑戦した今回。IslanderのKickstarterキャンペーンには既に目標金額を130%以上超える370万円以上の資金が集まっている。

この記事執筆時点で残り日数はあと15日となっているので、気になる方はお早めに。



Image courtesy of BADGER Watches

Source: Kickstarter, BADGER Watches

(abcxyz)

小ぶりな自動巻きクロノグラフで11万円台!?スウェーデンMAEN WatchesのSkymaster 38

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Sponsored by MAEN Watches

今回ご紹介するのは、手頃価格の自動巻きクロノグラフで、しかもケース径が小さいものをお探しの方にピッタリの腕時計。38mmの径にスイス製自動巻きクロノグラフムーブメントを詰め込んで11万円台というMAEN Watchesの「Skymaster 38」だ。しかもクロノグラフ腕時計として格好いいのだ。



MAEN Watches




MAEN Watchesはスウェーデンの首都ストックホルムを拠点とするオランダ系スウェーデン腕時計ブランド。二人のオランダ人により創設されたこのブランドは、実は米ニューヨークの歴史に惹かれてブランド名を名付けている。

今でこそ「ニューヨーク」と呼ばれるその地だが、その歴史はオランダに満ちている。実はニューヨークのブロンクス、ブルックリン、ブロードウェイ、ハーレム、ウォールストリート…これらは実はオランド語に由来した地名なのだ。ニューヨーク市に存在するマンハッタン島は、最初に到達したのはオランダからの資金援助で向かったイングランドの探検家、ヘンリー・ハドソン(ハドソン川の名称由来でもある)を船長とするオランダ船、「Halve Maen」(「ハーフ・ムーン」の意)だった。その後1626年、現在のマンハッタン島/ニューヨークに最初につけられた名前もまた「ニーウ・アムステルダム」だった。

MAEN Watchesはその名を最初にブルックリンに到達した船「Halve Maen」からとり名付けた。また腕時計コレクションにもオランダ/ニューヨークに由来する名称がつけられた物が多く、「Hudson Automatic」、「Brooklyn 39」、「Manhattan 40」などと言った具合だ。

ブランドとしては品質、素材、細やかなディテールへのこだわりを強みとし、期待を上回る腕時計作りを目標とする。ムーブメントにはスイス・メイドのもののみを使用というのもこだわりだ。Kickstarterでも過去に3回のキャンペーンを行いどれも成功させているという信頼も厚いブランドである。


そんなMAEN Watchesの最新コレクションであるSkymaster 38は、自動巻き機械式のクロノグラフムーブメントを採用しながらも手頃な価格のヴィンテージスタイルの腕時計だ。このSkymaster 38もKickstarterでキャンペーンが行われたことがあり、約19万ユーロ(約2200万円)もの資金を集めて成功させている。(実はクラウドファンディングサイトで資金を集める腕時計の中にはクロノグラフ時計は少なくない。しかしそのほとんどはクオーツやメカクオーツ式のムーブメントを採用しており、安価ではあるものの、自動巻き機械式ムーブメント腕時計の愉しさを追い求める人には物足りない。そんな中でSkymaster 38が大きな成功を収めているという点でも興味深いブランド/コレクションである。)

早速どのような腕時計なのか見ていこう。


ケース



こうして写真で見て理解するのは難しいが、実はこのケース、径は僅かに38mmなのだ。自動巻き機械式クロノグラフではケース径が42mm~45mmくらいのものが多い中で、38mmにケース径を抑えているのは素晴らしい。基本的にヨーロッパの人々に比べて日本の人の手首径は細めであることからも、45mmやまして50mmといったサイズの時計は日本人の平均手首径からしたら大きすぎる感は否めないし、手首が細めの人に取っては特に厳しい。そんな中で自動巻きクロノグラフで38mmというだけでもSkymaster 38が魅力的に見えてくると言う方も少なからずおられるだろう。

MAEN WatchesはSkymaster 38で小ぶりなヴィンテージクロノグラフのサイズ感を追求した*。使用するムーブメント、ETA 2894-2の径は28mm。5ATMの防水性能も備えながら、更には回転式GMTベゼルまでつけて38mm。

*参考までに、先日発表されたセイコーの機械式クロノグラフ55周年エディションの自動巻き2本、SRQ031(回転式ベゼル付き)は42.3mm、SRQ029は41mm、その周年元となる1964年のセイコー・クラウン・クロノは39mmのケース径だった(これは回転式ベゼルはあるが手巻き式でプッシャーは一つ、クロノ針も一針だけだった)。


38mmのケース径を実現するのは、極限までスリムさを求めたケースデザイン。回転式のGMTベゼルは掴みやすいように側面にコインエッジが刻まれている。これは通常のベゼルよりもスリムな作りとなっており、機能性を保ちながらも時計径を最小限に留める。


2時と4時方向から出るプッシャーは鏡面仕上げで釘状に頭が幹より太くなる。その間に位置する竜頭は、突出は少ないものの径は大きめで、プッシャーとのバランスが個性的なシルエットとなる。竜頭はコインエッジで頭頂に「M」の印が彫り出されている。


横から見たときにはSkymaster 38が薄いことにも気付くはずだ。厚みは風防を除けば僅かに10.9mm、風防含めても12.9mmとなっている。


そんなSkymaster 38標準モデルの風防はヴィンテージたっぷりにケースから飛び出したボックスドーム状のヘサライトクリスタル。だが69ユーロの追加で風防にサファイアクリスタル製を選択できるという嬉しいオプションも存在する。


ヘサライトは強化プラスチックであり、サファイアクリスタルよりも傷はつきやすいものの、サファイアクリスタル製の風防のようにバリッと割れることも無いし、傷を磨き取ることが可能。サファイアクリスタル製であれば傷はつきにくいが、万が一傷がついたら傷を取るのが難しく、割れるときにはパリッと逝ってしまう。時計の値段に風防の価格も反映されるのも当然で、サファイア版よりもヘサライト版の方が安価だし、もしも風防を取り替える必要がある場合も安価だ。そんな一長一短な2種の風防を選択できるというところは時計ファンには嬉しいところ。


裏面はねじ込み式。エキシビジョンバックとなっており、裏面目一杯に広がる窓から美しいETA 2894-2ムーブメントが堪能できる。裏面にはブランド名にコレクション名、や使用ムーブメントや防水性能がレーザー刻印されている他、その外周は細かな刻み目があるのだが、2894-2のローターベゼル内周の刻み目と同調するような視覚効果を産んでいる。


ケースから伸びるラグには文字盤側から見ればラグの内側に傾斜がつけられているのも判るだろう。これはラグが細目に見える効果を与えている。


ラグ-ラグ間の距離は46mmと全体的なバランスからは長めに設計してあり、腕の上での存在感が持たせてある。


文字盤



文字盤情報量の多いクロノグラフ腕時計だが、ケース径の小ささで可視性を犠牲にしないためにMAEN Watchesはサブダイヤルを大きくすることでこれに対応している。この事を頭に置いて文字盤を見返してみれば、文字盤全体とサブダイヤルの大きさの比率が一般的なクロノグラフ腕時計と異なることに気付くことだろう。


サブダイヤルはレコード状の立体的なディテールが施されている。


時分針は先端部分のみが僅かに先に向かう傾斜がついたバー状となっており、両長辺は下方の傾斜がついている。このため様々な角度から入る光が反射しやすい形状だ。可視性の面では暗くなってからのことも考えられており、その大部分にスーパールミノバC1蓄光材がついている。クロノグラフ秒針はメトロノームのように細い針の先端近くに四角い部分があり、その内側が蓄光部となっている。(秒針はスモールセコンドとなっており3時位置に存在する。クロノグラフ機能は、60秒計、30分計、12時間計がついている。)

3,6,9時を除く各時に配されたアプライドインデックスは、短辺に傾斜のあるバー状のもので、時計中心から最も離れた辺側に蓄光部分がある。各時インデックス部には(3,6,9時も含め)スーパールミノバC1蓄光材が塗布されている。

各時インデックスの間は各分の印がプリントされている。このプリント部と、3時、6時、9時インデックスはビッグサブダイヤルを避けるように存在するのだが、文字盤内の要素が左右対称であるため違和感は無い。

文字盤最外周部には傾斜したダイヤルリングがついており、5分の1秒間隔で線が引かれている。ケース径が小さいため少ない文字盤空間を上手く使っていると言えるだろう。



カラーバリエーションは黒文字盤に黒サブダイヤルの「Jet Black」、黒文字盤に白サブダイヤルの逆パンダこと「Inverted Panda」、そして白文字盤に黒サブダイヤルの「Panda」、そしてミッドナイトブルーの文字盤に白サブの「Midnight Blue」、赤みがかった灰色のサンダーグレー文字盤に、赤と黒のアクセントのついたサブダイヤルの「Thunder Grey」(このカラーのみ時分秒針が赤く、クロノグラフ3針が白い!)の5種類。


ストラップ



Skymaster 38の標準版には黒色のアリゾナ・トップグレイン・レザー(Arizona top grain leather)に対照的な色である白のスティッチがついたものとなっている。これは人気の白・黒の文字盤カラーリングにマッチする色として選ばれたものだろう。


追加料金は89ユーロほどかかるものの、Skymaster 38にピッタリの5リンク式ステンレススチール製ブレスレットも用意されている。中央と両端のリンクはブレスレット方向にヘアライン仕上げで、挟まれる薄い2リンクは艶在り仕上げ。安くは無いが、メタルブレスレットで楽しみたい場合はケース径とラグ長にピッタリ合った公式ブレスレットは魅力的だ。


まとめ



個人的に注目するのは、自動巻きクロノグラフであることと、サイズと価格。38mmという小ぶりなサイズの自動巻きクロノグラフはそもそも最近珍しい。他に現在38mmの自動巻きクロノグラフと言ったら40万円くらいするオメガSPEEDMASTER 38くらいだろうか。

ケースサイズが大きくなればそれだけデザインが大味であっても形になってしまうものだが、小ささを追求するのは難しいものだ。何が本当に必要なのか、どこを削り取るかをシビアに取捨選択し無ければならない。このバランシングもMAEN Watchesは上手くこなしていて、美しいクロノグラフ時計として必要な全てを詰め込み、GMTベゼルまで付加しつつも38mmのケース径、10.9mmのケース厚を実現している。

自動巻きクロノグラフを、小ぶりな腕にもしっくりくる38mmというケースサイズに上手く落とし込み、それを949ユーロ(執筆時レートで11万円)という控えめに言っても安価な価格で提供するのはすごい。しかもMAEN Watchesは品質にもこだわりがあり、ムーブメントがスイス製なのは当然として、組み立てもスイスのティチーノとなっており、Swiss Madeの腕時計となっているのだ。

唯一残念な点は、今すぐSkymaster 38が欲しくても手に入らないということ。実際に腕時計が手に入るのは来年3月で、現在は未だ予約販売を行っている状態ではあるが、その分現在は割引価格で提供されている。気になる方はMAEN Watches公式サイトへどうぞ。


Image courtesy of MAEN Watches

Source: MAEN Watches

(abcxyz)

ヴィンテージ腕時計レビュー:北欧の謎ブランドmiljonär。裏蓋の戦車とロケットは一体…

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本日はまず日本では見ることのないであろう北欧のヴィンテージ腕時計をご紹介しよう。50年代中ごろから70年代初頭にかけて腕時計を作っていた「miljonär」というブランドの2本の腕時計だ。(最初の「m」は刻印では常に小文字で記してある。)



miljonär


フィンランドの腕時計サイトKellohuoltoloppela.comによると、Miljonärはスウェーデンの腕時計ブランド。フィンランドで言うところのLeijona(こちらに関しては以前当ブログで取り上げてる)のような立ち位置のブランドであり、ムーブメントもケースも外注しているとのことだ。ちなみに「miljonär」はスウェーデン語で「百万長者」の意味。

Kellohuoltoloppela.comでは、miljonärにはスイスAtlantic社の腕時計(こちらも手ごろな価格帯でムーブメントもケースも外注)と似たデザインのものが多いため、Atlantic社がより安価な腕時計ブランドとして作ったのではないかと推測している(だから成金っぽいネーミングなのかもしれない)。そして、「貧乏人のAtlantic」という立ち位置であり、またフィンランドには1958年までは輸入制限が存在したため、そして以降は腕時計に追加関税がかけられていたため、密輸腕時計として人気があったそうだ。


フリーマーケットでの出会い



さてそんなMiljonärの腕時計、西フィンランドで行われていたフリーマーケットの一つの屋台で複数本販売されていたのを見つけ、購入してみた。販売されていた腕時計の多くは動いていたように記憶している。

購入したのはこちらの二本。手巻き式なのだが、バンドのついているほうは購入時に不稼働状態かつめいっぱい巻き上げられてそれ以上巻けない状態だった。時計部だけのものは購入時にはすでに稼働していた。


時計部だけの方



こちらが最初にご紹介する時計部だけのmiljonär。ケースは表面は下方に傾斜し、中心から外側へと放射線状にヘアライン仕上げ、側部は艶出し仕上げ。


文字盤には、「miljonär」、「17 RUBIS」(17ルビー)、「INCABLOC」(インカブロック)、「SWISS」の表記。各時のアプライドインデックスは、12,3,6,9はアラビア数字、それ以外は70年代っぽい正方形のもの。正方形インデックスは、両脇のシルバー部に挟まれるようにして縦に蓄光部がある。その外周には各分刻みのプリントインデックスが、各時部分では太めになっている。


自分針はシンプルなバー状で先のほうに蓄光部。秒針は矢状で、先端は矢じり型、短い側は矢羽根状に幅広に。


一応蓄光できる。


風防はもっこり盛り上がるドーム状。


写真では判りづらいが、文字盤は中央部と外周が緩やかに凹む。以前レビューしたCalifornia Watch Co.の時計がそんな感じだった。


ストラップを取り付けるスプリングバーはちょっと謎で、中ほどがケースに触れてしまっている。もしかしたらもともとはVan BraugeのThe Gentleman's Oxfordみたいに湾曲型の別のスプリングバーが入っていたのかもしれないし、バーの両脇だけにストラップから出た脚がつくような特殊な形状のストラップだったのかもしれないし、一体性の高いメタルブレスレットのエンドリンクがついていたのかも。


手持ちの18mmの細めのスプリングバーをつけようにも、バーがケースにぶつかってしまい、ストラップの挟まる余裕がなくなってしまう。そのため、ラグ間の距離は18mm程度だが、19mmのスプリングバーをペンチで曲げてカーブさせて(カーブの分2点間の線距離が長くなるので長めのバーを使用)取り付けた。


友達がPebble Time用に作ってくれたレザーNATOストラップを無理矢理入れて見た。カーブしたスプリングバーも販売はされているし、WatchuseekフォーラムのPallet Spoon氏のコメントでは、ebayで10ドルくらいで購入できるスプリングバー専用のカーブさせるためのプライヤーが勧められている。


ねじ込み式のケース裏には「Waterproof」(防水)、「INCABLOC」、「Stainless Steel Back」(ステンレススチール製裏蓋)、「SWISS MADE」の表記。


ムーブメントには17石、「SWISS」の表記。竜頭を回せば動く。


miljonär Scandinavic



こちらは購入時には動いておらず。屋台のおじさんは「裏の謎のミリタリーな刻印が珍しいだろ~」と言っていた。


風防は先ほどの物とは異なり、緩やかなカーブを描くドーム状。ケースは艶出し仕上げ。インデックスは先の時計よりも長めの長方形サンドイッチ状。


時分針はペンシル型で、分針の先は風防に合わせて傾斜がつけてある。秒針は6時位置にスモールセコンドとして存在する。



竜頭は元々これがついていたのか怪しくなるような感じ。一応細かな刻みがあるが、金属板を丸め込んだ仕舞いの部分のようにも見えるし、頭頂部はなんだか叩かれたような仕上がりだ。超絶回しにくいし、ケースと色も違うし。後述のKalevankelloで販売されている物とも全然違うし。


文字盤には12時方向に「miljonär」、「SCANDINAVIC」。


そして6時側に「17 RUBIS」、「INCABLOC」、「T SWISS MADE T」の表記。


この「T」に関して調べたところ、Fondation de la Haute Horlogerie(FHH、高級時計財団)のページに記述があった。それによると、「T SWISS MADE T」は、227 MBq (7.5 mCi)以下の放射をするトリチウムが含まれているという意味だそう。トリチウム/三重水素は、所謂「蓄光」と異なり何もしなくても光る放射性物質で、自発光塗料としてルミノバ蓄光以前にはよく使用されていた。特に人体に影響のあるほどの力も無く、なおかつ使用量も微量だとのことで、今でもBall Watchなど一部の会社が使っている。更に半減期は僅かに12.32年なのでこの時計の物はもう光っていない。



ストラップはメタルでバンド状。


ストラップのスプリングバーに巻きつけてある部分には、一方に「Edelstahl」。


もう一方に「MADE IN FINLAND」と記してある。


ストラップは表面に装飾が施してある。


裏面には「ResofiX(ifoseR)」(カッコ内は上下反転)。


ムーブメントには「UT」という表記が見られる。調べたところ、mcbroom.bizのこちらのページにムーブメントなどに見られるロゴマーク一覧が掲載されているのが見つかった。どうやらUnitasのロゴのよう。Unitasは1898年創業のムーブメントマニュファクチャーであり、Watch-wikiによると現在はSwatchグループのETA部門に編入されているようだ。ムーブメントには他に17石、「SWISS」表記も。17jewels.infoによればどうやらこれはUnitas 6325というムーブメントの17石版(通常版?は21石のようだが、17石版も存在し、17石版には耐衝撃用のインカブロックもついている)で、60年代のムーブメントながらも振動数は現代的な2万1600振動/hかつ、ニッケルバランスの形状も現代的とのこと。


売りの裏面刻印は謎の戦車とロケット。一応シリアルナンバーのような「11300」という番号も記してある。何かの記念モデルなのか、どうなのかは謎。一応Kalevankelloで文字盤のみが異なるMiljonär Scandinavicが115ユーロで販売されており、そちらの裏にも同様の戦車とロケットが刻印されている。そちらは「1130」と刻印されている。また、Chrono24では、文字盤と針が異なるバージョンが300ドルで販売されている。これの裏蓋にもやはり戦車とロケットがあるが、番号は私が手に入れた物と同様に「11300」となっているので、もしかしたらこれはシリアルナンバーではない何か別の意味を持った数字なのかもしれない。

もう少し調べてみたところ、Ranfft Watchesのページで、「AS 1130」という「Wehrmachtswerk」(アーミー・ムーブメント)などと呼ばれるムーブメントがあると記されていた。Ranfft Watchesのページの写真からすると、Unitas 6325とされるムーブメントとほぼ同一の形状をしている。

あとは他の文字よりも大きく「WATERPROOF」とあり、その他「Antimagnetic」(耐磁)、「Incabloc」、「Stainless Steel Back」、「SWISS MADE」、そして「Unbreakable Mainspring」(アンブレイカブル主ゼンマイ)とのこと。この壊れない主ゼンマイというのは昔の腕時計で売りにされている物をたまにみるが、WatchuseekフォーラムのJimH氏の投稿によれば、ブルースチール製の主ゼンマイが一般的だった時代に、それよりも壊れにくく当時真新しかった白色合金(white aloy)をはじめとする新素材を用いた主ゼンマイであるということのようだ。


先に記したようにこちらは目一杯巻き上げられた状態で、なおかつ動かなかった。この写真を撮ったのが7月で、今10月。この3ヶ月の間にこの写真を撮ったときに何をどうしたのかをすっかり忘れてしまったが、とにかく角穴車と丸穴車を取り外してから付け直したようだ。特に洗浄や注油などはしていない。

何はともあれ一応稼働するようになった。


まとめ



なかなか探しても情報が無かったりして結局どういうブランドでどういう腕時計なのかはよくわからずじまいな感じはあるが、とりあえずどちらも動く。

完全に巻き上げて22時間ほど経った状態では、時計部だけの方が1分遅れ、miljonär Scandinavicの方は1分進み(スマホ時計比)。以前試したときにはどちらかが15分遅れていたような気がするが。

コンディションが良いとは言えないものの(KalevankelloやChrono24で販売されている価格では売れないだろう)、どちらも動くには動くし、なかなか面白い買い物だった。


Source: Kellohuoltoloppela.com, Watchuseek, Fondation de la Haute Horlogerie, mcbroom.biz, Watch-wiki, 17jewels.info, Kalevankello, Chrono24, Watchuseek

(abcxyz)

男女ともに楽しめるアール・デコのスタイルとユニークなストラップの自動巻き腕時計VARIO「Empire Art Deco」

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Sponsored by VARIO

シンガポールのマイクロブランドVARIOが、30年代を彷彿とさせるアール・デコ調スタイルの腕時計をローンチした。そのスタイルのみならず、38mmという男女問わず楽しめるケース径と、ハリス・ツイードやイタリアン・レザーという質の高いストラップも魅力の腕時計となっている。

なお記事の最後には10月末まで有効な割引クーポンも戴いて居るので気になる方はこの機会をお見逃し無く。



VARIO


自分の求める個性を持った腕時計ストラップがどこにも存在しなかった、というところがきっかけとなり、IvanとJudyの手によってVARIOは2016年シンガポールに生まれた。創業当初から夫婦二人三脚でブランドを切り盛りしている。

元々腕時計用のストラップから始まったブランドということもあり、主にNATOストラップを中心に様々なタイプのストラップを展開している。Kickstarterをはじめとするクラウドファンディングプラットフォームで計4回のキャンペーンを成功させている。

しばらく以前にはシンプルで美しい腕時計、「Eclipse」の販売を開始。これには、Seiko TMI VH31という個性的なムーブメントを用いたバージョン(このムーブメントはクオーツでありながら一秒間に4回針を動かす「スウィープセコンド」を特徴とする)と、古風な手巻きムーブメントMiyota 6T33を用いたバージョンが存在する。

今回レビューするのはそれに引き続くVARIOのセカンドコレクション、「Empire Art Deco」からのもの。


Empire Art Deco




Empire Art Decoコレクションは、その名が示すようにアールデコにインスパイアされたコレクション。アールデコの黄金期とも言える1930年代をモチーフにしたデザインが目玉だ。

なおVARIOは1年の国際保証に加えて、見た目品質に満足がいかない場合は未使用・未着用に限って14日以内の返却で返金もしくは交換に応じるとしている。これはクオリティーに対する自信の表れとも言えるだろう。


ケース



ケース径は38mmと小ぶりであるのはやはりレトロ感を感じさせる大きなポイントだ。時計のケース径に関してはこのブログで書いているが、このスタイル、この径であれば男女関係なく楽しめるのも良いところ。


ケース厚は11.5mm。ケース横から見ると、ケースが二段階にカーブしているのがわかる。そのため、全体的に丸みが強調される感じがある。これはEmpire Art Decoを斜めから見るとより顕著で、38mmよりもさらに小ぶりな印象を与えている。


風防は内側に反射防止コーティングの施されたクリスタルサファイア製。クラシカルな見た目ながらも傷の付きづらいサファイアクリスタルを採用しているのは嬉しいところだ。


ラグ部分は一段目のカーブの上に覆い被さるような意匠となっているのも面白い。


こちらは同部分を少し上から見たもの。これもアールデコを意識した意匠と言える。


竜頭はクラシカルなオニオン状で、頭頂にぽっちが付いたものとなっている。竜頭の左右横の面は高くなったいるため、腕時計を手首に装着させた状態では竜頭が引き出し辛いが、そもそも腕時計の時刻合わせは腕時計を外して行うもの(竜頭の軸である巻き芯に斜めに力がかかってしまうため壊れる可能性がある)。竜頭の上下(風防側と裏蓋側)にあたるケース部は、ケース中央方向に向かって傾斜しているのでちゃんとつまみやすくなっている。

使用するムーブメントはSeiko SIIのNH38A。このNH3Xシリーズのムーブメントは手頃な価格帯の自動巻き腕時計によく採用されており、それだけ普及し、同時に信頼されているムーブメントとも言えるだろう。その中でもよく用いられるのはNH35Aだが、これは日付機能もついていおり、そのため時刻合わせの際には竜頭を二段引き出さないといけない。しかし日付機能がついている割にムーブメント事態の価格は安かったりもすることもあり、中途半端なブランドであれば文字盤に日付窓を設けずにNH35を採用し、そのために着用者は意味もなく竜頭を二段階引っ張って時刻の調整を行わないとならないという不合理なことになる。だがVARIOのEmpire Art Decoでは日付窓を持たないデザインに合わせてきちんとNH38Aを選んでいるので、そのような無駄はない。加えて、特に目立った性能差は確認されていないようではあるが、NH38AはNH35Aよりも新しく作り出されたムーブメントでもある。


裏蓋はねじ込み式。左右対称のエンパイア・ステート・ビルディングを彷彿とさせる裏蓋装飾が美しい。


人によっては「自動巻きムーブメントなんだったら中の見えるエキシビジョンバックにすればいいのに」と思われる方もいるかもしれないが、一つにはこの腕時計が彷彿とさせる時代にはそのようなものはなかったという点で、もう一つには、NH38Aは特に中を見せるために作られたムーブメントではないと言う点で(更に加えるならばそうすることで価格が向上してしまうという点でも)、この装飾のみが施された裏蓋はこの腕時計にとってより良い選択だと言える。

