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フランス x バイク x 腕時計。カスタムバイク制作者の作るお洒落な腕時計Carzo & Lieutier「Flatcase」レビュー

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Sponsored by Carzo & Lieutier

Carzo & Lieutierは、モーターサイクルの要素を入れ込んだ腕時計が特徴のフランスのブランドだ。創設者であるPhilippe Carzo氏とGuillaume Lieutier氏は元々カスタムバイクを制作していた。そんな彼らがその経験を活かして造り上げたブランドがCarzo & Lieutierだ。

既に2017年に一度Kickstarterキャンペーンを成功させ、今年3月に再度新たなキャンペーンに挑もうという同社から、既に販売されている「SAINT LUXEUIL QUARTZ | FLATCASE」モデルをレビューさせて戴こう。

六角穴ボルトやサークリップといったバイク由来の形状を取り入れながらも腕時計として美しくまとまったタイムピースとなっている。



開封



普通の郵送用の箱かと思って開けると、中はCarzo & Lieutierのロゴのスタンプがなされており、取説と、梱包用の木くずに包まれた青い腕時計ポーチ。なんだかレトロな雰囲気が溢れ出る。


取説。


青いキャンバス地にレザーのお洒落なポーチだ。


ポーチの中には、左から、クロス、腕時計、保証書と工具、同社のロゴ入りスティッカーが入っている。


クロスは、Carzo & Lieutierの創設者であるPhilippe Carzo氏とGuillaume Lieutier氏のダンディーな姿が表に、裏には取説がプリントされたものとなっている。大抵の時計ブランドがロゴのみ印刷されたつまらないクロスをおまけに入れる中にあって、ここまでブランドをアピールできてなおかつ取扱説明の機能性も併せ持ち、持ち運ぶにもイカしたクロスはなかなか見ない。これは嬉しい。


腕時計の紹介は後に回して、保証書と「工具」。保証書には購入日と時計のモデル、販売元が手書きで記してあり、2年間の国際保証と記されている。工具の方はフランスでは「BTR」とも呼ばれる六角穴付きボルト/キャップボトル用の棒スパナだ。


Carzo & Lieutierのロゴは稲妻にフランス国旗のトリコロール。バイクやヘルメットに張っても良いだろうし、嬉しいおまけだ。


ケース



316Lステンレススチール製のケースは41mm、竜頭部分を含めると42.5mm。ムーブメントは信頼のクオーツ、スイス製Ronda 517だ。ケースの竜頭部分には、穴の開いた特徴的なリューズガードが見られる。


(写真はストラップを外したところ。)このケース形状はサークリップやスナップリング、もしくは止め輪として知られる部品をモチーフにしたもので、「軸用C型止め輪」という形状のものに近いと思われる。(バイクに関して何ら知識が無いながらに解ったふりして説明すると)これはピストンピンの動きを邪魔せずに、なおかつそれが出ていかないようにしたりとかいった役割を果たす重要な部品で、Wonkee Donkee Toolsによれば英語では「Jesus clips」などとも呼ばれるという。その理由は、これが飛んでしまうと大変なことになり「ジーザス!」と声を挙げてしまうことに起因するとか。


image: Public Domain

サークリップ(上画像)を定位置に固定するには、径を広げる、もしくは狭める必要があるのだが、この際にサークリップ開口部に開いた二つの穴にスナップリングプライヤを差し込んで作業する。竜頭をサークリップの開口部に見立て、その両脇のリューズガード部にこの二つの穴が開けられているというわけだ。


リューズガードは竜頭そのものよりも高く突出しており、リューズはねじ込み式。ケースを真横から見ると、リューズガード下部から竜頭が5分の1ほど出ているのがわかる。しかしリューズの側面はツルリとした表面となっているので、指でねじ込みを解放させる事はできない(!)。しかし竜頭の頭頂には六角穴が彫り込まれている…そう、ここで出てくるのが先に紹介した「工具」こと六角棒スパナだ。


付属の2.5mm六角棒スパナを使用することでねじ込まれたネジを解放し、日付時刻を合わせることができるのだ。機械式よりも時間の遅れが少なく、時刻合わせをする手間はかからないクオーツだからこそこれが意味をなすだろう。パーペチュアルカレンダーでないので月によっては日付調整を行わなくてはならないが、その時折の手間にバイクメンテナンスに共通する楽しさを味わえるというわけだ。


ケース裏はスクリューバックとなっているが、通常のスクリューバック用の溝はなく、その代わりにここも大きな六角穴付きとなっている。この形でも通常のスクリューバックオープナーで開けることができるし、実用性を損なうことなくテーマの統一が図られている。


風防はプレキシガラスのドーム型。


このでっぷりと突き出た風防が60年代風のレトロさを出しているのもこのモデルの特徴だ。プレキシガラスは傷が付きやすくはあるものの研磨剤などを用いて研磨すれば傷がとれる。


文字盤



インデックスなど存在せず、割り切った美しさがある。一見真っ暗の文字盤だが、実は文字盤は外側が一段高くなった立体的な形状をしている。ぱっと見ても気付かない要素であるが、文字盤を斜めから見るときにこの高低差が生み出す


金色に輝く時分針はスケルトンとなっている。そして中央には、控えめに、しかし確実にその存在感を表現する秒ディスク。遠目に時計を見ただけでは気付くことのない、しかし一度気付けば忘れられないこの秒ディスクには、小さな赤いドットが秒の動きを示している。同じく金色で縁取られているのは日付窓。


これらの金色より一回り暗く文字盤を飾るのは、六角穴ボルトの穴をかたどったマークと社名、そしてレトロなフォントで書かれたモデル名。二種類の金色を上手く使い分けている。


ストラップ



ストラップは通常の棒ピンで時計のラグに接続された3連ブレスレットで、バックルは三つ折りの片側プッシュボタン式。


構造的には3連ブレスレットであるが、実は真ん中のコマは3ピースからなる。この部分は、中央ピースを挟み込むように艶のある二ピースが接し、これに左右のコマが割りピンにより結合したものとなっている。


割ピンはこのようなブレスレットのバンドピン外しツールを用いることで外し、長さの調整が可能。私はJOBSONというブランドの安価な時計工具セット付属のものを用いて外したが、自信の無い方は時計屋さんに持って行くと良いだろう。


ストラップの色艶はケースととても良くマッチしている。


まとめ



腕時計の構造として違和感のないリューズガードに、バイクの部品として重要な役割を持つサークリップを掛け合わせた上手いデザイン。


インデックスを廃した非常にシンプルな文字盤でありながら、秒ディスクや文字盤の2段構成など、注意しなければ気付かないが、一見シンプルな中に見えるこれらの複雑性は一度気付けば忘れがたい存在感を持つ。


280ユーロ(記事執筆時のレートで約3万5000円)という価格からしても、モーターサイクルと腕時計の両方を趣味に持つ人にプレゼントするにもいいだろうし、純粋に腕時計としてのデザインも素晴らしい出来映えなので個性あるデザインを求めるファッション好きにも気に入ってもらえるだろう。なお、機械式時計の方が好きだという人には(完全に同一デザインのものは無いものの)、同シリーズの機械式モデルも存在するのでそちらを見てみるといいだろう。

Carzo & Lieutierの次回のKickstarterキャンペーンは2019年3月21日に行われる予定となっている。気になる方はCarzo & Lieutier公式サイトで詳細が発表されているのでご確認あれ。


Source: Carzo & Lieutier

(abcxyz)

飽くなき品質への追求…時計を愛する紳士のためのアルチザン腕時計。英Van Braugeオックスフォードコレクションレビュー

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Sponsored by Van Brauge Watch Company

今回レビューするのは、英国のアルチザン腕時計ブランド、Van Brauge Watch Companyから「The Gentleman's Oxford - Tanqueray」。

価格は約38万円。決して安価な時計ではない。しかし、こだわり抜かれた品質と完成度はこの価格に十分見合っているだろう。クラシカルな洗練性の中に、高品質の部材、研ぎ澄まされた精度…。同社の時計をたった一人でデザインし、組み上げ、精度試験まで行う創設者であり時計職人マックス・ヴァン・ブロージュ氏は、時計作りへの熱い情熱と共に一つ一つの時計を造っている。



Van Brauge Watch Company



Image courtesy of Van Brauge Watch Company

Van Brauge Watch Company。そのブランド名をまだ聞いたことがないという人も少なくないだろう。Van Brauge Watch Companyは時計職人マックス・ヴァン・ブロージュ(Max Van Brauge)によって2016年に創設されたばかりのイギリスはロンドンの腕時計会社だ。

このブランドが生まれるきっかけは、1975年、彼が10歳の時に父親から譲り受けた1950年代のスイス製腕時計にまで遡る。彼が受け継いだこの時計のスタイルは、イギリスのジェントルマンの洗練されたスタイルの象徴であった。10歳のマックス少年を魅了した32mm径の自動巻き腕時計は、今の彼の時計作りの中核として、そのデザイン要素が活かされている。Van Braugeのデザインする腕時計は、このクラシカルな洗練性と、現代的なデザイン性の融合なのだ。


Image courtesy of Van Brauge Watch Company

これに感銘を受けた彼はその後、宝石細工を学んだ後、時計師となるべく学び始める。バーミンガムの時計学校(Watchmaking School)、英国時計学研究所(British Horological Institute)、サザビーズと提携するチチェスターのウェスト・ディーン・カレッジ(West Dean College)、更にはサザビーズそのものやクリスティーズなどで時計職人としての腕を磨いた。

こうして時計職人としてプロの道に入ったマックス・ヴァン・ブロージュがまず働き始めたのは歴史あるイギリス、オックスフォードだった。この時の経験が、今回レビューする同社のThe Gentleman's Oxfordコレクションの由来ともなっている。その後彼は時計職人としての腕を買われてドイツやスイスなどでも国際的に働いている。ロレックスやスウォッチ・グループのETAなどの国際的な大企業で働いてきた彼だが、自らの腕時計を作りたいとの願いが募り、とうとう自ら腕時計ブランドを設立するに至ったのだ。

Van Brague Watch Companyの目指すところは、同社日本語版サイトを参考にさせて戴くと、「妥協のない卓越性と本物の美しさを備えるクラシックな腕時計」を造ること。それぞれの時計を自らデザイン、組み立てするのみならず、テストも自らの手で行うヴァン・ブロージュ氏の姿勢からは、その目標がただの言葉以上に重みを持ったものであることがわかるだろう。


The Gentleman's Oxfordコレクション



Image courtesy of Van Brauge Watch Company

「典型的なイギリスのジェントルマン、ローイング、大学」に代表されるとヴァン・ブロージュ氏が語るオックスフォード。彼が初めてプロとして仕事を始めたこの美しい街は、今も絶えず彼が持ち続けるデザインポリシーを思い起こさせるという。

The Gentleman's Oxfordコレクションには、男性向けに8モデル、女性向けに9モデル存在する。男性向けモデル名はジンの名称から取られており、女性向けモデルは著名なバレリーナの名前から取られている。今回レビューするのは、The Gentleman's Oxfordコレクションから、男性用の「Tanqueray」(タンカレー)というモデル。


ジン好きな方ならご存じの通り、タンカレーはイギリスのジンブランドだ。タンカレージンは元々1830年にロンドンのブルームスベリー地区でチャールズ・タンカレー(Charles Tanqueray)により蒸留されたもの。その販売店であるEdward & Charles Tanqueray & Coはロンドンのバインストリートで1838年に創業という、歴史あるジンブランドだ。

早速開封してみよう。


化粧箱開封



ロゴがプリントされた大きな黒い箱。幅31cm、高さ11cm、奥行き22cmほどの大きなこの箱は、その表面にもテクスチャーがあり、存在感満点だ。


箱を開けると出てくるのは、なんとも美しい深いブラウン色の…アタッシュケース!


ハンドメイドのこのアタッシュケースは子牛皮を縫い合わせて作られており、真鍮製の留め具やDカン、カシメが味を出している。アタッシュケース本体からDカンがつなぎ止めるのは、これもまたレザーを縫い合わせ作られた取っ手。


箱の左右にはマグネット付きの留め具があり、これが左右で受け側の留め具に噛み合うことで閉じられる。開ける際には指で留め具を浮かせ、そのままケース上部を持ち上げれば良い。開ければ、ブラウンの外側と対称的にクリーム色の内部が明るくその姿を見せる。


上部にはブランドロゴがデボス加工されており、下側には左からOxford+アリゲーターレザーストラップ、中央に名刺と共に美しく製本されたブランド・コレクション解説書兼保証証明書、そしてその下部にはロゴ入りのクロス、右には付け替え用レザーストラップが収納されている。


(なおクロスは時計・宝飾業界用の高級マイクロファイバー製造で知られるスイスの家族経営クロス会社Keller Tradingのものだ。)

この箱は、ただの収納用の箱として機能するだけではなく、部屋の中にインテリアとして置いても美しい。箱のインナー部分左右の端からはツマミが出ており、これを引くとインナーは取り外せるようになっている。インナーは通常は見えない側面や底部も覆われており、アタッシュケース外部に出しても見栄えがする。そしてインナー部分を取り除いた内部も同様に覆われているので、このまま素敵なアタッシュケースもしくは小物入れとしても使用可能。多くの時計ブランドで化粧箱はただの箱に終ってしまうが、Van Braugeの箱には美しさ、実用性、遊び心もあるという点も評価したい(実際ヴァン・ブロージュ氏は取引先に合う際などにこの箱に時計を入れて持ち運ぶそうだ)。

ヴァン・ブロージュ氏は若かりし頃、英ミッド・ウォリックシャーのアート・デザイン大学で、装飾を施した葉巻箱を手作りしていたこともあるというが、その経験あってこその細かなこだわりが見られる。


ケース


43mmのケースは316Lステンレススチール製。厚みは13mm。風防は3層のARコーティング(反射防止コーティング)を施したデュアルカーブ・サファイアクリスタル。


風防は中央が高くなったドーム状、僅かな傾斜を描きながら艶のある仕上げのなされたケースへと滑らかに繋がる。


竜頭はガスケットを持つ防水仕様。ケースの竜頭を受ける側であるケースチューブにもガスケットとダブルOリングが装備されており、厳重に水から守られている。竜頭の形状は第一次世界大戦時のイギリスのミルズ型手榴弾にも似た縦横の刻みが施してある。頭頂にはエナメルでロゴが記されている。


ケース側面は上部中程が少し突出しており、ケース裏に向かい徐々に狭まっていく。このケース表面の傾斜は、ケース裏にまで続いており、カーブの美を一つの特徴としている。文字盤を紹介する前にケースの裏側をご紹介しよう。


ケース裏とムーブメント



ケース裏面には目を見張る物がある。表の風防と同様に3層のARコーティングが施されたデュアルカーブ・サファイアクリスタルがはめ込まれているのだが、風防の大きさは表面とほぼ同じ。多くのオープンケースでは、ムーブメント系よりも小さい風防が用いられるため、ムーブメントの端が見えづらいが、この大きな風防では、時計の美しい心臓部が隅々まで見て取れる。


使用されるムーブメントは、Sellita SW 220-1をベースに改造を加えたVB-24A。38時間のパワーリザーブで、振動数は28,800 bph。レギュレーションもCOSC認定レベルにまでなされており、後述するが様々なテストも同社内で行っている。ムーブメントはコート・ド・ジュネーブ、ペルラージュ模様が施されており、ブルースチールネジと相まって美しい。テンプには非磁性で耐腐食性の合金、グリュシデュールが用いられ、ヒゲゼンマイは温度による変化を受けにくいアナクロン、主ゼンマイには切れづらく弾性が長く持つニバフレックス1が採用されたムーブメントだ。


ローター部分にはブランドイニシャルと共に勝利と栄誉のシンボルである月桂樹が刻印され、ブランド名は金にインクが入れられている。ぱっと見では判別不能な大きさではあるが、よくよく注意して見ると、月桂樹部分は黒く墨入れされているわけではなく、実は切り抜かれていることがわかるだろう。ローターの向こう側の歯車が月桂樹の葉の向こうに見え隠れする。細かすぎるディテールだが、その緻密さはVan Braugeの追求する正確性の現れとも言えるだろう。


独自ローターを持つ時計ブランドは少なくないが、The Gentleman's Oxford内部のVB-24Aムーブメントでは、角穴車(ラチェット・ホイール)にも独自のものが用いられている。角穴車は月桂樹の葉の刻印で2重に縁取られており、その内側、中心より4方に「VB」のイニシャルが刻印されている。角穴車はその半分以上を他の部品に隠されている歯車であるが、ここにも同社の細やかなこだわりが見られる。


もうひとつ、ケース裏から見えるのがケースを保護する部材だ。ムーブメントはファラデーケージ(導体に囲まれた空間のこと)として機能するムーブメント・リング内部に納められ、メタロセン・ブタジエン・ゴム(MBR)リングで懸架されている。


Image courtesy of Van Brauge Watch Company

この複雑な構造はケース外部からの衝撃からムーブメントを守ると共に、磁場からムーブメントを守る役割を果たす。ゴム報知新聞によればメタロセン・ブタジエン・ゴムは点と面に対する耐衝撃性を両立する合成ゴム。ミューメタルはニッケルと鉄の合金であり、これは透磁率の高い物質だ。そのため、この部材が磁束を吸収することで、その内部に磁束が向かわなくなるため、磁場を遮蔽する用途で使用される。


ミューメタル部分には時計の機能が金色で刻印されており、耐磁、耐衝撃部分にはピクトグラムも使われている。

裏蓋は表面よりも1mm小さい42mmとなっている。裏面の美しさを更に強調する要素として、裏蓋が「隠しアクセスでネジ留め」されていることがある。そのため多くのねじ込み式の裏蓋に見られるような、裏蓋オープナーの爪を引っかける部分も無ければネジ穴も、こじ開け口もなく、ケース裏はつるんと美しい。


裏の風防もデュアルカーブであると記したが、これは表の風防よりも緩やかな傾斜で中心部が盛り上がっている。このため時計裏がフラットなものと比べ、装着したときの腕との接地面が小さいため装着感が良い。


文字盤



文字盤は油圧スタンプ加工されたデュアルカーブのクリーム色のもの。


日付ディスクも文字盤とマッチしたクリーム色となっている。この文字盤と日付ディスクの色の統一性は多くの時計ブランドが軽視するところであり、日付ディスクだけが文字盤から目立つ時計はかなり高価なブランドものでも少なくない。個人的には日付ディスクの色は文字盤と同じであるか、意図的に異なる配色にすべきだと考えている。Tanquerayモデルは文字盤と同色の日付ディスクが美しい調和を与えており、好ましく感じる。

日付ディスクの丁度外側を通るようにして存在するのはレイルウェイ目盛り。この目盛りのレールにあたる部分は立体的に飛び出し、枕木に当たる部分は黒いプリントとなっている。


レイルウェイ目盛りの内側にはギョーシェ彫りが施されている。これはその中でもクルー・ド・パリ*と呼ばれる模様。
*Clous de Paris:文字通りの意味としては「パリの鋲釘」となるようだが、パテック フィリップによればその意味するところは「パリの舗石」だそう。ヴァン・ブロージュ氏もこれはパリの道に敷かれた四角い敷石を意味すると述べているので、この模様の意味するところは「パリの敷石」で間違いないだろう。


クルー・ド・パリとレイルウェイ目盛りの外側は、一見すると平坦に見えるかもしれない。しかしここにも実は非常に細かな装飾が施されている。時計の真ん中を中心とした同心円状に、レコードパターンが溝を連ねているのだ。