防水性能は5ATMと、日常使いには十二分だ。


文字盤



文字盤は立体感のある2層構造となっている。文字盤中心部は美しいギョーシェが施された層。中心に近づけば近づくほど細かく、ルーペで見て初めて細部が堪能できるほど。


この層の12時方向にはVARIOのロゴが立体型押しの上にプリントされている。


インデックスがあるのはその上に位置する層。この層は円周状にヘアライン仕上げがなされており、アール・デコ調のポスターなどで見られる車や電車などの金属質感の表現を彷彿とさせる。各時インデックスはまさにアールデコ調のフォントで記されていてレトロ感を演出している。その外周には細い溝があり、溝を隔てて外側に分刻みのドットインデックスが配されている。


時分秒針は熱加工により青くしたものが用いられている。時分針はどちらも中抜きが施されており、細かな文字盤のギョーシェを存分に楽しめる。時針の方はパドルスタイルやモダンスタイルなどと呼ばれる中央部が太く、根元先端が細くなったもの。分針の方は根元近くから太まり、先端に近づくにつれて細くなってゆくアロー針となっている。秒針はまるでノブ付きのステッキのような形で、長い秒針のバランスをとるようにカウンターバランスとなった後部が中心よりも遠くへと突き出し、丸く終わっている。



Image courtesy of Vario

今回レビューする白文字版に黒インデックス、青針の「White Dial」以外のカラーバリエーションもなかなか魅力的で、シルバーの文字盤とインデックスにブルー針のもの「Silver Dial」、ガンメタルの文字盤に針とインデックスがシルバーの「Gunmetal Tuxedo」。そして文字盤の二層がブラックとホワイトのツートンカラーの組み合わせ違いが二種、中央部が白で時インデックス背景部が黒の「White Tuxedo Dial」、中央部が黒で時インデックス背景部が白の「Black Tuxedo Dial」が存在する。


ストラップ


やはりもともとストラップ作りから始まった会社だけあって、ストラップも見物だ。

クラウドファンディングキャンペーンでは、ビンテージスタイルのイタリアンレザー、もしくはハリス・ツイードのものが選べるようになっているのだが、今回はレビュー用に両方送っていただけた。


まずはスコットランドで作られたハリス・ツイード製のストラップから。色は「Peacock」。ツイードはスーツなどで使われることで知られるように、水をはじくと共に耐久性に優れるとされる。


中でもこの「ハリス・ツイード」というのは、最高級のツイードとされており、スコットランドのアウター・ヘブリディーズ諸島で作られ、Harris Tweed Authorityにより認められたもののみがその名を冠すことが許されるもの。


手首に触れる裏面は触れ心地の良いヌバック。なのでツイードの見た目は好きだが、肌に直接あたるとチクチクして好きじゃないと言う方(実は私もそうだ)も問題なく、チクチク感を感じることなしに着用できる。


裏面一方にはHarris Tweed Authority認証の証であるオーブのマーキングと「Harris Tweed」の刻印がなされ、もう一方には「VARIO」のロゴ刻印がなされている。


ぱっと見緑色であるが、よく見てみれば様々な色が絡み合っているのが面白さだ。縫い合わせは表面はツイード色とマッチする色合いで、裏面は裏のヌバックにあったクリーム色の糸が使用されている。


ストラップはバースプリング式となっているため、外すにはストラップ外し用工具(もしくはゼムクリップ)を要する。クイックリリース式を好む人もいるだろうが、クイックリリース式はその機構のために突出したつまみ部分がなくてはならず、時計部への付け根部分の強度が弱くなる。このストラップでは表面全面にツイードを使用しているため、強度の兼ね合いから従来型のバースプリング式ストラップを採用しているのだろう。スタイルをとるか、利便性をとるか、という取捨選択というわけだ。

ツイードの表材とヌバックの裏材の間に芯材が入った作り。そのため最初の数回の着用時にはストラップが固めだと感じることだろう。これに関してVARIOのIvan氏は購入直後であっても「ストラップを巻いた状態にしてゴムバンドを使って固定し、強制的にカーブができるようにすることで付け心地を改善できる」とアドバイスしている。


ストラップループ部分もツイードで作られていることもあって、一度ストラップをループに通すとツイード素材同士が触れ合うこととなる。ツイード同士が触れ合うと結構な摩擦が感じられ、ストラップループの耐久性は少し心配ではある。また、着脱がしづらいと感じられる方もおられるだろうが、摩擦のおかげで一度つけてしまえば、二つ目のストラップループが外れることはまずない。二つ目のストラップループは固定されていないので自由に動くことができるため、着用中に外れてしまいストラップ先が跳ね上がってしまいだらしない見た目になるなんてことも少なくなく、(特に見た目がユニークなストラップで)これがおきないのは利点だ。。


手首周り16~17cmの私には、一番小さい設定でちょうど良い~微妙に緩い感じ。ここはもう二つほど小さい側にもストラップホールが欲しいところだが、実はレビュー用に提供されているこのツイードストラップは古いバージョンであり、新しいバージョンはストラップが全体的に長いため、後述のレザーストラップと同じくらい小さい設定側にも穴が位置するとのこと。これは安心。


Image courtesy of Vario

ハリス・ツイードのストラップの色展開はご覧の通り。(色は左より、Lavender / Merlot / Pecan / Coal / Ash / Cobalt / Peacock)


そしてこちらはビンテージスタイルのイタリアンレザー、レビューモデルは「Navy」だ。ストラップ幅はラグ側が20mmで、バックル/ストラップホール側に行くにつれて16mmとわずかに先細っていくスタイル。こちらは簡単に着脱可能なクイックリリース式となっている。


仕立ては切り身仕立てだろうか、ストラップ穴から内面を見るとブルーの表材の下に裏材が覗く。芯材が入っていないこともあり、柔軟性が高い。そのため購入直後でも柔らかく手首の形になじむ。


着用時に見えることとなる表面は全面にシボ(レザー表面の皺状のテクスチャー)があるものが用いられており、その表情が楽しめる。


こちらも裏面はきめの細かいヌバックで、肌あたりがよい。裏面には一方に「VARIO」ロゴ、もう一方に「GENUINE ITALIAN LEATHER」の刻印(通常よく見るGENUINE LEATHERではなく、ITALIANと強調しているのは面白い)。レザーはイタリアのヴィチェンツァ県のものを使用。これは染みや擦り傷への耐性があるとのこと(stain and scratch resistant)。

スティッチにはレトロ感を出すためクリーム色の糸が用いられており、サイドは表材と同色でコバ塗りが施されている。


バックルは銀色で鏡面仕上げ、ここにも「VARIO」の刻印が。


個人的に気に入ったのは、これまで当ブログでレビューしてきた大多数のマイクロブランドの腕時計においてストラップホールが小さい側に余裕がないものばかりだった。私の手首径は日本人男性としては平均的な16~17cmの間であるが、通常のストラップでは一番狭い幅設定でギリギリちょうどいいか、こころなしか緩め(例えば先のプロトタイプ版ツイードのように)。一方このVARIOのレザーストラップでは、通常のものよりもより狭い方向に穴があるのだ。当初手元を見ずにいつもと同じ手首感覚でつけたところ、更に二つ狭い設定にすることができることがわかり驚いた。試しに一つ狭い設定にしてみたところ、これがぴったり。あくまでも私の手首径は平均サイズなので、より小さい手首の方も少なからずおられるはず。そんな日本の平均~平均より少し小さいサイズの腕時計愛好家にとってはこのストラップは喜ばしい。

穴が足りなければ穴を開けるという選択肢もあるにはあるが、腕に自信がない限りは難しいものだし、このようにもとから十分に穴があるのが一番だ。


Image courtesy of Vario

レザーストラップの色展開はご覧の通り。(左より、Black / Navy Blue / Grey / Maroon / Wine)


まとめ



男性でも女性でも楽しめる38mmの小さな時計部にアールデコ調のスタイルを取り入れた、おしゃれな腕時計「Empire Art Deco」。もっと別のカラーのEmpire Art Decoを見たいという方はVARIOの特設ページで様々な写真や他ブログによるレビューなどもご覧戴ける。


時計部の楽しさもさることながら、良質のユニークなストラップは更に時計の楽しさを広げてくれる。価格は348米ドル(記事執筆時のレートで約3万7000円)と、自動巻き腕時計にしては安価な部類。

また、手持ちの時計にVARIOのストラップを合わせてみたいという方はVARIOのウェブサイトから購入可能だ。ストラップは今回レビューした20mm幅のものだけでなく、18mmや22mmのものも扱っているし、Apple WatchやG-Shock用のアダプタ付きのものも売っているので「素敵なストラップだけどどうせ自分のApple Watch/G-Shockにはあわないんだろうな・・・」なんて思う前にVARIOを訪れるといいだろう。


Empire Art Decoを購入されたいという方は、VARIO公式ウェブサイトショップの「Empire Art Deco」ページからどうぞ。「Empire Art Deco」販売ページにはEmpire Art Decoとハリス・ツイードのコンビネーションは掲載されていないが、購入時にVARIOに通達するか彼らのカスタマーセンター「customer_service@vario.sg」へ連絡すれば標準のレザーストラップを好みのストラップに取り替えてくれる(VARIOの販売するハリス・ツイード以外のストラップにする事も可能だ)。VARIOショップでは25米ドル以上の購入では送料無料、25ドル以下であれば5ドルの送料がかかるようになっている。日本への発送はDHL Expressで行われるとのこと。

なお今回レビューするに当たって、当ブログ読者限定の割引コード「THXPALM12」を戴いている。Empire Art Decoだけで無く、VARIOの販売する全商品に使えるコードなので、記事冒頭にちらっと記したEclipse腕時計や、VARIOのストラップのみでも割引対象となる。チェックアウトの際に「Gift card or discount code」の欄にこのコードを入力するとEmpire Art Decoが12%割引になるので購入したいという方はお見逃し無きよう(丁度10月に消費税が上がったところだから消費税以上分の割引となるのは嬉しいところだ)。割引コードは10月末まで有効となっている。


Source: VARIO

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個性を手首に。デカさ目を惹くファッション性、エストニアAEGAONの「Tabula Rasa 44」

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デカく、シンプルでいて個性的。そんな腕時計を生み出すブランドがバルト三国のエストニアに存在する。その名もAEGAON(アエガオン)。

今回はAEGAONの大きめサイズに「Tabula Rasa 44」コレクションより、二つとして同じものはない不思議な色合いが魅力的なカメレオンモデルをレビューしていく。



AEGAON-エストニア初のウォッチメイカー



じつは私がAEGAONに出会ったのは2019年夏にフィンランドのトゥルクにてKultaViljaset主催で行われた時計イベント「Kellojen Kevät」でのこと。

AEGAONは設立は2012年と比較的最近ではあるものの、エストニア初のウォッチメイカーだ*。そのインスピレーションの元となったのは、エルビス・プレスリーが「Allways on My Mind」と言う曲の動画中に腕につけている巨大な腕時計(Hamilton Venturaではない)。

それもあってかAEGAONの生み出す腕時計はビッグで個性的だ。

Image courtesy of AEGAON

AEGAONにとって最初のコレクションは65mm、53mmで展開される大ぶりな自動巻き腕時計「Peacemaker」だ。このコレクションはスケルトンダイヤルとなっており、地版に細やかな装飾が施されたもの。これはクラウドファンディングサイトIndiegogoで2万3000ユーロ近く(約272万円)を集めて成功している。そしてその数年後には今回レビューすることとなる「Tabula Rasa」が生み出された。


Image courtesy of AEGAON

(おや?Tabula Rasaを手首に纏うこのハンサムな紳士は・・・?そう、エストニア出身の元力士の把瑠都/バルトことカイド・ホーヴェルソン/Kaido Höövelsonだ!実は彼は日本で一番有名なエストニア人だ。)

AEGAONの目を惹く個性は注目を集め、世界25カ国以上から購入されている。世界からの注目もさることながら、エストニア国内での活躍ぶりもすごい。信用格付けAAの優良企業とつけられているほか、エストニアの大企業が勤続記念に社員に贈ったり、政府の大臣が寄贈用に大口オーダーしたり、はたまたエストニアの大統領がラトビアの大統領に贈呈したりと言った国際外交にまでAEGAONの腕時計が用いられるのだ。(そして、公人達がAEGAONの腕時計を贈り合うなんて、なんてファッショナブルなお国柄だろうか!)

*エストニアでの腕時計の歴史的には、じつは第二次大戦以前にエストニアの街の名前である「HAAPASALU」(ハーパサル)と、ブランド名とおぼしきM.RIIMASTEと記された女性向けの腕時計が確認されている。こちらは名の知られた金細工師でありスイス製腕時計の販売も行っていたMari Riimaste女史の名ではあるが、AEGAONは女史の今も生きる唯一の親戚に会い話を聞いており、この女史の孫の話すところによると、女史は時計をデザインしたり組み立てたことはなく、スイスで腕時計にブランド名と街の名をプリントさせたものを販売していたとのこと(当時はやりのマーケティング手法だったそうだ)。このほかにもエストニアとつながりがありそうな腕時計としては「Eltoona」というブランド(?)の腕時計も存在するのだが、それ以上の情報はなく、ムーブメント部にも特段情報が記されていないため、名称的にエストニアっぽい雰囲気であるということと、このブランドのヴィンテージ時計がエストニア近辺でよく取引されているという以外は謎。そもそもエストニアのブランドなのか、そしてエストニアで作られたものなのか、以上の二点が不明であるためこれが覆されるまではAEGAONが暫定初のエストニアのウォッチメイカーと言うわけだ。


開封



黒いレザー調の化粧箱を開けると…

出てきたのは玉虫色の腕時計。これがカメレオンカラーのTabula Rasa 44だ。


Tabula Rasaコレクションでは、形状的な装飾要素を極力廃し、ブランドの特色でもある大ぶりなケースに時計の基本的な形状美を出すことで個性を強調し、色使いで遊ぶコレクションとなっている。

なお、コレクション名ともなっている「Tabula Rasa」(タブラ・ラーサ)はラテン語で、何も記されていない書字版、つまり「白紙状態」の意。人は生まれたときにはタブラ・ラーサ/白紙状態であり、知識などは後に経験や知覚などから概念などを手に入れるといったような考え方だ。

その意味合いを知った上でこのコレクションを見ても「どこがタブラ・ラーサなの?」と思われる方もおられるかもしれない。ここはやはりTabula Rasaに先んじるAEGAONのコレクション、Peacemakerの繊細な文字盤装飾というコンテキストあっての「タブラ・ラーサ」だろう。


ケース



何よりも独特の色合いと、大きめの44mmの径が目を惹くケースはエストニア製。カメレオン色はステンレススチール製のケースにPVDコーティングを行うことによって生み出しており、ふたつとして同じ色味表情のものはない。


Image courtesy of AEGAON

例えばこちらはAEGAONウェブサイトに掲載されている私のレビューするものと同一モデルの写真だが、その与える印象は大きく違うのがおわかりだろう。

G-ShockのMT-Gライン20周年記念モデルMTG-B1000RB-2AJRも同じようなケース色となっているが、腕時計としてのスタイルもスタンスも(価格も)全然違う。


ケースの仕上げは、ベゼル部は鏡面仕上げで、ケース本体からラグにかけてはヘアライン仕上げが施されている。こうしてみると各部の仕上げ違いでカメレオンがまた違った風合いを出しているのがよくわかる。


ラグ横のネジ部は鏡面。


竜頭部は鏡面、ヘアライン、つや消しが細かく使い分けられている。


ケース高は10.5mmと、(特にケース径を考慮すると)分厚すぎることはないもののしっかりと存在感を感じさせる厚み。ケースを横から見れば、ケーストップが中心向きに傾斜しているのがわかるだろう。このため盤面の大きさを強調している割には袖などにも引っかかりにくい。


まるでフランケンシュタインの怪物の頭から突き出たネジのごとく(良い意味で)印象的にでっかく突き出た竜頭は、ケースの左側、10時位置についている。そのため手首に竜頭が突き刺さることはない。右手につけた場合も10時位置=右前方に向けてに斜めに竜頭が飛び出るので、手首左側にある手根骨に突き刺さりづらい。ケース径が大きめのダイバーズウォッチなどではたまに見られる仕様だが、ファッションに重きを置いた時計でありながらも使用感にも気を配っていることの表れだろう。加えて、大きめに飛び出しているために竜頭の操作もしやすい。


裏蓋はねじ込み式。裏蓋の表記は「AEGAON WATCH COMPANY」、「ESTONIA」、「SAPPHIRE」、「5ATM WATERRESISTANT」、そしてモデル名の「TABULA RASA」。

使用するムーブメントはスイス製Ronda 715。シンプルな3針+日付のクオーツムーブメントで、5石、バッテリータイプは371。Rondaによればバッテリーは約60ヶ月(約5年!)と長く持つのが特徴。


文字盤



カメレオンケースの内側を飾るのは、緑のサンレイダイヤルに、金色のインデックスと針達。これら要素の色合いはどれもカメレオンの中に見て取ることのできる色合いであり、うまく色合いのバランスがとれている。

風防は傷のつきづらいサファイアクリスタル製で、反射防止コーティングもなされている。風防だけで直径38mmと、小ぶりな時計なら中に収まってしまう大きさ。この風防/文字盤径の大きさのおかげもあり、時刻は大きく見やすい。


12時位置には「AEGAON」の表記、この部分の色は金~黄土色で、盤面の他の要素よりも控えめ。艶のあるバー状のアプライドインデックスが各自位置に配され、3時位置にはカレンダー窓。


カレンダーディスクは黒背景に白フォントのものとなっており、文字盤と調和がとれている。

時分秒針はどれもシンプルなバー状だが、時分針は先端方向に中抜きが施されており、カメレオン文字盤が最大限楽しめる。


ストラップ



このモデルに付属のストラップはドイツ製の特注品で、ブラウンカラーの本革。幅は24mm。


手首に触れる内側はきめ細かい革材で、目に触れる外側は、軽い起伏のテクスチャーのある力強い革材。


「AEGAON」の刻印のあるバックルもケースと同様にカメレオンPVD加工がなされており、時計全体としての統一感を出している。


腕に着けるとこんな感じ。デカさが新鮮。


大きさを生かして(フィアットの名誉会長などとして知られるジァンニ・アニェッリなどのように)シャツの袖の上から着用するのもおしゃれだろう。このような着用法をおしゃれだと思わない方も少なくないのは知っているが、「美は見る者の目に宿る」の格言通りファッション性は他者の言うことなど気にせずに己の美を追求すべきだ。それに機能的な点からしても時計部が袖に隠れないので、NATOストラップをジャケットの上から着用するのと同じく便利だ。


袖上着用の場合は別として、少々残念な点としては、16~17cmほどの私の手首に直接着用する場合、ストラップ穴がちょうど1つ足りないことが挙げられる。幸いなことに時計部が大きいためか、手首の手のひら側に回ったり、手首をぐるぐる回転したりはしづらい(全くしないというわけではない)。それでも手のひら周りに余裕があるため、手の甲側方向や腕側方向には動いてしまうことがある。日本市場向けにはもう一つ二つはストラップ穴がほしいところ。ただしこの点についてはAEGAONは、日本展開の際にはストラップホールを加えるとしている。



Image courtesy of AEGAON

AEGAON公式ストアではストラップやメタルブレスレットの販売も行われているため、別途ストラップを購入して付け替える楽しみもできる。その際にはストラップのスプリングバーを外すための道具が必要となるが、時計ファンならすでに意図せず複数個所持していることだろう。万が一持っていないという場合はAEGAON公式ストアで購入可能だ。

実はAEGAONによれば、過去彼らの腕時計にはクイックリリースストラップを採用していた時期があったそうだ。しかし、クイックリリース式のものはその利便性の代償として耐久性が失われるという特徴がある。クイックなリリースを実現するためにストラップバーから突き出た部分が、バー周囲を覆う薄いレザーに当たり、ストラップそのものにダメージを与える(その周囲が破けてくる)のだ。これだけ大きな時計部を持った腕時計であればなおさらこの部分に耐久性が求められることだろうことも想像に難しくない。AEGAONは時計部に関してもできるだけ上質なパーツを用い、孫の世代でも使えるような時計作りを目指しているとしており、そういうわけで付け替えの用意さよりも末永く使えることに重きを置き、伝統的なスプリングバー式のストラップを用いているのだ。


まとめ



ふとした拍子に手首から覗く(あるいは袖の上から存在感を与える)、大柄でカラフルなTabula Rasa 44。自動巻きじゃないとだめだという人には受け入れられないかもしれない。だが、手元を飾り、自らの個性を強調するファッションアイテムとしての腕時計を求める方にとっても、手首が大きいのでケースの小さな腕時計が似合わないが「大きな時計も探せばあるけど、どれもゴツいばかりでファッション性がない」と嘆く方にとっても、これまでなかった新しい、ユニークな装飾の選択肢となるだろう。


ケース径と文字盤が大きいことの利点としては、あまり接写の得意でないスマホでの撮影でも綺麗に時計が写るということも挙げられるだろう。インスタ映えする腕時計だ。

エストニアと聞いて元力士の把瑠都しか頭に思い浮かばなかったという方もおられたかもしれないが、実はエストニアは今デザインの面で大いに注目されている国でもあり、年々日本から観光客はもとより、デザインの買い付けに訪れる人も増加している。海を挟んだ隣国フィンランド在住の筆者としても、フィンランドとはまた異なるエストニアとその個性あふれるデザインには注目しているところだ。


AEGAONはこれから日本にも進出しようとしているところ。またまだ情報公開はできないものの、今後も興味深いタイムピースを作る計画があるとのこと。これを機に皆さんもエストニアのウォッチメイカーAEGAONにご注目あれ。

AEGAONが日本で正式展開するのが待ちきれないという方は、AEGAONのウェブサイトからご購入いただける。


Source: AEGAON

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サウナで生まれた実直なブランド、AARNIが送るフィンランドの自然を感じる腕時計。木とヘラジカ革が印象的なLoihiレビュー

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今回は森と湖の国フィンランドの若い腕時計ブランドAARNI(アールニ)から、自然素材を使用した腕時計をご紹介しよう。

レビューするモデルは、オリーブの木でできたケースに、フィンランドのヘラジカから取られたレザーストラップを纏った「Loihi – Olive」だ。

それぞれの自然素材の原産地、そして組み立て国まで公開する、フィンランドらしい正直さを持ったブランドの送る、自然の素朴な美しさを持った腕時計。実はこれまでレビューしてきた30本弱の腕時計の中で、つけた感覚的には最も軽く心地が良いというのも特筆すべき点だ。



AARNI




フィンランドのクラウッカラ村(Klaukkala)で遊び育った幼なじみの友達3人により創設されたAARNI。ブランド創設のきっかけとなったのも、この3人が大人になってから共通の趣味である時計についてサウナで語り合ったというのも、いかにもフィンランドらしい。


Image courtesy of AARNI

こうして、木製のケースとブレスレットを持ったユニークな腕時計、そして木製フレームのサングラスを販売するブランドとしてAARNIが設立された。

ブランド名である「Aarni」はフィンランド語で、人の手の触れていない森、原生林という意味。自然からインスパイアされたデザインと、責任ある自然素材の使用がブランドの強みだ。


Image courtesy of AARNI

使用する木材の多くはフィンランド産。木材の種類によってはフィンランド以外の国で取れたものも使っているが、全てどの国で採取されたものかAARNIは把握しているし、国は違えど全て認定を受けた持続性のある責任のある生産元からのものを使用している。

AARNIは時計の木材以外の部品の原産地も公開している。例えばこちらは今回レビューする「Loihi – Olive」の原産地リスト。


Image courtesy of AARNI

ムーブメントはスイス、グレンヘン。木はスペイン産。レザーは北フィンランド。組み立ては中国の深セン市。デザインはフィンランドのヘルシンキ。と言った具合だ。


開封



まず驚いたのが、郵送用のパッケージ。流石白樺の国フィンランドなだけあって、郵送用の箱も外側全面に白樺の柄がプリントされたものとなっている。開封というエクスペリエンスにまで気を遣っていることの表れだろう。


そして次に驚いたのが化粧箱。フィンランドでデザイン品を買い求めたことのある人にはおなじみの「Design From FiNLAND」ロゴのついた化粧箱カバーをスライドさせると・・・


なんと化粧箱の天面中央部には木材がはめ込まれているではないか!


これはフィンランド語で「visakoivu」(英語だとcurly birch、日本語表記には「カーリー・バーチ」などが用いられる)。白樺の一種であり、断面の個性的なパターンが魅力の高級素材として、フィンランドの伝統的な小刀「puukko」(プーッコ)などの柄に用いられる。なおAARNIが用いるカーリー・バーチは全てフィンランドのハルトラ(Hartola)からのもの。


そんなカーリー・バーチの上蓋を跳ね上げると登場するのがLoihi – Oliveだ。


ケース



マットシルバーの316Lステンレススチール製ケースを彩るのはオリーブの木。これはスペイン産のオリーブだ。


ケース径は40mm、厚みは僅かに8mm。とても薄いことと、側面から見ると縁に傾斜がつけてあることもあり、40mm径の割には小ぶりな印象。風防はサファイアグラス製。


最近木製の腕時計も多く見かけるようになったが、(ムーブメントを除く)腕時計の大部分が木で作られたものよりも、このようにアクセント的に木材が用いられている方が魅力的に感じる。


小ぶりの竜頭は2時方向から突き出す。小さい竜頭は概して回しづらいものだが、こちらはコインエッジ刻みが入っているため時刻調整も苦では無い。


竜頭の頭には「AW」の刻印。


ねじ込み式のケース裏には大きな「AW」のロゴと、「AARNI WATCHES」、「SWISS MOVEMENT」、「100% NATURAL WOOD」の刻印。


この竜頭とケース裏、そして化粧箱に使用されている「AW」のロゴに関しては統一感の面で混乱する。ケース裏に「AARNI WATCHES」という表記が見られるが、AARNIのウェブサイトのアドレスはaarniwood.com(AARNI WOODなので最初AWはこの略かと思った)、しかしブランド名としての表記はAARNIで通している。「AW」のフォントのスタイリングも「AARNI」の表記とは異なるものだし、ブランディングとしても、AARNI WATCHESの略か、AARNI WOODの略かも曖昧だし、より統一性のある表記をした方が良いのではと感じた。少なくともフォントスタイリングは統一すべきだろう。

防水性能は3ATM。これは3気圧防水という意味だが、AARNIは製品ページでこれについてわかりやすく「Rain resistant」(雨に耐えうる)という風に追記説明している。防水性能をケース裏に記す時計も多いが、これが裏に記されていないのはケース裏全体の表記バランスのためだろう。3ATMは特記するほどの防水性能ではないし、日常生活防水程度の基本性能は備えているのでここに記されていないと言うことは特に問題無いだろう。


使用ムーブメントはスイスのETA 902.002。4石、2針のシンプルな薄型クオーツムーブメントで、ETAによれば理論上は119ヶ月もバッテリーが持つとのことだが、AARNIは控えめに80~100ヶ月と見積もっている。その見積もりでも、6から8年とかなり長くバッテリーが持つことに変わりない。類似する3針のETA 902.101ムーブメント(AARNI XOコレクションで使用されている)ではバッテリーの持ちが25~35ヶ月であることからも、これはこのムーブメントが秒針を使用しないことも理由だろう。


文字盤



文字盤はサンレイ仕上げで光を反射させる。しかし通常よく見るサンレイ仕上げよりも、中心から放射線状にヘアライン仕上げがなされているかのようなテクスチャーが目立ち、これが面白い表情をつけている。


文字盤3時位置にはシンプルに「AARNI」のロゴが。インデックスはアプライド式で、立体的な鏡面磨きの直方体となっており、文字盤最外周の艶消しシルバーのダイヤルリングに位置する。直方体は各面で光を反射するほか、ダイヤルリングに影を落とすので立体感がある。


ダイヤルリングの6時インデックスを挟むように「SWISS」、「MOVT」とスイス・メイドのムーブメントを使用していることをアピール。


時分針はダフネ針をより細くしたような感じ。両針共に鏡面仕上げ。文字盤の要素はシルバーで統一されているが、各要素の仕上げが異なるために可視性は高い。


ストラップ



このモデルのストラップに使用されているのはフィンランド北部のヘラジカ・レザー。クイックリリース式となっている。


ライティングによって色が違って見えるが、焦げ茶色をしており、こちらの写真よりもふたつ上の写真や、この文章の下の写真の方が実際に近い。


ヘラジカ革は、耐久性が高く、柔らかい。また、様々な気候状態や湿度に対する耐性も他のレザーよりも高いため、ヨットの舵輪などに用いられるという。

Visit Finlandによれば、フィンランドには10万頭のヘラジカが住む。毎秋、ライセンスを持った狩人達が3万5000から5万頭のヘラジカを狩ることで頭数を制限している。AARNIの使用するヘラジカ革もそうやって狩られたフィンランドのヘラジカのものが使用されている。

動物の皮を使ったレザー(や毛皮)の中には、劣悪な環境の中で皮を剥ぐためだけに生かされた動物からのものがあるが、このヘラジカレザーは自然の中に生きるヘラジカが頭数制限のために狩られたもの。なのでよりエシカルなレザーとも言えるだろう。狩られたヘラジカは主にヘラジカ肉として狩人の家族や友達、もしくは食料品店などで消費されるが、AARNIによればこれまでヘラジカ革はあまり活用されてこず、無駄になっていたのだという。


珍しいレザーを使用したストラップの中には、手首に触れる裏面はカウハイドを使用するものもあるが、これは豪華に表材も裏材もどちらもヘラジカ・レザーを使用した切り身仕立て。レザーと同色の糸でスティッチがなされており、側面も同色でコバ塗り仕上げがされている。中に心材が入っているがストラップは分厚くは無い。それに、心材が入っているにもかかわらず革が非常にしなやかであるのは他のレザーストラップとは違う点だ。


バックル部分も時計本体部と同じく艶消しシルバーで、ここには「AARNI」の刻印が入っている。


着用してみると、これまでレビューしてきたどの腕時計よりも軽く感じて驚いた。機械式腕時計より軽いのはまあ感覚的にも理解できるが、同ケース径や、更に小さめのケース径のクオーツよりも(具体的にはBelcori、LLARSEN、Forrestなどよりも)軽く感じるのには驚きだ。実際に計測してみるとこの腕時計は45gで、Belcoriと同じだし、LLARSEN(40g)より多少重いのだが、感覚的には何故かそれらよりも軽く感じた(重さが上手く分散されているからとかだろうか?LLARSENは径が小ぶりな為もありその分時計部が重く感じる気がする)。

腕時計自体の厚みの点でもこのAARNI Loihiはレビューした中で最も薄い部類だが、この軽い感覚を実現しているのは木製部品の使用や、ヘラジカ革のストラップも影響しているにも違いない。薄いために衣類の脱着の際にも引っかかることが少ない。

私の手首径は16~17cm程で、一番小さいストラップ穴で丁度よい感じ。公式には「Perfect fit for wrist size 16,5-20,5cm」(16.5~20.5cmの手首サイズにパーフェクトフィット)としている。


まとめ



パッケージを開封するのも楽しいし、化粧箱にまでカーリー・バーチという木材が使用されているのも嬉しい。

腕時計としても、北欧デザインの腕時計に期待するシンプルさに、自然素材の美しさが加わって、時計としての機能だけで無く視覚的に楽しめるものとなっている。腕時計としては見た目だけでなく、全体的な軽さも凄い点だ。これはつけ心地にも直結する大きなポイント。

そして個人的にはフィンランドのヘラジカ革をふんだんに使ったストラップが何よりも魅力的。柔らかで、しなやかであると言う点も良いが、更にレザー用に飼育された動物の皮では無く、自然に育ったヘラジカからの皮材であるという点も評価できる。

送料は世界中無料。多くのマイクロブランドよりも長めの3年保証というのも心強い。しかもこれだけの腕時計でありながら価格は僅か219.90ユーロ(記事執筆時のレートで約2万6000円)という値段に留めているのも凄いことだ。


フィンランド人は正直で誠実、というステレオタイプがあるが、各素材の生産国を明らかにしている点からはまさにそう感じられる。それに、ブランドによっては中国で組み立てを行っていることを隠すところもあるが、AARNIは違う。きちんと中国の深セン市で組み立てを行っていることを記しているのは素晴らしい。中国の深セン市は「世界の工場」とも言われるほどに私たちの身近にある様々なものの製造組み立てが行われている。そしてAARNIは製品の販売価格を現在の価格帯におさめることができている理由として、中国での製造を挙げている。もし人件費も税金も高いフィンランドで生産することになったら、品質が同じものであってもこのような手軽な価格帯では到底提供することはできないのだ。これらの点を含めて、「中国製=悪い」という歪んだ偏見が世界的にもある中で、これを公表しているというのは、まさに正直で誠実さを持ったフィンランドを代表するようなブランドであると言えよう。

今回のレビューモデルはスペイン産のオリーブの木を使用したものだが、カーリー・バーチ、トネリコ(Ash Wood)、ニレの木/エルム(Elm)、ハンノキ(Alder)の木材は、どれも全てフィンランドのものが使用されている。素材が紹介されているページからは、それぞれの素材を選択する事で、該当材が使用された製品一覧が表示されるので、「どうせ買うならフィンランドの木材製のを」という方はウェブサイトを覗いてみると良いだろう。実際に腕時計を見てみたいと言う方は、フィンランドに旅行に来れば大抵の時計屋さんでAARNIの腕時計を扱っているので、時計屋さんを覗いてみると見つかるはずだ。

AARNIは腕時計の他にもヘラジカ革の製品各種、財布やカードホルダー、通常の20mm幅のストラップとして使えるヘラジカ革ストラップ各色に加え、Apple iWatch用のアダプターのついたヘラジカ革ストラップも販売している。また様々な木種の木製フレームサングラスも販売している。


Source: AARNI

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マグネット式充電ケーブルVOLTAの最新製品VOLTA 2.0レビュー!

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デバイスの充電儀式を安全に、簡単に、そして素早くこなすことを可能にしたオーストラリアのマグネット式充電ケーブルVOLTA。今回は、クラウドファンディングサイトIndiegogoでもMakuakeでもキャンペーンを成功させてきた同社が送る最新製品VOLTA 2.0のレビューをお送りしよう。

以前当ブログでは同社のVOLTA OriginalとVOLTA XLをレビューしているのでそちらも合わせてご覧戴くと良いだろう。



VOLTA 2.0



VOLTA 2.0は3種のチップ対応、データ転送も可能の何でもござれ。同社のVOLTA Originalの正統な進化版だ。

ケーブルの片側は通常のUSB(USB A)で、片側がマグネット式スロットとなっている。「チップ」と呼ばれるデバイスに差し込むマグネット式のケーブル先端はMicro USB、USB C、Lightningの3種類。この2点はVOLTA Originalと共通している。

しかし電流容量はOriginalの2.4Aから5.0Aへと倍増。これにより従来の「Quick Charge 2.0 & 3.0、Rapid Charge、Fast Charge」への対応に加えて新たに:

・Quick Charge 4.0、DASH Charge、Huawei Super Charge

にも対応したほか、さらにUSB 3.1 Gen2でのデータ転送対応にまで対応している。(詳しい対応確認済みデバイス表は公式サイトのOverview部分に記してある。)

ケーブルはミリタリーグレードの編み込まれたナイロンで、これまでのVOLTA製品と同様に、一般的な充電ケーブルの10倍の強度を誇る。また、編み込みのお陰でケーブルが絡まり合わないのも特徴だ。

またこれまでと同じくN52ネオジウムマグネットに18金プレーティングが施された銅製端子が用いられている。無期限保証も付いている(日本の代理店などから購入した場合はこの限りでは無い可能性がある)。

VOLTAのチップをデバイスにとりつけた状態で、デバイスの防水性能がどうなるのか気になる方もおられるだろうが、この点に関しては前回のレビューに記しているのでそちらをご参考あれ。


これまでのVOLTA製品と同じく、ケーブルとチップのセットを購入したときにはマカロン風のケースが付いてくる。ケースには黄色いチップ外しとベルクロ結束バンドも付属し、ケース内側にはそれらやチップを収納するためのメッシュポケットが付いている。

VOLTA 2.0のケーブル長は2m、1m、0.5m、0.25mから、ケーブル色は黒、青、赤、シルバーから選択可能。

(なお、VOLTA 2.0はPower Deliveryには未対応だが、VOLTA XLの方はPower Deliveryにも対応しているのでMacBook Proなどの充電の際にはVOLTA XLを選択すると良いだろう)


チップとケーブルの進化



残念ながらVOLTA 2.0は従来のVOLTAモデルのチップとは互換性はない。だがこれはただ企業が金儲けのために新モデルと旧モデルの互換性を無くしたのとは違う。これは細やかな改善の先に行き着いた結果なのだ。もっと詳しく見ていこう。


チップとケーブルの接続点は、これまでのVOLTAモデルではチップ側にはピンが当たる接点部位が見えるようになっており、ケーブルスロット側にピンが露出していた。そして充電の際にはスロットのピンにチップの接点がずれることなく触れれば問題無く充電できるようになっていた。その一方で、スロット内部に突起状に突き出たピンは折れないように守られる必要がある。そのため、チップが入り込むケーブルのスロット側にはある程度の深みが存在した。


VOLTA 2.0ではチップ側には両面に接点のあるウエハース、ケーブル側にはウエハースを挟み込むような構造物があり、その内側にピンが存在する。これは従来のものより少々複雑だが、ピンが外に向かって露出していないため、スロット内部側の段差を浅くすることが可能になっている。


しかし同時に、ケーブル側が平坦でなくなったためかLightningとmicroUSB端子は若干長くなっている。とはいえこれまでにもLightningとmicroUSBのチップは飛び出る部分も大きくなかったため、これは目だった欠点とはなっていない。その代わりに気付くのは、チップのデバイスに近い側に、白い構造が出ていることだろう。


これはチップの銀色部分よりも広くなっているため、デバイスからはみ出た部分は安定感を持って段階的に飛び出るようになっている。


そして何よりもUSB-C端子においては若干短くなっている。


デバイスによれば不格好に出っ張っていることは変わりないのだが。これはやはりUSB-C端子の規格による制約にところが大きいのかもしれない。それでもこのサイズのUSB-Cチップを更に短くすることができたのは凄いことだ。


ケーブルを接続した状態では違和感はない。


ケーブルスロットの段差変化が生んだ大きな進化



(写真はVOLTA 2.0のチップとケーブルスロット部)

ケーブルスロット内部の段差が浅くなったことは、更なる利点を生んでいる。1)チップ抜けが減ったこと、そして、2)ケーブルの脱着がこれまでにも増して容易になったことである。

1)チップ抜けの減少

これに関しては以前の投稿から引用しよう:
デバイスによっては、ケーブルを外す際にチップが抜けることもあるかもしれない。これはチップの問題ではなく、デバイス側の端子接続口が度重なるケーブルの抜き差しで弱まっているため生じること。私の所有するiPhone 5(発売はもうかれこれ7年前のスマホだ)ではケーブルをまっすぐ引き外すとLightningチップもともに抜けてしまう。試しに同じLightningチップを、初代iPhone SE(2016年発売だが、購入は昨年)に挿して試したところケーブルは抜けてもチップは外れなかった。
なお、このチップ抜け現象は、ケーブルを横向き/斜め向きに外すことで防ぐことができる。

ケーブルを横向きに外すことで防ぐことができる、と記しているが、これは「チップの短辺方向に向かって外す」とも言い換えることができる。チップの長辺方向に向かって外そうとすると、スロットの段差が深いために抜けないのだ。一方VOLTA 2.0ではスロット段差が浅くなったため、スロットはどの方向からでもチップが抜けること無く外すことができるようになった。

2)ケーブル脱着が容易に

そして、ケーブルの脱着がこれまでにも増して容易になった点。ケーブルとチップに使用されているのは従来同様のN52ネオジウムマグネットであり、その磁石の性能は変わりない。しかしスロットが浅くなったことで、これまでよりも自在な方向からケーブルの脱着がしやすくなった。

なぜなら、従来の深みのあるスロットであれば、磁石の惹きつけ合う力を持ってしても、チップに対してケーブルの向かう方向がなるべく垂直で無ければきちんとはまらなかった。しかし浅くなったVOLTA 2.0ではチップに向かうケーブルの方向は斜めであってもスロットにチップが一部でも入ればあとは磁力で上手くはまってくれるのだ。もちろんVOLTA OriginalでもXLでも上手くはまらないことはないのだが、VOLTA 2.0ではこれがよりすんなりとスムーズにはまるようになったのだ。


そしてこれは外すときにも同じこと。「1)」の内容と被るが、デバイスが表もしくは裏をテーブルなどの平面に置いた状態で充電されているとする。この状態で片手でケーブルを上に持ち上げるだけでデバイスを外すことが可能になったのだ。従来のVOLTAではマグネットの力は強力だし、デバイスの表/裏方向=チップ露出部の長辺方向に捻っても外れないため、片手でデバイスを押さえて、もう一方の手でケーブルを外さなくてはならなかった。

片手で簡単に外すことができるようになったことは大きな進化だろう。ケーブルが引っ張られたらマグネットが外れる(ケーブルに引きずられデバイスが落ちる心配が少ない)というのもVOLTAの売りの一つであるが、VOLTA 2.0ではこの点でもケーブルが外れる方向が増えたことで安心感が増している。

逆に言えばケーブルが外れやすくなったと言えるが、充電ケーブル着脱の利便性とケーブルに引っかかったときにデバイスが落ちない安心感はVOLTAブランドの特徴でもあり、そこをより追求した結果として上手く進化していると言える。


その他の変更点



また、VOLTA 2.0ではVOLTA Originalと同様に、ケーブルが電源に接続されているとケーブルスロット側のLEDが点灯するのだが、ここにも新たな工夫がなされている。


従来のVOLTAケーブルでは、ケーブルの片面にしかLEDが付いておらず、充電の際にLEDの点灯が見えない側が存在した。VOLTA 2.0ではLEDの発光部分をケーブルスロットの側面としたことで、ケーブルがどちらを上に挿さっていてもLEDの光を確認できるようになっている。一見地味だが重要な改善だ。(写真は明るい中で撮影したのでわかりづらいが、よく見れば左側が光っている。これは暗い中でははっきり見て取れる。)


少々残念な面としては、従来のVOLTAではケーブル両端子の根元が急角度に折れ曲がることを防ぐV字状の部材がより複雑な形状をしており(写真上)、少なくとも一定方向からの曲げに対し急角度の曲げが起こりづらい構造になっていたのだが、この部分が大幅に簡略化されているという点。もしかしたらこれまでの構造は効果が薄かったためにこうなったのかもしれないが、従来の方が効果がありそうに思えるし、見た目的にもカッコいいのでこの部分の変化は少し残念に思う。


その他の変化点としては、ケーブルの編み込みが、従来はただ編んであるだけ(右)だったのが、VOLTA 2.0では編み込みにねじりというか、更なる立体感が加わっている点がある。


加えて、microUSB端子のデバイス引っかかり構造はよりしっかりした作りとなり、古いデバイスでもより外れづらくなっている。


あと、USB-A側のケーブル内部が紫になり個性的になったのも面白い点だ。


まとめ



microUSB、USB-C、Lightningの3つのチップで多種多様なデバイスに対応する点はそのままに、大きく進化したVOLTA 2.0。電流容量が5.0Aになったことに加え、USB 3.1 Gen2でのデータ転送への対応。そしてこれまでのチップと互換性がないのは残念ではあるものの、着実に進化を遂げたチップとケーブルスロットには後方互換性を失うだけの価値が合ったと言えるだろう。

まだマグネット式充電ケーブルを所有した人や、VOLTA製品未購入者には大いにお勧めできるし、すでにVOLTA Originalを所有している人にも魅力的な製品になっていると言えるだろう。


Source: Volta 2.0

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玉虫色の個性輝く38mmカメレオンケース、ファッショナブルなAEGAON「TABULA RASA 38」

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玉虫色の38mmケースに白い文字盤とストラップが美しい、こちらはエストニアAEGAON「TABULA RASA 38」のカメレオンモデルだ。

先日は同じくAEGAONによる、玉虫色の大きな腕時計「TABULA RASA 44」をレビューしたが、言ってみればこれは同じスタイルの小さい版。スタイルは好みだが44mmではサイズがさすがにデカすぎるという方や、44mmのものにぴったりのペアウォッチとして最適な、38mmのケースに個性を詰め込んだTABULA RASA 38を早速見ていこう。



Image courtesy of AEGAON

TABULA RASAのスタイルが好みではあるが、「TABULA RASA 44」は大きすぎる、だが今回レビューしている「TABULA RASA 38」の色合いもフェミニンすぎて好きではないという方もおられるかもしれない。しかし実際には上写真のように多数のカラーバリエーションが存在するので、色だけが問題であればAEGAONのウェブサイトで別色もご確認あれ。



開封



こちらもAEGAONのロゴの入った黒い化粧箱に入っている。


蓋を開ければ黒の中から浮かび上がるように、白と玉虫色の腕時計が出てくる。コントラストが美しい。


ケース



ケース径は「TABULA RASA 38」という名称からも判るとおり38mmの径。先にも紹介したように、ケース色は様々あるが、こちらは「カメレオン」モデル。エストニアで作り出されたステンレススチール製ケースにPVDコーティングを施すことで、この印象的な色合いを生み出している。狙って特定の色を出すのが難しいため、カメレオンモデルはどの腕時計も表情が少しずつことなり、それがまた魅力となっている。


この個体は2時方向側が黄みがかった色合いで、8時方向側がピンクがかっている。風防は傷のつきづらいサファイアクリスタル製に反射防止コーティングを施したもの。


ケースのベゼルに当たる部分は鏡面仕上げだが、側面やラグ部分はヘアライン仕上げ。


ケース厚は8mmと薄めだ。ケースはぱっと見「TABULA RASA 44」(以下44)の小さい版に見えるかもしれない。しかし細部を見ていけば細かな部分に違いが見られる。例えば44では本体側面竜頭下に窪みを持たせることで竜頭を引きやすくしていたが、こちらは竜頭の大きさに対してケース厚が薄いのでそのような窪みが必要では無い。

そしてそもそもの竜頭も、この38mm径のモデルではねじ込み式となっている(44はそうではない)のだ!


竜頭の頭付近の溝の比率も異なるし、つまみやすく凹凸加工がされてある部分も、44では突出部が平らなギア状だったのが、こちらは山状の起伏があるコインエッジとなっている。これは大きさに対してのつまみやすさを考慮した結果でもあるだろう。


竜頭頭頂には「A」の記し。印象的な大きな竜頭だが、10時位置なので左手に着用すれば手首側に来ないし、右手に着用しても手首に食い込む位置に来ない、よく考えられた配置だ。


横から見ると緑や紫も見えてくる。比率も44と異なることが判るだろう。ラグ部分が僅かに細長く感じられ、比較すれば華奢な印象を受けるかもしれないが、実際にはがっちりしっかりしている。


裏蓋はやはりねじ込み式となっており、5ATMの耐水性がある。


使用するムーブメントはこれもスイス製Ronda 715。シンプルな3針+日付のクオーツムーブメントで、5石、バッテリータイプは371。Rondaによればバッテリーは約60ヶ月と、5年も持つのが特徴。


文字盤



文字盤は光沢の無いホワイト。アプライドインデックスは薄いバー状で、金色。


白いマット地の文字盤に、光沢を持った金色のインデックスと針が映える。


3時位置には日付窓。日付ディスク背景色は文字盤色と同じ白なので、シンプルな文字盤の色合いに違和感なくマッチする。


12時位置の下には「AEGAON」の表記。これはケース色を反映してなのかわからないが、表記の色はピンク色となっている。



ストラップ



ストラップは44とは大きく異なる点でもある。色は文字盤色に合わせたホワイトであるが、違いはそこでは無い。

44のストラップはストラップ全体に均一に心材が入った作り。対してこちらのストラップは、スティッチの内側が多少膨らみを帯びた作りとなっている。

それだけでは無い。ストラップに限らず、白色の物は汚れが目立つものだ。特に女性物の腕時計としてデザインされたこのモデルでは、例えば化粧品やクリームなどの汚れがつくことも考慮に入れられ、ストラップの製造元から変えている。44のストラップはドイツ製であったが、こちらはスペイン製の物。スペインの某会社の製造するこの白いストラップはメンテナンスも容易で、より長い間綺麗なまま使うことができるとのことだ。

幅は20mm。標準的なストラップ幅なので、ストラップを変えて楽しみたいという方も大いに楽しめるだろう。スティッチは、上面は白いレザーに合わせた白色の糸、裏面は裏材の茶色に合った同色の糸で縫われている。


裏側も異なり、「AEGAON」の表記が片側に。


もう片側には「TOP GRAIN LEATHER」(トップグレイン・レザー)、「Handmade」(ハンドメイド)と判が押されている。


バックル部はケースと同じくカメレオンPVDコーティング。


このバックル一つをとっても複雑な色合いを楽しめる。


16~17cmほどの私の手首に直接着用する場合、一番小さい設定のストラップ穴が丁度よい感じ。(なお、44の記事でも記したが、AEGAONは、日本展開の際にはより小さい設定側にストラップホールを加えるとしている。)


こちらの写真では手首の径が14mm後半の妻に着用してもらっているが、本人曰く一番小さい設定のストラップ穴が丁度よいとのこと。手首径が異なるのに同じ設定とはどういうことかと思われる方もおられるだろうが、これは私のほうがきつめを好むための差異だろう。


まとめ



径が大きいことが魅力の一つであったTABULA RASA 44とは異なり、TABULA RASA 38は手首に違和感なく落ち着く。しかしそこには確かにAEGAONの持つ新鮮で目を惹くデザインと色合いがある。

手首に巨大な腕時計を身につけることは許容できないが、その個性に惹かれている人はTABULA RASA 38は最適な選択肢となるであろう。それに、径が小さくなったことで、人によってはつけ心地も、重さも(44は83g、38は53g)より適していると感じることだろう。

AEGAONのウェブサイトではこのTABULA RASA 38は「WOMEN'S WATCHES」と女性向けセクションに入っているが、性別など気にせずに、自分の腕の大きさに合うか合わないかで38と44どちらがより良いか判断されると良いだろう。


また、スタイルが共通するサイズ違いとして、44と38をペアウォッチとして合わせて購入するのもいいかもしれない。服装は違っても手元でさりげなく、もしくは堂々と、二人の絆やファッションセンスを周囲にアピールすることのできるツールとしての腕時計となるだろう。

購入はAEGAONのウェブサイトから可能。世界中送料無料で、2年間保証つき。


Source: AEGAON

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おしゃれ柄NATOにボンドストラップも…VARIOのストラップ3種+機械式にもスマートウォッチにも対応のキャリーケースレビュー

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先日アール・デコ調が美しい腕時計「Empire Art Deco」をレビューさせて戴いたVARIOより、今回は同社のストラップ3種と、腕時計キャリーケースをレビューさせて戴く。

記事の最後には11月から始まる年末セールもご紹介。セールではストラップやキャリーケースだけでなくEmpire Art DecoやEclipseといった同社の腕時計も値引きされるのでお見逃しなく。