レコードパターンは一般的に、文字盤に光が当たる際の反射を少なくし、可視性を高めるとされる。確かに艶のあるインデックスと針との対比で時間確認を容易にしていると言えるかもしれないが、個人的にはそのような機能性はさておいて、他の文字盤要素と共に一見シンプルながらも細かく複雑な模様をもつことで、時折手元の文字盤を眺め、所有者ではなければ解らない秘めたる楽しみが手元に与えられるということにより大きな意味があると感じる。

インデックスの各時部分には外側が僅かに幅広となり、外側に面する辺が湾曲した、銀色のバー状インデックスが用いられている。この湾曲部分に覆われるようにして位置するのはスーパールミノバの蓄光部分。蓄光はスーパールミノバのBGW9。The Stowa EnthusiastsによればこれはスーパールミノバのC3に次いで最も明るく、明るさが長続きすることで知られる蓄光材だ。丸い蓄光部分の径は1mmにも満たず、蓄光という利便性を与えながらも腕時計の持つクラシカルな統一性を阻害しない、考えられたデザインとなっている。


各時に配されたバー状インデックスの時計中心に向いた先は、この突出したレールの上に載るように配されているのも面白い点だ。


同じくクリーム色のダイヤルリングには黒い輪が一周し、Van Brauge Watch Companyの在する土地「LONDON」が30秒位置に記されている。それを除けばダイヤルリングには秒数が5秒刻みに記してある。15,45,60秒は赤字、その他は黒字だ。

時分針はクラシカルなドルフィン針にスーパールミノバが載ったもの。こちらもBGW9。光に乏しい冬のフィンランドの室内であっても(更には驚くことにオフィス環境などよりも暗い家の中であっても)、袖の外に時計が露出していさえすれば暗所で光る。


なお矢尻型の秒針は、その先に赤い菱形の半透明素材がはめ込まれており、時折文字盤にステンドグラスのように赤いシルエットを落とす。しかしこの赤い部分も実はスーパールミノバの蓄光素材、「187C」が使われている。この部分はBGW9よりは暗めで、BGW9の発光色を青緑とすれば黄緑に近い色で光る。普段は赤く透明な色をしたこの秒針が暗所で黄緑に光るなんて初めて見たときには驚いた。


この写真は文字盤面にフラッシュライトを照射して光らせたもの。特に秒針の187C部分は暗いフィンランドの暗い室内光の中で自然な状態で使っていてはここまで光ることは無いが、BGW9蓄光材部分は前述の通りきちんと蓄光できる。


ストラップ



ストラップは20mm、クイックリリース式となっている。しかし通常のただの棒状バネ棒ではなく、湾曲型でなおかつクイックリリース式。特注ものとのこと。

丸いケース部分のカーブに沿ってストラップが弧を描いている。ケースが丸い時計に直線状のバネ棒が付いたものだと、ラグの最もケースに近い箇所と、ラグ間に位置するケースカーブの最も突出した部分との間に、直角三角形が対面するように二つ連なったような「M」字状の隙間ができ、(文字通り)どことなく「間の抜けた」印象になってしまう。しかし、この形状ではケースに沿う形でストラップが伸びるので、より一体感ができるのだ。


ストラップは2本付属しており、一つは本アリゲーター革(写真左)、もう一つは子牛皮(写真右)のものとなっている。どちらもケースと同色のステンレススチール製バックルが付いている。バックルは大きく、しっかりとした作り。3パーツ(+バネ棒)からできているようで、中央パーツには月桂樹とVBのイニシャル、そしてVAN BRAUGEのロゴが黒インクの墨入刻印されている。


アリゲーターストラップは、米フロリダ州エバーグレーズからのアリゲーター革(Everglades Alligator)を使用している。やはり型押しのものとは違うきめの細かい革密度、滑らかさは本物のアリゲーター革ならでは。なおVan Braugeのウェブサイトからは単品でアリゲーターストラップを購入することも可能で、単価は345ポンド(約5万円)となっている。緑に染められたレザーと同色の糸で表側が、裏は肌色の多分牛革製であり、そちら側はオフホワイトのレザーがオフホワイトの糸で縫われている。裏側には「GENUINE ALLIGATOR」とVBロゴの刻印。


子牛皮のストラップもまたグリーンではあるが、アリゲーターストラップと比べて僅かに明るめの色合い。使用されている糸は、両面ともオフホワイトの糸で、ストラップ裏面もオフホワイトとなっている。


写真上がアリゲーター、下が子牛皮。これまでの写真とは色味が違って見えるかもしれないが、この写真の色合いが実際のものに近い。どちらもクラシカルではあるが、少々違った雰囲気を醸し出しており、気分を変えたり時計の与える印象を調整するのにうってつけだ。


16~17cmほどの私の手首では2番目に小さいバンド穴が丁度よい。


テストと保証



Image courtesy of Van Brauge Watch Company

特に品質管理には気を遣っており、ムーブメントのカレンダーは組み立て以前、5日前からテストされる。文字盤と針をムーブメントに取り付け、ケースに入れた後も5日間かけてムーブメントのテストを行い、それらにパスして初めてケースが閉じられ、120mの深度相当の水圧テストが行われる。そして最後に再度5日間かけて時計のテストが行われる。

この長いテストを行った後に初めてVan Braugeの時計は発送されるのだ。


精度はスイスWitschi社のWatch Expert IIIという時計歩度測定機によりテストされており、その結果が機械から直接印刷されたものが封入されている。ここでは、日差(rate)、テンプの振り角(amplitude)、テンプの左右振り幅の差であるビートエラー(「片振り」とも、beat error)が記されている。日差は0秒、振り角289度、ビートエラー0.1ミリ秒と記されている。


耐水性テストはWitschi社のProofmaster 5でテストされている。加圧状態と減圧状態をテストし、そのときの時計の変形を測定し、腕時計の防水性能の規格であるISO 22810に基づき計算する。圧が変わると変形があるはずであり、途中で元の形状に戻る場合や変形しない場合やには漏れがあるということがわかるのだ。テスト結果からは-0.7barの減圧、+10barの加圧どちらの試験もパスしていることが判る。


なおこのテスト証明が入っているのは、ブランドの歴史や時計の機能を紹介すると共に保証書の役割も果たす小本。糸により製本されており品がある。


手書きでモデル名や購入日、そして制作者であるヴァン・ブロージュ氏のサインが記されている。保証は製造欠陥に関しては無期限保証。それ以外の保証に関しては24ヶ月間保証がある。それ以降は修理費が掛かるが、アフターサービスや修理に関しては、サービスエージェントが北米、ヨーロッパ、アジアに位置するとのことで安心だ。何かあれば保証書に記されている連絡先に知らせれば24時間以内に返事が来るとのこと。


まとめ



The Gentleman's Oxford - Tanquerayモデルの価格は£2550、日本円では38万0720円(記事執筆時)。有名ブランドの時計が買える価格だ。

しかしこれはブランド名を気にする人の時計ではない。これは時計を本当に愛する人のための時計だ。

私に言えるのは、この時計は同価格帯で購入できる時計の多くよりも、細かく考えられて作られてきたであろうことだ。その性能やこだわりの面でも同価格帯の時計以上であると言えるし、私が所有する某有名ブランドの40万円の腕時計と比べても、その品質、性能、デザイン、どの点においてもこのVan Braugeの腕時計の方が優れていると断言できる。

何よりも大きな有名ブランドとは違い、一人の職人がデザイン、組み立て、調整、テストまで行って生み出されたアルチザン時計なのだ。Van Braugeは、大量生産化や国際ブランド化の波にのまれ消えていった、技のある職人による時計作りの伝統を今に残し蘇らせようというブランドであるとも言えるだろう。


ブランドの歴史や知名度が価格を左右する腕時計が数多く存在する中にあって、妥協することなく品質を追求したデザインの中に、完成度の高い優れた時計を造り出すVan Brauge Watch Company。今後も注目していきたい時計会社だ。

なお、同社の腕時計の発送は全世界無料。注文があってからヴァン・ブロージュ氏が組み上げ、テストし、それから発送されるので手元に届くまでには時間がかかる事にご注意。ウェブサイトはきちんと翻訳された日本語ページも用意されているのでご確認あれ。


Source: Van Brauge Watch Company, ゴム報知新聞TDK, FHH, Witschi

(abcxyz)

二つの顔を持つ時計。カメラのシャッター羽根機構でシンプル文字盤とクロノグラフを切り替えるDeux Watchesがキャンペーン中。

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Sponsored by Deux Watches

「二つの顔を持つ時計」といったときに、多くの人の頭に浮かぶのはJaeger-LeCoultreの反転式時計レベルソかもしれない。はたまた、文字盤を好きに入れ替えることのできるスマートウォッチかもしれない。Deux Watchesの送る「Deux Collection」では、カメラのシャッター羽根/絞り羽根(Diaphragm shutter)の構造を利用して、「シンプルな三針の文字盤」と「5針+日付窓のクロノグラフ文字盤」の二つを使い分けられる腕時計だ。

今回は、既にKickstarterで目標金額の倍以上の金額を達成しているこの腕時計をご紹介していこう。



Deux Collection



今回Kickstarterキャンペーンでリワードとして用意されている時計にはムーブメント違いで3つのタイプがある。価格の低い順に、Miyota 9122採用の「DEUX CHIMERA」、Seiko NE86採用の「DEUX JANUS」、Sellita SW500採用の「DEUX JANUS ELITE」だ。

今回は特にNE86採用の「DEUX JANUS」とSW500採用の「DEUX JANUS ELITE」に注目してご紹介する。ムーブメント以外の違いとして、文字盤部分も多少異なるほか、「DEUX CHIMERA」以外の2モデルには裏蓋に刻印が施される。

NE86は最近では日本のカスタマイズ時計メーカー、モノローグが採用したことでも知られる。Sellita SW500は特に信頼性、耐久度が高いとされ、TAG HeuerやSinnなどの有名ブランドも使用するムーブメントだ。


二つの顔を持つ時計




「二つの顔」を可能にするのは、ケースのベゼル部分の回転と連動した文字盤内の20枚のシャッター羽根の開閉だ。


こちらの写真はシャッター羽根が閉じた状態。分厚いコインエッジベゼルが無骨な感じではあるものの、文字盤はミニマリスティックなシンプルな印象。シャッター羽根が形作る漆黒の文字盤の外周に位置するダイヤルリングには4分の1秒、1秒、5秒の各間隔に目盛りが記されている。赤い針は秒針ではなく、クロノグラフ用の60秒針だ。時分針は中抜きが施されたペンシル型となっている。


ベゼルを反時計回りに回転させると、文字盤内部のシャッター羽根が開き、文字盤の印象が様変わり。誰がどう見てもスポーティーなクロノグラフウォッチだ。この状態での文字盤はモデルによって少々違うのでそれぞれ見てみよう。


Seiko NE86採用の「DEUX JANUS」は、3時位置にスモールセコンドダイヤル(秒針)、9時位置にクロノグラフダイヤル30分ダイヤル、そして6時位置には日付窓を備える。NE86は34石のムーブメントで、パワーリザーブは45時間で振動数は28,800bph。ケース幅は43mm。


Sellita SW500の「DEUX JANUS ELITE」モデルは、3時には日付と曜日がともに表示されるデイ・デイト窓。6時位置にはクロノグラフ12時間計、9時にスモールセコンド、そして12時にクロノグラフ30分計を備える。こちらは25石、パワーリザーブ42時間で振動数は同じく28,800bph。ムーブメントの大きさによりこちらは微妙にケース幅が広くなっており、44mmとなっている。


共通する要素としては、クロノグラフダイヤル状の外周のインデックスは立体的なアラビア数字。スモールダイヤルの針はどれも赤で、スモールダイヤルには30分割目盛りの付いた内側に傾斜するダイヤルリング、その内側のインデックスは6分割されており、数字と線状のインデックスが交互に配されている。


この時計はただの奇抜なギミック時計には終らず、きちんとした性能を備えている。風防はサファイアクリスタル製。ケースとベゼルは共に、耐久性のあるテンパー処理された316Lステンレススチール製。裏面はレーザー刻印。特徴であるシャッター羽根は黒くプレーティングされた1.4310ステンレススチール製となっている。


裏面はどれもオープンケースバックとなっており、内部のムーブメントを愉しむことができる。


レザーストラップはスポーティなデザイン。イタリアンレザーを使用し、手縫いで仕上げられている。

なお、当初メタルストラップは「DEUX JANUS」と「DEUX JANUS ELITE」には無料で付いてくるものの、「DEUX CHIMERA」ではアドオンとして追加購入しなければならないものであったが、ストレッチゴールとして全てのモデルにメタルストラップ(と未だ未決定ながら他にも何らかのおまけ)が無料で付いてくることになった。


色はケースとベゼルが共にブラックのモデル、共にシルバーのモデル、そしてケースがブラックでベゼルがローズゴールド色のモデルが用意されている。レザーストラップはブラックのみだが、メタルストラップにはブラックとシルバーの2色が存在する。


まとめ




時を示す道具としてのシンプルな顔と、時を測る道具としての複雑性を持った顔。この二つの異なる顔を瞬時に切り替えることができるというのはなによりもこのDeux Collectionの売りだ。

個人的にもクロノグラフの実用性は好きで、時間を計ったりするのによく使う。だが、純粋に現在時刻を知りたい時には、クロノグラフの針やインデックスといった要素は情報量が多すぎ、可視性の妨げとなってしまう。


これはもちろんこのような着用者視点のユーザビリティーへの影響だけではなく、ファッションとしての時計という意味にも影響を与える要素だ。つまり、シンプルな文字盤の時計が適するオケージョンと、クロノグラフダイヤルを見せることで印象を与えるオケージョンだ。Deux Collectionではこれらを瞬時に切り替えることができるだけでなく、その切り替えのアクションを見せることで注目を集める事もできる。


もう一つ面白い点は、このコレクションが3つの異なるムーブメントを提供していると言うことだ。しかも、一つのデザインの時計に対し異なるムーブメントオプションがある場合、その多くは「安価で正確なクオーツと、時計好き向けに機械式」である場合が多いのだが、Deux Watchesの場合は3つどれもが機械式自動巻きムーブメントということ。基本のデザインは共通しながらも、価格帯の違う(そして一部文字盤要素も異なる)ムーブメントが用意されているので、時計ファンであれば好みのムーブメントメーカーのものを選ぶも良し(複数手に入れて「やっぱりこのメーカーの方が正確だなぁ」なんて計測するのも楽しそうだ)、微妙な文字盤のデザインの違いで選ぶも良し。

キャンペーンはあと19日を残して既に目標金額の220%を超える資金を集めている。




Image courtesy of Deux Watches

Source: Kickstarter

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手元を飾る緑の文字盤。「森の腕時計」こと緑溢れるForrestのファッションウォッチをレビュー

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Forrestは、自然と自然素材をテーマにした腕時計やバッグを作るタイのデザイン・ファッションブランドだ。

植物、木、石。これらの素材をコアに自然と共存するデザインを行うForrestは、それぞれの素材を利用した腕時計を展開している。また、2017年にはそれら素材を使用したバッグのキャンペーンをKickstarterで行い成功させている。なおこのコレクションは同年Vogueの「Who's On Next 2017」を受賞しているのも特筆すべきだろう。

今回は「Metal Black Forrest」のSモデルをレビューしていこう。



開封



シンプルな厚紙製のカバー。黒に近い緑色のこのカバーにはテクスチャーの異なるプリントでロゴの他、中に入っている製品の概要が記されている。


カバーを外すとしっとりしたテクスチャーの合皮の箱が姿を現す。


これを開けると黒い箱の中に緑が。「Metal Black Forrest」。


ケース



Forrestの腕時計の各モデルには42mmのLサイズと、今回レビューしている35mmのSサイズがある。(今回Sサイズを選んだ理由は後述する。)


ケースは316Lステンレススチール製で、厚さは約110mm。円柱型のケースからストラップ方向に直方体が2つずつ出ているシンプルな形状。風防はミネラルガラスにサファイアコーティング加工が施されたもの。


裏蓋はねじ込み式で、同社のロゴと社名の他、5ATMの防水性能をもつこと、ウェブサイトアドレスなどが刻印されている。ムーブメントとして使用されているのは信頼の日本製、クオーツ式のMiyota 2033。


竜頭は3時方向に出ている。面白いのは竜頭が六角ボルト型をしていること。竜頭の頭頂は円形になっており、Forrestのロゴが刻まれている。竜頭を引き出すには竜頭の下側にある窪み部分に六角ボルトの角が来るようにして引っ張り出す必要がある。少し引っ張り出しにくいが、クオーツ時計だし、時刻合わせはそうそうするものではないので問題無いだろう。


文字盤



黒く艶のある時分針はペンシル型。時針にはロゴと共にFORRESTとブランド名が記されている。秒針は時分針ほどの艶味はないが同じく艶のある黒色だ。

しかし何よりもその後ろにある緑がこの腕時計の肝である。この緑は加工された苔でできている。保存加工されているため、自然な緑色はそのままに、これ以上育っていくこともなく、手間が掛からず緑が楽しめる。


なお苔はForrestが自ら育てたものを用いている。自然の素材であるため、同じ文字盤はふたつと無い。同じMetal Black Forrestであっても一つ一つ個性のある文字盤となっているのも魅力だ。


まるで地面を切り取ったかのようにとても自然な感じに緑が文字盤内に見える。購入を考えている人が気になる点としては「結構苔が立体的に見えるけど、落ちないの?」というところだろう。ここ2日間着用し、うち1時間は時計を着用したままかなり激しくバドミントンを行った。しかし盤面の自然は全くとれたり外れたり、揺れたりもすることなくしっかりとそのままの形を保っている。


ぱっと見、時計の針は見えても、それが指し示す現在時刻の目安となるインデックスがないように見えるかもしれない。写真では解りづらいかもしれないが、ダイヤルリングは円周方向にヘアライン仕上げがなされており、5分刻みで溝が刻まれ、これがインデックスの役割を果たしている。このため、針の指し示す方向に光が当たるようにしてやると溝が識別しやすい。


ストラップ



ストラップはブラックの本革で、かなりしなやか。これはSサイズなのでバンド幅は16mmとなっているが、Lサイズだと幅は20mmとなる。


半へり返し仕立てだろうか、表面の皮材がサイドまで包み上げ、また裏面も同じ素材が覆っている。単純にレザーを一枚そのまま使った物や、表裏を貼り合わせ横面にコバ塗りを施したストラップが多く見られる中で、このストラップはどの方向から見ても同じ革の質感が楽しめるものとなっている。

ただし、サイドまで革で覆われていることで、ストラップが曲がる際に歪みが生じるので、この部分の耐久性は少々不安だ。とは言えこれと同じ幅のストラップに取り替えれば問題無いし、少なくともForrest国際サイトでは全世界送料無料でストラップのみの発送も行っている。


サイズについて



実は今回Sサイズにしたのは訳あってのことだ。

男性向けであっても昔の腕時計はサイズは小さかった。A Blog to Watchの記事を参考にすると50~60年代までの腕時計ケース径は20mm代後半。70~80年代のロレックス・チェリーニが31.5mmで、クオーツショックの頃のクオーツ時計でも32~34mm。80年代となりようやくカルティエが38mmの巨大腕時計を出すに至る。現在では50mmを超えるものまで出ており、女性向けの時計が40mm以下で男性向けがそれ以上といった風潮となっている。

もちろん日本で販売・購入されている腕時計にもこの傾向が当てはまる。しかし実際に世界の腕時計業界でここまで腕時計が大型化していった要因のひとつには、世界的に見れば腕時計を購入する男性の手首サイズがそれを許容する大きさであったことも一つにあるだろう。遠回しないい方ではあるが、つまりはその大きさは日本人平均よりも大きいということだ。