Graphic Nato Straps - Golden Serpent



まずは様々な柄の中から選ぶことのできる「Graphic Nato Straps」から、紺色に金の模様が美しい「Golden Serpent」柄。なお、各柄の生産数は500本限定となっている。

着物の柄としても親しみがあり、どことなく日本的な柄にも思えるこの柄。それは「青海波」(せいがいは)という柄に近いからだろう。伝統的に日本で親しまれている青海波の柄だが、京屋染物店のブログ記事によればこの柄の発祥は古代ペルシャであるとされる。また、Kiriko Madeは青海波柄はペルシャの他にもエジプトや世界各国で見られるとしている。なので日本人の目には伝統的な反物その他布生地の柄を彷彿とさせるが、VARIOがこの柄の名称を「Golden Serpent」(「ゴールデン・サーペント」、蛇の鱗状であることから)他国ではこの柄にまた別のイメージが伴っているというのも興味深い。


ストラップはNATOスタイルとなっており、ストラップを取り付けるためのバースプリングだけを時計に着けておいて(通常のストラップは、素材の取り付け側がバースプリングを覆うようになっているのでストラップとバースプリングは合体した状態で時計に取り付けられる)、時計部とバースプリングの間にストラップを通す。そのまた下を別の生地部分が通ることで、ストラップループによって時計部が動かないよう固定される。


VARIOのEmpire Art Decoにつけたところ。


私の手首径は日本人男性としては平均的な16~17cm。VARIOのEmpire Art Decoに装着した場合、手首にちょうどいい長さに設定してもストラップホールは三つ余るので、私と同程度か少々小さい手首径の方でも問題なく着用できるだろう。

生地の素材はダクロン(ポリエステル繊維)で、洗濯機で洗うことが可能。ストラップ横部分は柄のベース色が薄めについている。少々残念なのは、ストラップホールと、ストラップ端の曲線部のサイドは生地自体の色である白色が露見してしまうこと。特にストラップ端はきれいに裁断されているのでもったいなく感じる。(だがストラップ端に関しては、柄によっては彩色されているものもあるので気になる方はショップページの写真をよく見比べてみるとよいだろう。)


文字盤のアクセントカラーの金と、ゴールデン・サーペントの金が似合うセイコー、アルピニストでも同じくストラップホールは三つ余る。


バックル部分は薄く細い造りで、おしゃれな柄を強調している。ストラップループは、計三つ。この写真に写っているふたつの他に、下の写真のものがある。写真のふたつには何も刻印は無いのだが…


もう一つのものにはVARIOのロゴが刻印されている。とても細い造りなのに刻印がしてあるのは驚いた。

バックルはステンレススティール製で、購入時には写真の艶消し仕上げのブラック「matte black」のほかに、艶出し仕上げのシルバー「polished silver」、同仕上げのゴールド「polished gold」、さらにローズゴールド版「polished rose gold」から選択可能。選べるストラップ幅は、18mm、20mm、22mmの三サイズが用意されている。


Image courtesy of VARIO

おしゃれな柄は好きだがNATOストラップは面倒くさいという方にはうれしいことに、「2 Piece Graphic NATO Strap」というもの(上写真)もあって、そちらは「NATO」という名称がはついているものの、普通のストラップのように時計の両側に別々にパーツを取り付けるようになっている。これであれば時計部裏を覆ってしまうこともないので、時計部の薄さを楽しみたい方や、エキシビジョンバックになっている腕時計にはより適しているだろう。ストラップバーはクイックリリース式となっている。

Elastic Nylon Watch Strap - Mono Stripe (Bond)



こちらは伸縮性のあるエラスティック・ナイロンの「Elastic Nylon Watch Strap」コレクションから黒地に二本の灰色ストライプの入った「Mono Stripe (Bond)」。

柄の名前はもちろんこれがいわゆる「ボンド・ストラップ」であることから。最近巷は最新作『No Time to Die』やOMEGAの『女王陛下の007』50周年記念モデルでせわしないが、この柄のNATOタイプのストラップが「ボンド・ストラップ」と呼ばれる理由は、『007 ゴールドフィンガー』でショーン・コネリー扮するボンドがRolex Submarinerにこの柄のNATOストラップのようなものをつけていたから。

ここで言葉を濁しているのには訳があって、実はThe James Bond Dossierによると、この黒地に二本の灰色ストライプの入ったものは1964年の映画公開から、この作品のBlu-Ray版が発売されるまでの間正しいとされていた柄。実は画質の向上したBlu-Ray版が出たことで、実際に劇中でボンドが着用していた(20mmのラグ間隔より明らかに狭い16mmの)ストラップは「黒地に、赤い縁のついた二本の緑の柄」のストライプであったことが判明したのだ。このブログでは今後「黒地に二本の灰色ストライプ柄」を「オールド・ボンド柄」、「黒地に、赤い縁のついた二本の緑の柄」を「Blu-Rayボンド柄」と呼ぶことにしよう。Blu-Rayが出るまでは長年にわたってオールド・ボンド柄が正しいものだと思われていたわけだし、それもあってこの柄に「ボンド柄」という名称が定着したわけだから、これが実際の柄とは違うということが分かった今でも両方のバージョンが共存できるべきだろう。しかも『007 スペクター』でダニエル・クレイグ扮する6代目ボンドはOmega Seamaster 300 "Spectre"に黒とグレーのNATOストラップをつけて活躍する。

加えて一般的にNATOストラップというと、先に紹介したGraphic Nato Strapsのように時計部の裏には生地が二重になる(バー・スプリングをくぐる生地と、くぐらずにその下部にくる生地がある)ものを指すのだが、ボンドのものはこのストラップと同じくバースプリングをくぐる生地しかない「シングルパス」式のものだった。(ついでに言うと、Blu-Rayボンド柄は実際にはNATOストラップではない。NATOが出来たのは1973年だし、ストラップループも金属製ではなくナイロン製であったようだ。)


さて、そんなVARIOのオールド・ボンド柄のストラップ。先にも言ったようにシングルパス式なので、「本物の」NATOストラップのような時計下部の余分な厚みはできず、なおかつこの点に置いてはボンドの着用していたものにより近い。


つけ心地は良好で、生地に伸縮性があるためにきつめにつけても苦しくない。VARIOのEmpire Art Decoに装着した場合、ちょうどいい設定でまだ二つ穴がある状態。もう一つきつめにしても付け心地は損なわれない。


特に黒やグレー主体の腕時計にはこのオールド・ボンド柄は(Blu-Rayボンド柄よりも)似合うだろう。Mint EvolutiveのInteligencerに着けてみたところ。まさにそんな感じの雰囲気が出る。


ストラップホール部分や、ストラップの端部分は炙り処理がなされている。ナイロン製なのでもしほつれが出たら同様にライターの火で炙るなどすればほつれ部分を止めることができる。洗濯機洗いが可能というのも頼もしい。


バックルは先のGraphic Nato Strapsと比べると立体的な分厚さがあり、しっかりとストラップを固定してくれる。バックルはステンレススティール製で、購入時には写真のヘアライン仕上げのシルバー「brushed silver」か、同仕上げのブラック「brushed black」が選択可能。


Seat Belt Nato Strap - Fire Edge



三本目のストラップはプレミアムナイロンを使用することでシルクのような(もしくは、シートベルトのような)滑らかさと艶を実現した「Seat Belt Nato Strap」から、オレンジの縁取りが目を惹く「Fire Edge」。

確かに先のストラップと比較するとつるつるなめらか。


こちらもシングルパス方式のNATOタイプ。こちらは先ほどの2本のストラップよりも大きめの幅のものをレビュー用に提供戴いて居るのでEmpire Art Decoにつける事はできないので少し大きめの時計に、DWISSのRS1 AUTOMATICにつけるとこんな感じ。


大きめの時計部もしっかり支えてくれる。


DWISS RS1をつけた状態だと、穴があと余分に2個ある。ストラップホール部分や、ストラップの端部分はこちらも炙り処理がなされている。これもやはり洗濯機洗いが可能だ。


こちらはOutcast WatchesのSeries 1につけてみたところ。


バックル周りの仕舞い方はエラスティック・ナイロンのものと共通しているが、使用されている糸は少し太め。

バックルはステンレススティール製で、購入時には写真のヘアライン仕上げのブラック「brushed black」か、同仕上げのシルバー「brushed silver」から選択可能。こちらはより太めのストラップ幅オプションが用意されており、20mm、22mm、24mmの中から選択できる。

柄もレビューしたものは端にアクセントカラーがついたものだが、単色のものや、オールド・ボンド柄のものも用意されている


Deluxe Watch Travel Case



腕時計も、腕時計用ストラップも作るVARIOだが、腕時計を持ち運ぶためのトラベルケースまで作っている。今回レビューするのはアッシュ・グレーに赤のファスナーがおしゃれな「Deluxe Ash Grey Watch Travel Case」。


ケースは幅が長いほうに12.5cm、短いほうに約9.4cmの楕円形、高さは高い部分が6cm、低い部分は約4cmで、中央部はドーナッツ状に窪みがついている。


外装は高級ナイロン、内側は柔らかなベルベット。中央のドーナッツ状部分は腕時計の時計部をストラップバックルやメタルブレスレットなどが傷つけないようにするための構造。


大き目サイズの腕時計もOKで、公称では竜頭を含めたケースサイズが54mmまで収納可能。内部には取り外し可能なフォームも入っていて、大きい腕時計を収納する際にはこれを取り外して使うこととなる。


このフォームはもちろん大きすぎない腕時計を中に収納するときに意味を出すものだ。例えば以前レビューしたウォッチキャリーケースでは、ケース端から竜頭の先まで49mmという(決して小さくない)DWISS RS1 AUTOMATICを入れてもケース内部と腕時計との間に隙間が生じ、中でがたついたが、VARIOのケースにフォームを入れた状態ではがたつくことは無く安心感がある。


右竜頭から左竜頭まで最長部57mm、ケース最長部横幅54mmというどでかいDIESEL DZ-1242は、件の以前レビューしたウォッチキャリーケースには入りきらなかったが、VARIOのケースにはフォームを外して入れることができた。


色違いのトラベルケースの商品ページにはDietrichのTC-1が写った製品写真もあるので、色違いのDietrich TC-1の写真もどうぞ。


44mmのケース径、竜頭を含めると約48mmのAEGAON Tabula Rasa 44はフォームを入れたままで入る。


もう一つこのトラベルケースでこだわっているところは、ケース内側上部のメッシュ部分。このケースはスマートウォッチを持ち運ぶためのことも考えて作ってあり、この部分には例えば充電用のケーブルなどが収納できるようになっている。写真はPebble Timeとチャージャーを入れているところ。

そのほかにもこの部分に入れることのできる物の例としては、イヤホンが挙げらている。


中に収納する時計の大きさにもよるだろうが、替えのストラップを入れることも不可能ではない。


ファスナーのつまみ部分はつかみやすいよう涙型をしている。このつまみ部分にはスタイライズされたVARIOの頭文字が彫られている。


ここにもロゴが。


Image courtesy of VARIO

色合いもこだわっていて、トラベルケースは全4種のカラーバリエーションが用意されている。今回レビューするもののほかに、デニム・ブルーの「Deluxe Denim Blue Watch Travel Case」。外観がブラックで統一されたの「Deluxe Charcoal Black with Black Zipper Watch Travel Case」。外装がブラックでファスナーカバー部がグレー、ファスナー部自体は赤く彩られた「Deluxe Charcoal Black with Black Zipper Watch Travel Case」。

このタイプのトラベルケースは腕時計を一本しか入れられないものの、どの方向からも時計を守ってくれるのがポイントだ。大切な腕時計を非着用時にしまっておくにもいいし、腕時計を一本着用し、スタイルの違う替えのもう一本をこれに入れておくという使い方もできる。商品ページの「Buy at Discounted Prices」項目にもあるように、複数個購入すると割引も効く。

腕時計のトラベルケースとしてはVARIOはこのほかにも、東欧ベラルーシで手作業で作られるレザー製ウォッチロールも販売している。こちらはロールタイプなので保護性はトラベルケースよりも低いかもしれないが、腕時計を同時に2本入れることのできるものと、4本入れることができるものが提供されているので、より多くの時計をまとめて持ち運びたいという方はこちらを選ぶとよいだろう。


セール


さて、11月から始まるVARIOの年末セールだが、製品によってセール期間が異なるのでご注意。

ストラップとトラベルケース、ウォッチロールのセールは、11月1日から始まり、11月26日に終了する。セール対象商品は1点購入すると10%割引、2点購入で15%割引、3点で20%、4点で25%まで割引される。

腕時計のセールはやはり11月1日に始まるが、こちらはセール期間が長めで、12月12日に終了する。腕時計のセールでは、当ブログでレビューしたEmpire Art Decoが10%割引、Eclipseの方が20%割引となっている。

*なお、たまにシステムがバグるとのことで、もし割引が適用されていなかった場合は部分返金という形で対応するという。


まとめ



自社でオリジナルのストラップを作っていると言うだけあって、バックルの色まで選択可能だというのは嬉しい。それに、NATOタイプが好きな人にとっては、柄も幅もナイロンのテクスチャーまで様々に異なるものから自分好みのものを選択できるのは嬉しいはずだ。VARIOウェブサイトではG-Shock用のNATOアダプターや、面白いところではNATOストラップにクリップオンできる方位磁石なども扱っている。

NATO以外の腕時計ストラップが欲しいと言う方は、Empire Art Decoのレビューで紹介している高品質のハリス・ツイード・ストラップや、イタリアン・レザーのストラップなどもVARIOショップで扱っているので見てみるといいだろう。

トラベルケースも取り外し可能なフォームや、小物収納用のメッシュポケットなど考えられているほか、中に入れる時計に合わせてトラベルケース自体にもカラーバリエーションが存在するのも良い。


日本までの送料に関しても、VARIOショップでは25米ドル以上の購入では送料無料、25ドル以下であれば5ドルの送料と、送料無料の閾値が比較的安価。ストラップはものによっては1本で、そうでなくても2本以上買えば送料無料となる価格だし、2本買えばフェルト製時計ポーチ、3本でフェルト製時計ロールが貰えるのも嬉しいところ。

手持ちの腕時計に新しいストラップを合わせたいという方はVARIOウェブサイトを覗いてみても損は無いだろう。


Source: VARIO

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新型SBDC091登場を目前に、セイコー・アルピニストSARB017レビュー。個々の部品が形作る総和の美

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2018年に製造終了となり、57年の歴史に幕を閉じるのかと国内外で嘆かれたセイコー・アルピニスト(現在も販売されるダサいデジタルのプロスペックス・アルピニストSBEBのことはみんな無視しているようだ)。ところがどっこい、2020年1月に新たに6R35ムーブメントを採用したアルピニストが戻ってくるという話が(これに関して詳しい話やスペックは後述)。

そんな、後続モデル発売まであと一月ちょっとという時期ではあるが、今回は美しい緑の腕時計、アルピニストSARB017をレビューする。





開封



化粧箱カバーも社名入り。コレクターとしてはこう言うのも取っておかないと気が済まなくて内心困る。


カバーを取ると化粧箱。


開けると出てきたAlpinist。


ケース



ケースのほとんどの要素は鏡面仕上げ。


異なる部分はラグ上部と裏蓋の内周部で、この二カ所はヘアライン仕上げ。


横から見ると、フラットなサファイアクリスタル風防が突出しているのがわかる。そこからベゼル部へと傾斜、そしてわずかに内向きに下方に下がる。「S」が見えるのはねじ込み式竜頭。


その側面は各辺がなめらかに面取りされた歯車状。奥まった部分には竜頭軸方向に細かい筋が入れられている。ぱっと見目立たない細かな装飾に感動。

この写真は時計部裏側から撮影したものだが、竜頭ガードの竜頭の下左右あたりに、横方向に線が入っているのがおわかり戴けるだろうか。これは実は僅かな傾斜となっており、リューズガードの竜頭下部より時計中心方向が低くなっている。この凹む部分は竜頭を回転させるときに丁度爪が当たる位置になっており、これがあるお陰で竜頭が回しやすい。竜頭ガードがもっと先に行くほど薄くなっていればこのような部分が無くても良いはずだが、側面から見たときのカーブを崩さずに竜頭を引き出しやすいための細やかな工夫と見ることもできるだろう。


歯車状の部分から少し突き出した頭頂部にはSeikoの「S」マークが彫られている。ここのマークの彫りは面取りされていないので、指でこの部分を触ると指紋がわずかに引っかかりを感じるが、そうでもしない限りは気になるものでもないだろう。ねじ込んだ時にきちんとマークが風防を上とする方向に合致するのも良い。


竜頭両脇にはリューズガード。リューズガードはラグの端へと向かいなめらかなカーブを描く。そしてリューズガードのカーブをへこませるかのように四時に位置するのはインナーベゼル回転用の竜頭。


こちらもぱっと見は三時の竜頭と似たシルエットで、同じく歯車状の側部ではあるが、筋は入っていないし、頭頂部は少し窪んでいる。


これを回せば後述の文字盤内部の方位を記したベゼルが回転し、現在時刻と太陽の位置を参考に方位を知ることができる、と言うのがポイント。簡易方位計としてはこんなファンシーなベゼルなど無くとも、一度使い方を覚えてしまえばどのアナログ腕時計でも方位計として使えるのでそこまで意味のある機能にはなっていない(逆に言えば使い方を忘れればベゼルの方位表記は全くの無意味だ)。


ダイビングウォッチなどのベゼルは時間をカウントダウンしたり、経過時間を測定するのに使うこともできる。このインナーベゼルでは「N」の位置のみ赤い逆三角形になっており、それを指標とすることで同様の使い方ができなくもない。だが残念なことに、Alpinistのこの竜頭はふとした拍子に触れてしまうと、インナーベゼルは簡単に動いてしまうし、クリック式でもないので竜頭に触れた感覚から動いたことを察知することも難しい。そうはいってもよっぽど竜頭周辺をいじろうとでもしない限りは極端に回るわけではなく、12時位置に合わせていたのが一日たって気づいてみれば目盛り2分ぶん動いている程度のもの。なので精度を要する時間測定には向かないものの「大雑把な回転式インナーベゼル」として使うことはできなくはない。


ケースリング部はカーブが目立ち、特にラグのあたりはセクシー。


ねじ込み式の裏蓋にはアルピニストのロゴ。「6R15-00E1」、「A6」、「MADE IN JAPAN」、「SEIKO」、「WATER RESISTANT 20BAR」、「ST.STEEL」の刻印。


文字盤



サンレイ仕上げの緑色の文字盤に、金色のアプライドインデックス、そして黒地の回転式インナーベゼル。


時分秒針どれもインデックスと同様の金色で、それぞれに蓄光部分がついている。時針はカセドラル針。


分針もカセドラル状に中抜き部分に橋渡しがあるシリンジ先端のもの。秒針は矢尻にも似た先端と、後ろに突き出たカウンターバランスが特徴的。


このようなカセドラル時分針の組み合わせ、もしくは時針と分針の太さが異なる組み合わせが効果的なのは、蓄光時に時分針が重なり合う位置にあっても一目で両針を見分けれることにあるだろう。


アプライドインデックスは菱形のものとアラビア数字のものが交互に配されている。どれも艶のある金色で、角は柔らかみを帯びており、なんというか、艶めかしく光を反射する。


十二時インデックスの下には、「SEIKO」のロゴが。こちらもやはり金色のアプライド仕様なのだが、各時インデックスとは異なり表面と側面が接する部分の角は取られていないため、キリッとした印象。


三時位置には日付窓。角に丸みのある切り抜きと、その一回り外側を囲む光沢のない金色のプリントがあり、その内部に黒背景、白フォントでカレンダーディスクが存在する。


6時インデックスの下左右には「JAPAN 6R15-」、「OOH1 R2」の表記がとても小さく記してある。

アプライドインデックスの外周には白線の円で囲まれ、文字盤最外周から細かな目盛りが内向きに伸びる。目盛りは各時毎のものが太くなって、円に接する。各時インデックスの上には丸く蓄光材が。各分の目盛りは円に近いところまで伸びているが接しない。その目盛りの間は五分割され、文字盤最外周から円の中程まで目盛りが伸びる。

写真で見ると文字盤面の緑が目立つため、その外周に位置するインナーベゼルの色がわかりづらいが、インナーベゼルは黒地(私は最初アルピニストを知った当初この部分も緑かと思っていた)に、白と赤。度数目盛りは主に白で記されており、北を示すための「N」逆三角形と、「NE」、「NW」のN部分が赤。


ムーブメント 6R15



使用ムーブメントは6R15。マジックレバーにより左右どちらの回転でもゼンマイを巻き上げる。2万1600bphで、耐震機構としてダイヤショックを備える。パワーリザーブは長く、なんと50時間。長いパワーリザーブも特筆すべき点だが、何よりもすごいのは報告される精度だろう。

このムーブメントはCaliberCornerによれば公式日差が-25/+25秒だが、実際に所有する人の間からは、日差+6/-4というクロノメター/COSC認定レベルの日差であるという報告が多く見られる(希に公式日差より悪いというケースも出はするが)。この高い精度と、アルピニストをはじめとする採用モデルの価格帯が比較的手頃なことから、海外時計ファンの間でも評価が高い。

メインスプリングにはセイコー独自の合金であるSpron510(スプロン)が用いられている。これは高弾性でありながら、耐久性、耐食性、耐熱性にも優れているもので、Strapcodeの記事ではこのスプロンのお陰でハイビートムーブメントよりも長いパワーリザーブと素晴らしい精度が達成されているたとしている(その特性などはSIIことセイコーインスツルのウェブサイトが詳しい)。パワーリザーブが長いため、ゼンマイが緩まって力が弱くなるまでに掛かる時間が長いため、それだけ精度も長い、というのが理由のようだ。

これ以外の6R15採用人気モデルとしては、セイコー・メカニカルのSARB035や、プロスペックス・ダイバー・トランス・オーシャンSBDC039、一つ前のモデルのカクテルタイムSARB065がある。



こちらがSARB035。「着用していたらグランドセイコーと間違われた」なんて話も聞く。海外では「Baby Grand Seiko」(ベイビー・グランド・セイコー)とか「poor man's Grand Seiko」(貧乏人のグランドセイコー)とも呼ばれる。確かに遠目に見ればSBGW231など40万円クラスのグランドセイコーに見えなくも無い。こちらもアルピニストと同じく製造終了しているので欲しい方は4万円程度で購入できる今がチャンスかもしれない。個人的に次にセイコー買うとしたらこれを買おうと思っている。



SBDC039、プロスペックス ダイバーズ トランスオーシャン。200mの防水性能を備えて6R15搭載、竜頭位置は4時で10万円程度。



欲しかった&買っときゃ良かった旧カクテルタイム、SARB065。今では7~10万円程か。

話はアルピニストどんどんずれて言っているが、現行のプレサージュ・カクテルタイムが元の6R15から4R35という格下なムーブメント(よく新興マイクロブランドが使用するNH35はこれの社外向け版)に変更した理由、そしてアルピニストをディスコンとし、後述の後続モデルをより値上げした理由として海外腕時計ファンから聞く噂としては「セイコーが6Rムーブメントの真価に気づいたから」というものがある。あながちそれも間違ってはいなかったりして。

一日中ほぼつけっぱなし、初日竜頭を巻かずに時刻合わせをした状態から精度をスマホに最初から入っていた時計アプリと目視比較した結果(本来精度はフルに巻いてから行うべきだし、大分適当な比較だから参考程度に考えてほしいが):
1日後:-1秒
2日後:-1.5秒(日差-0.5秒)
3日後:-1.5秒(日差0秒)
4日後:-4秒(日差-2.5秒)
5日後:-5秒(日差-1秒)
6日後:-7.5秒(日差-2.5秒)
7日後:-14秒(日差-6.5秒)
8日後:-14.5秒(日差-0.5秒)
9日後:-17秒(日差-2.5秒)
10日後:-28秒(日差-8秒)*この日は右手につけていた
11日後:-31秒(日差-3秒)*この日は主に鞄に入れたままだった
12日後:-35秒(日差-4秒)


と言った具合。一度(夏時間の終わりと共に)時刻合わせをし直してからは:
1日後:+3秒
2日後:+3秒(日差0秒)
3日後:+3.5秒(日差+0.5秒)
4日後:+2秒(日差-1.5秒)
5日後:-6秒(日差-8秒)
6日後:-10秒(日差-3秒)


といった感じで、公式日差よりはだいぶいいように感じられる。


ストラップ



どのレビューを見ても付属する型押しカーフレザー・ストラップは不評だが、色味的には時計部にマッチする。


堅いというのが悪評の一つの理由である。


悪評の(堅いという)原因の一つは時計部に近い位置にかなりの厚みを持たせるような作りになっているためだろう。


裏には「SEIKO -B 20」の刻印。


実際そこまで質が高いものではないだろうし、ここでクオリティーの手を抜くことで手頃な価格を実現できていたのだろう。しかし私の知る限り多くのレビューワーが購入直後にストラップを取り替えているため、付属ストラップが腕に馴染んだらどれだけ良いものなのか(もしくは馴染んでも悪印象のままなのか)、正当な評価はなされないままだ。

かくいう私もほぼ未着用の状態でストラップを取り替えたのだが。ストラップを取り替える話は別記事で今度記そう。


まとめ



セイコー・アルピニストについて語られるときに時折耳にすることとして、「それぞれの要素を取り出して、それだけ見るとたいしたものに思えないが、それらすべてが組み合わさった姿がなぜか魅力的」というものがある。

例えば「ゴールドのインデックスとシルバーのケースは組み合わせが悪い。だけどアルピニストでは総合的に見て美しいものになっている」というものである。私自身も実はカセドラル針はダサいと感じるのだが、なぜかセイコー・アルピニストでは時計全体の中で、魅力を生み出す要素の一つとしてうまく溶け出しているように思える。


腕時計に限らず、デザインは細部や個々の要素も大切だが、一つ一つの部品が形作る総和としての姿を描くことで初めて本当に魅力的なデザインとなると感じさせられる一本だ。なおこの腕時計のデザインに関しては、セイコーによる同社の腕時計デザインについて詳しくデザイナー達が語るウェブサイトby Seiko watch design「セイコー史上、最も謎めく緑の時計。」として取り上げられており、1995年に発売された4S15ムーブメント搭載のSCVF009とSARB017とがデザイナーらにより比較されている。


Image courtesy of SeiyaJapan Blog

SeiyaJapan Blogではすでに2020年1月に新たなアルピニストSBDC091が発売されるとの話も。これによればSBDC091はムーブメントが6R15から、パワーリザーブ20時間増しの6R35に変更されるほか、ケース裏は内部ムーブメントが見えるエキシビジョンバックに。そして以前のSCVF009モデルに付いていたサイクロップスこと日付拡大レンズがカムバック。プロスペックスラインから出るようで、文字盤には個人的にはアルピニストには似合わない「X」ロゴが追加されている。おなじみ緑文字盤+ブラウンレザー(改善されていると良いが)のほかにも、黒文字版+ステンレススティールブレスモデル(少し高い)と、白文字版+黒レザーストラップモデルも出るようだ。価格は7万5000円+税。


様々な違いこそあるが、新モデルの価格を考えれば、未だSARB017に在庫があるうちに購入するのも悪くはないだろう。私自身が購入したのは新モデルの話が出る前であったし、新モデルも気にはなるのだが、価格を考えると今SARB017を購入しておいて良かったと思う。



なおAmazonでお買い求めの際には、上のアフィリエイトリンクに表示されている価格と、実際の商品ページの価格が異なる場合があることにご注意いただきたい。Amazonウェブサイトのアルピニストの製品ページ以外のページからアルピニストを見ると(例えばAmazonサイト内で検索してアルピニストを探すなど)、上のリンクと同じ価格が表示されるはずだが、なぜか商品ページでは異なる価格が表示されることがあるのだ。私の場合は商品ページ価格が2万円硬貨に表示されたのでこれでかなり混乱したが、これはなぜかアルピニストのAmazon商品ページでは「Amazon以外の店舗が販売する分」が製品価格として真っ先に表示されるためだった。なので製品価格にはくれぐれもお気をつけを。もし商品ページの価格がそれ以外で見た価格よりも高価である場合は、「カートに入れる」を押すのでは無く、その下の方の「シェアする」とかよりも下にある「こちらからもご購入いただけます「新品の出品:XX(出品数)¥XX(金額)より」をクリックすればAmazon販売分を含め、別の価格の物が表示されるはずだ。


Source: CaliberCorner, Strapcodeセイコーインスツル, by Seiko watch design, SeiyaJapan Blog

(abcxyz)

これで6万円台って元取れてるの?500m防水に細やかな拘りAxios Watchesの自動巻きダイバーズウォッチ「Ironclad」

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Sponsored by Axios Watches

今回はシンガポールの新たなマイクロブランド、Axios Watchesが送るファーストコレクション「Ironclad」のレビューをお届けしよう。

このコレクションは今年8月にKickstarterキャンペーンが行われているが、僅か3分で目標金額を達成、最終的に30万シンガポールドル(約2400万円)を集めてキャンペーンを成功させている。

今回はAxios Watchesから「Ironclad - Northern Sky」のプロトタイプサンプルをお借りしてのレビューとなる。もしかしたら製品版とは細部が異なる可能性があることをあらかじめお断りしておく。



Axios Watches - Ironclad




Axios Watchesは、ダイバーズウォッチをコレクションすることに情熱を持つという共通点を持つ創設者たち、Justin Chiam、Elshan Tang、Stuart Hoの3人によって生み出された。

多国籍企業で働いていたStuart HoとJustin Chiamは、腕時計を作るという夢に没頭するため、安定したフルタイムの職を辞めた。それだけAxios Watchesに本気で挑んでいるのだ。そんな彼らの力強い味方となるもう一人の創設Elshan Tangは、Zelos、Ventus、Vilhelmといった名だたる腕時計マイクロブランドの創設者でもある、マイクロブランド界では一目置かれる存在だ。

ギリシャ語で「価値ある」という意味の「Axios」と名付けられたこのブランドが目指すのは、何よりも素晴らしい腕時計かつ、手頃な価格、そして素晴らしいカスタマーエクスペリエンスを提供できるもの。

Axios Watches初のコレクションとなるIroncladは、創設者達が情熱を込めたダイバーズウォッチ。40mmのケースに、高性能なダイバーズウォッチ要素を詰め込み手頃価格に収めた腕時計だ。

今回レビューするのはそんなIroncladの中でも、文字盤とセラミック製ベゼルが緑色という所謂「ハルク」モデルである「Northern Sky」となる。


開封


今回はプロトタイプレビューであるため化粧箱はない。


ケース



ケースの形は、今やダイバーズウォッチの典型形とも言えるロレックスサブマリーナ-に似る。ケース径は40mmで、上面は文字盤上下方向にヘアライン仕上げ、側面は艶出し仕上げ。

ケース材質は316Lステンレススチール製。それは取り立てて言うほどのことでは無いものの、ただの316Lステンレススチール製ケース異なるのはAxios Watchesはこれに3.0ミクロンの耐スクラッチコーティングを施していると言うこと。このコーティングはブレスレットにもなされており、硬度を215-225 HVから900-1100 HVまで上げると共に美しいステンレススチールに傷がつきにくくしているわけだ。


ケース厚は13mm、ドーム風防も含めれば13.8mm。ドーム状の風防はベゼルの傾斜から連続するような傾斜を帯びており、美しい。


風防は内側に反射防止コーティングを施した、ダブルドーム・サファイアクリスタル製。ダブルドームは、風防の上面だけで無く、下面も同様にドームを描いているもの。安価なドーム風防だと上面しかドーム状になっていないが、そのような風防はレンズ効果を生むため、角度により文字盤が見えづらくなる。しかしダブルドームだと両側をドーム状に加工しているためこの効果が打ち消され(るとは言うものの水平方向に近くなればレンズ効果は生まれるのでダブルドームも完全では無いものの)、ドームのスタイルはそのままにどの方向からもよりクリアに文字盤を見ることが出来る。


ベゼルは120クリックの逆回転防止ベゼル。上面と側面の合わさる角部分に斜めに刻み/ノッチが入っており、誤回転しなさそうながっしりとした堅さを持ってクリックする。


ベゼルインサートはセラミック製で、個人的には「抹茶色」と呼びたくなるような深緑。ベゼルに10分おきに配されているのはスーパールミノバC3X1蓄光、そして各分ごとに配されたドットはスーパールミノバBGW9蓄光。そう、ここではなんと2種類の蓄光材が使い分けられているのだ!ベゼルの蓄光具合は文字盤の蓄光と共に少し後でご紹介しよう。


写真では判りづらいが、BGW9は非蓄光時も仄かながらクリームがかった薄緑に見えるため、ベゼル全体の色印象が面白く、個人的には(良い意味で)抹茶オーレを連想する。


竜頭はねじ込み式で両サイドにはケースからせり出た竜頭ガードに守られる。


側部はコインエッジ仕上げで、頭頂部にはAxios Watchesのロゴが彫り込まれている。


ケース側面、竜頭の反対側は何も無いシンプルなつくり。


ケース裏はねじ込み式で、防水性能はなんと500mを実現している。ケースの裏面は円周方向にヘアライン仕上げで、裏蓋も外周部分は同様の仕上げ。裏蓋中央にはコレクション名ともなる「Ironclad/装甲艦」が彫り込まれている。後は海軍少将ジョン・A・ダールグレン(1809-1870)による、木造戦艦の時代が終わり、これからは鉄の(装甲艦の)時代だと放った文言「Now comes the reign of iron」も記される。


Axios Watchesによればこの刻印図は特定の装甲艦というわけではないとのことだが、見た目は「Ironclad」と呼ばれるタイプの戦艦の中でも、アメリカの南北戦争に用いられたシティ級砲艦(City-class gunboat、例えばUSSカイロなど)に似ている。これも以外と細かく彫ってあり、各砲塔がしっかりと彫り分けられている。)

使用されているムーブメントは裏蓋刻印に「SW200」とあることからも判るようにワークホースとして知られるETA 2824互換ムーブメントことSellitaのSW200-1が採用されている。2万8800bph、パワーリザーブ38時間のスイス製ムーブメントだ。


文字盤



各時のインデックスは、典型的なダイバーズウォッチといった感じの丸いものの他、12時、3時、9時位置には台形状のものが使用されている。それぞれ光沢のある銀色のアプライドインデックスとなっており、内部にはスーパールミノバC3X1蓄光が付加されている。


注意しないと見逃してしまうが、実は台形インデックス部分は細くなっている部分が途中から銀色部分も蓄光部分も傾斜している。細かい部分だが、このような細部に見えるこだわりは腕時計を魅力的にすると私は思う。


文字盤はサンレイ仕上げ。文字盤の緑はベゼルよりも少々深い緑に見える。


12時インデックスの下には艶のあるAxios Watchesのロゴがアプライドされている。このロゴの形状も、日付窓の位置も、文字盤内要素が全て左右対称になるように上手く作られている。


6時位置には傾斜と共に長方形の開口部が設けられており、これが日付窓となっている。日付ディスク背景色も文字盤色と同じく緑色となっている。多くのブランドで日付ディスクの色は軽視されているように思うし、日付ディスクと文字盤色を近いものにしようという意思が見えるブランドで会っても、「暗い色合いの文字盤=黒背景ディスク」で止まってしまう。そんな中でわざわざ文字盤色と同色のディスクを用いているのは個人的に大いに評価したいところ。


日付ディスクの上には白字で「Automatic」、赤字で「500m/1640ft」の表記。


針はとてもユニーク。時分秒針の蓄光付き3針である点は特に特徴的では無いし、ぱっと見秒針が艶のある赤である以外特にこれと言って気付く点が無いかもしれない。時分針はプランジャー(Plongeur、フランス語で「ダイバー」の意味)スタイルと呼ばれるものに似ているが、しかしよく見れば中央長さ方向に存在する蓄光用の切り抜きの両脇に細く切り抜きが存在し、まるで鉛筆か水晶化のような見た目になっている。これは芸が細かい。


さて、お待ちかねの蓄光。


蓄光材はふんだんに使われているようで、ご覧の通り数分窓辺で日光を浴びた状態だと、明るい室内でも日光の外に出ただけでほのかに光る感じが判るし、暗い部屋に行ったら近くにあるものを照らせる程度に光る。


ベゼル部分は二つの蓄光材が使われていると前述したが、C3X1は緑色に(ベゼルのアワーマーク)、BGW9は青く蓄光する(ベゼルの各分のドット)。これも言われて初めて気付く程度のことかもしれないが、細やかな拘りは所有欲を満たしてくれる要素の一つ。電気を消して寝る前などにじっくり眺めたりして楽しめるだろう。


ストラップ



ラグ幅は20mm、上下ラグ間隔は46mm。ステンレススチール製3連の、所謂オイスターブレスレット。

安物の腕時計であればエンドリンク/弓カンはもとより、各コマも薄い金属板を曲げて作ってあったりするものだが、Ironcladはブレスレットまで手を抜かずにしっかりした物が用いられている。


使われているのはエンドリンクも各コマも切り出されたソリッドな部品で、エンドリンクとの合わせも、仕上げもバッチリだ。


仕上げは表、裏、側面全てにヘアライン仕上げが施されている。


バックルは三つ折れ両サイドプッシュの二重ロック式。バックル部分は角の面取り部分と両サイドのプッシュボタンが艶出し仕上げとなっている。


バックルにもAxios Watchesのロゴが刻印されている。


調整できる6コマの他、6段階の微調整/マイクロアジャストが可能と、かなり調整域が広い。


16~17cmの手首周りの私の場合、3コマ外してマイクロアジャストの調整は小さい方から3番目にしたらピッタリだった。そのため、私の手首径よりも小さい人でも大きい人でも安心して購入できるだろう。


まとめ



10万円以下で300m防水の自動巻き腕時計を探すのは難しいとされる中、防水性能500mを7万円以下で実現していることだけでも凄いが、これだけの性能に細やかなこだわりを備えて、Axios WatchesのIroncladは通常販売価格が599ドル(記事執筆時レートで約6万5000円)と言う価格は流石に驚き。


使用ムーブメントにしても、マイクロブランドの多くがより安価なSII NH35を使用するのに対し(あまり参考にならない価格かも知れないが、eBayなら25ドル程度で買える)、Sellita SW200(eBayなら80ドルから)を採用しているし、スーパールミノバ蓄光をわざわざ2種類使い分けたセラミックベゼル、独特の時分針、文字盤と色の合う日付ダイアル、などなど、これで10万円と言われても全然驚きでは無い。

しかも現在なら予約価格として割引がなされ、469米ドル(約5万円)で予約購入可能だ。発送は2020年3月が予定されている。予約はAxios Watchesのウェブサイトから可能となっている。


Source: Axios Watches

(abcxyz)

撮影時のガラス反射、もう心配しなくていい。Ultimate Lens Hood 2.0ミニレビュー

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ガラス越しにカメラでの撮影時やスマホ写真を取る際に、ガラスに反射する光のせいで綺麗に写し取りたい光景が撮れないことはなかっただろうか?

今回はそんな問題を解決するガジェット、Kickstarterで19万ポンド(約2600万円)近く集めた「Ultimate Lens Hood 2.0 - ULHmobile & ULHgo」から、スマホ用の「ULHmobile」をご紹介。Kickstarterリワードが届いたのでその簡易レビューとなる。



このキャンペーンは英サウスハンプトン発のものだが、日本からも233人の出資者がいるのも凄いところだ。なので紹介するまでも無くもう既にこれを手にしている方もおられるかもしれない。



開封



Kickstarterキャンペーンリワードはこんなパッケージに入ってやってきた。


中にはULHmobile本体、マイクロファイバー製のキャリーポーチとクロス、スマホに取り付けるための部品が3つ入っていた。あとお礼状も。


ULHmobile



ULHmobile本体にスマホクリップを取り付け、これをスマホに取り付ける。


Huawei P20 Proにつけたところ。これで準備OK。

あとは窓ガラスなどに近づけてULHでカメラ周囲のガラス反射を覆い去ることができるというわけだ。柔軟性のあるシリコンであるのと、ある程度の大きさがあるので、カメラをガラス面に対して斜めにしての撮影も可能だ。

まずは室内でアクリル板越しに試してみよう。


こちらは豊岡クラフトのウォッチスタンドOutcast Watchesの腕時計を置き、その手前にアクリル板を置いて撮影したもの。ここではまだULHは装着していない。


そしてこちらは々状況でULHを取り付けた状態で撮影したもの。アクリル板があるなんて言われないと判らないし、言われても信じがたいかもしれない。


もう一度、別のロケーションで同じ設定。まずはULHなしで。


こんどはULHをつけた状態で。実は先ほどの写真のランプは撮影時に後ろにあったものが映り込んだのだったのだ。


こちらはガラス近くにULHを近づけた図(写真左上あたり)。半分だけランプが消されているのが判るはずだ。


残念ながら筆者の住むフィンランドでは3重窓が多いので、完全に反射を消すことができるのは手前の一枚だけではあるが…。参考までにこちらはULHをつけていないで撮影したもの。室内光が三重に見えるのがおわかり戴けるだろうか。


こちらはつけてさつえいしたもの。室内光は二重になった。まあ、寒い地方など特殊な環境で無ければこんなことも無いと思うが、それでも反射が3分の1低減されるというのはマシと言えるだろう。

脱着も簡単だし、安価だし、「ガラス越しに素敵な光景を見つけたけれども、室内の光が反射して悔しい思いをした」という撮影好きな方にはもってこい。もちろん手を使ってカメラの周りを隠すことで同様のことはできる。しかし指の間から光が漏れたり、完全にカメラの周りを覆いきれなかったりする。そんなときにあれば便利なガジェットだ。


Source: Kickstarter

(abcxyz)

腕時計関連のごちゃごちゃ用にEtsyでEDCオーガナイザーを買った話

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当ブログでは腕時計のレビューを多く執筆しているが、外に出かけてレビューしないといけない場合に(そもそもそんなことは希ではあるのだが)必要な道具をまとめることのできる製品がないかとしばらく探していた。


持ち運びたいものはこんな感じ。ストラップ外しツールやスマホ用のマクロレンズ、替えのストラップやスプリングバーの類いだ。どれもそんなに大きなものではないので小ぶりに収納したいが、小さな袋などに入れればごっちゃになったり、互いがぶつかって傷が付いたり破損したりして嫌だ。


Image courtesy of Etsy

そんな中で見つけたのがこちら。EtsyのFoxEDCショップが販売する「EDC pocket organizer」(EDCポケット・オーガナイザー)



世界中の手作り品やビンテージ品が買えるEtsy





Etsyと言うサイトになじみがない方も少なくないかもしれないが、これは世界中の手作り品(ハンドメイドの腕時計ストラップとか)やビンテージ品(もちろんビンテージ腕時計とかも!)に特化したeコマースサイトであり、大量生産された商品が並ぶAmazonなどとは異なり、職人やアーティスト達がハンドメイドした製品や、雰囲気あるビンテージ品などが多く並ぶのがその売りだ。

人によっては可愛らしいアクセサリーを売っているところというイメージをお持ちかもしれないが、実際に販売されている物は可愛い系のものばかりでは無いんです!例えば今回紹介するEDCオーガナイザーとか!


EDCオーガナイザー




さて、購入した「EDC pocket organizer」、その名称が指し示すように「EDC」すなわちEvery Day Carry「毎日(もしくは常時)持ち運ぶもの」をオーガナイズするものだ。「毎日持ち運ぶもの」とはいってもEDCと言う言葉が指し示すのは多くの場合そう大きなものではなく、ポケットに入るサイズ程度かヒップバッグ類とかにつける/入れる程度のサイズの、例えば十徳ナイフとかマルチツールの類い、ポケットライトとか、(タクティカル)ペンとか、人によっては腕時計や、国地域によっては拳銃などを含むひともいる。

(「毎日Mac Pro持ち運んでるよこの野郎!なんでこれがEDCじゃないんだよ」と思われる方もおられるだろうが、あくまでも私が定義しているわけではなく、EDCと言う言葉の使われ方が大体そんなもんだという話。言葉的には毎日/常に持ち運んでるものだったらバケツだろうがハシゴだろうが米十升だろうが間違ってはいない。)

例えば上のインスタグラム画像は、コップとポメラDM200を除けば私のある日のEDCだ。


話がどんどんずれていくので軌道修正すると、購入したEDCオーガナイザー(上写真)はそんなEDCの中でもかなり小ぶりなものをオーガナイズするために作られたもので、サイズは9cm x 14 cm。


両面にゴムバンドが付いているので両面にものをつけれる。

これを作って販売するのは杉原千畝の活躍でおなじみリトアニア、に拠点を置くFoxEDC。一応FoxEDCはこれ以外にもサイズ違いやカラバリ、モールシステム(MOLLE)にコンパチブルなものも販売している


例えばこんな使い方…



こちらにはレザーストラップ2種と、袋に入れたスプリングバー、時計を拭くためのクロスを入れてみた。


裏面には別の品々を。ここではメタルブレスレット2種、ストラップ外しツール、マクロ用にスマホにつけるマクロレンズクリップを装着。


ゴムバンドが上下に交わっているため、このようにメタルブレスレットが交差するよう配してもそれぞれが触れあわない。


まとめ



これでこの「EDC pocket organizer」をバッグにポイッと入れれば、バッグ内でばらけたり傷つく心配なく、急な腕時計ストラップ/ブレスレットの付け替えにも対応できるだけでなく、マクロ撮影もできるというわけだ。変な使い方だと思われるかもしれないが、このような時計関連の小物を複数運ぶ際にはウォッチケースウォッチロールもかさばりすぎる。そのために到達した一つのミニマルの境地がこのEDCオーガナイザーなのだ。

価格はレートによって変動があるかもしれないが、この記事執筆時の表示では823円。日本への送料もわずか215円。注文から発送までは3~5日で行ってくれるが、ヨーロッパ外への配達が完了するのには20~25日と見積もられている。

非常にシンプルなもので、簡単に言えば段ボールの芯材を二種類の太さのゴムバンドが交互に上下に組み合わされ覆っている代物。まあ自分で作るやる気のある人なら作れなくもなさそうだ。それでも身近に材料を購入できないと言う場合や、これをきれいに作る手間・時間を考えたらこの価格は私には払おうと思えるものだった。


最後になるが当然ながらマルチツールなどの意図されたEDCの類いを収納する使い方にも最適だ。


Image courtesy of Etsy

このほかにもFoxEDCショップでは比較的安価なレザー製のEDCオーガナイザーも作っているので興味がある方は見てみるといいだろう。


(abcxyz)

もしかしたら効果あるかも?フィルターレス空気清浄機でLuft Qi妻の花粉症症状が改善した??

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以前台湾のTitus & Wayneよりレビュー用に製品を提供いただきレビューしたフィルターレス空気清浄機Luft Qi

軽くおさらいしておくと、Luft Qiは光触媒により臭いや細菌、揮発性有機化合物(VOC)などの有害物質を除去することを謳う製品。レビュー時には、実験に適切とは言えない環境ではあったものの、VOCの測定が可能なATMOTUBEというデバイスを用い、箱の中でLuft Qi使用前後のVOCや空気の質を測定。その結果や、製品で使用されている技術や特許に関連した質問をTitus & Wayneにしたところ、返答が来なくなったことなどから、「実際どうなのかは…?」という評価を下した。

そんなこんなでしばらくは部屋の飾りと化していたLuft Qiだが、今夏、妻の花粉アレルギー症状が悪化したため、そういえばと思い立ちダメもとで動かしてみた。すると意外なことにわずか数分稼働させただけで、妻の症状が改善されたのだ。

ただ、最初にお断りしておくと、筆者は医療知識は持ち合わせていないし、以下に示す事柄は他の環境では再現されないかもしれず、完全に公称されている効果があるとは私は言い切っていないので、その点ご注意戴きたい。



期待せずに動かしてみれば…



一応もう少し詳しく状況を説明しておこう。妻は何らかの花粉にアレルギーを持っているようで、窓を開けているとくしゃみ鼻水が止まらなくなる。今夏、就寝時は暑かったので窓を開けて寝ていたのだが(フィンランドではエアコンのある家は少ない)、特に就寝時には鼻水で息苦しく寝入りづらい状況が続いていた。寝室は10平米ほどで、室外窓は5センチほど開けており、居間へのドアは全開、居間のベランダ側のドアも開けた状態。

今回、就寝しようとして妻のアレルギー症状がでてからLuft Qiに電源ケーブルを接続。その後数分で妻の鼻水が止まった。明確な症状改善に妻は喜び、そのままLuft Qiをつけたままで就寝。安眠できたとのこと。

翌日起きて居間に移動するとやはり鼻水が出てきたので、今度はLuft Qiを今に移動させたところ、症状が改善された(居間のほうが広いためか、はたまた時間帯による差かは不明だが、この時の改善の度合いは就寝時ほどではなかった)。

その次の日も、就寝前に居間にいた際には鼻水が止まらなかったのが、Luft Qiが稼働中の寝室に移動すると鼻水がやんだ。

そのまた次の日はしかし、これまでのように寝室の窓辺(顔からは2.5m程離れた位置)でLuft Qiを稼働させても鼻水は止まらず。Luft Qiを布団のそばへと移動させるとわずかに症状が改善したようだった。次の朝妻に尋ねると、Luft Qiのある側に顔を向けたほうが、(ドアのある)その反対側に顔を向けた時よりも呼吸が楽だったとのこと。(このことからは、この日は風が居間側から吹き、それまでの二日間は寝室の窓側から吹いていたため、初めの二日間はLuft Qiを通った空気が妻に向かっていたが、三日目はデバイスを通過した空気がそのまま外へ向かったとも考えられる。)


まとめ



ということで、Luft Qi、少なくとも妻はその症状を体感できている。

しかし、これが実際に妻の症状に効果てきめんであったとして、これが同様に他の種類の花粉・アレルギー症状に効果があるとは限らない。当方フィンランド在住であり、フィンランドで花粉症(heinänuha)を引き起こすアレルゲン物質は日本のそれとは異なる可能性があることも考慮されるべきだろう。加えて、この度の症状軽減がプラセボ効果や他の要因による可能性も完全には否定できない。

なお、前回の記事で記した通り、Titus & Wayneからはメールに返事が来ていないままである。宣伝される特許の実態や、効能の仕組みに関して製造販売元から連絡がないことはやはり製品への不信感を生む。その一方で、前回記事中の「実験」に関しては、使用したATMOTUBEも(記事に記しているように)VOC測定値に一酸化炭素の値が含まれるし、実験に使用した箱に気密性がないなどなど、この「実験」そのものの正当性も怪しんで見るべきである。

この記事ではLuft Qiが宣伝通りの効果を持つと言い切ることはしないが、少なくともぱっと見、妻の症状を見る限りは効果があるように見られはする。購入する金銭的余裕があり、ダメ元で試してみる気のある方には悪くない選択しかもしれない。