例えば、私の手首の径は今回測り直してみたところ約15~16cm。日本人男性の平均身長は170cm程度とされるが、私の身長は174cm。多くのウェブサイトで平均的な男性の手首サイズを15~17cmとしていることから、平均の範疇に入るものと考えている。しかし私の住むフィンランドでは服も手袋もSサイズの製品が丁度良い。

そして、日本人平均よりも大きな手首の平均サイズを考慮して作られた、ケース径の大きな腕時計は、やはり手首が大きな人により似合うもの。手首からはみ出さんとするかのような大きな腕時計は、子どもが無理してブカブカの大人の服を着ているのと同じようなもので、似合わない(もちろんそれを意図してデザインされたものもあるし、サイズの合わなさをファッションとするのであれば別だが)。

そんなこともあって今回は35mmというクラシカルな男性向け腕時計サイズの「S」をレビューしているわけだ。実際35mmのケースだと、40mm台の多くの腕時計と比較して手首も軽いし、ストラップも細いのでムレや圧迫感も少ない。


そして、手首の太さと時計ケースの比率もより美しく感じる。とは言えこの感想は流石に自分の意見だけでは客観性に欠けるので他の人にも聞いてみたところ、40mm台の時計と比べ今回の35mmのMetal Black Forrestの方が大きさ的に「より合っている」、「より似合う」との声をもらった。(加えて「45mmまでの時計なら大き『すぎる』とは言わないまでもちょっと…」というような声も。)

これまで「男性用だから大きいサイズじゃないと」という固定観念で腕時計のサイズを選択してきた方は、今後より小さいサイズの腕時計にも目を向けてもらえば、腕元の表現の幅が広がることと思う。


まとめ



「いつも心に太陽を」ではないが、「いつも手元に溢れる緑を」。都会のコンクリートジャングル、非有機的なオフィス環境、そんなところに居てもふと手元を見て自然を思い出す。そんな時計だ。

機械による大量生産だろうが、人の手により組み立てられた超高級時計だろうが、遠目に見ればどれも似通った文字盤の時計ばかり。そんな中にあって、もし他の人と同じモデルをつけていたとしても、ふたつとして同じ表情を持った文字盤とはなり得ない個性も魅力だ。

SIHH 2019ではH. Moser & Cie.が生きた植物を使ったNature Watchを出品していたことも記憶に新しい。ちょっとやり過ぎ感も魅力だし、世話をするのも大変そうなその時計は、自然保護の大切さや自然回帰的な面のアピールと共に、カーボンフットプリント取引の馬鹿馬鹿しさを皮肉った作品だ。


ForrestのMetal Black Forrestはある意味ではそれと共通したところがあると共に、反骨精神よりは現実的なところを追求したものと言えるかもしれない。自然をコントロールしたいという人間の欲求と、生物的な自然を求める気持ち、その折り合う点を探したモノであり、それが日常的に使うことのできるタイムピースとして形になったもの。

Forrestはまた、商品の購入がある度に植樹への寄付をするとしており、昨年8月にはClub21と共同でタイのDepartment of Marine and Coastal Resources管轄地域2エーカーに3500本のマングローブの木を植えている

購入されたい場合は、Forrestの公式国際ウェブサイトから全世界送料無料で購入可能で、2年間の保証が付いている。


Source: Forrest, Forrest.jp, A Blog to Watch

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フィンランドのスタートアップ「SOMA」が腕時計eコマースに変化をもたらす?

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最近私はフィンランドのスタートアップ、SOMAの「ウォッチ・コミュニティー向けテクノロジー・ソリューションのアンバサダー」に任命された。腕時計マイクロブランドのレビュー経験を買われてのことだ。

簡単に説明するとSOMAは、フィンランドで誕生間近のソーシャルマーケットプレイスだ。シェアし広めるというSNSのソーシャル性と、eコマースの売買機能、これらを融合させたもの。そしてその裏にはブロックチェーンを用いた認証という安心を生み出すテクノロジーも存在する。SOMAはフィンランド雇用経済省の一部門であるBusiness Finlandからビジネス助成金も受けている




SOMAは腕時計を愛する全ての人にとって意味のあるものとなるべく、今年4月のローンチに向け準備中だ。だが、腕時計が大好きで、日々自分のコレクション写真をシェアする人にとっても、新たな腕時計を探す人にとっても、新たな顧客を探す腕時計ブランドにとっても有意義なもの…それってつまりどういうことだろうか?気になる方は是非SOMAのウェブサイトで私が執筆した記事「SOMAとはなんだろうか?」をお読み戴きたい:

「SOMA - SOMAとはなんだろうか?」


記事中では、SOMAが腕時計ブランド、そして腕時計コミュニティーにどのような役割を果たすのか、その全貌を大まかにご紹介している。気にならないという方も是非、森と湖と技術の国フィンランドのスタートアップSOMAに是非ご注目戴ければ嬉しく思う。

今後も私はSOMAアンバサダーとして毎月SOMAのブログ記事を公開していく予定だ。今後の記事ではより詳しくSOMAプラットフォームについて解説していくこととなるだろう。


Image courtesy of SOMA

Source: SOMA, Medium

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最強の海外旅行デバイス?108以上の言語翻訳に80カ国以上のデータローミングWiFiホットスポットが合体!「Alfred」資金調達中

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最強の海外旅行デバイス?108以上の言語翻訳に80カ国以上のデータローミングWiFiホットスポットが合体!「Alfred」資金調達中


Sponsored by Alfred

現在Kickstarterでキャンペーン中の「Alfred」は、旅行がより便利に、楽しくなるデバイスだ。

これは108以上の言語のオフライン翻訳に対応した翻訳デバイスであるほか、画像認識翻訳機能も搭載、GPSを搭載し地図で現在地を見ることが出来るほか、画面を見ずに旅を楽しめるオーディオトラベルガイド機能もある。そして嬉しいことに世界80カ国以上で手頃な価格のローミングプランにてWiFiホットスポットとして機能させることができる、まさに海外旅行にうってつけのデバイスなのだ。



108以上の言語翻訳+80カ国以上の格安データローミングの最強コンビ



最近よく家電量販店でも見かける翻訳デバイスだが、その多くは限られた言語ペアの翻訳しか可能でなかったり、インターネットに接続していないと使えない。


Alfredであればこれらの言語に対応するばかりか、長文翻訳にも対応。スピーチの翻訳には、Windows、Google、Baidu、iFlytek、Nuance、aicloudなどが用いられ、スピーチ認識を最適化している。


既存製品の多くは音声翻訳は可能であっても画像翻訳はできないが、Alfredにはカメラも搭載されており、画像翻訳も可能。海外のスーパーマーケットで買い物するときに商品説明を確かめるのにも便利だ。なお、画像翻訳はインターネット接続がないと使用できな


Alfredの比較対象としては、Vasco、ili、Mesayなどの翻訳デバイスが挙げられているが、Alfredの翻訳対応言語はそれらの倍以上である108以上となっている。しかも言語をダウンロードすれば対応する全言語をオフラインでも使用できる。


だがオフラインで使用する理由がそもそもないというのも特徴だ。なぜならAlfredにはCloudSIM技術により世界80カ国以上でとても手頃な価格でデータ通信可能なSIMカードが付いてくるからだ。その上、WiFiホットスポットとしては最大10台までの機器を同時接続可能。つまり、旅行先でスマホやタブレット、パソコンなどをネット接続するための機能も付いているのだ。これは、以前当ブログでご紹介したTernにも似ているが、Alfred Teamによればより対象国が多く、ローミング料金も割安だという。

もちろん、本体のデータ接続を使用することなく、他のWiFiに接続したりする事も出来るし、既に現地のSIMカードを持っていればそれに入れ替えることも可能なのでその使い方は幅広い。


海外旅行にうってつけ


まあ百聞は一見にしかず。キャンペーン動画をご覧戴きたい。




ご覧の通り、スピーチ翻訳と画像翻訳のみならず、現在地をマップ上で確認もできるし、有名観光地も一目で見ることが出来るほか、音声トラベルガイドも付いているそうだ。マップはダウンロードすればオフライン使用可能。


OSはAndroid 7.0を採用。バッテリーは3300mAhで、ネット接続をしていない状態であればフル充電状態から9日間(220時間)、ネット接続時であれば2日半(65時間)使えるという。

だが待てよ、これらの機能はスマホがあれば使えるじゃないか?と思われる方もおられるだろう。これは他の多くの翻訳デバイスにも言えることだ。

しかし、Senstoneの記事でも説明しているように、私はデバイスの単機能性に意味があると考えている。例えばあなたがメインで使用しているスマートフォンには多くのアプリケーションが入っているだろうし、旅行先では写真も撮ることだろう。このような状態にあってメインのスマホで翻訳機能を使うのもあり得る話ではあるが、メインのスマホのバッテリーやメモリが圧迫されるのは問題だ。

それにスマホとは別の機器で翻訳、地図確認などが可能であれば、無駄にスマホのバッテリーを減らす必要も無い。スマホにバッテリーをケーブル接続して使うよりも、ふたつのデバイスを使い分ける方がずっとスマートだ。

加えて、旅行先によってはむやみに高価なスマホを出さない方が良い場合もある。スリや置き引き、強盗などに合った場合もスマホとAlfredどちらかが残ればなんとかなるだろう。


翻訳機械の限界も知ることが必要



私は以前FUZE.djというメディアで『「他言語を学ばなくてもいい日」は来ない。言語と機械翻訳を改めて考えてみる| アルゴリズム編』『同 | 人間編』という記事を書かせてもらったことがある。幾ら機械翻訳の性能が向上していても、まだまだ人間の翻訳家や通訳者を置き換えるレベルには到底適わない。文脈や状況を理解することはできないし、イントネーションの違いや口語表現にどれだけ対応できているかも問題だ。

これはAlfredに限らず全ての翻訳デバイスに言えることだし、その全てが広告中で都合良く無視していることである。そう、未だ完璧な機械翻訳デバイスなど存在しない。それでも使い方によってはこのような翻訳デバイスには意味があるだろう。きっと単純な単語や文章などは上手く翻訳可能だろうし、多くの場合海外で必要となるコミュニケーションで十分な意味を持つ。

人間が機械翻訳よりも優れている点としては、例え翻訳結果が間違いを含んでいても状況を読み取って正しく理解する事が出来ることである。しかしそれと同時に使用者は誤訳があるという可能性を認識して使わなくてはならない。例えばキャンペーン動画2:20秒あたりでは日本語で「楽しい時間をお持ちでしたか」という翻訳結果がでているが、これは「Did you have a good time?」の逐語訳に近く、日本語として不自然ではあるし、意味をくみ取った翻訳としては「楽しまれましたか」の方が適切だろう。だがこの例を聞いても解るように、機械翻訳を通した翻訳を聞いているという理解の元で、聞き手が理解しようと努めれば、その元の意図をある程度くみ取ることが可能だ。


まとめ



個人的にこのガジェットは便利そうだと思う。翻訳機械の限界を理解した上で使う分には十分使えるだろうし、翻訳デバイスとしてAlfredの優れた点としては、画像翻訳が付いている点がある。キャンペーン動画に描かれているように、レストランのメニュー翻訳や商品説明などの翻訳にも便利だろう。

また、他の翻訳デバイスが持ち得ない点として、旅行先で格安データ接続が使えるWiFiホットスポット機能があるというのも嬉しいところだ。

翻訳機能とWiFiホットスポット機能のみならず、GPS搭載のマップや、観光ガイド機能を備えるのもAlfredのユニークな点であり、これが海外旅行にうってつけのデバイスである点でもある。

Kickstarterキャンペーンは既に目標金額の180%を超える250万円強を集めている。なお画像翻訳やスピーチ翻訳、オーディオガイドやWiFiホットスポット機能の使用動画もキャンペーンページ下部で公開されているので気になる方はご覧になると良いだろう。




Image courtesy of Alfred

Source: Kickstarter, Alfred

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ローマ数字xアラビア数字、ギョーシェ彫りにオープンハートのThomas Earnshaw「LONGITUDE」提供レビュー

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ローマ数字xアラビア数字、ギョーシェ彫りにオープンハートのThomas Earnshaw「LONGITUDE」提供レビュー


先月に引き続き、今月もイギリスのブランドThomas Earnshawの腕時計のレビューをお届けしよう。今回はローマ数字とアラビア数字を共に配し、ギョーシェ彫りの施された文字盤から心臓部が覗き見える「LONGITUDE」をレビューさせて戴く。価格は520ポンド(約7万4000円)の、同社ミドルレンジの自動巻きモデルだ。

Thomas Earnshawのブランド名に関する話や同社公式ウェブサイトで使用できる30%オフクーポンは前回の「OBSERVATORY」レビュー時にしてあるのでそちらをご参考に戴くとして、今回は早速「LONGITUDE」(ES-8803-03)のレビューをしていこう。



LONGITUDE



image: Public Domain via Wikipedia Commons

今回レビューする「LONGITUDE」もまた、時計に関する歴史から名前が取られている。

Longitudeは「経度」と言う意味で、航海時に海上で自分の位置を知るために緯度と共に重要な役割を果たす存在だ。多くの国々が航海による交易や植民地開拓に勤しんだ大航海時代、各国が国を挙げて正確に経度を知る技術を求めた。

航海時の経度を求める際に重要だったのは、正確な時間を知ること。星の観察などから時間を求める方法も考案されはしたが、ここで精度や利便性の面で有意だったのが時計だ。しかし絶え間なく揺れ、時に嵐にも遭う船内に乗せてなお正確に機能する航海用時計、マリンクロノメーターの開発は困難であり、時計師たちにとって大きな挑戦であった。

まあそんなこんなで「経度」を知ることが時計技術の発展に大きな役割を果たしたのだ(詳しいことはセイコーミュージアムの「大航海時代とマリンクロノメーター」の記事がわかりやすい)。そしてブランド名とも成っているトーマス・アーンショウもまた、このマリンクロノメーターの改良と普及に一躍買った人物なのだ。


開封



前回の物と共通の横長で、日本語を含め他8カ国語が記載された化粧箱。


磁石で閉じられた箱の中に入っているのがLONGITUDEだ。


ケース



ケース径は42mm、ケース厚は13.5mmと、僅かに前回レビューの「OBSERVATORY」よりも小さく薄い。ミネラルガラス製の風防は、マーケティング担当者によれば「青い」コーティングがなされている(角度により風防が青みがかって見える。青い反射防止コーティングのことだと思われる)。風防は中央がわずかにドーム状に突出している。

こちらのモデル(ES-8803-03)はケースはローズゴールド色にイオンプレーティングされている。


竜頭はオニオン型。


竜頭とは反対側の側面にはEARNSHAWの刻印が。


ケース裏蓋のみ色がシルバー。裏蓋にはガラスがはめ込まれており、内部の構造を見ることが出来る。こちらも表面風防と同じくミネラルガラス。耐水性能は5ATM。


使用されているムーブメントはSeiko TMIのNH39。TMIのカタログによれば、24石、21,600vphで、日差-20~+40秒、パワーリザーブは41時間。竜頭を引いて時間合わせ状態にすると秒針が停止する「ストップセコンド」仕様のムーブメントなので、秒までキッチリ時間を合わせられるのも好ましい。こちらもNH70採用の「OBSERVATORY」と同じくローターがどちらの方向に回転してもゼンマイが巻き上げられるマジックレバー機構と共に、竜頭を用いた巻き上げにも対応するムーブメントとなっている。


ボールベアリング式のローターにはブランドロゴの刻印が。


ここでもOBSERVATORYと同じく斜めから見れば白色のムーブメントリングが見えるのは少々残念なところだ。


文字盤



この時計で最も特徴的なのは文字盤だろう。


XI,XII,I,II,III(11,12,1,2,3)のインデックスはローマ数字で、5,6,7,8はアラビア数字の立体的なインデックスが用いられている。


それぞれのインデックスは灰色に近い銀色で、(「5」を除く)各インデックスはケースと同色の板の上に配されている。この板はローマ数字側とアラビア数字側で2分割されているが、文字盤中央を中心としたヘアライン仕上げがなされている。

上の写真からは文字盤の外側には黒色のレイルウェイ目盛りで、5分刻みに僅かにレール幅をはみ出す菱形が記されていることも見て取れるだろう。


そしてインデックスの載る板に囲まれるようにして、文字盤ベースの中央部分にはギョーシェ彫りが施されている。中央部ほど細やかな立体感を持った彫りで、サンバースト仕上げのように中心部から放射線状に光を反射する。


この時計には時分秒針の3針に加えて、24時間表示のスモールダイヤルもついている。これらはどれも青く、時分針はブレゲ針となっている。本来のブレゲ針は丸くなった部分は穴となっているが、こちらは丸部分に蓄光塗料が塗られている。


蓄光性能や蓄光時間持ちは確実なことが言えないが(筆者はフィンランド在住であり、今も日照時間が短いこの時期に蓄光やソーラー発電はあまり効果が無いのだ)、十分蓄光できれば暗い中で時刻の確認もできる。


10時と11時の間に位置する24時間表示スモールダイヤルの後ろから顔を覗かせるようにして9時方向に位置するのはオープンハート。

オープンハート部からは衝撃吸収スプリングの中に納められた人工ルビー、そして銀色の地板が覗き見え、その向こうにはリズミカルに時を刻むテンプとアンクルが見える。このモデルはローズゴールド色が特徴だが、オープンハート部から銀の地板の奥に見える金色のテンプと、オープンハート部を囲むローズゴールド色の部品が同心円状にその輝きを見せるのは調和感があり美しい。


ストラップ



ストラップは四角くクロコダイルの柄がスタンプされている竹符仕上げのもの。バックルの付いたストラップ裏には「EARNSHAW」と、もう一方のストラップ裏には「GENUINE LEATHER」の刻印がなされている。


ストラップの幅は22mm。私の手首は16~17cmほどだが、一番短い穴で丁度良い長さだ。


ストラップのバックルはやはりThomas Earnshawのロゴを彷彿とさせるユニークな「E」形状をしているもの。こちらもケースと同色のローズゴールド色となっている。


まとめ



ローマ数字とアラビア数字を合わせたユニークなインデックス、美しいギョーシェ彫り、着用しながら機械式の心臓部を覗き見ることのできるオープンハートの楽しさ。OBSERVATORYと同じく背面から斜めに覗いてじっくり見れば白色のムーブメントリングが見えるのが少し残念ではあるものの、それ以外の点は完成度が高い。

特に個人的にはオープンハート部の、ローズゴールド色の部材に縁取られた開口部と、その中に見える金色のテンプが織りなす調和感、そしてギョーシェ彫りが気に入っている。購入はThomas Earnshaw公式ウェブサイトから可能となっている。なおLONGITUDEの「ES-8006」シリーズにはこのローズゴールド色ケースにシルバーダイヤルモデルの他にも、シルバーケースにブルーダイヤルシルバーケースにブラックダイヤルローズゴールドケースにブルーダイヤルのものが存在し、どれも今回レビューモデルよりも20英ポンド安価である。

今回レビューした「ES-8006-07」の価格は520ポンド、記事執筆時の通貨レートだと日本円で7万3000円ほどだ。この価格を安いか高いかと言うのは難しいところだが、日本製ムーブメントは信頼が置けるし、全体的なデザインの完成度で言えばOBSERVATORYよりも加工に手間が掛かっており、高級感があるのも事実だろう。このユニークな文字盤が気に入ったのであれば購入を検討されるのも良いかもしれない。なお、Thomas Earnshaw公式ウェブサイトで30%オフとなるクーポンコードをOBSERVATORYの記事の最後に記しているので購入ご検討の方はそちらもご確認されたし。