(abcxyz)

eBayでヴィンテージ、セイコー・ファイブを買ってみた・Seiko 5 SKXY09レビュー

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今年になって日本でも展開を始めたセイコー・ファイブ。でも新しいのはなんだかつまらないな、やっぱり以前のセイコー・ファイブの方が魅力的なのがあったよな、なんて思いながらeBayをウロウロしていたら結構お手頃な価格のものが見つかったので落札してしまった。

今回はそんなセイコー・ファイブの歴史もちょっとかじりつつ、eBayでの購入経験、そして購入したSKXY09の詳しいご紹介までを行おう。



セイコー・ファイブとは



セイコーミュージアムによれば1963年に始まった元々のセイコー・ファイブは、東京オリンピックもあり1965年より輸出拡大、そして(Wikipediaによれば)1969年ごろからは日本国内で正規販売をしない海外限定展開モデルとなっている。少なくとも近年までの海外展開モデルは、価格帯は日本円にして1万円程度と安価さも魅力のひとつであった。

先にも述べたようにセイコー・ファイブは2019年より国内でも展開するものの、価格帯は3万円となり、カラバリは豊富ながらも面白みを欠いたシリーズとなっている。2019年のやつは値段が高いことと、ダイバーズウォッチっぽいけどセイコーのダイバーズウォッチ基準は満たしていないカラバリ違いしかないこと、元々「5」であったロゴが「S」にかわったことで見分けられる。参考までにこちらが新しいの。海外限定カラバリもある(右):



元々のセイコー・ファイブはシリーズ名にもある「5」がキーワードとなっており、先のセイコーミュージアムの記事を参考にすると、「1.自動巻機構」「2.防水機構」「3.三時位置一つ窓の曜日・日付表示」「4.四時位置に隠された竜頭」「5. (金属バンドを装着した)男性的なデザイン」とのこと。一応セイコーミュージアムがそう言うのだから当初はそうだったのだろうが、この五つの特徴は語るウェブサイトにより多少異なる。

特に「5.男性的なデザイン」というのはセイコーミュージアム以外で語っているところは私は少なくとも知らない。代わりに見るのはたとえばMonochrome Watchesの記事に見られる「1.一つの窓に日付・曜日の両方を表示」「2.全面防水耐衝撃ダイアショック機構付きインハウス自動巻きムーブメント」「3.防水性能」「4.四時位置に引っ込んだ竜頭」「5.ゼンマイにダイヤフレックスを採用した耐久性の高さ、同じく耐久性の高いケースとブレスレット」。他に「5.金属製で耐久性の高いブレスレット」というのも見た気がする。

今でこそ「何が凄いの?」と思えるかもしれないが、セイコー・ファイブの持つこの五つの特徴は当時画期的だったのは事実だ。防水機能を持つ腕時計は一般的では無かったし、曜日と日付は文字盤内に離れて別々の窓に表示されていた、更に竜頭が隠れているというのはわざわざ竜頭を巻かなくても良い=それほど効率よい自動巻き(左右どちらにローターが回転してもゼンマイが巻き上げられるマジックレバーが搭載されている)ということだった。


Image courtesy of WatchSleuth

2019年コレクション以前の近年のセイコー・ファイブは、自動巻き機械式ムーブメントで安価であること、信頼性の高さそのバリエーションの多さでも知られている(50年以上続くシリーズであるためでもあるが)。例えばケースは同一でも文字盤は全然雰囲気が違うモデルなんて言うのも多数あり、WatchSleuthというウェブサイトには2000以上のセイコー・ファイブモデルを検索可能な「Seiko 4 Finder」というページもあるほど。そんなこともあり海外ではコレクターも多いし、元値が安価なのでコレクションするのにも最適だ(少なくともコレクションし始めるのは容易だ、コンプリートするのは難度も必要予算も高いかもしれないが…)。

(当然ながら輸入品となるが)日本でも2019年よりも以前のモデルを新品で購入できる。例えばシンプルな文字盤が美しいSNK355K1(裏面から中のムーブメントが垣間見えるエキシビジョンバックも嬉しい)なら1万円程度(左)、格子状の文字盤装飾に黒い縁取りの時分針のSNXF05もやはり1万円程度(中央)、ミリタリーウォッチスタイル+エキシビジョンバックのSNZG13J1(右)も1万円台だ:



ダイバーズウォッチスタイルのものだってもちろんある。「セイコー・モンスター」はセイコー・プロスペック・スシリーズのゴツいベゼルにでかい蓄光インデックスを採用したダイバーズウォッチについている愛称だが(例えばSBDC067とか)、どことなくそれを彷彿とさせるモデルSRP601J1(左)もあれば、もちろんもっと当たり障りの無い見た目のダイバーズスタイルのSNZF17J2(右)だって1万円台から購入できる:



沢山アフィリエイトリンクを貼り付けてしまったが、サムネイルからもお判りの通り、一言で「セイコー・ファイブ」といってもバリエーションは豊富で、買うと決めてもどれにしようか選ぶのも大変なくらいだ。


ヴィンテージのセイコー・ファイブ


セイコーのしっかりした作りのオートマチック腕時計が1万円台。これだけでも十分お買い得だし選び甲斐があるが、これが中古であれば、今は新規購入できない魅惑のモデルが、もしかしたらより安く手に入るかもしれないのだ。特にヴィンテージのセイコー・ファイブはコンディションにもよるが、ebayで5000円でおつりが来るような値段のものも少なくない。


Image courtesy of eBay

そんなわけで「Seiko 5」をキーワードにeBayをウロウロする中で見つけたのがこいつ。商品写真ではシンプルなケースと、マッチするメタルブレスレット、そして深い青の文字盤に金の文字盤要素が印象的だった。10回の入札を勝ち抜き、落札価格は28ドル、送料無料(eBayではよく製品価格/落札価格は安く済んでも送料が高い場合があるので気をつけないといけない)。

9月28日落札で、10月末には届いた。発送元はインド。モデルの型番は記されていなかったが、ムーブメントは「7S26」で、製造年は1990-1999であるとの表記。また、「The watch has been recently serviced and keeping good time」(この時計は最近メンテナンスされており、きちんと作動する*)とのコメント付き。

*keeping perfect timeでなくkeeping good timeなので超正確ではなさそうだが、ある程度の正確性を持って作動すると読み取った。


ケース



ステンレススチール製ケースの状態は素晴らしいとはとても言えないが、悪くは無い。ケースの風防周辺は「使用感がある」を通り越して研磨したかのような跡が。個人的にはこの値段でこの状態は十分納得できる。が、一体前の持ち主はどんな戦をくぐり抜けてきたのだろうか…。


ケース表面は、フラットな印象を与えるが、ラグ部分は緩やかな傾斜を描く。このフラット感のあるシンプルな形状が入札するに至ったお気に入りポイント。


側面は僅かな膨らみが持たせてある。竜頭は3時と4時の間の4時よりに位置。セイコー・ファイブのポイントでもあるこの隠れた竜頭はほぼケースに入り込むような作りなので腕にぶつかることも、袖に引っかかることもない。


風防はフラットで、6時位置内側に「Seiko 5」のロゴが刻印されている。ぱっと見判らない細かい拘りはセイコーらしい。風防も端のところがほんのチョビッと欠けているが、使用に問題無い程度で、これにも納得。


ケース裏はねじ込み式。裏の方は「使用感がある」程度の傷つき具合。


ムーブメントは7S26。手巻き機能の無い自動巻き機械式ムーブメントで、CaliberCornerによれば2万1600bph、ダイヤショック耐震機構採用、パワーリザーブは41時間。精度は-20/+40程度とされる。現在では4R36に取って代わられて「DISCONTINUED」(ディスコン)との見出しも見られるが、1996年の製造開始から少なくとも2010年代まではセイコー・ファイブをはじめとする安価なモデルによく使用されていたようだ。


このムーブメントの製造は日本の他にもシンガポールとマレーシアがあるとのことだが、この落札したものに関しては裏蓋を開けるとローターには「JAPAN」の刻印があることからも日本製のよう。


マジックレバーと触れあう伝え車の歯車は欠けている部分もいくらか見られる。巻き上げ効率に関わる重要な部位ではあるが、このくらいの欠けようならまだまだ使える。実際腕につけて数日過ごしていたが特に巻き上げ面で目だった問題も無いし、精度も申し分ない。

マジックレバーは元々自動巻き上げの効率化を図るための部分な為、特にマジックレバー採用かつ手巻き機能付きのムーブメントでは伝え車の歯車が欠けやすいと聞いたことがある(自動巻き上げ用に作られた機構を無理に手で巻き上げるとこの部分の歯車が欠けやすいとか)が、この7S26には手巻き機能は無い。よっぽど使い込まれたのか、巻き上げ時に乱暴に叩いたり振ったりしたからなのだろうか、それとも想定された使用の範囲内でのことなのだろうか。まあムーブメント製造開始の96年に作られたとしても23年前のものなのだからこんなものなのかもしれない。


裏蓋の内側には「A I 9.12.04」と刻まれていた。これが「最近」のメンテナンスに関する刻印なのか、それ以前になされたメンテナンスの際につけられたものなのかは不明。

なお先に挙げたセイコー・ファイブのSNK355K1とSNXF05は同じくムーブメントに7S26を搭載する。また、セイコー・ファイブ以外のモデルにも、(少々値は張るが)ダイバーズウォッチのSKX007K1などにも7S26が使用されていた:




文字盤



文字盤は嬉しい驚き。eBayの商品写真ではただ単に深い青色の文字盤だと思っていたのだが、実際には文字盤中央から丸い蓄光部分の外側までは艶消しの青。その外側も同じく青ながら、サンレイ加工がなされているのだ!


しかもそれだけでは無く、サンレイ加工がなされた部分の文字盤よりの位置には、時計中心に角を向けそろえてある正三角形の艶消し部分が並んでいる。

この細かな仕上げは文字盤に光が入り込んで初めて目に留まる。上品な仕上げだ。


時分秒針はどれも金色。時分針はダフネ針と呼ばれる形状のもので、長さ方向に山折れ加工がされており、中に蓄光部がある。

各時には金色のアプライドインデックス、12時は2本のバーが並んだもの、6時と9時はそれぞれにバー、3時位置に曜日と日付用の金縁取りの窓、それ以外は水滴のような丸みのあるインデックス。


なお日付ディスクは英語とアラビア語の二カ国語版。


丸いインデックスはどの方向からの光もよく反射し、バーインデックスよりも可視性が高い。


3時を除く各時インデックスの内側には、丸い蓄光部分がある。まだまだ現役で蓄光する。


12時下には「SEIKO」、そして5角形の中に「5」のセイコー・ファイブのロゴが、文字盤の他の要素と共通する金色の部品でアプライドされている。「5」の背景部分は水平方向に細かな線が入っている。

インデックス部と窓枠、針と文字盤中心の針軸周辺に少し跡があったりはするが、文字盤は全体的に綺麗な印象で大満足。


ストラップ



ステンレススチール製の3連ブレスレットは、全体的に見れば可も無く不可も無く。


でも時計部のラグのカーブからの統一感を保ちながらブレスへと繋げるエンドリンクが大好き。この統一感!


でもエンドリンクは曲げて作ってあるものだし(写真はエンドリンク下面の刻印)…


それぞれのコマも金属部品の周囲に金属板を巻き付けて曲げて成形したもので、切り出したものと比べると見栄えは劣る。その一方でだからこそ軽量感はあると言えるだろう。


コマは手首に面する側にポッチが付いていて、それを外側に押して抜き出す仕組み。流石に中は錆び付いていた。


バックル部は「SEIKO」の刻印がある方開き式。5段階の微調整が可能となっている。


eBayでの購入について


今回は希望の商品を手頃な価格で購入でき、なおかつ実際に製品を手にしてからも満足できた。

だが海外から中古の時計を買うというのは怖いものだ。どんな人たちがお店を出していて、どんな保障がついているのかちゃんと判るような(そして保障が実行されるか信頼できる)、例えば当ブログでご紹介したKultaViljasetのオンラインヴィンテージショップのようなところから購入するならまだしも、ebayとなるとどんな売り手なのかサッパリ判らず少し怖いという方もおられるだろう。

その恐怖は常に忘れずに、「果たしてこの製品ちゃんと動くだろうか?自分はこの価格を払って満足できるだろうか?」色々考えながら、製品写真や詳細を確認して購入/入札の決断をすべきだろう。特に価格が高いものであれば、判らないことや不安な点があれば売り手に確認するくらいの手間を惜しむべきでは無いだろう。

例えば、私がeBayで見かけたセイコー・ファイブの中には、文字盤内の表記が一部消された(ように見える)写真や、メンテの際に付け替えたのか明らかに秒針の質だけ異なるものなどもあった。また、セイコー・ファイブに限らず腕時計の世界では、既存の(壊れた)腕時計のまだ使えそうなパーツから組み上げた稼働する腕時計、その名も「フランケン・ウォッチ」なるものの存在も伝え聞く。もちろん本物と見分けのつかないスーパー模造品なども存在するだろう。本来もっと価値があるはずなのに誰にも購入されていない/入札されていないものであれば怪しむべきだし、よりよく調べてみるべきだろう。

もちろんeBayにも購入者を守るための制度は存在するが(サッツ・メディアの「eBayバイヤープロテクション(買い手保護保証制度)とは?」などを参考にすると良いかもしれない)、それでも商品詳細や商品写真の確認不足の場合は買い手の落ち度となるだろう。

そのようなリスクがあると知った上で買うには良いんじゃ無いかと思うが、自己責任でお願いします!


Image courtesy of eBay

一応私がこのヴィンテージのセイコー・ファイブを購入したセラーはwatchkraftというところで、少なくとも2016年から販売しており1299のフィードバックスコア。eBayからも信頼された販売者「Top Rated Plus」という販売者レベルを獲得している。



また、中にはこの動画のようにeBayでロレックスを購入する人も。このYouTuber、
Bark and Jackも特に高価な買い物は詐欺も多いので注意するようにと語っているし、箱や証明書があるからといって本物とは限らない*が、セラーを調べたり、「サービスされてない、研磨されていない」という記述など、様々な細かい点から本物であるだろうと判断、6000ポンド(約80万円)の大枚をはたいて購入している。

*「が偽物である確率が下がる」、とも。箱・証明書の類いは別途購入できるから偽物に正規の箱・証明書をつけて売る詐欺もあるだろう。


まとめ



今回セイコー・アルピニストに次いで(ヴィンテージ)セイコー・ファイブSKXY09の魅力に触れたことで、これまでにも増してセイコーの腕時計への関心が湧いた。

初めてのeBayでの腕時計購入ということで心配したが、セラーの記述通り動く品であり、ヴィンテージの使用感はあるものの納得できる美品だった。支払った価格よりも価値があると感じられたのも嬉しい。完璧なコンディションではないものの、美しいビンテージのセイコー・ファイブが安価に買えたので大満足だ。

eBayでの購入は難しく感じられる方もおられるだろうが、身近に中古の腕時計を購入する環境が無い方や、国内のヴィンテージサイトで扱っていないレアなものが欲しいと言う方にとっては考慮しても悪くは無い選択肢だろう。個人的にも今後も面白いヴィンテージ腕時計をeBayで見かけたら買ってみようという自信がついたし(無論それぞれの出品・出品者毎に気をつけなければいけないのは言うまでも無いが!)、いい経験だった。


Source: セイコーミュージアム, Wikipedia, Monochrome Watches, WatchSleuth, サッツ・メディア

(abcxyz)

クラファン~到着まで約4年「睡眠が快適になるヘッドホン」KOKOON、果たしてその出来栄えは…?

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睡眠を快適にするため、ヘッドホンの形状を一から見直し、脳波センサーで睡眠状態を測定できるすごいヘッドホン!という売りで2015年にKickstarterに登場したKOKOONヘッドホン。私は当時出資したのだが、当初の発送予定である2016年2月を大きく通り越し、2019年も末になりようやくリワードが届いたのでご紹介、詳しくレビューしよう。



製品レビューが気になる方は読み飛ばす項目


出資から手に入れるまでの経緯


このヘッドフォンはもともと睡眠を快適にすることを目的にデザインされたもの、と言うのが一番の売りだった。

KOKOONキャンペーンに出資した2015年当時、私は明け方に耳に音が響いて困っていた。多分歯ぎしりがひどいためもあったのであろうが、明け方に家の内外から聞こえてくる様々な音が頭に響き、睡眠の質が低くなり困っていた。幸いなことにノイズキャンセリングヘッドフォンを所有していたので、朝頭に音が響き出すとこれを装着して寝続けるという対策を取っていた(2015年出資当時に書いた投稿はこちらで読むことができる)。しかし大抵のヘッドフォンは「頭につけたまま寝る」ということは設計コンセプトに入っていないのだろう、頭にヘッドフォンをつけたまま寝るというのはあまり心地よい経験ではなかった。

また、長時間着用時の付け心地も問題であった。これには所有するアクティブノイズキャンセリング機能付きヘッドフォンが、耳の上にパッドが当たる「オンイヤー」タイプのものしかなかったことも問題であったろう。パッドにより耳が押さえつけられるため、長時間の着用では耳の付け根あたりが痛く、不快になるのだ。これは長時間フライトでも大きな問題だった。

アクティブノイズキャンセリング機能(以下ANC)を持たず、その代わりにクローズド式(密閉型)であるためにパッシブなノイズキャンセリング機能(耳が塞がれるために音が遮断される)を持つTDKの「TH-HB700BBK」を使っていた時期もあったが、これもまたオンイヤータイプであるため同様の問題があった。




上はキャンペーン当時の動画

そんなときに目にしたKOKOONのキャンペーンでは、「頭につけたまま寝る」ことをアピールしていた。ANC機能を備えるし、ベッドで寝たまま使えて、しかもオーバーイヤーなので耳が押さえつけられることもない!まさに私の求める使い方には完璧とも感じられるものだった。

キャンペーンでは、ノイズキャンセリング機能だけついて少しだけ安いライト版と、BluetoothとEEG脳波センサーによりスマホと同期して睡眠の質をセンサーにより測定することのできるフル版とが存在した。当時私は睡眠の質を腕の動きから判断することができるスマートウォッチPebbleを使用していたのでライト版に出資した。

どちらのバージョンもぱっと見は同じで、着用時のシルエットをなるべく低く、なだらかにして、横を向いて眠ることもできるという。これを可能にするのは、薄いドライバー部。通常のヘッドホンでは電子部品がドライバー部に付いているのだが、KOKOONではヘッドバンド部に電子部品を移動させることでドライバー部を薄くしている。



上は現在KOKOONが公開する動画

しかし、当初の製品発送予定である2016年2月から4年近い長きにわたる開発の間に、支援者数の少ないライト版をわざわざ別個に製造するのはコストがかかりすぎるなどとの判断から、ライト版は製造されず、その代わりライト版出資者には返金もしくはキャンペーン当時の差額を追加で支払うことでフル版にアップグレードするという選択肢が提示された。

先の動画と以下のレビューを比較すれば、開発の過程でヘッドフォンの形状やセンサーの位置、収納方法やサイズも変わっているのもわかるだろう。


開封



化粧箱の外箱。


化粧箱と小さい封筒。化粧箱は表が磁石で閉じる仕組みのもの。箱そのものは90年代の携帯電話の箱のような雰囲気が漂う。外に製品情報や特徴は別段記されていない。「Kokoon Relax Launch Edition」ローンチ・エディションと記してあるが、もしかしたら出資者向けの限定パッケージであり、だからこそこういう見た目なのかもしれない。


磁石部を開けると蓋内側はクイックスタートガイドになっている。小さい封筒に入っているのは、蓋内側のクイックスタートガイドとは異なる内容の簡易使用法説明にバッカー向けのディスカウントコードが書かれた紙。


中にはしっかりとしたキャリングケース、英語で書かれたマニュアルV1.2(一応オンラインの簡易マニュアルは日本語版も存在する)、「安全に関する重要情報」(これだけは複数言語表記があり、日本語でも書いてある)が。


ケース



ケース表面はテクスチャのある布地で覆われている。どの面もなかなかの厚みがあるため中はしっかり守られそう。


ファスナーにはKOKOONのロゴ入り。


蓋面側にはポケットが付いている。


中から出てきたのはKOKOONヘッドフォン本体と・・・


ケース/ヘッドフォン本体とマッチする色合いの充電用microUSBケーブルと、3.5mmオーディオケーブル。そしてアイマスク!


KOKOONヘッドフォン



大きさは159 x 179 x 94mm、重さは350g。


耳の周りを囲むように合皮に覆われた柔らかなイヤーカップ、そしてそれを更に覆うようにファブリックに覆われたシリコン製イヤーカップ。内側のイヤーカップは耳周囲部分の肌に触れ、外側のカップは顔の頬骨の後ろ(頬骨弓)や下顎骨の顎関節あたりまでをカバーする感じ。

耳周囲をしっかりと覆ってくれるため、ANCオフ状態だけでもある程度の音は遮断される(=パッシブノイズキャンセリング/受動的ノイズ遮断性能を持つ)。


ヘッドバンド部に電子部が入っていることもあり、(ドライバー部に電子部品が集約されているものと比べ)ヘッドバンド部は重め。それでも、ある程度の側圧があることと、イヤーカップの触れる範囲の広さのおかげで、頭全体にうまく重さは分散されているように思う。ヘッドバンドは前後に二分割されているようで、ねじりを加えることもできる。


ヘッドバンド部とドライバー部の間にあるヘッドフォンの長さ調節は、左右それぞれ3.5cm伸ばすことができる、無段階式となっている。ロックするための機構は存在しないが、特に使用中に問題なく設定位置に留まることができる。耐久性がどうかは気になるところだが。


ドライバー部は前方向にも後ろ方向にも90度以上スイングできる(つまりそれぞれ180度以上スイング)。私のこれまで所持してきたヘッドフォンはどれもスイング範囲は狭かったり、前後どちらかの方向にしかスイングできなかったりしたのだが、KOKOONはこのスイング範囲の広さが心地よさにつながっているのかも、とも思った。

長時間の着用で蒸れそうな気もするが、こればかりは乾燥した冬のフィンランドで試してもわからない。一応Kickstarterキャンペーン時にはイヤーカップ内部の通気性にも言及されているが、形状も変わっているため製品版でこの機構は再現できているか不明。


一応外側のカップにはそれらしい穴は見られるものの、合皮で覆われた内側のカップにつながっているわけではないだろうし・・・(それとも繋がっているのだろうか?)。


ドライバー部にはEEG脳波センサーの端子。シリコンに端子が付いているので端子部は触ると簡単に動き、耳に触れても押しつけられる感じはしない。このほかにも加速度計もヘッドホンのどこかに付いている。


ヘッドバンドに機械部が入っているため、電源やボタン類はヘッドバンドに。左後方に電源ボタンと3.5mmヘッドフォンジャック、LED。右後方には充電用microUSBポートとアクションボタン。もちろん機械部の位置からこのような配置になったのだろうが、このおかげでヘッドバンドを一瞥するだけでヘッドホンの正しい左右方向がわかるので個人的には好き。


前側は何もなくすっきりした見た目。金色部分はプラスチック製。


Bluetooth 4.0 Low Energyに対応し、500mAhのリチウムイオンバッテリー搭載、公称13時間のバッテリーの持ち。充電はヘッドバンド右後方にmicroUSBを挿し行う。充電中は左のLEDが点滅。満充電で点灯。オンにした状態では電源ボタンを押すことでバッテリー残量が3段階で判る。


なおヘッドフォンケーブルを接続するとBluetoothはオフになる。ヘッドフォンのバッテリーが無くなった状態でもケーブルを挿せば有線ヘッドフォンとして使うことができる。ケーブルはヘッドバンドの左後ろから伸びるので少し奇妙な感じ。なので第6世代iPod Nanoのような無線機能を持たない音源もOK。

ドライバーは40mm、インピーダンスは32ohm。



音質は個人の意見ではあるが、悪くない。当然ながら携帯性が重視されるHuman Headphonesよりは大分良いし、オンイヤーで密閉型のANCヘッドフォンSONY MDR-ZX750BN(上リンク)よりも好ましく、高音が綺麗に聞こえる気がする。SONY MDR-ZX750BNと同様に、ANCをオンにすると低音が強調される。



残念ながらオーバーイヤーで密閉型の比較対象の持ち合わせはないのだが、同じくオーバーイヤーのSennheiser HD 598(開放型、上リンク)と比べても素人耳にはそこまで劣っているとは思わない。さすがに音の抜けというか、音の開放感は劣る。加えて(これも密閉型タイプのためかもしれないが)、音が重なり合う部分では粗が出る。例えば「Lorde - Tennis Court」のサビのキックドラム的な音と背景の低音は、HD598と比較すると、きれいに鳴り分かれていないような、輪郭が混ざり合ってしまうような感覚がする。「Alpha - Still」の盛り上がる部分も同様に、輪郭が混ざり合う感がでてしまう。

その代わり、音漏れはなかなかしない。外の音もある程度遮断できるので当然だが。Huawei P20Proで音量を半分まであげてダブステップ曲「Nero - Doomsday」などを聞いても、真横にいる妻から音漏れはしないといわれた。さすがに75%まであげると漏れるとのこと。

音質に関しては、Kickstarterキャンペーン当時は日本のオンキヨーと共同で「truly world class audio」(真に世界クラスのオーディオ)を目指すとしていた。オンキヨーとの共同開発がどうなったかは知らないが、音質に関しては満足できる質に落ち着いていると感じる。