トーマス・アーンショウ日本公式サイトからも「LONGITUDE」モデルは購入できるが、そちらは型番やデザイン、機能も異なるものとなっている。日本のアーンショウの方がより全体的に安価であるが、これは日本公式の方が薄利で販売する方針だからではないかと思う。日本で販売されているものと同一のモデルも英公式で販売されているが、同一モデルを購入する場合は、販売価格と通貨レート(英公式で30%オフクーポン適応してもなおクーポンを使用できない日本サイトで購入した方が特)、保証のどの点を考えても日本公式から購入した方が良いだろう。)


Source: TMI, セイコーミュージアム

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音声メモ/自動文字起こしガジェット、SenstoneにiOSとAndroid版正式版アプリようやく公開!ミニレビュー

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昨年ベータテスターとして使い倒していた音声メモ/自動文字起こしガジェットSenstone。Kickstarterキャンペーンと共にGreen Fundingでのキャンペーンも成功のうちに終ったが、ベータテスト終了後、正式版アプリの公開=サービスが始まるまでには少し間があった。

正式版のSenstoneデバイスは既に昨年12月末に手元に届いていたが、出資者達は正式版アプリが公開されるまで使用することができず、クラウドファンディングプラットフォームでも「やはり詐欺だったんじゃないか」と疑る声が出ていたのも事実だ。

しかし本日遂にiOSとAndroidアプリが正式公開された(これまで時間が掛かっていた要因の一つは両アプリストアの審査も一因のようだ)。これで晴れてSenstoneが使用できるようになったわけだ。

今回のミニレビューでは主に製品版デバイスとアプリと、ベータテスト版デバイスとアプリとの違いについて記す。これがどれだけ便利なデバイスかに関してや、使い勝手に関して知りたい場合は以前の記事「音声メモ+自動文字起こしガジェットSenstoneはホントに使いものになる?…ベータテストレビュー」を読んで戴きたい。




まずは正式版デバイス。写真の銀色のはベータテスト版で、黒の方が正式版だ。なお、色はベータでは選べなかったから銀になっているだけで、正式版だから黒色というわけではない。ぱっと見は大きく変わらないが、ロゴの位置、マイクの位置と穴、ボタン形状など細かい差異がある。

充電用のクレードルは、ベータ版のものよりも磁石が強力になったのか、細かい形状の改善からか「座り」が良くなり、よりしっかりとデバイスが固定されるようになった。

あと、付属のネックストラップ(?)も改善された。ベータのものは留め口が差し込むだけで、知らぬ間にするりと留め口が抜けてしまい、Senstoneの中の人もそれで落としてしまったというものだった(私は幸いにも落としたことは無かったが)。製品版では留め口は差し込んで捻ることでロックされるようになったので安心。



アプリはベータ版のものと大きく異なる。まずは見た目がよりシンプルになったこと。ベータ版に存在した「Sort」、「Tags」、「Mood」などは無くなっている。また検索機能も現段階では無い。ハッシュタグは機能しており、認識されるとメモの上に表示される。ただしそうして表示されるハッシュタグをタップしても特に同ハッシュタグのメモが一覧表示されるというわけでは無い。位置情報機能も機能しており、メモを開き画面下の地名をタップするとマップ上に録音地が示される。

日本語の認識ももちろん可能。初期設定では言語が英語になっているので、左上のメニューアイコンをタップし、自分のアカウント名をタップすることで言語設定を変更できる。


ベータでは録音の長さは1分までであったが、今回は3分まで(もしくは自らボタンを押して録音を止めるまで)の連続録音が可能。文字起こしの質はこれまでとそう変わりなく、自らの名前であるはずの「Senstone」(録音で私は「センストーン」と発音している)が「センストン」であったり「ストン」であったりと、多分辞書に登録されていない単語などは認識されづらいのも同様。

もちろん録音されている音声も再生可能だ。データはクラウドサーバーに保存される。今回ベータ版と同じアカウントを使って居るのだが、ベータ版を試したiPhoneベータアプリに保存されていたデータもちゃんと表示され、聞くことができて、当たり前のことだけどちょっと感動。

なお、現状でも文字起こしされた状態のメモは各種アプリを通じてシェアすることが可能。音声自体のシェアは今のところできないよう。


ようやく正式版アプリは出てきたものの、それを使用して出来ることはまだまだベータ版に及ばないのが現状。早いところメモの修正や検索機能など、ベータ版でできていたことを実装して欲しいと言うのが正直な感想だが、ようやくAndroidでもSenstoneが使えるようになったのは実に喜ばしいことだ。肝となる自動文字起こし機能は既に機能しているのでこれからガンガンメモ取りに使っていこうと思う。


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人と環境にフェアな腕時計を目指しドイツの職人達が挑む…サステナブルでフェアトレードな「say time watch」

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Sponsored by say time watch

エコを謳うプロダクトはこの世にごまんと溢れている。しかし残念なことに結局は消費と購買の促進のために「エコ」、「サステナブル」という言葉を売り文句にしているだけで、本当に環境に配慮しているとは言いがたいような商品が溢れているのも事実だ。

そんな中にあってドイツはハーナウのsay time watchが挑戦するのは、金細工職人と彫刻師の手作業とサステナブル素材とフェアトレード素材を用いることで、真に環境に配慮すると共に、人に取ってもフェアな腕時計とアクセサリ。

say time watchは現在Kickstarterでキャンペーン中で、メインリワードとして腕時計であるType Oneと、サブリワードである腕時計型ブレスレットのBracelet、加えてエッチング版画も提供されている。



say time watch




say time watchは、プロダクトデザインを学んだデザイナーでもある二人の職人、金細工職人のSelina Yanikと、彫刻師Victor Gorelikによるブランドだ。

せわしない現代と、穏やかな美を持つ自然。そのふたつの架け橋として、伝統的な職人技とデザインを掛け合わせ、現代社会にサステナブルな方法で融合させる。技術の正確性と自然素材の威厳とを併せ持った物作りを追い求め、造り出される創作物の中に見られる繊細な表情の中には、詩的な美を見いだす。

近年環境問題が注目を集める中、食や衣類など、一部の分野では既に一般消費者が「サステナビリティーな選択」を行うことが可能となってきている。それでもまだまだそのような「選択肢」は限られているのが現状だし、特に腕時計などの分野でサステナビリティーを目指す企業は未だ珍しく、またその度合いとしても冒頭に述べたような消費中心のプロダクトがほとんど。


この現状に一石投じようとsat time watchの二人が3年の年月を費やし世に送り出そうとしているのが今回のキャンペーンの腕時計、現代のフェアトレード基準に適合する腕時計を目指し造り上げたType Oneだ。

残念ながらフェアトレード基準で造られた腕時計ムーブメントは現在のところ存在しないため、今回のType Oneでは長期に渡って使用できることを念頭に、理論上のバッテリー寿命が約10年(119ヶ月)であるスイスETA製のクオーツ902.002が選ばれている。

さてそんな彼らが一つずつ精魂込めて造り上げるType OneとBraceletを紹介していこう。


手作りのプロセス



image courtesy of: say time watch

Type Oneの制作工程は、伝統的に金属細工の鋳型として用いられる「イカの骨」(カトルボーン)に彫刻を施すところから始まる。これはコウイカ科の体内にある炭酸カルシウムでできたもので、海辺でたまに膨らみを帯びた楕円形の白く脆い(簡単に削ることができる)ものを見つけた経験のある方もおられるだろうが、イカの骨はまさにそれである。このイカの骨はペットショップなどに行けば市販されているが(ペットのカルシウム分補給など用に販売されているのだ)、say time watchはこれを自ら海辺に赴き流れ着くものを集め使用している。これも可能な限りのサステナブルを目指しているためだ。


image courtesy of: say time watch

そこに貴金属を溶かして流し込む。すると写真にも見られるような美しい自然のテクスチャーが現れるのだ。使用されている貴金属は全てフェアトレード素材のもの。フェアトレード認定を受けているFairminedFairtradeの二社のものを使用している。合法、地域紛争を生まず、児童労働も用いず、労働者の権利や安全健康、更には環境への配慮もなされている貴金属だ。

残念なことにイカの骨は一度しか使えないのだが、こうして造られた鋳造物を原型としてシリコンで型取りすることで複製できる。それぞれのシリコン型は100回まで用いられ、100個が一つのコレクションを形成する。


image courtesy of: say time watch

なお、これは今回のキャンペーンのメインである腕時計Type Oneだけでなく、ブレスレットBraceletにも共通する手作りだ。このような工程を経て造られたケース部分は、手作業でねじ込み部分や刻印、ラグのバネ棒を差し込む部分などが加工され、注文に応じた仕上げ処理が施される。


image courtesy of: say time watch

もちろんストラップだって手作りのものだ。say time watchのパートナーであるポルトガルのThe Museu do Relógioによるハンドメイド品だ。その品質の高さでも知られるThe Museu do Relógioの手作りストラップの材質はコルク。ポルトガルは世界のコルクの50~70%を産出している国でもある。

腕時計のストラップはレザー、特に牛皮でできたものが多いが、牛材は(牛肉も同様であるが)それを生み出す過程で生じるカーボンフットプリントが大きい。打って変わってコルクは、コルクガシの樹皮であり約10年ごとにコルク材を採取できる。もちろんコルク以外にもエコな(もしくはレザーほど非環境的ではない)ストラップ素材も存在するが、コルクガシの木はCO2も吸収するので環境にポジティブな影響を与えることも忘れてはならない。


Type One - 自分だけの一本を



image courtesy of: say time watch

このようなプロセスにより一つずつ造られていくType Oneの部分。それだけでもユニークな腕時計となることは間違いないが、手作りの少量生産を活かした面白い点として、注文者が細かくカスタマイズ可能であるという点がある。Type Oneはなんと全120ものコンビネーションが可能だ。


image courtesy of: say time watch

まずはストラップから。明るい色のコルクストラップ「0.0.0.1.」か、ダークな「0.0.0.2.」かを選択可能。


image courtesy of: say time watch

続いて時計の文字盤部分。これは6種類の木材から選ぶことができるようになっている。そしてどれもFSC認証(森林管理協議会認証)を受けた木材を用いている。「0.0.1.0.」はオリーブ、「0.0.2.0.」は桜の木、「0.0.3.0.」はブナの木、「0.0.4.0.」はクルミの木、「0.0.5.0.」はナラの木、「0.0.6.0.」はスモーク加工されたナラの木だ。


image courtesy of: say time watch

はケースの素材を複数の素材から選ぶことができるようになっている。大きく分けてシルバー系統とゴールド系統がある。925スターリングシルバーがベースのものでは、925スターリングシルバーそのままの「1.1a.0.0.」、この合金シルバーに酸洗いを施すことで表面に純銀の層を作り白く仕上げ上にコーティングを施した「1.1c.0.0.」、シルバーにロジウムめっきが施された「1.1d.0.0.」、シルバーにブラック・ロジウムめっきが施された「1.1b.0.0.」、の計4種類。ゴールド系統は、14カラットのイエローゴールドのライトイエロー版「1.2e.0.0.」、ディープイエロー版「1.2f.0.0.」に加え、同じく14カラットのローズゴールド「1.2h.0.0」、の計3種類が用意されている。


image courtesy of: say time watch

このように細かく選択して完成するType One。そのケース裏にはブランド名の刻印、上記の各選択要素を表す刻印、そしてシリアルナンバーが刻まれ、あなたのためだけに作られた一本となる。(なお記事中の写真にはケース裏に何も記されていないものもあるが、それらはプロトタイプ版のものであり、この写真が製品版のものとなる。)


Bracelet



image courtesy of: say time watch

価格的にType Oneには手が出ないが/腕時計はもうお気に入りのものがあるのでType Oneは要らないが/腕時計はしないが、とにもかくにも支援したいという方にはBraceletがリワードとなるオプションもある。

こちらもType Oneと同様にイカの骨を用い、フェアトレードされた貴金属と、コルクストラップにより作られたもの。腕時計のムーブメントが入っていない分現状ではBraceletの方がよりサステナブルでフェアなアイテムと言えるだろう。


image courtesy of: say time watch

ブレスレットの貴金属素材はシルバーもしくは酸化加工したシルバーから選択可能。酸化加工してあるものは黒く見える方で、所謂いぶし銀とか酸化銀とも言えるだろう。表面を意図的に酸化させたものだが、Yanik氏によれば酸化させてある層は薄いため、黒い酸化層が次第に削れてその下層の銀色の部分が次第に見えてくるだろうとのこと。日本の「わび・さび」にも通ずるような経年変化が味わえるのだ。(なおドイツのハーナウ市と日本の鳥取市は姉妹都市となっており、Yanik氏はこれを通じて鳥取市を訪れ、漆塗りの技術も学んだという。)

個人的にはまるでレトロな長方形/レクタンギュラー型の腕時計を彷彿させるこのBraceletの形は好きだ。時計好きであれば、なんだかジャガー・ルクルトのReversoみたいに見えなくもないこの形を楽しむこともできるだろうし、「時計に似て非なるもの」という形状をファッションステートメントとして用いることもできる。


まとめ



image courtesy of: say time watch

say time watchの輝かしいファーストタイムピースとなるType One、シルバーケースモデルは、小売価格は1100ユーロ(約14万円)となる予定だが、Kickstarterキャンペーン価格は800ユーロ(約10万円)。14カラットゴールドモデルは小売価格4120ユーロ(約52万円)のところがキャンペーン価格で3800ユーロ(約47万円)。

このキャンペーン価格をしても高いと思われる方もおられるだろう。手作りだから高いのだろうと考える人もおられるかもしれない。しかしこの価格にはそれ以上の価値と意味がある。それがサステナブルな素材選択と、フェアトレードされた素材の選択である。

フィンランドから日本の報道を見る限り、日本の環境意識は一部ヨーロッパ諸国のそれと比べてはるかに低いと言わざるを得ない。少なくともフィンランドでの報道では、日本は環境変動の影響をフィンランドよりも大きく受けているように見受けられる。だが、実際に行動により地球環境変動に歯止めをかけようと真剣に考え動いているのは変動の影響が直接少ないフィンランドの人々であるように個人的に感じている。化石燃料を使用する交通機関や発電に対する反発感はもとより、日常生活の中において一般的に消費される物品がどれだけ環境に優しいのか、はたまた悪いのかは日常的に話題に上る。特に食品に関しては、地産地消の裏にあるのは地域活性化ではなくカーボンフットプリントの小ささであり、ベジタリアニズムの裏にあるのも個人の環境ではなく環境意識である(無論別の理由でそれを選択する人も居ないわけではないが)。

このような中にあって腕時計という存在にも環境をより意識した選択肢があって然るべきだと考えるのは当然のことであり、Type Oneの登場は喜ばしいことである。

say time watchのプロダクトにおいて、環境への配慮とは異なる、しかし消費者意識として重要な軸として存在するのはフェアトレードされた素材だ。金銀を含む貴金属はその採掘や売買を巡り、採掘国で紛争を引き起こすものもある。我々が日々使用するスマートフォンも含め、知らぬ間に消費と価格競争の狭間に非人道的な扱いを受け、生活に苦しみ、命を落とす人々が居ることも忘れてはならない。目に見えないだけで確実に存在するこの状況を改善するためには、購買者として意識的な選択を行う必要がある。それがフェアトレードされた素材の選択だ。確かに安価ではないかもしれないが、逆に安い素材こそが非人道的な環境に人を追い込むことにより達せられる歪んだ価格であることも考慮すべきだ。


image courtesy of: say time watch

自然環境のみならず、素材を生み出す人々へのフェアさも考えられたsay time watchの作品群には、価格以上の価値があり、値段以上の存在意義がある。もちろん、彼らの活動を支援したいがType Oneに出資するほど金銭的な余裕がない人も少なからず居るだろうし、応援したいがムーブメント部分に妥協があるじゃないか、という声もあるかもしれない。リワード無しで好きな金額を出資することもできるし、なにか手に残るもの、支援の証が欲しいという方には時計機能は無いものの、腕時計を彷彿とさせる形状に自然のテクスチャーが浮かび上がるBraceletに出資するのもありだろう。また、今回の腕時計やその制作工程をエッチングにより味わい深く表現した版画もリワードとして存在する。

say time watchにとってこのキャンペーン、そしてType Oneは旅の幕開けだ。彼らの目指す完全にフェアな腕時計を完成させる日が遠くないことを願うと共に、彼らの活動を心から応援していきたい。




top image courtesy of: say time watch

Source: Say Time Watch, Cork Link, ETA

(abcxyz)

人道的で環境に配慮したアクセサリーを世に送り出す。ドイツsay time watchより「Bracelet」提供レビュー

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先日、人と環境にフェアなドイツのsay time watchによるプロジェクトをご紹介した。今回はそのsay time watchのご厚意により現在実施中のKickstarterキャンペーンでリワードとして提供されているブレスレット「Bracelet」を戴いたのでレビューさせて戴く。



開封



細長い黒の木箱に入ってやってきたBracelet。


ぱっと見どこが開け口かわからないほどピッタリと蓋が合わさっている。蓋部分はスライドさせれば外れる。


中には木くずが敷き詰められ、顔を近づければほのかに優しい木の香りが。そして木々に柔らかく包まれているのがBraceletだ。


Bracelet



伝統的な職人技とデザインを掛け合わせ、現代社会にサステナブルな方法で造り出すというのがsay time watchが目指すところ。そしてブランド名にも現れているようにサステナブルな時計というのは同社の目標である。このBraceletはあくまでも腕時計では無くブレスレットではあるが、その要素は腕時計を彷彿とさせる。


まずは腕時計で言うとケースに当たる部分からレビューしていこう。真っ先に目に付くのは特徴的なテクスチャーであろう。これは「イカの骨」(カトルボーン)の持つテクスチャーが現れたものだ。say time watchのBraceletはイカの骨を削り造りだした原型を用い鋳造されている。詳しくは前回の記事を参照されたい。


このテクスチャーは当然ながら表面と裏面で異なる。片面は「荒い」テクスチャーで、もう一方の面は「細かい」テクスチャーとなっている。今回は表面のテクスチャーが「荒い」ものを選択したため、裏面はより詳細なテクスチャーとなっている。


厚さは2mm強、3mm以下であるが、側面にもちゃんとテクスチャーが見えるのはすごい。

このケース部分の素材は、フェアトレードされた925スターリングシルバーでできているものだ。この点に関しても詳しくは前回の記事に記しているが、フェアトレードされた貴金属は、人道的にも、環境的にも重要なものだ。我々の知らないところで使用されている、フェアにトレードされていない貴金属は、非人道的な労働環境、児童労働だけでなく、紛争を引き起こすなど数多くの問題を抱えている。


黒っぽいのはシルバーの表面が硫化されたものであるため(便宜上これは「酸化」と呼ばれ、前回の記事でも私はこれを酸化と書いたが、実際には硫化されたもののよう。ただやはり通常この状態の銀は日本語でも英語でも酸化銀/oxidized silverと呼ばれるようだ)。

いぶし銀/酸化銀などとも呼ばれるこの加工は、硫化水素などを用い硫化反応が起こることで銀表面が硫化銀となり黒ずむもの。一度表面を硫化させた後に、その層を磨き取ることでアクセサリーの持つ凹凸を際立たせ、より細かく立体表現を見せるために使われることが多い。


しかしここではいぶし銀加工のみがなされている。黒い層は薄いため、次第にこの黒い層は薄れていくとsay time watchの金細工職人Selina Yanik氏は語る。時間経過と共に徐々に黒い層が削れるというのは、レザーで言うところのエイジングのような、着用者と共に成長する製品という愉しさがあるだろう(エイジングというのも面白い言葉で、これはカタカナ語を用いることにより元の意味があやふやになっている感があるが、所謂経年変化だ)。或いはまるで時間の流れに徐々に岩が削られていくような感覚とも言えるかもしれない。