アクティブノイズキャンセリング機能



アクティブノイズキャンセリング(ANC)機能使用時のホワイトノイズは大きめで、気になる人にはこれは問題となるだろう。ANC機能は電源ボタン二度押しでオンオフ切り替え可能。

洗濯機を回しながら手持ちのSONY MDR-ZX750BNのANC機能と比較してみた限りではそう大きく性能差は感じられなかった。ただし、オンイヤーのMDR-ZX750BNとオーバーイヤーのKOKOONの比較はそもそもフェアではないと言うことも考慮すべきだろう(KOKOONは耳をすっぽり覆うため、ANC機能はオフでも着用するだけでノイズを多少軽減できるが、これに比較するとオンイヤーだと耳とイヤーパッドの間に微妙な隙間が生じて音が入り込むようになっている)。

ホワイトノイズに関しては、周囲の音がうるさければ問題ではなくなるはずだし、ANCオフ状態でも外音遮断性がある程度あるため、私は外音が僅かなときにはNC機能をオフにしている。


付け心地と、睡眠時の使用



着用してまず感じたのは付け心地の良さ。手持ちのヘッドフォンで似た形状のものとしてはゼンハイザーHD598(写真のプリンっぽい色のもの)がある。これも付け心地が良いことでも知られているし、やはり350gのKOKOONよりも軽量(246g+太い3mのケーブル…)であることもあり、起床状態での使用ではわずかにHD598のほうが付け心地に勝ると感じた。

しかしKOKOONの付け心地が他のヘッドホンに勝るのは、ヘッドレストに頭をもたげたり、枕に頭をしずめる時だ。7時間ほど着用したまま寝てみたりもしたが、外耳を押さえないオーバーイヤー形状であるため耳が痛くならなかった。これには満足。

KOKOONは睡眠時の使用には柔らかく深い枕の使用を推薦、メモリーフォームやシリコンピローは避けるべきとしている。

当初私はこれに気づかずにメモリーフォームピローで使用していたが、上を向いて寝るぶんには問題なかった。問題は寝返りを打つ/姿勢を横向きに変えるときで、仰向け状態から横を向こうとすると、いくらドライバー部が薄いと言ってもその盛り上がりのせいで頭の位置が上がり、首を横方向にかしげた様子になってしまう。また、頭を枕に沈める動作などで枕とヘッドフォンが触れ合ったりするとイヤーパッドの位置が微妙にずれた。

このような問題は、時間をかけて重さに合わせた形状に変わっていくメモリーフォームピローの性質も原因で、ふかふかの枕に変えると改善された。多分ホテルのベッドにあるようなふかふかのものなんかが最適なんだろう。

とは言ってもKOKOONは完璧というわけではなく、例えば右を向いて寝ている状態から、左を向こうとすると、枕と頭の間に位置する右ドライバーが両者に挟まれる形となり、この部分が固定されて回転軸となり、反対側の左ドライバー部がずれ動いてしまう。結果として寝返りを打った後に左側の耳がちゃんとパッド内に収まるように調整しないといけないし、これを防ぐためには手でヘッドフォンを支えながら寝返りを打たなくてはならない。どちらにしてもウトウトしながら簡単にできることではない。

なので私は寝返りを打ちたくなった時点でまだウトウトしていなかったらきちんとKOKOONを装着し直し、ウトウトしていたらもうそのまま外してしまうという使い方に落ち着いた。

対してゼンハイザーHD598はどうかというと、(通気性こそいいが、ANC機能もパッシブノイズキャンセリング性能もないし音がだだ洩れであることを無視しても)寝ようとする際には向かない。これもKOKOONと同様に特にドライバー部分が滑らかな形になっており、(電子部品が入っているわけでは無いが)ヘッドバンドが大きく、つけ心地が良い。しかしやはりドライバー部は大きく張り出すし、枕や椅子のヘッドレストに頭をもたれかけさせるとなるとKOKOONの方が心地が良い。特に横向きになったときはそれがよくわかる。


こちらの写真を見て戴くと、ドライバーの張り出しはわかりずらいが、ドライバーとヘッドバンドが繋がる部分が外向きに出っ張っているのが判るだろうし、ドライバーの外側部分もHD598の方が出っ張りが多いことがおわかり戴けるだろう。これに加えて、KOKOONはイヤーパッドが柔らかいだけでは無く(HD598は起毛した表面仕上げの固形イヤーパッド)イヤーパッドの外側部分もシリコン製で柔軟性を持っている部分があるのだ。


写真は該当部分を爪で持ち上げているところ。

KOKOONの寝心地に関しては、欲を言えばヘッドバンド部分もドライバー部のように頭の形に添ったなだらかな傾斜を持っていれば、より付け心地と睡眠時の付け心地/寝心地が良くなったのではないかと思う。

また、KOKOONと言う製品に使用する枕を決められるのは癪だと思う方もおられるだろうが、もし入眠が問題だというのであればKOKOONと、推薦される枕の組み合わせを試してみてもいいのではと思う。


アプリ



アプリはAndroid版とiOS版が用意されており、睡眠トラッキング情報を示すことができるほか、専用の睡眠導入コンテンツ(英語)も用意されている。


このアプリだけでも独立して販売されても良さそうな内容に仕上がっているが、使用にはKOKOONヘッドホンが必要。また、アカウントの作成も必要となっている。


初回起動時にはどのような使い方(旅行に使う、睡眠のためでは無くリラックスのために使いたい、など)を意図しているかが尋ねられる。


簡易オンラインマニュアルには日本語も用意されている。


睡眠導入コンテンツは、「雨音」、「草原の音」、「川の流れる音」、「たき火の音」などのリラックス音源、ガイド付きメディテーション/リラクゼーション音源、リラックス音楽。

「ガイド付きメディテーション/リラクゼーション」は各18分、全8種の「Guided Sleep」(ガイド付き睡眠)のほか、より短く10分程度の「Guided Relaxation Shorts」(ガイド付きリラクゼーション・ショート)が5種ある。Androidアプリで言えば「Headspace」のようなもので、落ち着く感じの男性の声のガイドに従ってリラックスするもの。例えば深呼吸の指導だったり、「指先の筋肉に集中して・・・その感覚一つ一つに意識を集中させて・・・」と言ったようなの。こうして書くと怪しそうに見えるが、別に宗教的なものなどではなく、れっきとしたリラクゼーションの手法。だだ単に「リラックスして/瞑想して」なんて言われても難しいが、そのための行動手順を細かくガイドしていくもので、最終的にはガイド音声なしでもリラックスするための方法を身につけるというものだ。

これらに加えて、KOKOONの使い方の説明とガイド付きメディテーション/リラクゼーションが合わさった「Meet Kokoon」というコンテンツがある。これは5回に分けてKOKOONの使い方を説明すると共に、短時間でリラックスしたり、よりよい睡眠を実現するためのコンテンツ。


リラックス音源はただ聞いているだけで安らぐ、各20分程度のオーディオ。面白いのはガイド付き音源の背景音としてこれらを流すことができるほか、リラックス音源の背景音としてリラックス音源を用いることもできる(波音プラスたき火の音とか)。

リラックス音楽は、John Sampson、Rhys Copeland、Ross Sampson、John Dixの4人の作曲家から、各3、4曲ずつ提供されている。

ガイド付きメディテーション/リラクゼーションのコンテンツとしての質もいいし、「波の音」などの音源も、リラックス音楽も良く、リラックスするための音を集めたアプリとしても成立すると思う。また、音源は今後どんどん追加される予定だそうだ。


しかしアプリの神髄はKOKOONのEEGセンサーとの同期した睡眠トラッキングにある。まだ部分実装しかされていないのか、完全には機能していないようだが、2.5時間以上の睡眠を記録した場合、「覚醒、REM睡眠、浅い睡眠、深い睡眠」、と睡眠を3段階に分けて表示できるものがある(上画像がそれだが、現時点では「Example Data」参考データしか表示されず)。この2.5時間というのは、その程度の時間のデータがないと、どのセンサー反応がどの常態化を把握するのが難しいためのよう。



より短時間のデータであれば単純に、覚醒と睡眠のみが記されることとなる。



ただし、一応2.5時間というのは目安のようで、機能としては既に存在はしているよう。こちらの実例では、35分のデータで詳細情報が表示できた。


このほか、EEGセンサーにより睡眠状態を認識し、先に述べた各種音源を聞きながら入眠した際に、どれだけ効果的に入眠できたのかを10段階で評価可能となっており、どのような種類のコンテンツが入眠に最適かを知ることができる。


ただ、現時点ではきちんと機能していないのか、音源の最後まで起きていて、アプリ側でも音源再生中の「覚醒状態:100%、睡眠状態:0%」と表示しているのに10段階評価で10になっていたり、寝ていないのに睡眠が記録されていたりと完璧ではない。サポートに連絡したところ、これは開発側もすでにバグとして認識していて、改善を約束している。


ほかにアプリを通じたセンサー関連の項目としては、寝落ちしたらX分後(設定可能)に音源をフェードアウト、寝落ちしたらホワイトノイズ再生、などのオプションや、ヘッドホンが外されたことを認識し外して5分後に音源停止、外して15分後にヘッドホンをオフなどが可能(これらは時間設定を変えることができないが、オフにすることは可)。

現状ではEEGセンサーからスマホアプリへのデータのシンクロナイズも特に長時間のデータでうまくいっていない部分があるが、次期アップデートで改善予定となっている。

加えて将来追加される機能として、睡眠の浅いときにアラームが始動する「スマートアラーム」なども(Pebbleにもあったが)予告されている。


まとめ



*この写真でmicroUSBポートについているのはVOLTA 2.0

個人的には現状のKOKOOにANCヘッドフォンとして満足しているし、アプリも併せて入眠/リラックス用のデバイスとして好感が持てる。頭をも垂れかけることのできるリクライニングチェアや、長時間の移動に際して従来のヘッドフォンがしっくりこなかったという方にはもってこいだろう。

私は特に入眠に問題は持っていないが、アプリで提供されている音源も実際聞きながらリラックスしたり、入眠することができた。もちろんKOKOONアプリを使用せずとも普通のBluetoothヘッドフォンとして使えるので、横になった状態でも心地よく使えるヘッドフォンという用法もある(なので、KOKOONアプリ以外の好みのリラックス/瞑想アプリを使用することだってもちろん可能だ)。その一方で、少なくとも私の(頭の形その他の)環境では、KOKOONは寝返りを打つとずれることは問題と感じた。

私自身の使い方としては、主にフィンランド~日本の約10時間のフライトや、長距離電車・バスなどでヘッドレストに頭をもたげながらの活用や、時折自宅で寝る時間帯に謎の低音が聞こえて気になって寝づらい時などに寝落ちまで使用するのがメインの用法となるだろう。

売りであるはずのEEG脳波センサーに関しては今後アップデートされていかないとなんとも言えず。深い/浅い睡眠の測定や、スマートアラームに関しては加速度計しか搭載されていないPebbleですらできたのに(精度に関してはなんとも言えないが)、と思うと今後もきちんと頑張ってほしいところ。

購入したい方はKOKOONの公式ウェブサイトから可能。(一応書いておくと技適マークは付いていないので日本でのBluetooth使用はグレーかもしれない。筆者はフィンランド在住なので技適は関係ない。)

一番残念な部分はやはりKickstarterキャンペーンの出資者として、これが届くまでにこれだけの時間がかかってしまったと言うこと。特に寝ながらのノイズキャンセリング機能に関しては2016年の自分が最も必要としていたものであり、当時これが手に入らなかったことは悔やまれる。

まあこれだけ長く時間がかかったおかげで、ほかに気になるヘッドフォンが出てきても「いやいやこれからKOKOONが届くはずなんだし、まずはKOKOONが届いてから気にし始めよう」と考えることでヘッドフォンに対する物欲を抑えることができたと言う点もあるが(Human Headphonesへの出資を除けば…あれは2016年出資で2019年9月に届いたモノだった)。そしてこれだけ時間をかけても集めた資金を浪費して破綻しなかったこと、あきらめずに出資者に製品を届けたことは凄いことである。

正直に言えば、今後もKOKOONがアップデートされていくかどうかは少々心配ではある。これはまず先に出資者向けに発送をすべきところを、それが終わる前に新たな予約を受け付けると共にSNS広告を出し始めたことから推測される、現時点で資金不足なのではと言う心配だ。

そうはいっても、このKOKOONは快適な睡眠を可能にするヘッドフォンというユニークな製品であるのは事実なので、今後のプロモーション次第で流行ることも十分あり得ると考えられる。今後頑張って人々の睡眠をもっと快適にしていってもらいたい。


Source: KOKOON

(abcxyz)

怪しい時計、買ってみた。その一「FNGEEN」1000円で複雑機構満載のアナログ腕時計が手に入るはずが・・・無い!

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この世の中にあまたにあふれる怪しい時計。怪しげなトレンチコートに身を包んだいかにもな人が街角で販売するフェイクウォッチ・・・なんてのはある程度国際的かつ物価の安めの観光都市にでも行かないともうこのご時世に見ないものなのかもしれない。

だが残念がる必要は無い。そんな雰囲気をお求めなら、インターネットの大海原にならば無数に存在するのだ。

そんな訳で本日ご紹介するのは「FNGEEN」という怪しいブランドが、8.59ドルという1000円を切る価格で販売するもの。複雑機構も備えているように見えるがいかんせん安い!怪しい!



怪しいFNGEEN



Image courtesy of eBay

ある日eBayをうろうろしていたら見かけたのはこちらの製品ページ。画像の時計がトップ画像/今回購入した腕時計とは異なるが、この製品ページから購入した。

ここではFNGEENブランドのクオーツ腕時計が販売されているのだが、この一つのページで4種類の文字盤デザインにそれぞれ多数のカラバリが組み合わさって大変な数の製品から選ばせられるというアンチ・ユーザーフレンドリーな仕様。


今回購入したのは商品番号47番(!)のこちらだ。いくらなんでも一つのページに商品詰め込みすぎだろ・・・。

小綺麗なレンダリング画像。ぱっと見は(この「ぱっと見」というのが重要)何やら複雑な機能が付いているようである。3時方向にはサン&ムーン、6時には謎装飾、9時には12まで記されているスモールダイヤル・・・。

ムーブメントはクオーツではあるものの、文字盤の立体加工もきれいだし、これに二色仕上げのメタルブレスでたったの8.99ドル、しかも送料無料。できすぎた話に思えて仕方が無い。


開封



パッケージはこんな、まあこの価格に何を期待するものでもないし、特に素晴らしい化粧箱を約束していたわけでもないし。


壊れていないので問題ない。


ブレスレット、バックル、裏蓋にはフィルムが貼られ、保護されている。風防面には何も無いけど。


ケース



40mm幅、13mm厚のステンレススティール製。何の変哲も無いケース。可も無く不可も無く。

色はローズゴールドを選んだ。どの部分もつや出し仕上げ。

風防はeBayの記述によればHardlex(ハードレックス)とのこと。ハードレックスはセイコーの作る風防で、セイコー曰く無機ガラスに「特殊強化加工処理」を施したものだそう。普通のガラスやプラスチックよりは傷が付きにくいらしいが、サファイアグラスほどではないらしい。


裏蓋ははめ込み式。大きく中央部に「5606」と刻印がある。周りには「x」を連ねたような模様と、「STAINLESS STEEL BACK WATER RESISTANT JAPAN MOVT」(ステンレススチール裏蓋、防水、日本ムーブメント)の刻印も。一応製品説明によれば30m防水。


ムーブメントには「SL28」の刻印。調べてみたところ、中国のShenzhen Ace Tech Co., Ltd.製のよう。水晶の代わりにC-MOS発振回路を使用したクオーツムーブメントだ。0石。中央に見える白いギアは秒針の動きに伴い動く。

つまり「JAPAN MOVT」は嘘だという訳か。まあ製品詳細にはクオーツ製のムーブメントであるという以外、製造国に関する記述はなかったけれど。


裏蓋には謎の「5」(?)のサイン。一応ガスケットは付いている。


文字盤



さて肝心の文字盤。文字盤は全体的にパール色のようなほのかな輝きを帯びた白に近い色。

各時にケースと同色の光沢と立体感のあるアプライドインデックス。4時と8時はローマ数字。インデックス部はその内側、外側とは一段高くなっており、芸が細かい。各時インデックスの外側は分刻みのプリント。12時下にはロゴマークと「FNGEEN」の社名(ここは立体的なカラープリントかもしれない)。


ロゴ+社名位置からは、放射線状に線が延び、文字盤に立体的な陰影を与え、神々しさを演出。

ここまでは全体的に良い感じ、払った値段より大分素敵な腕時計に思えてき・・・そうは問屋が卸さなかった!


6時位置のオープンハートの機械式時計の悪いパロディーみたいなのはこの際スルーしよう。


そして9時あたりにある分刻み、二つ飛ばしで12までの数字がプリントされたスモールダイヤル・・・こちらにはきちんと針が付いている・・・が、フェイクだ。針は針として別パーツで貼り付けてあるのだが、10時少し過ぎあたりで永遠に時を止めている。まさかこの価格でセカンドタイムゾーン表示なんて期待してはいなかったが、もしかしたら・・・と思っていただけに残念感はある。


3時位置のサン&ムーンダイヤル・・・ここまでの流れで皆様がご期待した通り、これもフェイク。何を隠そうただのプリントである。いつ何時であろうが三日月が登り切らず、太陽フレアも隠れきれないもどかしい夕暮れ時のまま。一応文字盤自体もこのダイヤルの形状と三日月の形に立体的になっているところは手が込んでいる。だがプリントの質、色合いは芳しくなく、まじまじと見ずともこの部分はなんだか怪しいと言うことが感じ取れる。

「GW」は、このサン&ムーンダイヤルのように永遠にゴールデンウィークが続いてほしいという五月病の怨念が赤くにじみ出たものか。「23 JEWELS」はもちろん嘘というか、度の過ぎるジョークというか・・・


一応4時あたりにはきちんと動く日付窓が存在する。ここまでこうして見てくると、この機能がきちんと機能し存在することがまるで嘘のようだが、ちゃんとこれは機能する。日付ディスクが文字盤比で小さいので読み取りづらいが。一応日付表示は複雑機構(complication)のうちに入るので、一つは複雑機構があったわけだ。

ついでに言うと、驚くなかれ、時計としてもきちんと機能する(!)。少なくとも時刻合わせをして一日経過したがずれてはいない。ただし秒針の進む音は大きめ。


あと、時分針は山折れになっており、意外にも蓄光する。(実際には蓄光は製品ページでも宣伝されていた機能ではあるけど)


そう大した蓄光では無いが。これだけ期待が裏切られてくるとうれしさを感じてきちゃう。


ストラップ



3コマのステンレススティール製メタルブレス。


確かに安っぽい見た目だし、切り出しではなく金属板を曲げて作った安い仕上げで、当然ながらエンドリンクも薄ペラ。


だが、塗り分けもはみ出たりはしていないし、両端はつや出し仕上げ、中心はヘアライン仕上げでその両脇のペイントは艶あり。


プッシュ式の方開き三つ折れ式で、8コマ取り外し可能だし、マイクロアドジャストも3設定変えられる。


バックルの仕上げ。

もっと値が張る(けど「安価」の部類に入る)腕時計でも十分あり得る品質だ・・・と言うコメントに皮肉を含んでいないわけでもないが、例えば日本のAmazonでコマが切り出しのブレスを買おうとすると1000円からするということも頭に留めておきたい。




まとめ



1000円のアナログ時計に複数の複雑機構がついたもの、なんていい話、あるわけ無かった。もしも1000円の時計で複数の複雑機構(月日曜日表示、クロノグラフ、アラーム)が付いたものが欲しければ、チプカシでも買うしかないわけだ。



まあFNGEENの時計は確かに怪しい価格で、実際の製品も怪しいものではあった。しかし個人的には同時に興味深さも感じた。

これを購入したeBayではなく、Aliexpressに関する話ではあるけど、そして信憑性の程は調べてないのだが、中国政府がePacket(国際eパケット)の送料を負担しているというコメントがRedditに載っていた。そうであれば送料は度外視した価格で販売できるというわけ。そうであったとしても、この価格でこれを作り、販売し、(多分)利益を出している、というのは驚異でしかない。

確かに「実際には見た目だけの装飾」が機能として存在すると思わせようという商品写真に感じられ、詐欺まがいの面もあるだろう。しかし消費者としては価格からも「そんないい話あるわけない」と怪しむべきだろうし、現物を見ることのできないオンラインでの購入だからこそ商品説明をよく読んでから購入すべきだろう。この点、商品説明には嘘の記述はない。

嘘の記述があるのは、ケース裏の「JAPAN MOVT」と文字盤の「23 JEWELS」の部分だ(冗談と見なすこともできるが、そうできるのはこの記述が実際には間違っていると知ってからだろう)。裏蓋写真は商品ページに載っていなかったので「JAPAN MOVT」に関してはこれ以上言及しないことにするが、「23 JEWELS」に関しては商品写真にもバッチリ写っている。これに関しては商品説明の0 JEWELと矛盾する記述となる。時計に関する知識をお持ちの方であれば「安価なクオーツで0石と23石の食い違う記述・・・これは0石と考えるのが妥当だろう」と考えることができるだろうが、果たしてそうでなければどうだろうか?


そうはいっても、万一だまされた感じたとして、この腕時計が1万円、2万円などで販売されていたら大いに問題だろうが、この価格でだからこそ許せるものでもある。と考えるのも結局のところ、1000円程度の損で生活が大きく左右されるほどではないからだ。このような安価な腕時計が消費されるのは多くの場合、豊かではない国でのこと(事実eBayやAliexpressで安価な時計のレビューは東欧や南米からが多い)。個人的に許せない点があるとすれば、金銭的に余裕がない中で素敵な製品が買えると思い込み、ようやく捻出したお金で残念な思いをする人がでる場合だ。

その悲しい可能性を除けば、個人的にはこの時計には価格相応、もしくはそれ以上の価値があるとも思う。そう思うことができない方も少なからずおられることは想像に難くないが、それはこの製品に対して価格にそぐわない期待を持たされたことに起因する、期待のコストパフォーマンスと現実のコストパフォーマンスとの間の落差から来るものではないだろうか。

筆者がこのブランドの肩を持っていると思われると思われるかもしれないが、そういうつもりはないし、アフィリエイトリンクこそ一応張っているものの、このブランドからお金をもらって書いているわけでもない。

一応日本のAmazonでも販売されているようなのでリンクを張っておくが(文字盤カラー違い)、なぜだかeBay価格とは4倍ほど価格差があるので、もしも購入してみようじゃ無いかという遊び心ある方がおられるのであれば、eBayで注文した方がいいのではとも思う。




このように価格差約40倍の腕時計に無理矢理ブレスをつけて遊んでみたり・・・(エンドリンクは綺麗にはまらないが)

冗談のわかる時計好きな人にジョークギフトとして送る、子供だましに甥っ子や姪っ子にプレゼントする(これを着用していたことで学校でいじめられたりしても困るが・・・)、クオーツウォッチを分解して楽しむ、時分秒針やケース、竜頭などのパーツを修理その他の用途用に活用するため(実は3針セットはeBayで安くなく、針だけで10ドル以上するものがざらにある)、高級時計イベントにこれをつけていってヒンシュクを買ってほくそ笑む、などいろいろな楽しみ方(?)があるはずだ。

なにはともあれもしこれを購入するようなことがあるのであれば、これが何であるかを完全に理解して購入すべきだろう。


(abcxyz)

Etsyで買ってみた:ジェントルマンの小物入れ、ドップキット(Dopp Kit)を買ってみた

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バックパックの中のごちゃごちゃ解消のため、お洒落なレザー製のドップキットをEtsyで購入した。今回はドップキットとは何か、その説明から、肝心の注文したドップキットのレビューまでお届けしよう。



ドップキット / Dopp Kit


ドップキットなんてあまり聞き馴染みのない名前かもしれないが、なんのことはない男性用のトイレタリーバッグのことだ。「トイレタリーバッグ」(toiletry bag)の日本語訳を探すと「化粧品袋」や「洗面道具袋」と出てくる。つまり顔を洗ったり髭を剃ったり化粧をしたり髪を整えたり…と言ったような身だしなみ用品を入れる袋なのだ。

ドップキットの名前の由来を調べると、Jackson Wayneというレザー用品を販売するサイトに行き着いた。それによれば20年代アメリカで革製品を作っていたCharles Doppelt氏が自らの名前からつけたそうだ。元々は「toilet bag」という名前でこの製品を呼んでいたものの、「トイレ」という言葉を含む名称は清潔なイメージを持たせたい製品に相応しくないとのことで改名したよう。英語版Wikipediaにも書かれているが、トイレタリーバッグ自体は第一次世界大戦時には米軍で支給されていたようだが、第二次大戦の際にはDoppelt氏の会社が米軍と契約を結び、氏の作る製品が支給されていたとのこと。

今では特に「Dopp Kit」で検索すると、お洒落なジェントルマンの身だしなみ用品バッグといった雰囲気で売り出されているものが多くみつかる。このほか、「ガジェット用ドップキット」というジャンルで売り出される製品も時折見られる。



一般的にトイレタリーバッグと言えばただのポーチ状のものや、巾着状のもの、フックが付いていてロール式のもの、など様々なものがある。(そういえば飛行機国際便でビジネスクラスに乗った知り合いが、フック付きのトイレタリーバッグをもらって帰ってたな・・・)



Bellroyもよりモダンで独特のデザインのドップキットを販売している。



だが「ドップキット」と言ったときにイメージされるのは、こういった直方体のバッグだろう。


これは私の祖父の使っていたパナソニックのカメラ/ビデオカメラ用のソフトケース、VW-SCGS5(生産終了品)。これにもドップキット風の趣があるし、まさに前述の「ガジェット・ドップキット」そのものとも言えるだろう。




Etsyで探そう!