レザー素材を用いた製品の他、オーディオ業界ではエージングが製品にまつわる要素の一つとなっているようだ。しかし、そのような一部の分野を除けば、このような経年変化に見られる美は、均一的で画一的な製品を良しとする大量生産・大量消費の時代に見落とされがちな価値観だ。そしてこれは日本の「わび・さび」に通じるところがあるだろう。


ストラップはポルトガルのThe Museu do Relógioによるハンドメイド品。コルク独特の優しい手触りと柔軟性は心地よく、レザーその他のストラップ素材と比べてもなんら劣るところはない。


ストラップ幅は18mm。裏面には「say time watch」のロゴが刻印されている。コルクの柔軟性に関しては特に捻り方向に柔軟な点が一般的なレザーストラップと異なるだろう。


バックルとバックルピンは非常に小さな部品ではあるが、この部分にもやはりイカの骨のテクスチャーが見て取れるようになっている。この部分もケース部分と同じくフェアトレードされた925スターリングシルバーのいぶし銀仕上げとなっている。


私の腕には一番小さな穴でギリギリ合う感じ。より細い手首の方であればもう一つかふたつ穴を開けないといけないだろう。


まとめ



ブレスレットとしてのこの製品は、自然の素材と形を使った美しさがある。そして、ここには自然を身につける、フェアトレードされた素材を身につける、サステナブルファッションを身につける、というファッションステートメントだけに終らない多様性のある楽しみ方があるだろう。

個人的にはこれが時計に似た形状を持つことが様々な楽しみ方を生み出していると思う。

時計の着用が求められる場でこれをつけることで、その表面的なルールへの反抗心を示すこともできるし、腕時計をつけているように見せて時計ではないということが時間を気にしないというアピールにもなる。前回の記事でも記したが、時計ファンにとってはレトロな長方形/レクタンギュラー型のケースをしたジャガー・ルクルトのReversoのような腕時計を彷彿とさせるその形状を楽しむこともできるだろう。


そして何よりも会話を生む要素として重要である。私はこのブレスレットから生まれる会話から、「貴金属のフェアトレード」という未だ周知されているとは言いがたい話題を多くの人に知らしめることができたらと思う。

このブレスレットの一般販売価格は320ユーロ(現在の日本円で約4万円)。この価格はもちろんフェアな素材、エコな素材を用い造り上げられた製品として意味のある価格だ。



従来のラグジュアリーファッションは、価格に見合った技術や品質の高さがあった。しかしここ数十年のラグジュアリーファッションは製品の質では無くブランド性とマーケティングにより価格をつり上げてきたという記事が最近Fashionbeansに掲載されていた。品質の伴わない空虚なブランド名にお金を山のように費やす人は別として、この状況を快く思わない人は多いだろう。

このような中で、say time watchの生み出す製品のように、人間環境、地球環境に気を配り、手作りの職人技で製品を作り、このように意味のある価値に金額を払うという選択肢が増えることは望ましいことだ。そしてそれとと共にこのような、人にとっても環境にとってもフェアな、サステナブルな未来を形作る製品に金銭的な価値が見いだされる時代が来ることを期待したい。


say time watchの行うKickstarterキャンペーンは現在目標金額の20%を集めている。今回レビューしたBraceletの他にも、腕時計であるType One(これに関しても前回の記事で詳しく述べているのでご確認あれ)、そしてエッチング版画もリワードとして用意されている。彼らの理想に共感する方はKickstarterキャンペーンもチェックしていただくといいだろう。




Source: Kickstarter, キリヤ科学

(abcxyz)

デザイン美とエルゴノミクスが造り上げた六角形。スイス・メイドのセクシーな腕時計Dietrich TC-1

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特徴的な形状が一目で見るものの目を釘付けにする…そんなDietrichの「TC-1」コレクションより、ステンレススチール製ケースにスペースグレイの文字盤がセクシーな「SS - Space Gray」をレビューしよう。

デザインの統一性に細かく気を配り生まれた美と、高いエルゴノミクス性が巧みに纏まった美しい腕時計だ。



Dietrich


1969年「フランスの時計作りの聖地」である仏東部ブザンソンに生を受け、パリにデザインを学んだエマニュエル・ディートリッヒ氏(Emmanuel Dietrich)。彼が2010年スイスのツークで設立したのがDietrichだ。

「我々のパーソナリティーについて多くを語り、このアクセサリーにより自分が高められる」、そんな人生のコンパニオンとなる腕時計作りを目標とするディートリッヒ氏は、腕時計にはつけ心地の良さ、エルゴノミクス性が無ければならないとも語っている。Dietrich公式ウェブサイトの言葉を借りれば「仕立てられたジャケットのように、それを感じると同時に忘れるものであるべき。その重み、密度、存在感を感じながら、その接点を忘れて、不快感を感じることの無いもの」こそが理想の時計なのだ。

その理想の追求の先に生まれた形だろうか、Dietrichの腕時計は有機的な形と共に独特の六角形のケース形状もブランドの特徴としている。



開封



Dietrichの包み紙にくるまれてやってきた「TC-1 SS - Space Gray」。


TC-1はキャリングケースに入っている。キャリングケースも上から見ると六角形であり、側面の刺繍にも六角形が象られている。個人的には大きな木箱などでは無くキャリングケースに入っているというのは嬉しいところだ。


保証・証明書はA5サイズの厚紙に、まるで紙幣のような複雑な模様と、購入モデル、販売者や日付が記されている。もちろんこの模様の中にも六角形が。


キャリングケースの中に保護膜に厳重に包まれて入っているのがTC-1だ。早速ケースから見ていこう。


ケース



この写真で既に時計の各要素は六角形をしていることがお判りになるだろうが、細かいところまでこのデザインの統一性が徹底されており、それがこの時計の美しさの一部となっている。

正六角形のケース横幅は、六角の角から対角までが43.8mm。竜頭からケース端までは46.2mm。しかし辺から対辺までは42mmなこともあってか、円形ケースで径が44mmの腕時計と比較すると小ぶりな印象。私の手首周りは16~17cmほどだが、腕につけた状態でも大きな印象はなく、竜頭が食い込むこともほとんどない(これはケース径よりもストラップの端から竜頭の先までの距離が関係する要素だろう)。

六角形のケースと聞くと、「もしかしたら角にぶつかって痛い思いをしたり、いろいろなものに引っかかったりするのではないか」と心配する人もいるかもしれない。だが緩やかな丸みを帯びた正六角形のケース/ベゼル角はきれいに面取がされており、角に当たっても痛くないし、引っかかりやすくもない。強いて言うならケースの上半分であるベゼルを留めるネジ部分。これも外周はナベ状になっているため引っかからないのだが、その溝部分は面取りされていないため、細い繊維などが引っかかる可能性がある。とはいえ、繊細な繊維を取り扱う仕事でもしていない限り日常使用に気になるほどではないだろう。


ベゼルそのものは表面と側面がヘアライン仕上げがなされており、面取りされた角の傾斜部分は鏡面仕上げ。ケースを横から見ると、ベゼル部がケース上半分を占めており、ケースの下部側面は鏡面仕上げの別部材となっているのがわかる。ケース下部はそのままラグとなっており、ベゼル上下の辺を境に下方に傾斜。時計盤面側から見ると、ケース下部の部材/ラグはベゼル表面と同じくヘアライン仕上げがなされていることが解る。


風防はサファイアクリスタル製で、ケースから0.5mmほど突き出す。そしてこれもまたケースと同じ6角形をしており、突出部分は内向きに傾斜している。Pedralの際にも説明したが、近年サファイアクリスタル製の風防がメジャーになってきたとは言え、材質の硬度の高さから加工はミネラルグラスやプラスチックと比べ高価であり、これを独自の形状に加工するのはなおさら高価だ。風防には両面にARコーティングが施されている。


竜頭はねじ込み式で、当然ながら六角形。ケースからまっすぐ突き出ているため六角ボルトのような風貌。各辺は面取りされており、頭頂は六角形に突き出した中にロゴが記されている。


ケースは316Lステンレススチール製で、厚は9.3mm。メタルストラップを含めた重さは166gと、適度な重みがある。この腕時計の心臓となるのはETAのワークホースムーブメント、「2824-2」。信頼性が高いことで知られる、28,800vph、25石、38時間パワーリザーブのムーブメントだ。


裏蓋はネジ止め式で、こちらも当然ながら六角形の蓋。中央にはロゴ、その周りには社名、防水性能5ATM、ケース材質、そして「SWISS MADE」の文字。


文字盤



時分秒針に日付窓。日付窓周囲の窪みは六角状。針はどれも独自のもので、ここにも六角形要素がある。時分針は根元と先が六角形をしており、針方向に僅かな山折り傾斜がある。文字盤のインデックス下部分には縦方向にヘアライン仕上げがなされている。


秒針も遠目にみれば丸にしか見えないかもしれないが、蓄光部分はよく見れば六角形をしている。


針とインデックスは鏡面仕上げの金めっき。インデックスは金の縁取りがなされた底面が長細い六角柱となっている。なおブランド名「DIETRICH」は12時位置から中心に向かいせり出し、モデル名「TC-1」とスイス製の表記「SWISS MADE」は6時位置から中心へと突き出すようにせり出しており、11,12,1,5,6,7時のインデックス部分はそのせり出した要素により六角柱が削り取られたような四角柱となっている。


針は黄緑、インデックスは水色に近い色のスーパールミノバが使用されているが、どちらも光の当たる中では同じ白色に見えるのも面白い。蓄光性能は高く、かなり明るい輝きを見せる。特に室内外共に暗い冬のフィンランドにおいては蓄光性能を見るためにわざわざ懐中電灯で光を当てた直後に暗い室内に入らなければ蓄光を見られないような時計もあるが、TC-1ではただ窓辺で(といっても直接日が時計にあたらず日陰の中で)本体の写真を撮影し、それから暗所に行って蓄光の写真を撮っただけでこれだけ明るく蓄光が見られた。他にも同様にスーパールミノバを蓄光材として使用する腕時計をレビューしてきたが、ここまで明るく光っているのもしかしたら塗料が塗られている面積が他のものよりも大きいからかもしれない。


真っ暗な中でなくとも、多少薄暗いところに行ってもご覧の通りかなり輝いているのが分かるだろう。


文字盤は立体的な作りになっており、インデックスよりも内側の中央部分は六角形に窪み、小さな低めの六角錐がハニカム状に配されている。この六角錐達ひとつひとつが六方向からの光を各面に受け、特徴的な反射テクスチャを生んでいる。

文字盤外周には溝のようにして秒目盛りが存在するが、面白いのは秒目盛りが12時と6時のせり出しを迂回する形となっていること。迂回部分にもちゃんと秒目盛りは存在する。このせり出しが無ければ文字盤内は完璧な六角形要素にする事が出来るのに、なぜせり出し部分があるのかとはじめは思っていたが、実はこのせり出しは文字盤内だけで無く時計全体で見たときの統一感を生むための要素。ストラップと文字盤との形状的な接点なのだ。


これを頭に置きストラップ中央の六角形のコマと文字盤を見てみると、この「せり出し」がストラップのコマの生み出すリズムの延長となり文字盤要素の中に融合していることが解るだろう。


ストラップ



ステンレススチール製3連ストラップはこれもまた六角形により構成されており美しいまるで亀の甲羅や爬虫類の鱗、蜂の巣のような印象を与える。始めこのメタルストラップを見たときはそのゴツい形相からつけ心地が悪いのでは無いかと疑ったが、良い意味で大きく裏切られた。つけ心地が非常に良いのだ。

メタルストラップの中にはコマがかなり内側にも外側にも柔軟に動くものがあるが、TC-1では外向きには動かず、内向きへの曲がり角度も限られている。これはそれぞれのコマの外側と違い内側のみが面取りされているため。なので各辺がぶつかり合う外側には曲がらず、面取りされたコマの内側のカーブに沿って曲がるようになっている。内側への傾斜は、中央の六角形のコマと、その両脇の五角形のコマがぶつかり合う接点で止まるようになっている。そのためこのレビュー内の写真でも見られるようにバックルを閉じた際に形を保持でき、バックル部分を底にして自立させることも可能だ。


この状態では時計ケース裏面が平らで、それ以外の面が曲線を描き、バックルのある面はより緩やかな曲線であることがお判りだろう。そしてこれは人の手首の輪郭の形に近い形状でもある。


そして外面と内面でテクスチャーが異なるもの特徴である。外面はヘアライン仕上げで、触った感じをオノマトペで表せば「サラサラ」といった感じ。


内面(と側面)は鏡面仕上げで、どこかしら肌に吸い付くような触感を持つ。

これらの要素ため、ストラップは装着時に手首の形状に沿う形を保つのだ。このため、メタルストラップでよくあるような「ジャラジャラ」とコマを鳴らしながら手首を回転させて腕時計の位置を調整したりする必要は無い。レザー製のストラップであってもラグとの接点の自由度の高さに起因して装着中に微妙に回転してしまうものがあるが、TC-1ではコマ数を上手く合わせればそのような回転すらもない。


メタルストラップの中には毛が引っ張られるものもあり、私は結構難儀するのだが、この六角ストラップでは毛が引っ張られることはこれまで一度も無い。これもストラップの形状とコマ内側の面取りのおかげだろう。

私の手首のサイズでは元々ついていたストラップより5コマ減らした状態でピッタリ合う(それでも大きい人はここからあと3コマ減らすことができる)。確かに手首サイズにピッタリの状態で汗をかくと、ケースバックとバックル裏が蒸れるが、少なくとも私には着用中に外したくなるほど気になることは無かった。それでも夏になるとどうか解らないが。


バックルはバタフライ式となっているが、バックルのボタンが上からは見えない作りになっているほか、結合部分もその他の要素と共通する形状からできているため、全体的なバックルの流れを壊さずに美しい形で閉じることができる。この美しさは感動的。


そして何よりもつけ心地が良い。


まとめ



六角形という形は自然の中にも見られる美しい形だ。そんな六角形を象った腕時計はTC-1の他にももちろん存在する。しかしそのほとんどはその形要素の追求をケースだけに留めているため、特徴的なケース形状の奇抜性のみが目立ち、ただのキワモノに終ってしまっているものがほとんどだ。必然性の上にその形が生まれる蜂の巣やグラフェン、雪の結晶など、自然の中に見られる六角形と、その形を象った腕時計を比べるのはお門違いかもしれない。

それでも、TC-1は表面的に形をなぞった多くの六角時計とは違う。Dietrich TC-1はケースのみならず、風防、針、文字盤、インデックス、ストラップまでも六角形。ここまで六角形要素を入れ込んだ腕時計はそうないだろう。そしてただ多角形を用いるだけで無く、各要素はお互いの形状要素と統一感を持って共鳴しており、美しさを生んでいる。ストラップのコマは六角形であることで形を保持できる機能性を生んでいるし、つけ心地の意味でもデザインの完成度は高い。(SlavaやRevueやRevue Thommenなどは風防や文字盤も含めて六角形のものを作ってはいるが、ここまでの統一感は持っていないし、エルゴノミクス性もこれほどのものではないだろう。)


この点においてTC-1は、ただ六角形の形状を持った他の腕時計を超越し、「六角形であること」への疑問を抱かせないような完成されたデザインを持つ。加えて、それ以外の形をした腕時計に対して、その形状の必然性に疑問を投げかける存在とも言える。

またほぼ全ての要素に独特の形状を用いること(既存の部品を使用していないこと)は、腕時計のユニークさの証であると共に高級感を与える要因ともなっている。価格は2550スイスフラン(記事執筆時の通貨レートで約28万円)。

ある意味Dietrichコレクションの中でのTC-1の立ち位置は、より有機性、芸術性の高いOTコレクションやPerceptionと異なると言えるだろう。TC-1はブランドの独自性、有機性、特徴的な形状を表現しつつも、典型的な腕時計の枠からはみ出しすぎない腕時計と言うことができるかもしれない。堅苦しいビジネスにも、自由を謳歌するプレジャーにも使用できる汎用性の高さを持ちながらも、他に類を見ない独特の美観を併せ持つ一本である。

Dietrichのエマニュエル・ディートリッヒ氏から日本の皆様へコメントも戴いているのでご紹介しよう。

日本とスイスには多くの共通点があります。品質と精度の探求、美しい自然、伝統と現代性。この二国は時を測る機械に対し同じ情熱を抱いていると共に、共にこの分野で最も優れた知識と職人技を持つ国々でもあります。

私個人としても両国を愛すると共に、若いときからその歴史と美観に魅入られてきました。私のルーツはヨーロッパとスイスではありますが、日本は常に私をインスパイアしてき、そしてこれから先も常にそうあるでしょう。

私の最大の夢は、遠く離れながらもとても近いこの二国の満足した顧客達の腕元に自分の作品を見ることであります。


なお私の妻によればこのTC-1は男性向けの腕時計として「これまであなたがレビューしてきた中でトップセクシー」だということも最後に付け加えておこう。


Source: Dietrich, 大沢商会

(abcxyz)

あの「フランス x バイク x 腕時計」の新作がやってくる!3月21日キャンペーン開始、Carzo & Lieutierの新モデル「TURINI」をご紹介

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Sponsored by Carzo & Lieutier

フランスのカスタムオートバイ制作者たちが立ち上げた腕時計ブランドCarzo & Lieutier。今年初めに当ブログでは同社の「Flatcase」をレビューさせて戴いたことも記憶に新しい。

今回はそんなCarzo & Lieutierが3月21日にKickstarterキャンペーンを開始予定する新作腕時計「TURINI」をご紹介しよう。



Carzo & Lieutier



自らのカスタマイズオートバイブランド「21 Grammes Motorcycles」を持つデザインも製造も何でもござれなPhilippe Carzo氏と、ファッションブランド「Smokey Joe」を持つ起業家のGuillaume Lieutier氏。この二人によって生み出されたブランドが、Carzo & Lieutierだ。

美観と品質を備えながら、モーターサイクルの部品を思い起こさせる腕時計をデザインし、造り上げることを目指す。その元となるのはCarzo & Lieutierが持つエレガンスの概念だ。「フランスの風を帯び、独特でありながらタイムレス、父親から息子へと受け継がれる規律と価値。心を反映するオブジェクトであり、スタイルとモーターサイクルを変える自由と不屈の男ですらも、自らの腕時計には忠実で変えることがない」、そんな浪漫を持ったブランドなのだ。

また、Carzo & Lieutierの作る腕時計は全てフランスで組み立てられているということも特筆すべきだろう。


TURINI




Kickstarterキャンペーンで提供される新モデルの名は「TURINI」。フランスはアルプ=マリティーム県に位置し、世界ラリー選手権の「ラリー・モンテカルロ」などが行われることでも知られる「コル・ド・チュリーニ」(Col de Turini)。アルプス山脈の標高1607mに位置するこの峠は、狭い道にヘアピンカーブが多く、Carzo & Lieutierの新作腕時計はヨーロッパのバイカー達の聖地ともなっているこの場所から名付けられている。


ケース



TURINIのケース部は同社のこれまでのコレクションと同じく、サークリップをモチーフとした形状を継承している。Carzo & Lieutierを代表するサークリップ状ケースだが、細かな形状は若干これまでのものと変わっており、より丸みを帯びると共に、ケース径が41mmであったSt. LuxeuilやFlatcaseと異なり、径は38mm(竜頭含めると39.5mm)と僅かに小ぶりになっている。

風防はフラットなサファイアクリスタル製だ。


サークリップの開口部についた二つの穴を持つ突起部を竜頭ガードとして、その間に納められた竜頭形状はオートバイの変速機をモチーフに、ギア状に歯が付いたものとなっている。頭頂部分には六角穴の窪みも。


316Lステンレススチール製ケースの左側にある突出部にはギョーシェ彫り(guillochage)が施されている。腕時計に「ギョーシェ彫り」と言えば、文字盤やムーブメント部に施される細やかな模様ものを連想する人が多いだろうが、これの意味するところは機械彫刻による交差する線による模様であり、このような力強い機械彫りも言葉的に正しいものである。Carzo & Lieutierはこの力強いローレット状のギョーシェ彫りをブランドの「メカニカルDNA」と呼んでいる。

時計裏面は六角穴ヘッドのネジを彷彿とさせるもの。残念ながら写真はないが、St. LuxeuilやFlatcaseと共通とのことなので、Flatcaseのレビューをご覧戴くとどのようなものかおわかり戴けるだろう。防水性能は5ATM。

ラグはSt. LuxeuilやFlatcaseでは腕の曲線に合わせた傾斜があったが、TURINIでは径が小さいこともあってかラグはケースからそのまま突き出す形状となっている。腕の大きな人にとっては、これまでのモデルでラグ傾斜のせいで上手くフィットしなかったという人にはありがたい変更かもしれない。


文字盤





文字盤はサンレイ仕上げ。

六角穴付きネジの要素は、文字盤12時に配されたネジ頭にも見て取れる。この印はFlatcaseではプリントであったが、TURINIでは立体的なものとなっている。インデックス的な要素としてはこれと同じ色合いの立体が3時の日付窓、そして6時、9時位置にも立体インデックスがある。

インデックスとしては上記の立体的な要素に加え、中心から伸びた放射線状の線も存在する。これは1時、2時、4時、5時、7時、8時、10時、11時を示す要素ともなっている。この放射線状要素は文字盤を飛び出てベゼル部分にも刻まれているのも面白い特徴である。

文字盤外周が立体的になっているのもCarzo & Lieutierの腕時計の特徴だ。通常このような文字盤外周に配されるダイヤルリングは外から内にかけて下がるように傾斜しているが、Carzo & Lieutierの腕時計ではダイヤルリングは内周の方が外周よりも高くなった形をしている。TURINIではベゼル部の傾斜が風防内部で繰り返されるようなリズムを生み出している。

時針分針も立体インデックスと同色となっており、形状は中抜きのペンシル型。時分針の根元部分に控えめなエレガンスと共に存在感をアピールのは秒ディスク。ディスクに付いた小さな赤いドットが秒の動きを示している。



バリエーション




TURINIコレクションではクオーツモデル3種と自動巻き機械式モデル1種が用意されている。クオーツモデルはムーブメントにRonda 515を採用し、自動巻きモデルではMiyota 9015が採用されている。


こちらは機械式モデル「DUST」。文字盤の各要素はゴールドだ。


焦げ茶色の文字盤にシルバーに近い針とインデックス要素が印象的な「Brown Sugar」。


Carzo & Lieutierの二人も着用する「青い作業着」を意味する「Blue Workwear」。


日本語で言えば「青信号」に当たる発進サイン、「Green Light」。

どれも魅力的な色組み合わせだ。モデルにより異なる色のストラップはカーフレザーで、60年代から70年代をイメージした見た目とのこと。どうやらリザード型押しとなっているようだ。

自動巻きモデルとクオーツモデルの違いとしては以下のものがある。

・クオーツには6時位置にCarzo & Lieutierのロゴであるフランス国旗のトリコロール色の稲妻
・自動巻きモデルでは6時位置に「Parashock / 4Hz / 24Rubis」とムーブメントの機能表記
・自動巻きモデルではダイヤルリングに「Automatic」表記



まとめ



自動車と腕時計のコラボレーションは数あれど、オートバイと腕時計とのマッチングはなかなか見られない。カラーは違うもののほぼ同一の見た目でクオーツと自動巻き機械式とを選ぶことができるのも嬉しいところ。

理想とするエレガンスを目指し、伝統と独自性を兼ね備えた腕時計を自らデザインし造り上げるCarzo & Lieutier。そんな彼らが世に送り出すTURINIは、オートバイ好きで時計好きな人にも、工具好きな人にとっても気になるデザインだし、腕時計としてもそんじょそこらのものとはひと味違う個性的な見た目となっている。

フランス時間3月21日午後2時にスタート予定のTURINIのKickstarterキャンペーンを楽しみにしていよう。


Image courtesy of Carzo & Lieutier

Source: Carzo & Lieutier

(abcxyz)

フィジェットキューブでマウスでジョイスティック!?遊べる実用、Masta Boxミニレビュー

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現在日本ではMachiya by Campfireで資金調達中の「世界初のフィジェットコントローラー」ことMasta Boxをレビューしよう。



私はAntsy Labのフィジェットキューブを所有しているのだが、それをそのまま大きくして機能を付け足した感じのMasta Boxに面白みを感じ出資した。ただのフィジェットキューブではなく、無線マウスやジョイスティックなどの実用的な機能が付加され、なおかつフィジェットキューブとしての楽しさも持つ。


なお私のものはKickstarterで出資し入手したもの。





フィジェットキューブとしてはAntsy Labをそのままコピーしたかのよう。(右が本家本元Antsy Labのフィジェットキューブ)

・ジョイスティック
・回せるボール
・5つの押し込めるボタン
・カチカチ押せるスイッチ

がある。

実用機能としては:

・ジョイスティック(上下左右キー)
・ボールマウス+左右クリック
・レーザーポインター
・Altキー
・Tabキー

の他、MicroSDリーダーも付いている。




MicroSDリーダーは、底を覆うカバーをめくったところにあり、充電用のMicroUSBポートも同じく底面にある。


MicroSDリーダーとして使ったことはまだ無いので確かなことは言えないが、プロモ画像などからすると、MicroSDを挿入した状態でMicroUSBポートからパソコンなどに繋げばカード内容が読み込めるようだ。


使った感じ、ボールマウスはプラスチック感が安っぽく感じるものの、マウスとしての機能は十分果たす。

デバイス頭頂に配されたジョイスティックの上下左右は、デバイスの方向を認識していないと最初は混乱する。特にジョイスティック上に方向が記しているわけではないので、最初は何度かジョイスティックを倒して方向を確認しなければならないだろう。


側面のスイッチは何の機能も無い。


サイコロの「5」の目上の側面は、右下がオン・オフスイッチ兼状態を示すLED。


レーザーポインターは5つのボタンの内中央にあるボタンを押すと、押している間点灯する。レーザーはジョイスティック脇の部分から放たれる。くれぐれものぞき込まないように。

ぐるぐる回せる円盤がついた面も実用機能はない。Antsy Labのフィジェットキューブの方が回転させるときにクリック感がある。

欲を言えば、ジョイスティック押し込みでエンターなどの機能が欲しかったところ。矢印キーで選択した後にする事と言えばエンターくらいなものだ。


通常私が仕事用に使用するSurface 3ではタッチパッドで十分で、特にマウスを使う必要を感じないのだが、例えばGPD Pocketなどより小型のデバイスを使うときに便利かもしれない。


(abcxyz)

腕に纏う北欧デザイン。Makuakeでキャンペーン中、スウェーデンからやってきた個性とエレガンス「ペドラル」腕時計プロトタイプレビュー

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Sponsored by Pedral

Kickstarterキャンペーンを無事成功させた北欧スウェーデンの時計ブランドPedral(ペドラル)は、現在日本のクラウドファンディングプラットフォームMakuakeで同社「Okapi」コレクションのキャンペーンを実施中。今回はキャンペーンリワードとして提供されている腕時計の中からゴールドと緑の色の組み合わせが美しいELSAモデルのプロトタイプをレビューさせて戴く。

なお、Pedralのブランドについて、そしてその他のカラーバリエーションについてはKickstarterキャンペーンに合わせて以前当ブログで執筆した記事も合わせてご覧戴くとよいだろう。

なお今回レビューするのは、ケースやストラップの素材はクオーツ版の製品版と同じであるが、内部にムーブメントの入っていないプロトタイプ版であることをあらかじめお断りしておく。



開封



まるで豪華本のような厚手のロゴ入りスリップ。その中には…


ロゴ入りの素敵な木製のケースが。木製の腕時計化粧箱は少なくないが、同じ木製ケースでもこちらは大きな立方体ではなくて平たいため、収納の際にはスリップに入れて本棚に入れ込めるという利便性もある。


木製ケースの下部はフェルト地となっており、卓上に置いたときに机を傷つけることなく、また滑らないようになっている。


ケースは手前側に二つの磁石が付いておりピタリと閉まる。奥にヒンジが2箇所付いている。


開ければ手前には説明書や保証書用のスペースとして、二つの四角い窪みがある。そしてその奥に輝くのは、美しく配置されたELSAの時計部と、付属する2種のストラップ。


ケース



イエローゴールド色のケースはクッション型の本体部分からそのままラグが伸びる独特の形状。ケースの横幅は竜頭含めず38mm。ラグからラグの最頂点は48mm。38mmという小ぶりなサイズは性別に関係なく使うことのできる良い大きさだ。


時計センターを中心として同心円状にヘアラインが出る研磨仕上げがなされてる。


側面にコインエッジが施された竜頭の頭頂には、PEDRAL社名ロゴ中のスタイライズされた「A」が刻印されている。このAは、全ての始まりであり、文化を前進させるパイオニア精神のシンボルとしてPedral社が使用する印だ。


厚さは8.2mmだが、これはケース裏の最厚部から風防までの値。12時から6時方向にも、3時から9時方向にもケースが徐々に薄くなるように傾斜しているので見た感じもつけた感じももっと薄い。特にラグのある12時から6時(上下方向と言った方がわかりやすいか)には、ケースとラグが一体化していることもあり傾斜の美しさが楽しめる。


側面と裏面は艶出し仕上げで、表面とはまた違った表情を見せる。裏蓋にはAのロゴを中心に、素材や性能表記の他、「DESIGNED IN SWEDEN」とスウェーデンでデザインされたこと、そして「Limited edition」(限定版)とそのシリアルナンバーも共に刻印されている。このプロトタイプにはムーブメントは入っていないものの、これはスイス製のクオーツムーブメント、Ronda 1069仕様のケースとなっている。耐水性能は5ATM。裏蓋はこじ開け式。

なお、自動巻きムーブメント採用コレクション「OKAPI KINETIC」(Makuakeキャンペーンでの表記は「オートマチック」)は、ケース幅は同じだが、厚みが11mm。日本のMiyota 8245ムーブメントを採用し、ケース裏はねじ込み式のミネラルガラスで中が覗き見えるようになっている。


文字盤



クッション型のケースの中に、角の丸い正方形を45度傾けて入れ込んだかのような文字盤。この形の組み合わせがこの腕時計の魅力の一つであることに間違いは無い。

文字盤を覆う風防はサファイアクリスタル製で、反射防止コーティングが2重に施されている。以前の記事にも記しているように、堅く傷の付きづらいサファイアクリスタルは加工が高価であり、このような独特の形に加工してケースに入れ込んでいるのはそれだけで高級感があるものだ。


文字盤はサンダイヤル仕上げ。これはケースの研磨仕上げと共鳴し美しさを造りだしている。インデックスは12時部分に二つの眺めのバーインデックス。3時にPEDRALのブランド名が立体的に輝く。そのほかは短めのインデックス。各バーは4面の立体仕上げ。光が各面に当たり反射する事でインデックスの識別性を高めている。


ペン型の時分針もオリジナルのもので、その先端部分はPedral社の象徴的な「A」の形状と同じ形状に切り抜きが施されている。

スモールダイヤルは細やかにレコードパターンが刻まれている。


ストラップ



付属のストラップはレザーとミラネーゼメッシュストラップのふたつ。どちらもクイックリリース式になっており、気分や場合に合わせて気軽に使い分けられるのが嬉しい。


レザーはイタリア製のフルグレイン・カーフレザー。このモデルに付属するのは緑色のもので、文字盤の緑色と組み合わさり美しさを生み出している。


今回レビューしているプロトタイプでは一番小さなストラップ穴にしても私の手首(手首周り16~17cmほど)には大きすぎるが、Pedralによればより小さな手首周りの人にもフィットするよう製品版には二つ穴を追加するという。


ミラネーゼストラップの方はしなやかなメッシュが印象的。付属のものはケースの金色と同じ色合いであり、全体的な統一感が美しい。


こちらは小さい方から3番目の溝に設定したら私の手首に丁度よいサイズだ。



このELSA以外のモデルにおいてもこの色合いの美しさが特徴的となっている。どのモデルにもそれぞれのケース・文字盤にピッタリの色合いのストラップが2本付属する。もしもストラップに他の色を使いたければ20mm幅の他のストラップを取り付ければよい。


まとめ



やはりこの時計の一番の魅力はケースと文字盤の織りなすユニークな形状。そしてそれらの美しい色合いと、どちらの組み合わせでも美しい二つの付属ストラップにある。


シンプルだが個性のある顔を持ち、性別を超越し、考え抜かれた色合いとストラップの組み合わせでTPOに合わせて手元を美しく飾る。流行を超越したユニークでエレガントなデザインの一本と言えるだろう。

なおMakuakeで行われているPedralのキャンペーンは本日始まったばかりだが、資金調達期限まで45日を残し既に目標金額の54%を集めており、順調な出だしだと言えるだろう。




Source: Makuake

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機械式トリプルデイト腕時計に自動巻上機も付いて10万円以下!?独特のスタイルも美しい米Outcast Watches、Series 1レビュー

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Sponsored by Outcast Watches

今回はアメリカはテキサス州から、Outcast Watchesの「Series 1: Blue Face」をご紹介しよう。

アーバンスポーツファッションとでも形容しようか、ユニークなデザインスタイル。Miyota製の機械式で珍しいトリプルデイトムーブメントの採用。そしてワインディングマシーン付きで10万円を切る価格が魅力だ。




Outcast Watches




Outcast Watchesの創設者であり退役軍人でもあるケヴィン氏は、腕時計が好きだ。しかしそれと同時に、何十、何百万も費やすのは嫌だと考えていた。そんなときにマイクロブランドを立ち上げた会社に関する記事を読み、自分でもできると考えそれを実行に移した。もちろん、価格を抑えつつも品質を妥協せず、理想の腕時計を造り上げるのは簡単なことではない。



理想とするのは、日々の生活のインパクトに耐えうる、見た目の良い機械式腕時計。センシティブな飾りのようにいちいち腕時計を取り外すこと無く、道具として毎日行動を共にできるツールウォッチ。より高級な腕時計と同じような耐久性を持ちながらも手頃な価格。



またOutcast Watchesは腕時計好きでinstagramをするという方にはおなじみ、Watches & Pencils(@watchesandpencils)ともコラボレーションしている。空挺部隊として文字盤を下に飛び出すSeries 1達が描かれており、どんな活動にも共に持ち出せる耐久性への自信や力図良さが、Watches & Pencilsの柔らかで可愛らしい絵柄の中に現れていると言えるだろう。(なおメディアとしてこのコラボを取り上げるのは当ブログが初では無いかと思う)

万人受けを目指すので無く、他と同様に群れるのではなく、自己表現のできるスタイリッシュな腕時計を目指した。こうして造られたのがOutcast Watchesの「Series 1」だ。


開封



届いて驚いたのまずその箱の大きさだ。だがもちろんこの箱の大きさ中に自動巻きが入ってるための大きさである。頭頂にはOutcast Watchesのマークが印してある。


開けると出てくるのはもう一つの、より薄い箱。こちらに腕時計が入っている。その箱の下部にはワインディングマシーン(傷が付かないよう不織布の袋に入っている)とアダプタ、説明書が入っている。


薄い箱を開けると出てきたのがSeries 1 Blue Face。箱の蓋表面だけでは無く、箱蓋の内側にもロゴが入っているのは珍しい。


腕時計部分はケースとストラップが分割されて入っている。それではまずは腕時計部分から、それに続いてワインディングマシーンを見ていこう。


ケース



44mm径のケースは316Lステンレススチール製で、全体に鏡面仕上げが施されており非常にツルツルテカテカ。


風防はぱっと見平坦に見えるかもしれないが、ドーム型のサファイアクリスタルである。ARコーティングも施されている。


こうしてみると風防がドーム状になっていることがわかりやすいだろう。


裏蓋には大きくOutcast Watchesのマークが刻印されており、その周りに社名、ケース材質、風防材質、そして耐水性能10ATMの印し。


裏蓋は6箇所のネジ止め式。使用されているムーブメントはMiyota 9122。コンプリケーションを持つプレミアム自動巻きムーブメントに分類されるもので、月、日、曜日が表示できる「トリプルデイト」が特徴。28,800vph、26石、自動巻き・手巻き両対応の機械式ムーブメントだ。静かな室内で腕を動かすと軽快なローターの音が聞こえる。


3時位置にある竜頭はねじ込み式。側面はコインエッジとなっており、頭頂にはOutcast Watchesのマークの刻印。


2時位置にはプッシャーが位置する。これはトリプルデイトの月表示を送るために存在するプッシャーだ。


文字盤



文字盤内要素は深い青色がベースカラーとなっており、そこにオレンジ色の要素がしゃれっ気のある色合わせとなっている。オレンジ色部分は、時分秒針、そして曜日、月、日付を指し示す針、ダイヤルリング上の分を示すアラビア数字インデックス。加えて月と曜日表示の「JAN」と「SUN」もオレンジだ。

この文字盤面全体が見える画像と共にトリプルデイトに関する説明もしておこう。トリプルデイト(もしくはトリプルカレンダー)は日付、曜日、月、の3つの要素を表示できる機構であり、このMiyotaによる9122の分類が「Category: Premium Automatic > Complication」となっていることからすると、この機構はコンプリケーション/複雑機構とされるようだ。

トリプルデイトの日付合わせは、月送りがプッシャーである他は竜頭を使用するようになっている。竜頭をアンロックした状態から一段引き上げた状態から時計回りに竜頭を回すと日付送り、反時計回りに回せば曜日送りだ。

もちろんより高価なアニュアルカレンダーやパーペチュアルカレンダーのように小の月(月の日数が31日より少ない月)を自動的に調整してくれることはないが、毎日日付が変わると共に曜日も変わるし、31日から1日に変わる際には自動的に月も送られる。小の月である「二四六九士」(2月、4月、6月、9月、11月)の各次の月初めである年5回のみ手動で調整すれば良いわけだ。


文字盤最外周にあるダイヤルリングの曲線はSeries 1の特徴となっている。通常ダイヤルリングは高くなった外周部から、文字盤の高さへと下がる最内周部分に向かって直線を描く。中にはAVI-8「Hawker Hunter」のようにその直線がハーフパイプ状に削がれたような形状のものや、Carzo & Lieutierの腕時計のように外周が低く内周が高いものもある。しかしOutcast WatchesのSeries 1ではまるでダイヤル外周部にチューブが埋まっているかのような膨らみを持って存在している。


この膨らみによる光の反射は風防の中に面白い立体感を生み出している。


ダイヤルリング上には僅かな立体感を持ったオレンジ色の分インデックスがプリントされているほか、5分おき/各時位置にドット状に蓄光部分がある。12時位置のみドット状では無く下向き三角形。


時分針の中部分は蓄光材。


蓄光させるとこんな感じ。


12時位置には銀色の立体的なアラビア数字のインデックスが配される。3時位置には月、9時に曜日の表示があるためインデックスが無いが、それ以外の部分には立体的な銀色バーインデックスが存在する。6時には日付表示窓が開いているが、他のバーインデックスよりも短いもののここにもバーインデックスがある。