私はバックパック内のものがごちゃごちゃになって探しにくくなるのが嫌なので、このようなドップキットがあれば細々としたものを分けて入れることが出来て便利だなと思っていた。先ほどのリンクはカンバス地のものだが、レザーグッズが好きなこともあるのでレザー製のドップキットが欲しい!

しかしAmazonではなかなか思ったものが出てこないし、こういうときにはeBayも少し違うかな・・・そんなわけで今回は世界中の職人のハンドメイド製品が購入できるEtsyから探すことにした。




Etsyでは以前も時計関係のごちゃごちゃしたものをまとめるためのEDCオーガナイザーを購入している。



色々あるけど・・・これに決めた!



Image courtesy of Etsy

JackLeatherStudioのドップキットだ。日本までの発送無料、お手頃価格、そして何よりもレザーの色合いが良い感じ!

カラーバリエーション3種、サイズ3種に、イニシャルやロゴ/画像などをつけてくれるサービスまである。今回は「Vintage Brown」色の「Small」サイズ、イニシャルとかは無しで定価3182円(通貨レートで多少上下するかもしれない)!

商品説明では、「100%ハンドメイド」、フルグレイン・プレミアム級・レザー、コットン布で総裏地、YKK真鍮ファスナー、などと書かれている。


開封



梱包用の袋を開けると、レザーに傷が付かないように不織布ポーチに入ったドップキットが。


ポーチの紐の状態は良くないが、別にこの不織布ポーチがメインの品ではないし、そもそも使い捨て的な質のものだから問題無い。


そして出てきたドップキット!


ドップキット外側



思い通りの色、質感!良い!


底部には底鋲が!


このお陰でレザーの底面が接地しないので、濡れた洗面台の上に置くときにも安心感があるかも。


片面にはファスナー。ファスナーの取っ手も本体と同様のレザーで、金具部分もファスナーや底鋲と同じ真鍮色のものとなっており、統一感がある。


ファスナーの中はコットン布。このポケットは外には突き出ることができないので、内側が満杯であればカード類しか入らないだろう。


ファスナーのある側の反対の面は何も付いておらず、美しいレザーの質感をフルに楽しめる。


細い面は、片面にループ状のベロ。


もう片面には手で持ちやすいサイズのループ。


こうやって持って出かけることもできるし、バックパックの中に入れたのをこれでガバッと引っ張り出したりとかもできるわけだ。


このループ部は(先ほどの小さいベロとは異なり)内側の面にもレザーの外面が来るように貼り合わせてある豪華な作り。

レザーで覆われた外面は、レザーオイルが手に少しつく感じ。なので購入そうそうレザーオイルをつける必要は無いだろう。しかしコットン製の内部はドライで、内部に入れたものに油が付いたりはしない。


YKK製のファスナーもスムーズ。


ドップキット内側


ドップキット内側は全面がコットン布に覆われている。特にクッションなどは無いが、分厚いレザーの内側にコットン布という組み合わせである程度の内部防御性能を持ちそうだ。


外側にファスナーが着いている側の内側(変な言い方だが)を見ると、ここにもファスナーが付いている。表側のファスナーポケットとは別々のポケットになっている。両ポケットの内側は生地としても別々(1枚の生地の表裏では無く、2枚の生地が用いられている)。


その対面側は、ベロ無しのポケットがある。

底は、コットンに覆われているため触らないと判らないのだが、外面のレザーと内面のコットン布の間に厚紙が接着されているようだ。これもありそこが弛まず、底鋲のみが床に付くようになるわけだ。


まとめ



品質にも価格にも満足!色々中に収納して、バックパックの中にもこのまま放り込めるし。使うときにはこれごと持ち手を引っ張って取り出せば良いし。他のブラウン系のレザー製や木製の品々にも合いそうだ。


そしてもうひとつ重要なのは磁石が使われていないこと!これで腕時計関連のものなのど安心して入れられる。現在は上の写真のように前述のEtsyで購入した時計関係のごちゃごちゃをまとめているEDCオーガナイザーやVARIOのストラップケース、腕時計関連のツールを入れている。

今回レビューしているドップキットを制作するJackLeatherStudioは他にもレザー製のフォルダや財布なども作っている。注文を受けてから製造となるとのことで、製造に掛かる日数は3~5日と書かれている。発送は通常発送(送料無料のやつ)だと20~30日、エコノミー発送だと7~10日、ファースト発送だと3~5日だとのこと。私は急ぎでは無かったので通常発送で10月末に頼んだが、間にフィンランドの郵便局がストライキをやっていたので到着が1ヶ月以上掛かってしまった。本来なら11月中旬には届いていたはずだ。


Image courtesy of Etsy

他にもEtsyには様々な形、色、スタイル、価格のドップキットが多数あるので、気になる方は自分の満足のいくものを探してみると良いだろう。


Source: Jackson Wayne, 英語版Wikipedia

(abcxyz)

Androidスマホに物理ボタンを取り戻せ!6年もののDimple.IOで!

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今回紹介するDIMPLE.IOは世に出てからかれこれ6年近く経とうとしている。当時と比較して、スマホについている物理ボタンは減っても増えはしないことに皆様もお気づきのことだろう。そしてそれ以前のスマホには物理ボタンがもっとあったと言うことも人によっては覚えているだろう。

かく言う私は、物理ボタンが好きなんです。画面を見ること無く、触覚で押せて、それで操作が実行されるのが。だからQWERTY物理キーボード付きのスマホ(や変ガジェット)ばかり買ってきたという歴史があるわけなのだ。だって手元を見ること無く色々できるのだもの。文字のキー入力だけに限らず、物理ボタンがあればあるほど、それらを活用して、手元を見ないで様々な操作が可能になるのだ。



製品レビューだけ読みたい方は読み飛ばす項目

視覚以外の感覚を




現在メインで使っているスマホがHuawei P20 Proである理由は、冬に大変薄暗いフィンランドである程度の写真を撮ることのできるスマホとして考えた時に、それまでメインであったBlackberry KeyOne(QWERTY物理キーボード付きのAndroidスマホ)が事足りなくなってきたことと、KeyOneのスピードに不満を持ってきた事だった。だがもし同じカメラ、同じスピードでQWERTY物理キーボード付きスマホと、物理キーは無いが画面がより大きいスマホを選ぶ状況にあれば、やはりQWERTYを選ぶだろう。



現代は視覚の時代と言っても良い。視覚以外の感覚はある意味おろそかにされてきているのは私は非常にもったいなく感じる。一方私が数年前から様々なメディアでちょこちょこ言い続けているように、変化の兆しも見えている。それは例えばAmazon EchoだったりGoogle Homeなどといった音声コマンド型のディスプレイを持たないスマートスピーカーに見られたり、点字スマートウォッチDot Watchだったり、無駄に存在するヘッドホンジャックを活用してボタンとして使うPressyなんてのもあった(今ではヘッドホンジャックが無駄に存在しなくなってしまったため使えないのが残念だ)。それでもまだこれらのデバイスは先駆者的な、時代の先を生きすぎている感じは否めない。

物理ボタンで視覚の無駄遣いを減らしたい


話がずれていくので元に戻すと、スマホに物理ボタンが欲しいのだ。画面を見て、何がどこにあるか識別して、それを間違いなくタップするために目と手を常に連動させていなくてはいけない。その最悪の例が歩きスマホや運転しながらのスマホと言えるかもしれない。

友達としゃべりながら歩くことはできる。スマホで電話したり、たぶんAmazon Echoに話しかけながら車を運転することもできる。オーディオブックを聞きながら自転車に乗ることもできる。遮音性の高いヘッドホンをつけながら、というのであればまた話が異なるが、これらの行為が禁止されずに、歩きスマホやスマホ運転が禁止されるのは、移動という行為に視覚の方が重要だからである。

そしてInstagramの写真を眺めたり、ゲームをしたり動画を観たりといった場合を除けば、大概のことにスクリーンは不要のはずだ。ツイート、ウェブサーフィン、メッセージのやりとり、これらすべてにいちいち画面を見なければいけないのは視覚という感覚の無駄遣いに思える。それでも読み上げや音声入力が主流にならないのは、視覚を使用した入出力の方がプライバシー性が高いからというのも一つの理由であろう。もうひとつ、日本語での音声入力に関しては音声メモ/文字起こしガジェットSenstoneのレビューでも書いたが、音声入力にはまだまだ技術が追いついていないという点もある。

必要なのは物理ボタン・・・


このような状況がある中で、シンプルに何かの機能を持つ(電源ボタン以外の)物理ボタンが一つでもあれば、一つでもボタンが多ければ、それはボタンの数だけ画面を見ないで普段何度も行う無駄に視覚を使う動作を省く可能性が増えると言うこと。例えばAndroidだと「Button Mapper」というアプリでボリュームボタンをリマップして他の機能を持たせることができる。(例えば私はButton Mapperで、「ボリュームアップ」ボタン2度押しでホーム画面、「ボリュームダウン」2度押しで前のアプリに切り替え、を設定している)

だが物理ボタンが無ければ・・・つければいい!


DIMPLE.IO




(ブラウザで音声読み上げを使わない方は)長い前置きで視覚を散々無駄にされたことかと思うが、ようやく本題に入ろう。

DIMPLE.IO。これは2014年くらいから存在するガジェットで、NFCを利用した物理ボタンをスマホなりタブレットなりにひっつけて使うもの。当初はIndiegogoでキャンペーンしており、7万9000ユーロ(960万円くらい)を集めていた。

現在では公式ウェブサイト「dimple.io」でしか販売していないようだし、「在庫品限り」(WHILE SUPPLIES LAST)と書いてあるので、もしかしたらもう製造もしていないのかもしれない。

なお、AppleデバイスではNFCのデバイス利用がApple Payに限定されているために使用できないとのことだが、Android以外に、サードパーティーアプリを通じてBlackberryとWindows Phone(安らかに眠れ・・・)にも対応と公式FAQには書いてある。

前々から気になっていたのだが、以前は前述のPressyを持っていたので買わなかった。しかし現在メインで使っているHuawei P20 Proにはそもそもヘッドホンジャックが付いていないのでPressyが使えない。6年も前のガジェットを今更買って、使えなかったらやだな・・・なんて思いながら注文してみた。


果たして現行スマホで使えるか?



結論から言うとバッチリ使える。


パッケージはこんな感じ。


本体はこんなの。

表面にはざらざらしたテクスチャに覆われ、中心部は艶のあるテクスチャで突起している。見ずに指先で触ってもちゃんとどこがボタンの中心か判る。


DIMPLE.IOの裏には3Mのテープが付いていて、これを貼り付けて使う。貼り付ける前に、必ずどの位置でボタンが認識されるのか確認しないといけない。

というのもNFCを使うという特性上、スマホのNFCアンテナの近くに貼り付けないとダメなのだ。公式サイトでは、NFCアンテナがカメラリング周辺に存在する「HTC One, Nexus 6P, LG G5, OnePlus 3」などの機種では「カメラを犠牲にしない限りは」使えないとのこと。


NFCの認識位置は機種によっては結構シビアかもしれない。例えばHuawei P20 Proではここだと認識しないが・・・


ここなら全てのボタンが認識される。


結局、全てのボタンが機能することを確認した後にこのように貼り付けた。なおボタンは防水なので水に濡らしても安心だし、スマホ自体が防水なら一緒に水中にでもついて行ける・・・はず。

なお、写真でもお判りのように、スマホ付属のクリア・ソフトケースの上から試している。ケース越しに機能するというのは頼もしい。


貼り付け面にはロゴが!

ボタンは「ペコッ」としたクリック感があり、押す際には多少音がする。


初めて使用する際には、スマホでNFCをオンにして、DIMPLE.IOのボタンのどれかを長押し。するとGoogle PlayでのDIMPLE.IOアプリへのリンクが開く。アプリをインストールするとボタンに機能割り当てが可能となる。


機能割り当て/割り当てた機能の編集は、アプリで割り当てたいボタンを押すことで可能。


するとこのような画面となる。一つのボタンに複数の機能を割り当てていくことができ、複数割り当てると「メモリーXX%」の数値が増えていく。

割り当てはリストから選ぶようになっており(上のスクリーンショット。なお最初気付かなかったが、これよりも下方向にも項目がある)、アプリの起動、URLを開く、WiFi/Bluetoothトグル、特定の番号に電話、写真撮影、もしくは別アプリTaskerをインストールすればより複雑なことをボタン一つで可能にできる。

設定をした後は「Save button」を押して、もう一度そのボタンを押さなくてはいけない。


なお機能保存の際にエラーが出ることも頻繁にあったが、一度登録してしまってからは(カメラ画面や画面オフ状態など特定の状況下で無い限りは)確実にボタンを認識してくれるようになった。

設定は、一番上から

1.「写真撮影+カメラアプリ起動」:Huawei P20 Proでは、画面オフ状態であればボリュームダウンボタン2度押しで写真の撮影を行うことができる。その際は撮影した写真のプレビュー画像と共に「0.5秒」などと撮影までに要した時間も表示された後に画面オフ状態に戻る。これはこれで便利なのだが、画面がオンの状態にはそうならないことと、撮影して終りじゃなくて、撮影後にもっと撮影したいことが多々あるのでこのように設定。

2.「Senstone」:Senstoneデバイスが手元に無くても、Senstoneアプリを起動してアプリ内ボタンを押せば録音ができる。もちろんデバイスがあれば一連の動作がボタン一つで可能だが・・・。
or
「Whim」:フィンランド、ヘルシンキの公共交通機関や貸し自転車(夏のみ)、タクシー利用のためのアプリ。日本からわざわざこのアプリが使用される様子を視察に来る人もいるくらいなので日本でも有名なのかもしれない。私は公共交通機関は定期を使っていることと、そんなにチケット確認をしに来る頻度が多くないのでわざわざアプリを開くことはないが、もし確認に来られたら即座にチケット画面見せたいのでこれを割り当てるかも・・・。

3.「Photos」:GoogleのPhotosアプリ。撮影した写真はGoogleのアカウントにこのアプリを通じて自動でアップロードされるようにしてあるはずなのだが、一度アプリを開いてやらないとアップロードされない・・・なので撮影後はこれを開く。(なお、カメラアプリ画面からはDIMPLE.IOボタンが使えないので一旦他の画面に移動しないといけない。)

4.「時計」:標準の時計アプリ。腕時計関連記事を書くときに正確な時間を確認したり、タイマーを設定したり、アラームを設定したりするときに一発でアプリに行けて便利。


まとめ



そんなにこだわった使い方でも、超便利な使い方をしているわけでも無いが、それでも物理ボタンがあるとないとでは大違い。まだまだ便利な使い方を見つけることもできるはずだろう。

手元を見ずとも、そしてわざわざホーム画面をスクロールしたり、アプリ一覧を目視したりせずとも一発でアプリを開くことができるのはとても便利。それに、その分ホーム画面に表示するアイコンを減らすこともできる。

買って良かった!と思うと共に、DIMPLE.IOの在庫がなくなったら他にこんなのつくってるところあるだろうか・・・などと少し心配にもなった。そうなる頃合いには、より視覚以外の感覚を効率的に使用できるデバイスが一般化されることを願いたい。

(abcxyz)

セイコー・アルピニストSARB017に似合うストラップを探す旅へ・・・

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美くもお手頃価格で持つものを幸せにしてくれる腕時計、セイコー・アルピニストSARB017(個人の感想です)。しかし、この緑のタイムピースを手に入れた瞬間から、あなたは旅へと誘われると言っても過言では無い。それは、アルピニストにお似合いのストラップ、そしてブレスレットを捜す旅だ。(ブレスレットの旅はまた別の機会に!)


まだセイコー・アルピニストをお持ちで無い方へ




Amazonでは来年1月発売の次世代アルピニストSBDC091(左)、SBDC089(中)、SBDC087(右)がもう予約可能になっているが、価格は8万円台。更には「最もアルピニストらしい美しさ」を持つ緑文字盤モデルは予約も終了してしまった。



しかし悲しむことなかれ、昨年製造終了となったはずのSARB017(上リンク)は多少値上がりしてきているものの、それでも次世代アルピニスト予約価格と比べればまだ半額で販売されている。その時計部の美しさや次期モデルの話を詳しく紹介した先日のレビュー記事もお読み戴ければ嬉しい。

しかし、SARB017には欠点が一つある。付属のレザーストラップがいかんのですよ。そんなわけでSARB017にピッタリのストラップやブレスレットを捜す旅が始まった!


アルピニストのストラップ幅は20mm



こちらがセイコー・アルピニストSARB017に最初から付いているストラップ。ストラップ幅は20mmなので幅が「20mm」と記してあるストラップを購入すれば取り付けることが可能だ。今回の記事ではSARB017用に購入した一部のVARIOのストラップを除けばすでに手持ちのストラップや腕時計を取り付けてみている。なのでもし既に複数の腕時計をお持ちの方は、ストラップ幅がアルピニストに合うかどうか試してみても良いだろう。(一応次世代アルピニストも20mmとのことなので、20mmストラップを買っておけばどちらにも流用できるはずだ。)


なお、セイコー・アルピニストに最初から付いているストラップのスプリングバー(時計部にストラップを取り付けるためのバネ部品)は20mmのものだが、キッチリはまっていて、工具を使っても外すのが難しかった。なのでそれ以降レザーストラップにせよメタルブレスレットにせよNATOにせよ、手持ちの18mmや19mmという少々小さめのスプリングバーを入れて使っている。



(こういうスプリングバーだけ色々入ったセットを持っているのだ。ヴィンテージ腕時計を買うとスプリングバーが錆びていて折らないと外せないことなどがあるので、沢山時計を持っているひとには何かと便利)

小さめなスプリングバーを使うと、ラグの穴に入る部分の耐久性が弱くなるのではないかと少し心配もあるが、しょっちゅう付け替えて色々試したいという時にはこのほうが付け外ししやすいだろう。

また、頻繁にストラップを付け替えていろいろな表情を楽しみたいという方は、ストラップ購入時に「クイックリリース式スプリングバー」の付いたストラップを買うと、付け替えの際に工具が入らなくて便利だ。



そうは言ってもアルピニストに最初から付いているストラップを外すには工具があったほうが良いだろう。その場合には、上のようなストラップ付け替えツールの付属するストラップを購入するのも良いし、時計いじりにも少し興味があるのであれば下のような工具一式買いそろえてみても良いかもしれない。



また、レザーストラップを使うという方は、通常のバックルピンをストラップ穴に差し込む方式から、Dバックルへと付け替えることでより長くストラップを使うことができる。また、毎回ストラップ穴を探す手間も省けるし、脱着時に時計を落としにくくなるという利点もある。




ストラップの旅


と言うことで柄にも無く旅をテーマに、ストラップの製造国・ブランドの国別にストラップを紹介していこう。これらのストラップのほとんどは腕時計ブランドのものであるが、大抵の腕時計ブランドはストラップのみの販売も行っている。

別にどんなのを替えとか言うのでは無く、どのようなテクスチャーや色合いのものかを沢山紹介するので、「ああ、こういう色合い、色の組み合わせがアルピニストにピッタリだ」というように、皆様がお気に入りのスタイルを見つける助けになればと思う。

イタリア・シンガポール - VARIO



シンガポールの時計ストラップブランド、VARIOのイタリア製ストラップ。こちらは青色のもので、表面のシボというテクスチャが独特(これはレザーを収縮することで出てくるもので、このような仕上げのものをシュリンクレザーとも呼ぶ)。クイックリリース式スプリングバー。


Hodinkee限定版の青ダイヤルだったらもっと合いそう。


同じくVARIOのイタリア製レザー、ブラウン色のもの。


これもやはりシュリンクレザーとなっている。(なおVARIO社のストラップはこちらで、更に同社の作る腕時計はこちらでレビューしている)


ドイツ・オランダ - Belcori



こちらはオランダのファッションブランド、Belcoriの明るめの茶色レザーストラップをつけたところ。表面テクスチャーは細かいヌバック、色はオレンジが強いかな。


レザーストラップを作るのはドイツの家族経営の会社Di-Modell。レザー自体はドイツのEcopellというなめし会社が環境に優しい植物なめししたもの。表側からは見えないが、特徴的な「Di-Modellループ・アンカー」機構を持つ。詳しい説明は当ブログのこちらの記事でどうぞ。


中国 - Shenhua



これは中国のちょっと怪しめなブランドShenhuaというところの腕時計に付いていたレザーストラップ。腕時計自体は今度レビュー予定。


クロコダイルの竹斑が型押しされているため、アルピニストに付いてくるストラップに似ている。アルピニスト付属のものは少し気持ち悪いブラウン色だが、こちらはより一般的(?)にブラウンと言われて想像するような赤みがかった色。



本物のクロコダイルやアリゲーターのレザーストラップは付け心地が良いが(例えば以前レビューしたVan Braugeに付いてくるものはアリゲーターストラップ)、いかんせん値段が高く、上のリンクのように数万円する。Van Braugeも5万1000円ほどで20mmのアリゲーターストラップを作っているので(しかも付け根は特注の湾曲型でなおかつクイックリリース式のもの、アルピニストと合いそうなグリーンのものもある)お金に余裕のある方はそういうのも良いかもしれない。


フィンランド - AARNI



フィンランドのAARNIによる、焦げ茶色のヘラジカ革のストラップ。AARNIの使用するヘラジカ革は、フィンランド北部で頭数制限のために狩られたヘラジカから取られたものを使用しているため、レザー用に育てられた動物の皮と違いエシカルであるあることもポイントだ。


(この写真ではほぼ黒に見えるかもしれないが、濃いチョコレート色のような焦げ茶だ。)ヘラジカ革は、耐久性が高く、柔らかい。また、様々な気候状態や湿度に対する耐性も他のレザーよりも高いため、ヨットの舵輪などに用いられるという。


香港 - UNDONE



香港UNDONE(日本でもUNDONEジャパンとして製品展開している)のレーシングスタイルのストラップ。


ヌバック地のレザーにパンチングが施されており、通気性も良い。


香港 - EONIQ



黒いゴツめのバックル付き、香港EONIQ社のストラップ。こちらもヌバックだが先のものよりも起毛する感じ。


同じ明るい茶色系レザーでもテクスチャーや仕上げが違うと雰囲気が変わる。


こちらもEONIQ社のものだが、表面は艶があり、濃い赤茶色。



スコットランド・シンガポール - VARIO



VARIOのハリス・ツイードでできたストラップ。水をはじくと共に耐久性に優れるツイード素材の中でも、最高級とされるのがこのハリス・ツイード。

スコットランドのアウター・ヘブリディーズ諸島で作られ、Harris Tweed Authorityにより認められたもののみがその名を冠すことが許されるものだ。こちらもVARIOの腕時計レビュー記事で詳しく紹介している。


スペイン・エストニア



こちらはエストニアの腕時計ブランドAEGAONの白色レザーストラップ。


ストラップはスペイン産で、汚れが目立ちやすい白色ながらも、油などの汚れがなるべく付きにくいものになっているとのこと。



NATOストラップ



インスタグラムなどでセイコー・アルピニストの画像を探すとレザーストラップとメタルブレスレットの他によく見かけるのがNATOスタイルのストラップだ。

NATOスタイルのものは、ストラップがとても長くなっている。ジャケットの上などからも腕時計を着用できるようになっているのが特徴だが、通常使用時には長く余ることがある。そんなときにストラップループに普通に折り返して入れても、何かの拍子にベロンと余ったストラップがでてきてしまうこともある。


そうならないようにするためには、ストラップループ部分で折り返すときに外向きでは無く、写真のように内向きに折り返すと(多少入れるときに手間は掛かるものの)外れづらくなるので便利だ。


シンガポール - BOLDR




カーキ色のBOLDRのNATO。


シンガポール - VARIO



VARIOのプリントNATO、ゴールデン・サーペント柄。


柄が日本でいうところの青海波であるのと、金色の波が似合う。


こちらも同じくVARIOから、ボンド柄のNATO。


このボンド柄のものはNATOスタイルであるが、これはパススルー式である(シングルパス式とも。通常のNATOスタイルは腕時計の裏に生地が二枚重なるのだが、これは重ならない)ため通常のNATOよりも薄い。


ナイロンの7倍の強度を持つというコーデュラ素材を使ったVARIOのパススルー式NATO。


ストラップホール部分は金具で補強されているためかなりしっかりした感じ。



フィンランド - 手作り



こちらはフィンランドの友達が作ってくれたレザーNATO。


レザーを切って、金具を付けて、ストラップホールを開ければいいわけなので、腕に覚えがある人なら簡単に作れるはずだ。








まとめ



なんだかんだでストラップメーカーでもあるVARIOの製品を多く取り上げることになってしまったが、今回挙げてきた中で、現在一番気に入っているのはVARIOのブラウンレザー。


とは言ってもずっとこれだけ付けているというわけでは無く、時折別のストラップへと付け替えながら日々アルピニストを楽しんでいる。それに、VARIOのブラウンストラップも少し赤みが強すぎる気もするのでも、今後もまだ色々とストラップ漁りを続けることだろう。


もう既にアルピニストをお持ちの方も、まだの方も(まだお持ちで無い方はここまでご覧になってやっぱり欲しくなってきたかもしれないので再度Amazonoのリンクを張っておこう)、お気に入りのアルピニスト・スタイルを見つけて、この美しい時計にいろいろなストラップをつけて末永く楽しんで戴ければ幸いである。




(abcxyz)
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