それ以外の色要素としては、白色がダイヤルリングの内側の文字盤部分には4分の1秒まで印された目盛り、12時インデックス下のスタイライズされたOutcast社名と「automatic」表記、月と曜日のフォント、日付窓背景に用いられているほか、蓄光部分も光の中では白色に見える。

私は日付窓内の背景の色とダイヤルの色の組み合わせを気にする方だが、この6時位置の日付窓の白色は、ダイヤルリング12時位置の下向き三角形蓄光部の白色のお陰で違和感なく、文字盤全体のバランスがとれている。


ストラップ



ストラップはカーフスキン製。


レーシングスタイルで、上地にパンチングレザーが施され、中/下地が見えるようになっている。


この「Blue Face」モデルでは、ケースにマッチした色合いの青地にオレンジの要素が見える。縫い糸も同じくオレンジ色。この色の組み合わせにはお洒落な美しさがある。このストラップだけ別売り販売しても売れそうな程だ。


バックルは片開き式のDバックル。ステンレススチール製でマーク入り。


16~17cmほどの私の手首周りサイズでは一番小さい設定にしてもひとふたまわり大きい感じ。


通常バックル部は時計の12時方向側のストラップに取り付けられるが、この状態では手首の橈骨のでっぱりにDバックルの内側がぶつかって痛い(わかりづらいが写真は橈骨に当たる状態を示したもの)。なのでバックル部を時計の6時方向側のストラップにつけたところ痛みも無く上手く収まった。


それでもストラップがしっくりこないという人にとって幸いなことに、付属ストラップは工具無しで簡単に脱着ができるクイックリリース式のものとなっている。


なので購入してストラップが合わないという方は好みの22mm幅ストラップに変えると良いだろう。こちらはCasioのDBC-611-1付属のストラップをつけてみたところ(なおDBC-611-1ストラップのつけ外しには工具が必要)。ストラップは艶消し風仕上げだが、ケースと同色であることで意外と違和感なくマッチ。


ワインディングマシーン



Series 1の大きなポイントの一つはワインディングマシーンが付いてくるということ。このワインディングマシーンにもOutcast Watchesのマークが入っている。


コンセントに挿しても稼働するが、単三電池2つでも動かすことができるようになっている。コンセント位置が限られる住居に住む人にとってはありがたいことだろう。私はエネループ二本を使用して回転させて使用しているが問題なく稼動する。なおアメリカと日本のコンセントのプラグの形状は同じなので付属プラグは日本でも使えるはず。


回転部から突き出した「つまみ耳」をつまんで引くと中央の部分と共に引き抜ける。この取り外した部分に腕時計を装着し、それをつけ戻して稼働させるというわけだ。


腕時計の当たる部分には柔らかい素材が来るようになっており時計を傷つけないようになっている。


後ろ側のパーツはバネにより押し込むことができるようになっており、途中で1段固定可能位置(更に押し込むと解除される)が存在する。ストラップ長さが一番小さい状態だとつけづらいのでワインディングマシーン装着時には調整する必要がある(手首周りが大きめの人には問題無いだろうが)。時計が当たる部位は複雑なテクスチャーによりある程度の質感があるものの、ツマミ耳部分などは少々プラスチック感が強い。


その一方でモード選択部のプレーティングには謎の高級感がある。


回転時の音は比較的小さな音だといえるだろう。しかし当然ながらもしこれを寝室に置いて寝るとなれば話は違うかもしれない。だが実はそんな心配は要らない。このワインディングマシーンはシンプルながらも一日の間の半日間しか回転しないというスマート設計なのだ。


回転モードは、回転方向が、右周り、左周り、そして交互に両回りモードの3種類から選択可能であるほか、回転回数が650TPD、750TPD、850TPD、1000TPD、1950TPDの5つから選択可能。TPDは「Turns Per Day」の略であり、つまり一日の回転数。この機械は一日の12時間稼働し、次の12時間は止まるようになっている。回転と停止の間は、一日の回転数が12時間で終るように計算されており、例えば650TPDであれば1分間回転=9.5回転して、その後571秒=約9.5分停止してから次の回転を開始するので、一セット10.5分で650/9=68.42回だから約12時間で終る。内蔵タイマーが自動的に稼働開始時を記憶し、次の日の同時刻に動き出すようになっている。なので一度朝に稼働させればあとは電池の続く限り、もしくはコンセントに繋がっている限りは朝しか稼働しないのだ。


まとめ



ユニークなスタイル。自動巻きでトリプルデイトという珍しい組み合わせ。そしてワインディングマシーン付き。

その個性的な見た目も然る事ながら、プレミアム自動巻きムーブメントMiyota 9122を採用する腕時計はなかなかお目に掛からない。そしてそもそもトリプルデイトコンプリケーションのついた腕時計もクオーツであれば数万円で手に入れられるが、トリプルデイトかつ機械式となると10万円を下るものをお目に掛かることは難しい。機械式時計ファンならこの採用ムーブメントだけでも興味を引くことだろう。


腕時計ファンにとってはその希少感、お手頃感と共に、ワインディングマシーン付きという点も嬉しい付加価値となるだろう。特に自動巻き腕時計をコレクションし始めたばかりの方の中にはまだワインディングマシーンを持っていない人もおられることだろう。そういう人にとっては特にお買い得感があるはずだ。ワインディングマシーンを既に持っているという方にとってもコレクション数の増加に伴いワインディングマシーンが増えることは喜ばしいことだろう。



カラーバリエーションも今回レビューの「Blue Face」の他に、黄色と黒のビビッドなカラーリングで同様カラーのレーシングスタイルのパンチングレザーストラップ付属の「Yellow Face」、白色ベースの文字盤に、茶色のクラシカルなストラップ付属の「White Face」、黒色ベースに白色要素のダンディーな「Black Face」が存在する。もちろん全てのモデルにワインディングマシーンが付いてくる。

今回耐久性に関しては激しく検証することはしていないが、Series 1は「飾りとしての腕時計ではなく、道具としての腕時計」を目指しており、Outcast Watches創設者のケヴィン氏は自動車をいじるときにも外さずに使っている。

そんな逞しさも備えたOutcast WatchesのSeries 1、価格は800ドル、記事執筆時の通貨レートでは約8万9000円だ(なお日本への送料は別途必要)。気になる方はOutcast Watchesの公式ウェブサイトから購入できるようになっている。


Source: Outcast Watches, Miyota

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充電のための儀式が素早く簡単で楽しくなる!マグネット式充電ケーブルVOLTAからOriginalとXLを比較レビュー

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マグネット式充電ケーブルを作るオーストラリアのVOLTA。Indiegogoでは3度にわたり大きな成功を集め、つい最近Makuakeで目標の300%の資金を集め終了させている。

私はクラウドファンディングキャンペーンでこれまで複数のマグネット式充電ケーブルに出資したことがあるが、その度に涙を見たバッカーの一人だ。MACNETOやGECKOなどといったキャンペーンは成功しているが商品は出資者に送られてはいない。そんな中にあってVOLTAはきちんとキャンペーンを完了させ、出資者に届けている優良キャンペーン。キャンペーンの度重なる成功もうなずける。

さて今回はそんな豪VOLTA社がMakuakeキャンペーンのリワードとしても提供していたVOLTA OriginalとVOLTA XLをレビューさせていただく。



VOLTA OriginalとVOLTA XLそれぞれの特徴


まずは間違いの無いようにVOLTA OriginalとVOLTA XLそれぞれの特徴を明確にさせておこう。



「VOLTA Original」


3種のチップ対応の汎用モデル。いろんな世代/ブランドのデバイスを持つ人やファミリー向け。

・ケーブルの片側は通常のUSB(USB A)で、片側がマグネット式スロット
・マグネット式のケーブル先端(チップ)はMicro USB、USB C、Lightningの3種類
・電流容量2.4A
・ケーブルが電源に接続されているとマグネットスロット側のLEDが点灯
・Quick Charge 2.0 & 3.0、Rapid Charge、Fast Charge対応

(詳しい対応確認済みデバイス表は公式サイトのOverview部分に記してある。表に記してはないがSamsungはS8まで一応対応しているという。)



「VOLTA XL」


USB Cで統一したい人や、MagSafeが恋しいマカーに。

・ケーブルの片側はUSB Cで、片側がマグネット式スロット
・マグネット式のチップはUSB Cのみ
・デバイスが充電される際にのみマグネットスロット側のLEDが点灯
・電流容量4.3A
・Quick Charge 2.0、3.0、4.0、Fast Charge対応
・OTG対応

(詳しい対応確認済みデバイス表は公式サイトのOverview部分に記してある。)




なお、チップはVOLTA Original、VOLTA XL、そして最新モデルであるVOLTA 2.0では、どれも別々のものとなっており、互換性は無いので注意されたし。


共通項


さて、そんなVOLTA ClassicとVOLTA XLの共通する点も挙げておこう:

・リバーシブル接続(表裏方向関係なくケーブルがマグネットで引っ付く)
・ケーブルが引っ張られたらマグネットが外れる(ケーブルに引きずられデバイスが落ちる心配が少ない)
・Qualcomm 2.0、3.0、Fast Charge
・18金プレーティングが施された銅製端子
・N52ネオジウムマグネット
・通常の充電ケーブルより10倍強い強度ミリタリーグレードナイロン
・ケーブル表面の編み込みで絡まりづらい
・無期限保証(日本の代理店などから購入した場合はこの限りでは無い可能性がある)

なおVOLTAのチップをデバイスにとりつけた状態で、デバイスの防水性能がどうなるのか気になる方もおられるだろうが、VOLTA公式サイトFAQではこのような回答がなされている。


我々はデバイスを30分間水につけることによりこれを検証しています。デバイスにチップがついたまま水から取り出した後も機能しました。通常とは異なる状況では水がチップの中に残り腐食する可能性もありますが、これはデバイスの防水/耐水性能に影響を与えるはずではありません。しかしながら、VOLTAチップがダメージを受けないようにするため、デバイスを自ら取り出した後、チャージする前にはチップが乾いた状態になるよう気をつけてください。


こちらはVOLTA社のケーブルとチップのセットを購入したときに付いてくるマカロン風のケースの写真。追加ケーブルだけの購入やチップのみの購入では付いてこないのでご注意を。一応赤いのがVOLTA XLが入っていたもので、黒いのがVOLTA Originalが入っていたものだが、購入時にケース色は選択できないので届いてからのお楽しみと言うことになる。黒い方にはテクスチャーも付いている。両方とも赤と黒のツートンカラーで可愛い。写真右は開けたところ。チップやチップ外しなどの小物がばらけないようにポケットも付いている。


ケースには黄色いチップ外しとベルクロ結束バンドも付いてくる。

デバイスによっては、ケーブルを外す際にチップが抜けることもあるかもしれない。これはチップの問題ではなく、デバイス側の端子接続口が度重なるケーブルの抜き差しで弱まっているため生じること。私の所有するiPhone 5(発売はもうかれこれ7年前のスマホだ)ではケーブルをまっすぐ引き外すとLightningチップもともに抜けてしまう。試しに同じLightningチップを、初代iPhone SE(2016年発売だが、購入は昨年)に挿して試したところケーブルは抜けてもチップは外れなかった。


なお、このチップ抜け現象は、ケーブルを横向き/斜め向きに外すことで防ぐことができる。


軍用レベルに強いナイロンが美しく編み込まれているお陰で強度が強く、絡まりづらい。


また、ケーブルのチップスロット側にも磁石が入っているので、使用していないときにこういう風に磁石で貼り付けておくとケーブルが落ちないので便利だ。


このようにケーブル部は表裏関係なく取り付けることができる。


ケーブルの両端は鋭角に曲がらないように複数の蛇腹が存在する。

それでは以下で、VOLTA OriginalとVOLTA XLをより詳しく見ていこう。


VOLTA Original



VOLTA Originalは、MacBookなどの供給電量が大きなデバイスこそ充電できないが、汎用性の面で優れたデバイスだ。


なによりも、Micro USB、USB C、Lightningという現代のコネクタ三種の神器を取っ替えて使える利便性を備えるのがポイント。(なおN52ネオジウムマグネットはかなり強力で、この写真より少しでもチップ同士を近づけると互いに引っ付いてしまう)。USB C版はケーブルに引っ付く側がMicro USBとLightningと比べて分厚くなっている。


そして、ケーブルスロット側とは反対側の先は今も大いに活用されるUSB A。


チップが入り込むケーブルのスロット側、そしてチップの外に突き出る側はこうなっている。


LightningとMicro USBではそのままチップをスロットに入れるとここまで入る。


充電しようとしてデバイスにケーブルを差し込んだのに、気付いてみればケーブルが電源元にささっていなくて充電できていなかった…なんていうことが起こらないよう、チップのささるスロット側にはLEDが付いており、通電していれば光る。特に長いケーブルを使用して、ケーブルの根元が見えない位置に電源部がある状況などでは便利だし、更にそのような環境下でオンオフができるタイプの電源部を使用する人にとってはこのLEDはありがたいはず。


LightningチップをiPhone 5に挿すとこんな感じ。


ケースにもよるだろうが、私の使用しているケースではケースを取り付けた状態でも使用できた。


MicroUSBではこんな感じ。こちらも丁度よく収まっている。


ただUSB CだとBlackberry KeyOneに取り付けた際には少し長めにチップが飛び出る。もしかしたらこれはケースをした状態で使用することも考えられているからかもしれないが、後に違う理由を思いついたのでそれについては後述しよう。


GPD Pocketでもはみ出る感。


Surface Goに取り付けた場合には、前面から見ると端子の中に入る側は綺麗に収まっている(デバイス側面がカーブしているためでもあるが)。


また、ケーブルを取り付ければLightningチップもMicro USBチップもケーブルスロット側にほぼ完全にチップの銀色部分が隠れるが、USB C版はそうではない。


当初何故だろうと不思議に思っていたが、USB C版のチップはVOLTA OriginalもVOLTA XLも形状は違えど縦方向の高さが同じであることを考えると、これ以上短くすることができないというUSB C規格における制約があるのではないだろうか。もしかしたらBlackberry KeyOneやGPD Pocketのようにチップのデバイス接続側に遊びがある事に関してはデバイス側の設計によるものかもしれない。

VOLTA Originalのケーブル長は2m、1m、0.5m、0.25mから、ケーブル色は黒、赤、シルバーから選択可能。


VOLTA XL



VOLTA XLの一つのポイントは、USB C - USB C接続であること。USB Cポートを持つ新MacBookには残念ながらこれまで付いていた磁石式充電部MagSafeがなくなってしまった。これを補完するのがVOLTA XLのポイントのひとつだ。

そのため当然ながらMacBookの充電に十分な電流容量を持っており、MacBook Proも充電可能。加えてMagSafeのようにケーブルに引っかかってしまってもパソコンが机から落ちること無く、磁石で繋がったケーブル先部分のみが外れるのだ。


充電中にケーブル先LEDが点灯するのもMagSafeと共通している。(間違いのないように印すが、VOLTA Originalではケーブルに通電しているときにLEDが点灯し、VOLTA XLではケーブルがデバイスに繋がった状態で充電しているときのみにLEDが光る。)


これは、USB Cを使用するApple以外のマシンでMagSafeを使用するという夢を叶えることのできるデバイスでもある。例えばSurface Goでもこの通り。まあSurface Go付属の専用チャージャーもマグネット式で充電時にLEDも点灯するが、持ち運んで仕事するときの電源として考えればUSB Cの汎用性を備えたマグネット+LEDケーブルの方が便利だろう。

チップはUSB Cのみしか存在しないが、チャージャーも含めてUSB Cで機器を統一している人にはうってつけだろう。


ケーブルスロットとは反対側のケーブル先ももちろんUSB C。USB Cで充電するデバイスなどは最近特に充電器側にある給電用USBポートもUSB Cであるものも多くなってきているのでそのようなデバイスに囲まれた環境にある人は特にUSB C-USB CケーブルであるVOLTA XLの恩恵を受けることができるだろう。


チップ先はVOLTA Originalと比較して、出っ張り先に白い部品が出ているが、全体としてみるとデバイスから出っ張る部分のシルエットが小さめになっている。また、ケーブルを取り付けるときにマグネットの力でより上手い具合にチップのお尻がケーブルスロット内に入り込むようになっている。


しかしやはりBlackberry KeyOneでは出っ張る。


GPD Pocketでもやはり隙間に引っかかりそうな感じで飛び出す。


Nintendo Switchではデバイス幅が広い為もあってか違和感はそれほどないかも。

VOLTA XLではケーブル長は1.8m、1m、0.5mから、ケーブル色は赤と黒から選択可能。


まとめ



現代生活に毎日か欠かすことができない充電。LightningやUSB CなどではMicro USBとは異なり接続時に上下が関係なく挿せることで利便性が良くなったとは言え、手元を見ずにデバイスのポートにケーブルを挿すのは難しく、手間や時間が掛かる。特に暗い中ではなおさらだろう。

VOLTAの作るマグネット式充電ケーブルは、このような問題を解決することのできるデバイスだ。充電のためにケーブルを取り付ける作業が手軽でスピーディーになるのは、楽しい。もちろんケーブル取り付けにこれまで2、3秒かかっていたのが1秒に節約される位のものではあるが、それも長い目で見れば人生の無駄な時間を大幅に減らすことにつながる。

もちろん、類似するマグネット式充電ケーブルは既に多数市場に出回っている。しかしそれでもこのVOLTAが生き残ってきたのは、複数回のクラウドファンディングを通じて出資者に製品を届けることでその信頼性を人々に証明してきたことにあるだろうし、無期限保証という自信の裏に存在する品質の高さにあるだろう。

ケーブル両端がマグネットであればより多様な使い方ができるとも思うが、これは片側のみマグネットとすることで、電源接続部がふとした拍子に外れないようにするという選択なのだろう。また、流石にMiniUSB版チップは出ることは無いだろうが、あったらそれはそれで便利だろうなとも思う。

流しそうめんのようにデスク脇から流れ出るケーブルの数々をVOLTA一本だけで統一することは難しい。しかし別々の端子を持つ複数のデバイスを充電する必要がある(が必ずしも同時に全てを充電必要が無い)という人にはケーブルの数を減らす助けにもなるだろう。加えて沢山のケーブルを使用しないといけない人にとっては、ケーブル色を複数色から選べるのはプラスポイントだ。

個人的には、新旧複数のデバイスを多数使う環境にあるので、三種のチップを使い分けることができるVOLTA Originalが最も重宝している。仕事環境だけで無く出先や家でも同様にこの便利さを味わうためには長さの違うケーブル部分も複数本持っていたいところだ。


Source: Volta Charger, Makuake

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フィンランド生まれの腕時計ソーシャルマーケットプレイスSOMAが先行メンバー募集、時計購入がお得になる豪華特典付き

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先月、フィンランド生まれのスタートアップ「SOMA」に関する記事をご紹介したのは覚えておられるだろうか?ブロックチェーン技術も活用するこのソーシャルマーケットプレイスは、ローンチ当初は腕時計に焦点を当て、SNSのソーシャル性とeコマースの容易に売買できる機能を組み合わせたプラットフォームとして世に出ることになっている。

ローンチを目前に控えたSOMAが、もうじき先行的に同プラットフォームを使用する腕時計愛好家の募集を開始する。100人限定で選ばれるこの幸運な先行者達は、誰より先にSOMAを使用できるだけで無く、プラットフォーム上での腕時計購入に使用できる2万円相当の現金や、腕時計ブランドの特別値引き、そしてここでしか手に入れることのできない限定版の腕時計といった三大特典が受けられるのだ。




「コホート1」と呼ばれるこの特別メンバーに選ばれるには、なるべく早めに応募しなければならない。またこのコホート1と、それに続くコホート2では、中級程度の英語が必須となっていることにも注意されたし。なお、残念ながらコホート1に漏れてしまった人は、自動的に(コホート1程豪華では無いものの)同じく素晴らしい特典付きのコホート2の候補にとなる。コホート2の方は500人限定となっている。

応募日程や詳細はSOMAのウェブサイトやソーシャルメディアなどでも公開されることになるだろうが、それらよりも一足先に応募が開始されるのはSOMAのFacebookグループである「Quality microbrands!」でのこと。このFacebookグループはプライベートグループとなっているが、腕時計好きであれば国を問わず誰でも入れてもらえる。公用語は英語となっているが、世界の腕時計ファン達と交流できる機会を提供する場ともなっている。

なお、今回のコホート1募集やその特典に関する詳細についての日本語での情報は、SOMAのウェブサイトで昨日公開された記事「腕時計好きには見逃せない特典満載、SOMAローンチに選ばれる100人はあなたかも?」で読むことができる。



*なおこの記事のトップ画像に写っている腕時計はどれもSOMAへの参加が決定している腕時計ブランドのもの。左からPedralMint EvolutiveOutcast WatchesDWISS(リンクは当ブログのレビュー記事)。このほかのSOMA参加ブランドはSOMAのインスタグラムアカウントなどから確認できる。


ディスクロージャー:筆者はSOMAの「ウォッチ・コミュニティー向けテクノロジー・ソリューションのアンバサダー」に任命されている。

Source: SOMA

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イギリスからやってきた個性あるムーンフェイズMAALS Watches「Jump Over The Moon」

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今回はイギリスのマイクロブランドMAALS Watchesから、ユニークな腕時計Jump Over The Moon(略して「JOTM」)をご紹介しよう。

文字盤の逆三角形の切り込みから見えるダイヤルで時刻と月齢とを表示する、一風変わった腕時計。遊び心溢れるケース裏の絵にも注目だ。



MAALS - Jump Over The Moon




腕時計コレクターである兄弟により創設されたMAALS。20年のコレクター歴で培った審美眼で自らも腕時計を生み出そうというこの若い会社が最初に送り出すこととなるのが今回のJOTMだ。

イギリスでデザインされたこの腕時計のインスパイア元となったのは、イタリアンカーや70年代のクラシックな腕時計だという。この腕時計は昨年10月にKickstarterでクラウドファンディングを成功させている。

早速JOTMをレビューしていこう。JOTMはシルバー色とブラック色の2種類で展開されているが、今回は特別にその両方をレビューしていく。


開封



ケース裏にも刻印されているイギリスのアーティストOKSE氏が描いた絵が化粧箱の上を飾る。蓋はマグネットでピタリと止まる仕様。


中にはお礼状と共に黒い梱包材(化粧箱と同色で統一感がある)、そしてプチプチに包まれたJOTMがはいっている。


ケース



ケースは径が42mm。シルバー版が316Lステンレススチール製、ブラック版はPVD(物理蒸着)。


ドーム状の風防からケース、そしてラグへの傾斜も美しい。

風防はぷっくらした強化ミネラルガラスでできており、反射防止のARコーティングがなされている。ミネラルガラスはサファイアクリスタルと比較すれば細かい傷がつくこともあるが、サファイアクリスタルと異なり傷は研磨して取り除くこともできるという点で優れている。


コインエッジのついた竜頭、その頭にはMAALSのロゴである二つの横顔が刻印されている。


ケース裏にはイギリスのアーティストOKSE氏が描いた「Jump Over The Moon」、月を飛び越える宇宙飛行士の絵が刻印されている。ケース色がどちらのカラーでもしっかり綺麗に刻印されているのがわかるだろう。軽やかに月を飛ぶ遊び心のある絵柄が時計を腕から外したときに楽しめる。


ムーブメントはムーンフェイズ機能が付いたMiyotaのクオーツ式6P24。防水性能は5ATM。製造は香港。


文字盤



このJOTMで最も特徴的なのはなんと言っても文字盤だ。インスパイア元としてイタリアンカーと述べられているが、言われてみればアルファロメオの逆三角形のグリルを彷彿させなくもない顔立ちだ。

中心部から伸びる赤い針は秒針。中心から6時方向に向かって短く伸びる針は、そこにその他の表示があることを指し示す。


中心近くには5分おきの表記がなされた分ディスク。そしてその下にはより大きなフォントで時間ディスクが存在する。その更に下に見えるのは、ムーンフェイズディスク。ムーンフェイズは29.5日で半回転するディスクで、月の満ち欠けを示す。

分、時、月齢を示す部分がひとまとめに存在するのは面白い。人によっては一般的な針による時刻表示よりも、常に一定箇所に数字が現れているこのスタイルの方が時刻が読みやすいと感じる人も居るに違いない。


12時方向にはMAALSのマークである二つの横顔。文字盤には5秒間隔で60秒まで赤いバー状の印刷でインデックスがなされている。


文字盤右半分のサンダイヤル部分外周には1秒刻みで30までのインデックスもある。

文字盤は中央部分は中心から放射線状にヘアラインが伸びるサンダイヤル。秒針の少し先ぐらいの位置から外側に向かい傾斜があり、ドーム状の風防とマッチした形を作り出している。ブラック版でも同様の形状に中心部はサンダイヤル状となっているが、針やインデックス部分は灰色となっている。


ストラップ



ストラップは本革製で、長方形を描くように白い糸でスティッチがなされている。



分厚く頑丈なヴィンテージスタイルストラップ。幅は20mmとなっている。


16~17cmほどの私の手首周りサイズでは一番小さい設定にしても一回りストラップが大きい感じ。


バックルは「パネライ・スタイル」の316Lステンレススチール製で、どちらも本体ケース色と同色。MAALSのロゴも刻印されている。


まとめ




典型的な腕時計とは違う、独特な顔を持ったJump Over The Moon。

使用されているムーブメントMiyota 6P24は、ダイヤルが回転して月齢を示すムーンフェイズ機能が付いているほかは何の変哲も無い3針(時分秒針)なのだが、時分針もまたダイヤル式にするという独自の改造を加えているのは腕時計コレクターが作ったブランドならでは。

腕時計としての美しさも備えながらも、ディスク式にまとめられた時間表示+ムーンフェイズ、文字盤、そして遊び心溢れるケース裏の彫り込み、といったユニークな要素が詰め込まれ、価格はシルバー版、ブラック版どちらもそれぞれ国際送料無料で249ポンド(記事執筆時のレートで約3万6000円)となっている。なお腕時計にイギリス製のレザーポーチ付きのコンボパックは275ポンド(約4万円)で、こちらも送料無料。

購入はMAALS Watchesウェブサイトから可能で、12ヶ月の国際保証つき。なおウェブサイトを訪れた際に表示されるルーレット式のメーリングリスト登録画面内ポップアップから登録すると最大30%の割引となる可能性もあるので購入される石がある場合は画面内ポップアップを閉じちゃわないように。


Source: MAALS Watches

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P30 Proが出たばかりなのに!?今更ながらHuawei P20 Proを購入。その理由。

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これまで使用してきたBlackberry KeyOneがへたりだした。バッテリーが30%以上ある状態で写真を撮ろうとすると急にシャットダウン、バッテリーが17%ある状態で普通にブラウズしていたらシャットダウン。朝11時に100%充電されていても午後2時には残量が50%を切る状態。これは実はKeyOne使用初期に家にネット環境が無く、KeyOneをWiFiホットスポットとして仕事にゲームに酷使していたためであろう。新たなバッテリーをEbayで購入すればこれは解決するかもしれない。

しかしそれ以外にも問題があった。元々そこまでCPUスピードも速くないKeyOneだが、ここ最近はアプリの起動や切り替えに10秒以上掛かることが多くなり困っていた。もしかしたら私の使用するアプリ類と相性が悪いのかもしれないが、ファクトリーリセット後もこの状態が続いたのでメインスマホの座を次世代携帯に明け渡すことに決めたのだ。



どんなスマホにすべきか


Blackberry KeyOneはハードキーが魅力であったが、KeyOneはサブ機として使用することを念頭に:

1.これまでKeyOneで最も活用していた機能がカメラであったこと

2.KeyOneよりスピードがあること

を考慮して選ぶことにした。

サブでKeyOneを使用するのでキーボードの付いたKeyTwoは今回は選ばず。将来的には考慮するかもだが。


いいカメラフォンください


カメラはブログレビュー以外にも他の仕事で活用しなければならないこともあり重要な機能だ。特に私の住むフィンランドでは夏は白夜で明るいものの、冬の極夜の暗い明かりの中で、しかも室内光も暗い中で(これに関してはeläväniで私が執筆した記事『暗く暖かいフィンランドの室内灯に隠された光の価値』をお読み戴きたい)撮影しなければいけないので、暗所撮影能力が高いカメラフォンが欲しかった。「カメラ機能付き携帯じゃ無くてカメラにしたら?」と言う声が聞こえて当然ではあるが、スマホで撮影から投稿まで完結できる方が楽なので写真専用機械は考慮せず。

現行機で良さそうなのはNokia 9 PureViewとHuawei P30 Pro。フィンランド在住であることからはNokia 9 PureViewは支援したいし、Blackberry KeyOne以前のメイン機がNokia Lumia 930であったこと、NokiaのPureViewシリーズのカメラのこだわりからしても心はそちらに傾いていた。しかしNokia 9 PureViewはまだソフト面が完成されていないというレビューが多く見られた。難儀しながらアップデートによりその成長を見守るのは自分からしてみれば魅力的な要素であるが、メイン機としては不安定要素はよろしくない。

じゃあHuawei P30 Proを買おうか…というにはそこまで資金が潤沢なわけではないため無理。なので昨年のベストカメラフォンを選ぼうと言うことにしたわけだ。

しかもそのリサーチの過程でHuawei P30 Proの前世代機であるHuawei mate20 Pro、Huawei P20 Proが出てきた。Mate20 ProはフィンランドではP30 Proと未だに同価格(!)であることと、P20 Proと比較しカメラ機能がそこまで大きく進化しているとは思えなかったため除外。

KeyOneよりも新しいミッドレンジ~ハイエンド機ならどれもスピードはあるだろう。P20 Proもキビキビ動くことで知られているので問題無さそうだ。


決め手はLumiaのイメージングディレクター?




Mr MobileのP20 Proレビュー動画で知ったのだが、Nokiaで15年に渡りカメラ関連に関わり、Nokia時代のLumiaデバイスは当然のこと、スマホ事業がMicrosoftに移って以降もLumiaデバイスのイメージング部分にディレクターとして2年半勤めたEero Salmelin氏は、現在Huaweiのイメージングとビデオ技術のディレクターをされているのだ!もちろんLumia 1020も担当した人だよ、ワオ!

これが決め手となり、Huawei P20 Pro購入を決意したのだった。

(なおHuaweiはアメリカでは販売されておらず、政治的に目の敵にされているという点もあるが、この点未だに違法行為をしている点は見つかってないと思うし、逆にNokiaのAndroid携帯は「手違い」で中国にデータを送っていたというニュース(Engadget)があったばかり。個人的にはAppleやGoogleと肩を並べるレベルに成長したHuaweiがアメリカで邪険にされているだけだと考えている。また、東京福祉大学国際交流センター長である遠藤誉氏がニューズウィーク日本版に執筆する記事からは、アメリカが主張するような中国政府との近さはHuaweiに無さそうで、意図的にそうしようとするようにも思えず、米中の政治的な板挟みになっているのでは無いかと考える。無論Huawei内部で某国のスパイが暗躍している可能性はあるが、それを言うならAppleやGoogleは公然とスパイ行為を働いており、結局は政治的圧力により、「素晴らしい製品を作るが持てる政治力の低い企業」を出る釘として打ち付けようとしているようにしか思えない。)




なおHuaweiの製品ネーミングは個人的には紛らわしく思う。購入したのは「P20 Pro」であって、「P20」でも「P20 Lite」でも「Mate20」でもない。お間違えなきよう。


Source: YouTube, Engadget, Newsweek Japan

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その黒真珠はバルセロナのデザインとスイスの心臓を持つ…300m防水自動巻き腕時計UNITY「Black Pearl 300」

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ダイバーではない人が常日頃からダイバーズウォッチを着用する現状。それが一つのスタイルになっているとも言えるが、人々が当初ダイバーズウォッチに見いだした性能的魅力と、そこから来る機能美は、泳ぎもしないスーツなどの格好に合っているかと言えば違うはずだ。

UNITY Watchesの「Black Pearl 300」は、そんなダイバーズウォッチの機能や可視性はそのままに、より幅広い機会で着用できるスタイルを持った「バルセロナ・メイド」の腕時計だ。



UNITY Watches



スペインはバルセロナのUNITY Watchesは2010年にEduardo Peres氏によって設立された比較的新しいマイクロブランド。昨年5月にはKickstarterで「Pure Titanium」の復刻モデル(オリジナルは同ブランドが2013年に発表した腕時計)キャンペーンを成功させたことも記憶に新しい。


UNITY Watchesの大きな特徴の一つは「バルセロナ・メイド」。クラウドファンディングキャンペーンを行う腕時計マイクロブランドの中には、安価な出来合いの素材を用いることで利益を高めるようなものもあるが、UNITY Watchesはそれらとは異なる。デザインから、開発、製造までを自ら行っているのだ。



当然ながらベゼル、ケース、ケース裏やラグも自社製造。「バルセロナ・メイド」であることは同社の誇りだ。そして、大量生産は行わず、少量の限定生産しかしていないことも同社の特徴となっている。


そんなUNITY Watchesは現在Kickstarterで新たなキャンペーンを行っている。それが今回ご紹介する「Black Pearl 300」だ。


黒真珠




「黒真珠」と防水性能である「300m」から「Black Pearl 300」と名付けられたのがUNITY Watches最新のコレクション。その文字盤や防水性能からも想像できるように、これはダイバーズウォッチだ。

しかし互いが互いを模倣するようなスタイルのダイバーズウォッチが巷に溢れる中にあって、Black Pearl 300はダイバーズウォッチの性能はそのままに、普遍的なダイバーズウォッチのスタイル要素を活用しながらも、より洗練感を与えるものとなっている。


ケース



このBlack Pearl 300をダイバーズウォッチとして見たときにまず気付くであろうのは、ベゼルだろう。

クッション型をした316Lステンレススチール製のケースと同じ銀色の輝きを見せるそのベゼルは、もちろんケースと同じ素材でできている。円形のベゼルは120クリックの逆回転防止式となっているのだが、よく見るとベゼルの定位置から12,3,6,9時の角は面取りされているのだ。


回転式ベゼルを持った時計や、多くのダイバーズウォッチは、ベゼルを回しやすくするためにその周囲に歯車状(コインエッジとも)の突起が見られる。そのようなベゼルの突起は今やある種の一般化されたダイバーズウォッチのデザイン様式の一部と成り下がってしまったとも言うことができるかもしれない。だがBlack Pearl 300はこのベゼルの固定観念に、歯車状の突起をつける代わりによりシンプルな要素を用いることで変化をもたらしている。

実際に使用してみないことにはこの新鮮なベゼル形状がどれだけ効果的にベゼル回転の助けとなるかはわからないが、歯車状の突起が引っかかることによる誤回転は防げるだろう。加えてベゼルには12時位置に円形、それ以外の各時位置にバー状にC1ルミノバ蓄光が塗布されているほか、12時から4時位置までの間には各分間隔で黒い刻みが印されており、従来のダイバーズウォッチのベゼルの機能は保っている。


竜頭は4時位置に配されており、引っかかりづらくなっている。風防は2mm厚の平らなサファイアクリスタルで、青みがかったARコーティングが施されている。


ケース裏には潜水服、トライデント(三叉槍)、そしてサメのイメージが刻印されているほか、シリアルナンバー、防水性能、使用ムーブメントであるスイスETA 2824-2、そして誇らしげな「BORN TO DIVE」の刻印もなされている。このBlack Pearl 300は100個限定生産となっており、シリアルナンバーは「XXX/100」となっている。


採用ムーブメントはETA 2824-2 standard grade。28'800vphで25石、ETACHRONレギュレーターシステムを備え、パワーリザーブは42時間、信頼のスイス製の自動巻きムーブメントだ。


ケース幅は43mmで、厚は14mm。ラグ頂から逆方向のラグ頂までは51mm。


文字盤



12,6,9時位置に長方形のインデックス、3時位置には日付窓、それ以外の自国位置には円形のインデックスが位置する。インデックス部は日付窓も含めてシルバーの縁取りがなされており、ディープ・ブラック色にラッカー仕上げが施された文字盤面から立体的に突出している。分ごとの目盛りはダイヤルリングに記されている。


針は時分秒針の3針。時針はブロードアロー型、分針はアルファ型となっており、秒針はアロー型。分針と秒針は赤い縁取りがなされており、可視性が高い。三針共にメタル製となっており、ロジウム仕上げがなされている。ロジウムは貴金属にも分類される白金族元素だ。これらの針も既存品では無く、UNITY Watchesが自社でデザイン製造したものだ。


各時のインデックスと3針それぞれにはC1ルミノバ蓄光が用いられており、こちらの画像ではベゼルの蓄光部と共に光る様子が確認できる。


ストラップ



ストラップ幅は22mm。全てのBlack Pearl 300には2種類の特別なストラップが付属する。また、Kickstarterリワードのその他の付属品としては、ストラップを変えるためのツールと、トラベルケースも付属する。


一つは黒い帆布と赤いレザーの組み合わせが印象的なストラップ。手首に触れる内側が赤色で、外側が黒に赤い糸が列を成し、側面からは内面の赤色が覗き見える。


これはハンドメイドであり、なおかつ防水仕様、製造はJacobStrapsとなっている。バックル部は黒いPVDコーティングが成されており、black pearlの刻印もされている。


もう一つはステンレススチール製の三連ストラップ。マット仕上げがなされており、クラスプバックルにはblack pearlの刻印の他、会社ロゴとスタイライズされたUNITYの刻印もある。


なお、ストレッチゴールとして、調達金額が2万2600ユーロ以上集まった場合は、こちらのブラックカラーのラバーストラップも追加されることとなる。


まとめ



UNITY Watchesの特徴として、少量限定生産しか行わないと先に印したが、Black Pearl 300は合計100本のみ製造されることとなる。現在行われているKickstarterキャンペーンではそのうちの50本がリワードとして提供されることとなる。Kickstarterリワードとなる特別な50本は、一般販売価格である980ユーロ(現行レートで約12万3000円)よりも約40%も値引きされ、アーリーバードリワード30本が560ユーロ(約7万円)、残りの20本は580ユーロ(約7万3000円)となっている。

確かにより安価なダイバーズウォッチはごまんと存在する。しかしダイバーズウォッチの持つ機能性はそのままに、腕時計がその顔に歯車状ベゼルを持つことでもたらす固定的なダイバーズウォッチの視覚的印象から上手く抜け出し、より着用の幅を広げることのできるデザインを持ったものは他にどれだけあるだろうか。

流石にドレッシーな服装が求められる場所ではその分厚さから無骨に感じるかもしれないが、ダイバーズウォッチ着用の場が広がるという点は評価されるべきだ。


(当然ながらダイビングするときに着用することもできる!)

そして安さを追求するために大量生産の既存品をアジアから使うのではなく、デザインから製造まで一貫してバルセロナ・メイドであるという点も見逃せない点である。

「可視性の高さや防水性能の高さといった機能性は大好きだが、典型的な見た目のダイバーズウォッチはちょっと…」という方には是非ともチェックして戴きたい一本だ。




Image courtesy of UNITY Watches

Source: Kickstarter, UNITY Watches

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